人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている 作:アイリエッタ・ゼロス
立香side
扉を抜けしばらく進むと、俺達は白い部屋に着いた。その部屋に物はなく、魔法陣が
一つあるだけだった。
「あの魔法陣は....」
「オルクス大迷宮で見たのと同じ....」
南雲と白崎がそう呟いていると、突然メリュちゃんが柱に向かって剣を投げた。柱は粉々に
砕け散ると、破城の背後に何かがいた。
「ひぃぃぃぃ!?」
「敵....潰す」
柱の背後にいたのはローブを纏ったてるてる坊主みたいな何かだった。そのてるてる坊主は
悲鳴を上げ、メリュちゃんの前で土下座した。
「ゆ、許してください! 私の負けですから命だけはぁぁぁぁ!」
「....マスター」
「....ランサー、武器下げて」
「マスターがそう言うなら....」
俺がそう言うとメリュちゃんは武器を下げてこっちに歩いてきた。
「....さて、アンタ何者だ? あのゴーレムと声が一緒だったが....」
「ミ、ミレディ・ライセンと申します! この迷宮を造った解放者です!」
「ミレディ・ライセンって....」
「人間だったよね....?」
「そ、そうだよ。元々人間だったけどゴーレムに魂を定着して生きてるんだよ」
「てことはここの神代魔法は魂に干渉する魔法か?」
「う、ううん。ここの神代魔法は重力魔法だよ。と、取り敢えずそこの魔法陣に乗って」
ミレディにそう言われ、俺と南雲達四人は魔法陣に乗った。そして魔法陣が光り、俺は自分の
ステータスを見た。だが、オルクスと同じでステータスに変化はなかった。
「金髪の子と白髪の子は適正あるかなぁ。君とウサミミちゃんは適正なし。で、問題は
あなたなんだけど....」
「いや、何も言うな。オルクスでも俺だけ神代魔法は手に入らなかったからな」
「オルクスでもって....オー君の迷宮攻略してるの!?」
俺の言葉にミレディは驚いた様子だった。
「あぁ。ここに来る前にな」
「き、君達いくつ迷宮攻略を....」
「オルクスだけだぞ」
「....この化け物集団め。オー君の迷宮は最後に攻略してもらうんだけど....」
「そうなんですか?」
「そうだよ! 手に入れた神代魔法を活用して攻略するっていうのがオー君の迷宮のコンセプト
なんだよ! なのに君達ときたら....私の迷宮も魔法が使えない状況下で、あらゆる攻撃への
対応力を磨くことなのに無視して攻略してきて....」
「それは....何か悪かったな....」
明らかにへこんだ様子を見て、俺はミレディに謝った。
「もういいよ。....それよりも、一つだけ聞かせてくれない?」
「何だ?」
「君達は、どうしてこの迷宮へ?」
「こいつ等は自分たちがいた世界に帰るため。俺はまぁ....この世界のくそったれの神を
殺すための情報収集とこいつ等の監督役だ」
「神を殺すか....随分簡単そうに言ってるように聞こえたけど、もしかして神でも殺した
経験があるの?」
「....まぁな。神よりも大きなものを殺したこともある」
「....嘘はついてないみたいだね。まったく、初めての攻略者が化け物集団とは....でも、
君達なら本当に神を殺せるかもしれないね」
そう言いながら、ミレディは俺に攻略の証である指輪を渡してきた。
「それとこれも持って行って良いよ」
ミレディは大量の鉱石を出現させて床に置いた。
「ありがとうございます!」
「いいよいいよ。迷宮攻略した報酬だし」
「....オルクスより少ない」
「ユエちゃん! そういう事言わない!」
「....あぁそうだミレディ、残りの五つの迷宮ってどこにある? 外の本にはほとんど情報が
無くてな」
「残りの迷宮? オー君の迷宮以外だったら....」
ミレディはそう言って残りの迷宮の場所を離した。
「そうか。ありがとな」
「どういたしまして。....さて、じゃあさっさと帰った帰った。君達が破壊した迷宮の修繕を
やらないといけないからね」
「言われなくても帰るっての。ここに乗ればいいのか?」
「うん。それじゃ、君達がどんな道に進むのか見させてもらうよ」
そう言われると、俺達は光に包み込まれた。
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ミレディside
「ふぅ....何とか死なずに済んだ」
彼らが消えたのを見て、私は一つ息を吐いた。
「それにしても彼、一体何者なんだろうねぇ....」
私がそう呟いた時に頭の中に思い浮かんだのはリーダー格の男だった。
「(見た目は人間、戦闘能力は人間を超えていたけどそんなのは別に問題ない。問題なのは....)」
「魂、か....」
どんな生物においても、魂というのは必ず存在している。人間にも、亜人にも、魔物にも。
彼らの中にも人間、亜人、人間なのか怪しい連中もいたが彼だけは少し違った。
「(人間に見えたけど、ただの人間ではなかった....魂の半分ぐらいが何かで縛られていたけど
あの縛りは一体....)」
彼の縛りの先は見ることはできなかったが、少なくとも触れたら危険だという事は分かった。
何故なら、その縛りから漏れていたのはあのクソ神を超えるほどの悪意だった。
「あんな人間があれほどの悪意を持つって....どんな人生送って来たんだが....」