人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている   作:アイリエッタ・ゼロス

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ウルでの面倒な再会

「ふむ....悪くない味ですね」

「なかなかいける。異世界捨てたものじゃない」

「立香、次それ」

「はいよ」

「後輩、酒」

「自分で淹れてくれよ....」

「このカレー美味しいねハジメくん」

「そうだね。材料揃えば作れそうかも」

 席に座り、俺達はそれぞれ食事を取っていた。

 

「って、何普通に食事を取っているんですか! 南雲君! 水月先生! 大体こちらの女性達は

 どちら様ですか?」

「この人達は....」

「ユエ。ハジメの側室」

「シアです! 同じくハジメさんの側室です!」

「この子の母」

「妻」

「嘘つくんじゃないわよ。私が立香の嫁よ」

「名乗る必要ある?」

 畑山の言葉に各々そう答えた。すると、畑山の身体を震え出した。

 

「ふ、二股なんて....! 直ぐに帰ってこなかったのは遊び歩いていたからなんですか! 

 もしそうなら....許しません! ええ、先生は絶対許しませんよ! お説教です! 

 そこに直りなさい南雲君!」

「ちょっと待ってください先生。二人が側室なのは正妻の私が認めてるんです」

 畑山の言葉に白崎はそう言い返した。

 

「....今、何て言いました?」

「だから、二人と付き合ってるのは私が認めているんです」

「その前です!」

「....私が正妻って事ですか?」

 白崎がそう言うと、近くの席に座っていたガキどもが騒ぎ始めた。

 

「白崎が南雲の正妻!?」

「嘘だ....嘘だそんな事ぉぉぉ!?」

「我らの女神がぁぁぁ!?」

「すご....あれがリアルハーレム....」

「私、初めて見たよ....」

「い、一体いつから....」

「付き合い始めたのは奈落に落ちてからだよ。ね?」

「そうだね」

「す、水月先生止めなかったんですか!?」

 すると、畑山が俺にそう聞いてきた。

 

「何でガキどもの恋止めなきゃいけねぇんだよ....正妻が側室認めてるなら別に良いだろ。

 それに、シアが側室なのは俺も初めて知った」

「えへへへ....」

「後輩、酒」

「だから自分で淹れろってパイセン....」

 俺はそう言いながらも先輩の杯に酒を注いだ。

 

「い、色々と納得いかないところはありますけど....南雲君の方は分かりました。問題は

 水月先生の方です! 母に妻って....」

「母は母だ。こっちの妻発言はスルーしとけ。で、俺の膝に座ってるこの女は俺が世界で

 一番愛している女だ。で、こっちの眼鏡の人は俺のパイセン」

「余計なこと言うんじゃないわよ」

 そう言って俺はパイセンに頭をはたかれた。

 

「いてぇっすパイセン」

「おまえが余計なこと言うからよ」

 パイセンはそう言いながら外の景色を見ていた。

 

「....で、聞きたいことはそんだけか? 終わったらもう向こうに行ってくれ」

「ま、まだ終わってませんよ! 橋から落ちた後どうしたんですか!」

「こいつら守りながら出口を探した」

「どうして二人の髪はあんな色に!」

「ストレスと栄養失調」

「どうしてすぐにみんなのもとに戻らなかったんですか!」

「戻る必要がないから」

「っ! 貴様! 愛子が質問しているのだぞ! 真面目に答えろ!」

「後輩、酒」

「いやあのパイセン....ちょっとは空気読んでくれ」

 俺の態度が気に障ったのか、神殿騎士の男はテーブルを叩きつけながらそう叫んできた。

 

「おい! 聞いているのか!」

「うるせぇな....飯中ぐらい大人しくしてろや。行儀なってねぇのか」

「はっ! 行儀だと? その言葉、そっくりそのまま返してやる。薄汚い獣風情を人間と同じ

 テーブルに着かせるなど、お前の方が礼儀がなってないな」

「(今、こいつなんて言った....?)」

「デビッドさん! 何てことを!?」

「愛子も教わっただろう。魔法は神より授かりし力、それを使えない亜人どもは神から

 見放された下等種族だ」

「私達と殆ど同じ姿じゃないですか....!」

「丁度いい。その醜い耳と角を切り落としてやろう 少しは人間らしくなるだろう。それに

 その女の脚は何だ? 義足を付けた足手まといを連れているなどバカの極みだな」

「(あぁなるほど....どうやらコイツは殺されたいらしい....)」

「メルト、少し膝から下ろすな」

 俺はそう言ってメルトを膝から下ろし神殿騎士の前に立った。

 

