人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている 作:アイリエッタ・ゼロス
「センパイ! メルトったら会った瞬間、わたしに蹴り入れてきて地面に埋めたんですよ!
いくら何でもひどいと思いませんか!」
次の日の朝、宿から出て町の外に出るとこの世界に勝手にやって来ていたポンコツAIことBBが
そう言ってきた。
「メルトリリスさんと....」
「似た顔....」
「....姉妹?」
「....こんなのと姉妹なんて死んでもごめんよ。それより立香、令呪使ってコイツ説教しなさい」
「そうだな....って言いたいとこだが、俺は説教できる立場じゃないからなぁ。まぁ、メルトの
お仕置き食らったみたいだし俺は見逃しとくよ」
「センパイ....!」
「甘いわよ立香! コイツ調子乗らせるとロクなことにならないわよ!」
「やらかしたら最悪令呪使って止めるって。それにここには師匠もいるし、どうにかなるって」
俺はそう言いながら師匠を見た。
「ふむ。まぁ、問題起こさなければ私は何もせんよ」
「な? だからメルト、今のところは放置って事で」
「....はぁ。わかったわよ、好きにしなさい」
「そういうわけだBB。一先ず俺の指示に従ってもらうぞ」
「仕方ないですねぇ! センパイのお願いとあっちゃわたしも従わざるを得ません」
「そうか。じゃあ取り敢えず、こいつ等に自己紹介してくれ」
「わっかりました! 月の蝶、ムーンキャンサーことBBちゃんです! 少しの間よろしくです、
ちっぽけな人間さんとそのお仲間達」
BBは四人に向かってそう言った。
「何かBBに聞きたいことあるなら進みながら聞いてくれ。一先ずライセンの大迷宮探しに
行くぞ」
そう言って、俺はライセン大峡谷の方に向かって歩き始めた。
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「メルトリリスさんのお母さんなんですか!?」
「そうです! あの子を作ったのはわたしです!」
「アンタを親と思った事なんて一度もないわよこのポンコツAI」
「誰がポンコツAIですか!」
「アンタよアンタ! 好き勝手に動いたと思ったら余計な仕事増やして....カルデアのやらかし
ランキングトップクラスのポンコツ!」
「それを言うならあなたも大概でしょうか! センパイの事になったら大暴れして....カルデアの
破壊神!」
「誰が破壊神よ!」
「....止めなくていいんですか?」
「良いよ。あの二人揃うといつもあんな感じだし。あれが二人にとって平常運転だから」
心配そうに聞いてきたシアに俺はそう言って二人を放置した。そうして言い争いを聞きながら
進み続けると、俺達はライセン大峡谷に着いた。
「二人とも喧嘩はそこまで。こっからは真面目に迷宮を探すぞ」
俺はそう言いながらメルトとBBの間に立って二人の言い争いを止めた。
「....さて、こっから迷宮を探すわけだが五つのチームに分かれるとするか」
「確かに、この広さなら分かれた方が効率は良いね」
「でも、どうチームを分けるんすかマスター?」
「一応ここに来る途中に考えてたんだが....俺とメルト、南雲とライダー、シアと師匠、
ユエとランサー、白崎とBBだ」
「ふむ....まぁ即席のチーム分けとしては悪くはないな」
「お前等もこれで良いか?」
俺は四人にそう聞いた。
「僕は大丈夫です」
「私も」
「私もそれで大丈夫です」
「私もです!」
「そうか。なら悪いが四人とも、こいつらを頼めるか?」
「マスターがそう言うんだったら」
「私も良いだろう」
「仕方ないですねぇ....」
「任せてマスター」
「じゃあ迷宮の入り口を見つけたら俺に連絡くれ」
四人の了承を貰い、俺達五つのチームに分かれて迷宮を探し始めた。
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南雲side
「へぇ、アンタ銃を使うんすね」
迷宮を探しながら魔物を倒しているとライダーさんはそう言った。
「はい。近接も少しは出来るんですけど水月先生に比べたら雲泥の差があって....」
「あぁ....まぁマスターは鍛え方が違うし、何より数々の死線を超えてきましたからねぇ。
ハッキリ言って、英霊になってもおかしくないっすね」
「英霊に、ですか?」
「えぇ。俺みたいな三流英霊なんかよりも、よっぽど英霊にふさわしいっすね」
ライダーさんはどこか自虐しながらそう言った。
「でも、ライダーさんもサーヴァントなんですよね? ならきっと、誰かにとって英雄
だったんじゃ無いんですか?」
「....マスターと似たようなこと言いますねアンタも」
