人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている 作:アイリエッタ・ゼロス
三人が戻り一週間が経った。俺達はそれぞれ荷物を纏めて地上に戻ろうとしていた。
「よし、忘れ物はねぇな?」
「大丈夫です」
「じゃ、そろそろ行くか」
三人が帰った後、南雲はエミヤに教えてもらった事を基にしていくつかの装備と兵器を
造り出した。その造った物というのが魔力で動く車とバイク、ガトリング砲、対物ライフル、
ミサイルランチャー、エミヤの持つ短剣と似たような短剣、ハルバード、グレネードといった物
だった。これらの武器はオスカーの持っていた指輪の宝物庫に保管されており、南雲は
これら以外にも、俺が手に入れた身体を回復することが出来た鉱石を使い、白崎の杖の強化、
鉱石を加工してユエと白崎のアクセサリーを渡していた。その様子を見ていたメルトは....
「何あれ、プロポーズ?」
「さぁ?」
呑気にそんなことを言っていた。そんな事をしていたこの一週間、俺も俺でやらなければ
やらないことをやっており、そこそこに忙しい日々だった。そしてカルデアにも連絡を
取りつつ、次のレイシフトのタイミングを調整しながらレイシフトをする日に地上に
上がろうという話にダ・ヴィンチちゃんとなった。その結果、今日がその日だった。俺達は
荷物をそれぞれ持ち、地上に繋がる魔法陣に乗り、魔法陣を起動して洞窟の中に着いた。俺と
メルトは三人の前を歩き、以前と同じ道を歩いて洞窟の外に出た。
「久し振りの、外だぁぁ!」
「やったねハジメくん!」
「んっー!」
三人は久しぶりの地上にテンションが上がり叫んでいた。俺はそれを横目に見ながら腕に
付けた通信機でダ・ヴィンチちゃんに通信を繋げた。
「ダ・ヴィンチちゃん、ダ・ヴィンチちゃん。こちら立香。今地上に出たぞ」
『こちらダ・ヴィンチちゃん。了解した立香君! では、今からそちらに今回のメンバーを
送ろう! その場で少し待っていてくれ!』
「了解した」
そう言って通信が切れ、俺達はその場で待っていたのだが十分程経っても誰も現れる気配が
なかった。
「来ないわね」
「あぁ....何でだ?」
俺は不思議に思いながら再びダ・ヴィンチちゃんに通信を繋げた。
「ダ・ヴィンチちゃん? こちら立香。誰も現れないんだが....」
『こちらダ・ヴィンチちゃん! すまない立香君! そちらに送るのには成功したのだが、途中で
何故かバラバラになってしまった!』
「バラバラ? 一先ずこっちには来てるのか?」
『あぁ! こっちで理由を調べているんだがまだ状況が分からなくてね....』
「了解。なら、こっちで少し周辺を調べてみる」
『すまない。一応、それぞれレイシフトした場所が大体だが分かっている。そちらにデータを
送るから調べてほしい! 頼んだよ!』
そう言うと、通信機に三つの丸が付いた地図が送られてきた。
「一人だけ随分と遠いな....だが二人はここから少しの場所か。南雲、一度二手に分かれよう。
俺とメルトが東の方に向かう。三人は西の方にいる奴を頼む。もしも見つけたら俺の名前と
メルトの名前を出せ。もし攻撃してくるようなら全力で逃げろ。絶対に反撃しようとはするな。
良いな?」
「わかってますよ。水月先生以上の実力を持った人とは戦おうとは思いませんって....」
「ならよし。じゃあ合流したら....ユエの魔法か南雲の武器で場所教えてくれ。俺達が
そっちに向かう」
「わかりました。じゃあ水月先生、バイクの方を。僕達は車の方で」
「あぁ」
そう言って、俺達と南雲は二手に分かれた。
~~~~
「場所的にこの辺りか....」
「えぇ。でも....」
メルトを後ろに乗せ、俺達は丸の付いていた場所に到着した。だが、周辺に誰かがいる
気配はなかった。
「いないわね」
「あぁ。多分移動してるな」
俺はそう言いながらバイクから降り、地面に手を付けた。
「(魔力を調べたいが....何だか調べにくいな)」
俺は魔力を感知しようとしたのだが、何かが阻害しているのか正確に魔力を感知できなかった。
「参ったな....どうやって調べるべきか....」
「誰が来てるのか知らないけど、その辺で暴れてるんじゃないの?」
「暴れてるって....そんな戦闘狂カルデアには....いるな」
俺は否定しようと思ったが、よくよく考えてその言葉を否定した。
「でしょ?」
「はぁ....なら、どっかで盛大に暴れてくれた方が探し....」
「「「うわぁぁぁぁ!?」」」
そんなことを呟いていると、突然近くから叫び声が聞こえてきた。
「....探す手間が省けたな」
「そうね。行きましょ」
~~~~
叫び声が聞こえた方向に向かうと、あちこちに鎧が落ちていた。そして、周辺にはどこか
酒のような匂いが漂っていた。
「この酒の匂い....」
「誰が来たかなんとなくわかったわね」
「あぁ」
俺とメルトはこの惨状を起こした人物が誰なのか見当がついた。すると....
「た、助けてくれぇ!」
突然地面に落ちていた鎧と同じ鎧を纏っていた男が現れ、俺の足に縋り付いてきた。
「た、頼む! 助けてくれ!」
「誰だお前? てか助けてって....」
「ま、魔人族だ! 魔人族が現れて俺の仲間を! このままじゃ俺も....!」
「....あらあら、もうしまいどすか?」
男が俺にそう叫んでいると、俺達の目の前からそんな声が聞こえた。目の前には誰も
いなかったのだが、光の粒子が集まり人の形になって彼女は現れた。
「....やっぱ酒吞ちゃんだったか」
「あら....こんなトコで会うなんて奇遇やなぁ、旦那はん。それにあんたも久しぶりやなぁ
メルトはん」
「そうね、酒吞童子」
俺達の目の前に現れたのはアサシン、酒吞童子の酒吞ちゃんだった。
「相変わらずラブラブやなぁお二人さん。羨ましい限りやわぁ。....それよりも旦那はん、
感動の再会なとこ悪いけど、そこの人うちに渡してくれん?」
「ん? まぁ良いけど....」
俺はそう言って縋り付いてきた男を引きはがし酒吞ちゃんに投げた。
「おおきに」
酒吞ちゃんはそう言うと、持っていた杯の中の酒を零した。零した酒が男に触れると、男は
酒の中に溶けていき酒吞ちゃんは杯の中にある酒を飲んでいた。
「やっぱり味はあんまりやなぁ」
「そうかい。....取り敢えず久しぶり、酒吞ちゃん」
「そうやなぁ。うちも会えて嬉しいわぁ」
そう言いながら、酒吞ちゃんは俺に近づいてきた。
「元気そうで安心したわぁ。心配しとったんやで?」
「それに関してはすいません....それよりも酒吞ちゃん。一緒に来た二人は....」
「あぁ、クー・フーリンはんとロビンフッドはん? 一緒やったけど来る途中にはぐれてしもた」
「アニキとロビンか....」
「(まとも枠で助かった....)」
酒吞ちゃんから残りの二人を聞き、俺は心の中で安堵していた。
「そういや生徒はんは? マシュはん達から聞いとったけど....」
「あいつ等は近くにいるもう一人を見に行ってもらってる。アニキかロビンかはわからんが....」
そう話していると、空中に信号弾の様な物が上がった。
「南雲、合流したみたいだな。一先ずあっちに向かうぞ二人とも」
「えぇ」
「は~い」