人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている 作:アイリエッタ・ゼロス
次の日、俺達は全員でギルドに来ていた。
「おや、今日はみんな一緒かい?」
「あぁ。今日にでも町を出ようと思ってな。そのついでって訳じゃないが何か依頼が
あるなら小遣い稼ぎついでに受けておこうと思ってな」
「そうかい、行っちまうのかい。そりゃ寂しくなるねぇ。あんた達が戻ってから町は賑やかで
良かったんだけどねぇ」
「賑やかねぇ....こいつ等に求婚するアホが多いって聞いたけどなぁ....やな活気だよ」
「(まぁウチと比べればまだマシな方か....)」
俺はカルデアでのあんな事やこんな事を思い出しながらそう呟いた。
「まぁ、活気があったのも事実さね。それで、何処に行くんだい?」
「フューレンだ。グリューエン大火山に向かう途中に少し立ち寄ろうと思ってな」
「そうかい。....なら、丁度商隊の護衛依頼があるけど。受けて行くかい?」
「護衛か....少し時間がかかるな。どうするお前等?」
「僕達は構いませんが....」
「ま、たまにはのんびり進むのも良いんじゃない?」
「....じゃ、受けるとするか」
メルトが了承したので、俺は依頼を受けることにした。
「そうかい。なら、すぐに正面門に向かいな。後30分ほどで出発時間だからね」
「そうか。じゃあ行くとするか。色々と世話になった」
そう言って立ち去ろうとすると、俺は受付に呼び止められた。
「ちょいと待ちな。これ、持って行きな」
そう言って渡されたのは一枚の手紙だった。
「....これは?」
「手紙だよ。アンタ等色々と面倒を抱えてそうだからね。他の町で揉めた時はそれを
その町のお偉いさんに見せな。少しは役に立つはずだよ」
「へぇ....アンタ、一体何者だ?」
「おっと、詮索は無しだよ。イイ女は秘密の一つや二つを持ってるものだからね」
「....それは確かに。ま、ありがたく貰って行く。ありがとな」
「良いって事さ。じゃ、またいつでもこの町に来な。気長に待ってるよ」
「お世話になったわマダム」
「ありがとう」
「「「ありがとうございました」」」
俺達は礼を言って、ギルドを出て正面門に向かった。
~~~~
正面門に向かうと、既に他の冒険者と護衛対象の馬車があった。
「アンタが商隊のリーダーか?」
「あぁ。私の名はモットー・ユンケル。この商隊のリーダーをしている」
「そうか。一応依頼書だ」
俺はそう言って依頼書をモットーに渡した。
「....ふむ、確かに。キャサリンさんからは大変優秀な冒険者と聞いている。護衛の方
よろしく頼むよ」
「あぁ。仕事はちゃんとやるさ」
「それは頼もしい。....それよりも、そちらの兎人族....売るつもりは無いかね?」
「シアをか? 悪いがコイツの主人は俺じゃなくてそっち。頼むんだったらそっちに言え」
そう言いながら、俺は南雲を指差して南雲に丸投げした。
「そうですか....」
そう言うと、モットーは南雲に話しかけに行った。
「アイツも苦労するな....」
俺はのんきにそんなことを思いながらその様子を眺めていた。
~~~~
なんやかんやで俺達はフューレンまで後三日ぐらいの居場所にいた。
「はぁ、シアと白崎のおかげで随分楽できるな....」
「そうね」
俺はメルトを膝に乗せながらそう呟いた。この護衛の途中、野営をすることになるのだが
その食事は全てシアと白崎が作ってくれていた。俺も手伝おうかと言ったのだが、二人に
「「休んでください」」と言われたため俺は何もせず随分楽にさせてもらっていた。
「ま、戦闘になったら私達の仕事になるんだし」
「....それもそうか」
~その二日後~
「敵襲です! 数は百以上! 森の中から来ます!」
街道を歩いていると、シアの叫び声が聞こえた。
「百以上だと!? 最近襲われた話を聞かなかったのは勢力を溜め込んでいたからか....ったく、
