人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている 作:アイリエッタ・ゼロス
「さて、じゃあ樹海に向かうか。頼んだぞハウリア族」
十日経ち、俺達は大樹のもとに向かうことになった。
「はっ! それよりも水月殿、一つ報告が」
「報告? 何だ?」
「大樹への道中、完全武装した熊人族の集団を発見しました」
「....懲りねぇな向こうも。まぁとっとと無力化するか」
「それでしたら、我等に任せてもらえませぬか?」
「出来んのか?」
「はっ!」
「じゃあ任せるぞ」
そう言って、俺達は大樹のもとに向かって歩き始めた。
~~~~
「ちくしょう! 何なんだよ! 誰だよお前等!」
「こんなの兎人族じゃないだろっ!」
「うわぁぁ! 来るな! 来るなぁぁぁ!」
「おぉおぉ、随分変わったな」
ハウリア族の戦いを見ながら俺はのんきにそう呟いた。
「南雲、お前どんなこと教えた?」
「....さぁ」
南雲にそう聞くと、南雲は目を逸らしながらそう呟いた。
「諦めて撤退しろ。これ以上は無益な争いだ」
カムはそう言うと、武器を下ろした。
「っ! ....殺さないのか」
「守りたい者のために戦うべき....力は大切なものを守るために使うべき。ボスからの教えだ」
「そうか....全員撤収だ!」
「待て。ボスから一つ伝言だ。....貸し一つ、長老衆に伝えておけ」
「っ....承知した」
そう言うと、亜人達はケガをした仲間を背負ってこの場から去っていった。
「ボス! 終わりました! いかがだったでしょうか!」
「よ、よくできていたと思いますよ。お疲れ様です」
「「「ありがとうございます! ボス!」」」
「あ、あはは....」
「「「(何やったんだか....)」」」
俺とサーヴァント達はこの様子を見てそう考えていた。
~~~~
「こいつが大樹....」
「でも枯れてる....」
あれからしばらく進み、俺達は大樹のもとに着いた。だが、大樹は葉一つ無い枯れ木だった。
「ここで合ってるんですか?」
「えぇ。大樹はフェアベルゲン建国前から枯れているそうです。しかし朽ちることはない。
枯れたまま変化なく、ずっとあるそうです。周囲の霧の性質と大樹の枯れながらも朽ちないと
いう点からいつしか神聖視されるようになりまして。まぁ、それだけなので言ってみれば
観光名所みたいなものですが....」
白崎の疑問にカムはそう答えた。
「ふーん....って、あれは....」
俺が説明を聞きながら大樹を見ていると、大樹の近くにオルクスにあったのと同じ模様の
描かれた石板を見つけた。
「入口はここだが、どうやって入るか....」
俺が石板を調べると、石板の裏側に何かの窪みがあった。
「この大きさ....南雲! オスカーの指輪貸してくれ」
「わかりました!」
俺は南雲から指輪を預かり、窪みに指輪を嵌めた。すると、突然石板は光り始めた。
しばらく石板は光り続けると、光が収まっていき石板に文字が現れた。
「四つの証....」
「再生の力....?」
「紡がれた絆の道標....」
「全てを有する者に新たな試練の道は開かれるだろう、ね....」
石板を見ているユエ、白崎、南雲、俺は順番にそう呟いた。
「これ、どういう意味ですかね....?」
「証は他の迷宮で指輪と同じ様な物を手に入れろ、再生の力は神代魔法の事だろうな。
絆の道標は....」
「亜人達からの案内を得られるか、ですかね」
「かもな。はぁ....骨折り損のくたびれ儲けだな」
そう言いながら、俺は石板から指輪を外して南雲に返した。
「出直しだ。他の迷宮を先に攻略するぞ」
「そうですね。....そういうわけなので、僕達は先に他の大迷宮の攻略を目指すことにします。
皆さんとはここまでです」
南雲はそう言って、ハウリア族に話し始めた。それを横目で見ながら、俺はメルト達のもとに
戻った。
「まさか条件付きとはな。めんどくせぇ....」
「まぁこれまでのレイシフトでもこういう事はあっただろ?」
「そりゃそうだけどよ....」
そうアニキと話していると、アニキ達三人の身体が光り出した。
「って、こいつは....」
「うちらはここまでみたいやなぁ」
「ですね。思ったよりも短かったような....」
「ま、しゃあねぇか。....そういうわけだ。オレ達は帰還する」
「あぁ。ありがとな三人とも」
「気にすんな。....しっかりやれよマスター」
「ま、命大事に頑張ってくださいよマスター」
「ほな、カルデアでね旦那はん」
三人はそう言って、光の粒子になって消えた。
「やっと帰ったわね....」
「何でそんな疲れてんだよ....」
「酒吞童子のせいよ! アナタもねぇ! もうちょっと他の子達にちゃんと言いなさいよ!」
メルトは急に怒り、俺に脚を振り下ろしてきた。
「ちょ!? あぶねぇって!」
「何をしてるんですか先生....」
その様子を、白崎とユエは呆れたような目で見ていた。
~~~~
「さて、じゃあそろそろ行くかと言いたいとこだが....何でシアがここにいる」
メルトとのじゃれあいが終わり、俺達は樹海の外にいた。そして、何故だがシアもこの場に
いた。
「私も一緒に旅をするからです! ハジメさんからの課題をクリアしたので!」
「....お前等?」
俺は南雲達三人を見た。三人は俺の視線に気づいたのか一斉に目を逸らした。
「どういうことだ? 俺は何も聞いてないぞ?」
「そ、それはその....」
「言うのを忘れたといいますか....」
「私達だけで話したというか....」
「....」
「すいませんでした!」
「「ごめんなさい!」」
俺の圧に屈したのか、三人はその場で土下座した。
「はぁ....もういい。で、課題っていうのは?」
「香織とユエに模擬戦で一撃当てることです....」
「そうか....」
「(最低限戦えはするのか....)」
俺はシアを見てそう思った。
「わかった。お前等で面倒見るなら好きにしろ。メルトもそれで良いか?」
「....立香がそう言うのなら」
メルトはすごくめんどくさそうな顔をしながらそう言った。
「....ま、迷惑かけないなら好きにしろ」
「ありがとうございます!」
「さて、じゃあ行くとするか。まずは物資の調達のためにブルックっていう町に行くぞ。
道中、迷宮の入り口が無いか確認しておけよ」
そう言って、俺はメルトを後ろに乗せバイクに走らせた。