僕の言葉に、ライダーさんは驚いたような表情に変わった。
「誰かにとっての英雄、ねぇ....なら、少しは英雄らしいところを見せるとしますか」
そう言いながら、ライダーさんは木刀の様な物を構えた。
「アンタ、名前は?」
「南雲 ハジメです」
「....良い名前っすね。なら行くとしますか、南雲」
「はい! ライダーさん」
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ユエside
「....ねぇ、聞いても良い?」
「何でしょう?」
「ランサーって、人間じゃないの?」
迷宮の入り口を歩きながら探している時、私はランサーにそう聞いた。するとランサーは足を
止めた。
「....気づいていたんですか」
「うん。私も吸血鬼だから人と人じゃないのとでは気配でなんとなくわかる」
「そうですか。それで、どうしてそんなことを聞いたんですか?」
「....ランサーは、人間と人外の恋愛をどう思う?」
「はい?」
ランサーは私の言葉を聞くと不思議そうな顔をした。
「私はハジメの事が好き。ハジメの側室だけど時折考えることがある。私はこのままハジメと
一緒にいて良いのかって。人と人外じゃ寿命が違う。私はハジメの死を見届けないといけない。
そう考えると、一緒にいると怖くなる....」
「大切な人の死を見ることがですか....その気持ちは、分からなくはないです。人と人外では
どうしても寿命が違いますからね。....でも、私はそれでも良いと思うんです」
「えっ?」
そう言われ、私はランサーの目を見た。
「大切なのは一緒にいる時間じゃない、一緒に作る思い出だと私は思います」
「思い出....」
「人の寿命は短い。だからこそ、その短い一生を精一杯生きる人間は美しい。そんな人間と
作る思い出は、きっと何よりの宝物になる。それこそ、永遠に忘れないような思い出に」
「そっか....そういう考え方もあるんだ」
「あくまでこれは私の考え方です。....お役に立ちましたか?」
「うん。ありがとうランサー」
「いえ。では、そろそろ行きましょうか」
ランサーの言葉で、私達は再び迷宮の入り口探しを始めた。
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シアside
「ほえぇぇ....」
迷宮の入り口探しをしながら、私はスカサハさんの戦いを見てそんな言葉が漏れた。
「ん? どうしたというのだシアよ」
「その、凄い戦い方だと思って....」
「戦い方? 別に凄くはなかろう。これぐらい普通だ」
「いやいや! あれが普通とは言わないですよ!」
「そんな事は無い。誰でも鍛えればこれぐらいはできる。現に私の弟子はこれぐらいの
戦いをするぞ」
「(どんな化け物集団ですか!?)」
スカサハさんの言葉を聞き、私は口には出さなかったが思わずそう思った。
「まぁ、お主もスペック的には人間以上だ。少し戦い方を学べばこれぐらいは出来るだろう」
「本当ですか!」
「あぁ。丁度いい、入り口を探すついでに少し稽古をつけてやろう」
「良いんですか! ありがとうございます!」
「気にするな。勇気がある者を私は好むのでな」
スカサハさんがそう言った時、何故か私の"未来視"が発動した。そして見えた未来では何故か
私はボロボロの姿で地面に倒れていた。その私の前には槍を構えたスカサハさんがいた。
「(ちょっと待って....私、とんでもない人に目をつけられたんじゃ....)」
「よし、では始めるとしようか」
そう考えた数分後、私は真の意味での絶望と恐怖を味わう事になるのであった。
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白崎side
「....あの、BBさんってメルトリリスさんと仲良くないんですか?」
入り口探しをしながら、私はBBさんにそう聞いた。
「メルトとですか? まぁ悪いと言われれば悪いですね。あの子、わたしのこと嫌いですもの」
BBさんはおちゃらけた様にそう言った
「まぁでも、あれでもわたしが作った子ですからねぇ....それなりに愛着はありますよ」
「そうなんですか....」
「えぇ」
そう言いながら、BBさんは指揮棒の様な物を振るった。すると、指揮棒を振った場所から
ビームの様な物が出て魔物の身体を貫いた。
「あ、一応言っておきますけどわたしの前に出ないでくださいね。うっかり間違って攻撃が
当たるかもしれないので。それにわたし、人間が嫌いなので」
「わ、わかりました....」
「(思ったよりもヤバい人かもしれない....)」
私はさっきまでの考えを訂正してBBさんの前に出ないように動き始めた。