人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている 作:アイリエッタ・ゼロス
三人が合流してから一週間と少しが経った。三人はそれぞれ稽古をつけてもらって
いる様だが....
「す、水月先生....エミヤさんの特訓、水月先生の比じゃない程キツイです....」
「魔力抑えるの、こんなにしんどいと思わなかった....」
「先生....マシュさん戦うの苦手って言ってましたけど、嘘ですよね....?」
三人は俺が初めて師匠に鍛えてもらった時と同じぐらいボロボロになっていた。
「そりゃまぁな....あと白崎、マシュは戦うの苦手はホントだぞ」
「(さすがに手加減するように言っとくべきだったな....)」
俺は少し反省しながら、読んでいた本に視線を戻した。
~数日後~
「さて、明日はどうする....」
食事も終わり明日の予定について話そうとした時、エミヤ、マシュ、カドックの三人の
身体が光り出した。
「これは....」
「なるほど。そろそろ時間切れか....」
「時間切れって....」
「この世界にいることが不可能になったという事だ。恐らく、俺達はカルデアに戻される」
カドックは冷静にこの状況を分析してそう言った。
「そうか」
「恐らく次の当たりを引いたメンバーが来るだろう」
「当たり?」
「今回のメンバー選出はくじ引きだ。話し合いでは絶対に決まらないからな」
「マジかよ....」
エミヤからの衝撃の事実に俺は言葉を失った。
「そういうわけだ。....君達とは、ここでお別れだ」
「エミヤさん....」
「南雲少年、君の才能と技術には目を見張るものがあった。その力を大切にしたまえ。そして、
君は君の信じる正義を貫くといい」
「ユエ、あとで立香にデータを送っておく。力を付けて、大事なものを守るといい」
「カドック....」
「白崎さん、頑張ってくださいね! 私も、カルデアから応援させていただきます!」
「マシュさん....ありがとうございました」
三人はそれぞれ自分が教えていた者たちにエールを送った。
「ではマスター、またカルデアで。メルトリリス、君が帰ってきた時には好物を作っておこう」
「カルデアの事は任せろ。お前は、お前のやるべきことを果たせ」
「先輩、メルトリリスさん。カルデアで待っていますね」
「あぁ。....ありがとな、三人とも」
「そうね....カルデアで、また会いましょう。....それとマシュ、リップによろしく
言っておいてちょうだい」
「っ! わかりました!」
「....時間だな。じゃあなお前等」
カドックの言葉を最後に、三人は光の粒子になってこの場から消えた。
「帰ったか....」
「何だかカルデアにいた時みたいだったわね」
メルトは三人がいた所を見ながらそう言った。
「それよりも立香。それに気づいてる?」
「それ?」
メルトは俺の右手を指していた。右手を見ると、俺の手の甲には令呪が描かれていた。
「いつの間に....」
「先生、それ何ですか?」
「これは令呪。簡単に言えばサーヴァントと契約した人間に現れる物だ。色々と使い勝手の
ある物だがちょっとだけ疲れるんだよな....」
そう話していると、通信機が鳴った。
「ダ・ヴィンチちゃんか。少し出てくる」
俺は三人にそう言ってメルトとともに家の外に出た。
~~~~
「はいはい、こちら立香」
『やぁやぁ立香君、お疲れ様。今、三人がこちらに戻ってきたよ』
「あぁ。さっきこっちでも姿が消えたのを確認したよ。わざわざありがとう」
『いやいや、おかげさまで立香君の居場所をある程度演算で把握できるようになった。
令呪の反応もあるし、次のメンバーはもう少し近くにレイシフトできるよう調整をかけるよ』
「了解」
『....それよりも立香君、一ついいかい?』
「ん?」
『君の横にメルトリリスが見えるのだが、私の気のせいかな?』
ダ・ヴィンチちゃんは目をパチパチさせながら俺の隣にいるメルトを見てそう言った。
「(しまった....メルトの事を言うの忘れてた)」
「立香....アナタ私のこと言うの忘れてたの?」
「はい....忘れてました....」
「アナタねぇ....はぁ、私が話すから」
メルトは呆れながらそう言うと、ダ・ヴィンチちゃんに自分がここにいる経緯を話し始めた。
『そうか....彼が....』
「えぇ」
『了解した。一先ず君が死んだメルトリリスであるというのは事実だと判断する。そこで
お願いがあるんだが....』
「立香の事でしょ。頼まれなくてもそうするわよ」
『....そうだね。君はそういう奴だったね。なら任せるよ、メルトリリス』
「えぇ。任せておきなさい」
『では立香君、次のメンバーを送る際に再び連絡を入れる』
「了解」
そう言うと、ダ・ヴィンチちゃんから通信は切れた。
「アナタねぇ....ちゃんと報連相はしなさいよ」
「はい....」
「(メルトに言われるとなんか納得いかねぇ....)」
俺は口には出さなかったがメルトを見ながらそう思った。
「何か失礼なこと考えてる?」
「いえ何も....」
~~~~
マシュside
カルデアに戻り、検査を終えた私はとあるサーヴァントの部屋に向かっていた。そして、
私は部屋の前に着くと扉を叩いた。
「はい」
「パッションリップさん、マシュです。入ってもよろしいでしょうか?」
「マシュ? どうぞ」
許可が取れたため、私はパッションリップさんの部屋に入った。
「おかえりなさいマシュ。今戻ってきたばかりなんじゃ....」
「はい。ですが検査は終わったので」
「そうなんだ。それでマスターは....」
「元気そうでした。前と変わらず」
「そっか....よかった....」
パッションリップさんは安心したように一つ息を吐いた。
「それと、パッションリップさんにある方から伝言が」
「伝言?」
「はい。....帰ったら、またよろしくねリップ、と」
「リップって....その呼び方するの....」
「はい。この伝言はメルトリリスさんからです」
「メルトが!?」
パッションリップさんはさっきと違い驚いた表情に変わった。
「えぇ。私も目を疑いましたが、本物のメルトリリスさんでした。それも、死ぬ前の記憶を
覚えている状態の。パッションリップさんの事もしっかり覚えていました」
「そっか....! 生き返ったんだねメルト....!」
パッションリップさんはそう言いながら、涙を流していた。
「よかった....よかったよぉ....」
「パッションリップさん....」
「ありがとうマシュ....」
「いえ。....あの、一度出直しますね」
「うん、うん....」
そう言って、私はパッションリップさんの部屋から出た。
「(よかったですね、パッションリップさん)」
そう思いながら、私は自分の部屋に向かって歩き出した。
「....ほほぅ、面白い話が聞けましたね」