「何だ、その眼は! 無礼だぞ! 戦争に参加しない足手まといの分際で神殿騎士に逆ら....」

「もう黙れ」

 俺は剣を抜こうとした神殿騎士にそう言って、神殿騎士の顔面を殴った。神殿騎士は床に

 顔面がめり込み、俺はその神殿騎士の脚を掴み窓の外に向かって放り投げた。そして

 俺が窓の方に歩き出そうとしたら、突然俺の足に鎖が絡まって歩くのを封じてきた。

 

「....何の真似だ、白崎。ユエ」

 俺はこの鎖を出したのが二人だと分かりそう聞いた。

 

「先生....流石にそれぐらいにしておいてください」

「リツカ、あの男を殺す気でしょ....」

「よくわかったな。なら、さっさとこれ外せ」

「ダメ。外したら殺すから」

「二人の言う通りです。水月先生、これ以上はもっと厄介なことになりかねません。

 だから、今はどうか抑えてください」

 そう言って、南雲は俺に銃を向けてきた。そして俺の顔面の真横に向かって一発、威嚇射撃を

 してきた。

 

「....やる気か?」

「....最悪の場合は、力尽くで止めます」

 そう言って三人は構えたが、明らかに震えているのが目に見えた。その様子を見て、俺は

 両手を上げた。

 

「....わかったよ。お前等に免じて、今日はこれぐらいにしておいてやる」

 俺がそう言うと、三人は力が抜けたのか椅子に座り込んだ。それと同時に、俺の足に絡まった

 鎖は消滅した。

 

「運がよかったなお前等。....だが、次はない。同じようなこと言うもんなら、今度こそ

 殺す。良いな?」

 そう言って神殿騎士達を睨むと、残っていた連中は首を縦に振った。

 

「....おまえも甘いわね」

 席に座ると、パイセンは俺にそう言ってきた。

 

「あれで殺したら恥かくのは俺だ。....そういうわけだ。バーサーカー、メルト。あの男は

 殺すなよ」

 そう言って、俺は杯に淹れていた酒を飲んだ。

 

「....我が夫が言うのなら」

「....はいはい」

 二人は明らかに不満気な様子でそう言った。すると、神殿騎士の一人が俺達のテーブルに

 近づいてきた。

 

「水月殿でいいでしょうか? 先程は隊長が失礼しました。何分我々は愛子さんの護衛を

 務めておりますから、愛子さんに関することになると少々神経が過敏になってしまうのです。

 どうか、お許し願いたい」

「あっそ」

 俺は大して興味がなかったためメルトの髪をいじりながらそう言った。

 

「っ....その、南雲君のアーティファクトでしょうか? 寡聞にして存じないのですが、

 相当強力な物とお見受けします。弓より早く強力にもかかわらず、魔法のように詠唱も陣も

 必要ない。一体、何処で手に入れたのでしょう?」

「そ、そうだよ、南雲! それ銃だろ!? 何で、そんなもん持ってんだよ!」

 すると、ガキどもの一人がそう叫んだ。

 

「いらんことを....」

「銃? 玉井は、あれが何か知っているのですか?」

「え? ああ、そりゃ知ってるよ。俺達の世界の武器だからな」

「ほぉ....つまり、この世界に元々あったアーティファクトではないと....とすると、

 異世界人によって作成されたもの....作成者は当然....」

「僕ですよ。それが何か?」

「....言ってよかったのか?」

「言わないと長くなりそうなんで....」

 俺の言葉に南雲はそう返した。

 

「あっさり認めるのですね。南雲君、その武器が持つ意味を理解していますか? それは....」

「この世界の戦争事情を一変させる....ですか? ....量産できればですけど。大方、

 言いたいことは戻ってこいとか、作成方法を教えろですよね? 当然、全部却下です」

「ですが、それを量産できればレベルの低い兵達も高い攻撃力を得ることができます。

 そうすれば、来る戦争でも多くの者を生かし、勝率も大幅に上がることでしょう。あなたが

 協力する事で、お友達や先生の助けにもなるのですよ? ならば....」

「....戦争は志願制。忘れましたか? 僕は戦争に参加するつもりはありません。これは僕が

 大切なものを守るために作ったものです。....そもそも、あなた達は僕を無能と言って

 蔑んでいましたよね? どうして僕がそんな人達のために力を貸さなければいけないん

 ですか?」

「そ、それは....」

「クラスメイトや先生のことを引き合いに出されても、僕は手を貸すつもりはありません。

 奪おうというなら、こちらもそれ相応の対応をさせてもらいます」

「....」

 南雲の揺るがない意思と眼光に怯んだのか、神殿騎士はそれ以上何も言ってこなかった。

 

「話しは済んだな。じゃ、そろそろ行くぞ」

 そう言って俺は食器を纏めて立ち上がった。

 

「ま、待ってください! 三人は戻ってこないつもりですか....?」

「ん? あぁ、ねぇな」

「今のところ....」

「私も同じです」

「どうして....」

 俺達は畑山の言葉に答えず、この場から去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

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