人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている 作:アイリエッタ・ゼロス
南雲side
水月先生と分かれ、僕達は三人は車に乗って渓谷を走っていた。
「それらしい人いないね....」
「うん....」
「....! ハジメ止まって!」
すると、突然ユエがそう叫んだ。僕は急ブレーキをかけて車を止めた。
「どうしたのユエ」
「あそこ!」
ユエが指差した方向を見ると、巨大な二体の恐竜が血を吹き出しながら地面に倒れていくのが
見えた。
「恐竜が倒れてる....」
「リツカの仲間ならあれぐらいどうってことなさそう....」
「確かに....行ってみよう」
そう言って恐竜が倒れた方に向かうと、そこには青い全身タイツの様な物を纏い、身長よりも
長い赤い槍を持った男の人と、ウサミミが生えた女の子がいた。ウサミミの女の子は兎人族で、
男の人が水月先生の仲間だと僕は考えた。
「あ、あの~、すいません」
恐る恐る、僕は車から降り男の人に声をかけた。
「あん? 何だ坊主?」
「もしかして、水月先生の仲間の方ですか?」
「....その名前知ってるって事は、お前が例のマスターの生徒か」
「は、はい! 南雲 ハジメと言います!」
「おぉ、礼儀はなってるようだな。良い事だ。オレはランサー。お前等の知る水月 立香の
サーヴァントの一人だ。よろしくな坊主」
ランサーさんはそう言うと僕の肩を叩いてきた。
「それよりも坊主、マスターはどうした?」
「水月先生なら近くにいるもう一人のサーヴァントを探しに行きました。....それよりも、
そっちの兎人族は?」
「何か知らんがこの恐竜に追われてたんでな。助けてくれーって言うから助けてやったんだよ」
「そうなんですね」
そう言いながら、僕は兎人族の女の子を見た。
「大丈夫ですか?」
「は、はい! 助けてくれてありがとうございます! 私は兎人族ハウリアの一人、シアと
いいます! あ、あの! 私の家族も助けてください!」
「家族?」
「....一度、水月先生と合流してから話を聞かせてください」
そう言って、僕は空にドンナーを向け銃弾を放った。
~十分後~
「おーい!」
しばらくすると、シュタイフに乗った水月先生とメルトリリスさんが見えた。そして、もう一人
角の生えたかなり露出の高い着物を纏った女の人がいるのが見えた。
「(何か水月先生の仲間の人、露出癖でもあるのかな....)」
そんな失礼なことを考えていると、三人はシュナイフから降りてこっちに歩いてきた。
「お疲れさん南雲。よく見つけたな」
「目立ってたんですぐにわかりました」
「そうか。....それよりも、久しぶりだなアニキ」
「おうよマスター。たっく、心配させやがってこの野郎!」
そう言いながら、ランサーさんは水月先生の首を腕で絞めていた。
「ギブ! ギブ! アニキ死ぬ!」
「相変わらず仲ええなぁお二人はん。それよりもメルトはん、この子らが例の生徒はん達?」
すると、着物の女の人が僕達の方を見ながらメルトリリスさんにそう聞いた。
「そうよ」
「へぇ、見た目に似合わずかわええなぁ。うちはアサシン。しばらくの間よろしゅうな」
「よ、よろしくお願いします。南雲 ハジメです」
「白崎 香織です」
「ユエ」
「南雲はんに白崎はんにユエはんか。うちの事は酒吞ちゃんって気軽に読んでな」
「酒吞ちゃん?」
アサシンさんの言葉に僕は首を傾げた。
「(酒吞なんてつく偉人いたかな....)」
「アナタねぇ....そう簡単に真名教えるもんじゃないでしょ」
「ええやん。堅苦しいのは苦手やし」
「あっそ....」はぁ
メルトリリスさんはその様子を見て呆れていた。
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立香side
「....それより南雲、この兎人族はどうした?」
アニキから解放された俺は車の近くに座っていた兎人族を見てそう聞いた。
「その兎人族は....」
「そこに倒れてる恐竜に追われてたから俺が助けてやったんだよ。あと、家族も助けて
欲しいんだとよ」
「....一先ず、話を聞かせてもらう」
そう言って、俺は兎人族の少女から話を聞いた。兎人族の少女はシア・ハウリアといい、
ハウリアの長の娘らしい。彼女は普通の兎人族と違い、濃紺の髪ではなく青みがかった
白髪だった。さらに亜人族には無いはずの魔力まで有しており、直接魔力を操る事と、
ある固有魔法まで使えた。これは亜人族としては本来ありえないことであり、普通であれば
迫害されるはずだった。だが、偶然にも生まれたのは亜人族の中で最も情の深い一族であった
ため、彼女を見捨てることなく他の亜人族に隠して育てていた。だが、その存在が数日前に
他の亜人族にバレてしまい、一族全員で樹海から逃げ出した。そして北の山脈地帯を目指そうと
したのだが、偶然にも帝国兵がこの周辺におりその兵たちから逃げるために峡谷に身を
隠していた。だが、そろそろ限界が来たため帝国に投降しようとしたら魔物に追われたところを
アニキに救われたらしい。
「帝国兵って....鎧着てる奴等か?」
「そうです! お願いします! 家族も60人いたのにもう40人ほどに減ってしまって....
私達を助けてください!」
そう言って、シア・ハウリアは土下座をしてきた。
「....どうする?」
俺は後ろにいたみんなに聞いた。
「私は反対。メリット無いじゃない」
「そうやなぁ....まぁうちは旦那はんの指示次第やなぁ」
「オレもマスター次第だ」
サーヴァントの三人はどちらかというと反対派だった。
「私は助けてあげたいと思うんですが....」
「僕もどちらかといえば....」
「私は良いと思う」
だが、残りの三人は賛成派だった。
「ふむ....」
俺は六人の意見を聞き少し考えた。そして、俺はある結論を出した。
「まぁ、助けるのは良い。ただし、こちらが出す条件を飲めるならな」
「じょ、条件ですか? な、何でしょうか?」
「樹海にある迷宮まで俺達を案内する。それが条件だ」
樹海は亜人族以外では必ず迷うとされているらしい。サーヴァントのいる俺はもしかしたら
関係ないかもしれないが、念には念のためこの結論を出した。
「わ、わかりました! それでお願いします!」
「なら、契約成立だ。南雲、白崎とユエ連れてその兎人族の家族を車で運んで来い」
「わかりました。じゃあシアさん、この車に乗って家族のもとまで案内してください」
「は、はい! お願いします!」
そう言って、四人は車で走り去っていった。
「....甘いわね」
「そうか?」
四人の姿が見えなくなると、メルトがそう言ってきた。
「えぇ」
「そうやなぁ。ま、旦那はんらしいわ」
「だな」
「俺を何だと思ってるんだよ....」
「「「そりゃぁ(そら)....」」」
「私の事が大好きで、私の事になると暴走するお馬鹿さん」
「メルトはんの事になると途端に人が変わって、基本的にはメルトはん以外には興味を
示さないお人」
「避けられる面倒ごとは出来るだけ避ける人間」
「....さいですか」
「(俺そんなメルトの事になると人が変わるか....?)」
そんなことを考えながら、俺達は南雲が戻ってくるのを待っていた。