街道の異変くらい調査しとけよ!」
「メルト、仕事だな」
「そうね。アナタ達は馬車を守っていなさい。立香、アナタもね。私が排除するわ」
そう言って、メルトは魔物が来る方向に歩き出した。
「お、おい! いくらなんでも一人で百体は....!」
「あぁ、いいよいいよ。メルトにやらせてやってくれ。少し暴れたいみたいだから」
俺は止めようとした冒険者にそう言ってメルトを見ていた。するとメルトの身体は光り出し、
アルターエゴの姿に変わった。だが、ただのアルターエゴの姿ではなく第2再臨の姿だった。
「あれは....」
「(いつの間に第2再臨に....)」
そんな事を考えているとメルトの姿は消え、魔物がいると思われる場所から魔物が空中に
吹っ飛んだ。そして、みるみるうちに魔物の気配は消えメルトはこっちに戻ってきた。
「はぁ、こんなのじゃ運動にもならないわ....」
「まぁそりゃなぁ....」
「ちょいちょいちょい!? 魔物の反応消えたんだが!? マジで一人で倒したのか!?」
「てかその姿は!? ちょっと刺激的すぎません!?」
戻ってきたメルトを見て、他の冒険者達は大騒ぎになった。その騒ぎを、商隊の護衛の
リーダーは落ち着かせようとしていた。
「そういやメルト、いつの間に再臨を....」
「あぁ....BBがこっそり保存していたキューブのデータを入れたからよ。あのポンコツ、私の
再臨のデータを保存してたみたいだから」
「相変わらずチートだな....」
そんな事を話していると、メルトはランサーに姿を戻した。
「モットー、魔物が来る前にさっさとここを抜けるぞ」
「そうですね....みなさん! 急ぎましょう!」
俺はモットーにそう言って、急いでこの街道から抜けた。
~次の日~
「ここがフューレンか」
「随分大きな街ね」
街に着き、俺とメルトはそう呟いた。流石は大都市なだけあって、入口の時点でかなり
賑わっており人も多かった。
「ギルドで依頼の報告して宿を探すか。南雲! そろそろ行くぞ!」
「はい! じゃあ、そういう事なので」
「....わかりました。ご入り用の際は、我が商会を是非ご贔屓に」
俺が呼ぶと、南雲はモットーに何かを言ってこっちに走ってきた。
「何の話してたんだ?」
「あぁー....まぁちょっと商売話を....」
「....そうか」
そう言って、俺達はギルドの方に向かって歩き出した。
~~~~
「一先ず宿をお取りになりたいのでしたら観光区へ行くことをオススメしますわ。中央区にも
宿はありますが、やはり中央区で働く方々の仮眠場所という傾向が強いので。サービスは
観光区のそれとは比べ物になりませんから」
「ほぉほぉ....どこかおススメとかは?」
「お客様のご要望次第ですわ」
ギルドに着き依頼の報告を終えた俺は、案内人と呼ばれる女性の話を聞いていた。この街の
ガイドブックを貰おうとしたのだが、ガイドブックよりも案内人の説明の方が分かりやすいと
言われたため案内人の女性からこの街の情報を聞いていた。
「お前等なんかあるか?」
「お風呂がある所が良い。混浴か貸切が必須」
「美味しいご飯がある所が良いですね!」
「大きなベッドがある所が良いです。四人で寝れるぐらいの」
「僕はみんなの意見が通る所ならどこでも....」
「それなりにサービスがしっかりしているところね」
「....だそうなんだが、いけるか?」
「しょ、承知しましたわ。お任せ下さい」
そう言って女性が宿を探し始めると、何かが近づいてくる気配がした。俺が気配の方を見ると、
いつかのおっきーが書いていた同人誌の主人公の踏み台になっていた人間と似たような人間が
いた。
「(めんどくせぇ~....南雲に丸投げするか....)」
そう思っていたのだが....
「お、おい、ガキ共。ひゃ、百万ルタやる。その兎を、わ、渡せ。それとそっちの女共はわ、
私の妾にしてやる。い、一緒に来....」
「あ゛?」