人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている   作:アイリエッタ・ゼロス

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その愛はただ一人のために

 部屋でティアマトに頭を撫でられていると、部屋の扉が勢いよく開いた。驚いて

 扉の方を見ると、そこにはメルトがいた。

 

「メ、メルト....」

「....アナタ達、部屋から出て行って。立香に話があるわ」

「む....」

「お断りします」

「....あっそ。なら、力づくで叩き出すわ」

 そう言うと、メルトはアルターエゴに姿を戻して今にも戦闘を始めようとする態勢を

 取った。それを見てか、モルガンも槍を出現させてメルトに槍を向けた。

 

「ちょいちょいちょい!? 二人とも落ち着け! こんな部屋で暴れようとするなって!」

 俺はティアマトの膝から降りて二人の間に立った。

 

「邪魔よ立香」

「どきなさい我が夫」

「どけるか!? こんなとこで暴れたら流石にまずいって! 頼むから二人とも武器を

 収めてくれ!」

「....二人とも、我が子の言う事を聞いて」

 二人を止めていると、俺の背後からとんでもない魔力を放出させたティアマトがそう言った。

 その魔力で部屋はひびが入り始めた。

 

「「....」」

 二人もティアマトの魔力を受け、一瞬固まったかと思うと構えていた武器を下ろした。

 

「はぁ....ありがとうティアマト」

「ん....我が子の、役に立てて、お母さん嬉しい」

 そう言ったティアマトは笑顔だった。

 

「さてと....取り敢えず、モルガンとティアマト。一度部屋から出てくれないか? 多分、

 俺今から説教されそうなんで....」

 俺はそう言って明らかに怒った表情のメルトを見た。

 

「....わかりました」

「わかった....」

 そう言って二人は渋々といった表情で部屋から出て行った。すると、メルトはベッドの上に

 座った。

 

「立香、隣に座りなさい」

「....正座じゃなくて?」

「いいから。早くしなさい」

 メルトはそう言いながらベッドを叩いた。俺は不思議に思いながらメルトの隣に座った。

 すると、メルトは一瞬にして身体の向きを変えて俺をベッドに押し倒した。さらに俺を

 逃がさないようにするためか、俺の脚と脚の間に膝の槍を突き刺した。

 

「あの、メルトさん....?」

 俺が困惑していると、メルトから聞こえた言葉は意外なものだった。

 

「....ごめんなさい」

「えっ....?」

「....辛い思い、させちゃったわよね」

「な、何の話して....」

「....ビースト」

「っ!?」

 俺はメルトのその一言ですべてを察した。

 

「(あんのパイセン....! 喋りやがったな....)」

 俺は思わず頭を押さえた。

 

「聞いちまったか....」

「えぇ....いつ、ビーストになったかも聞いたわ」

「....メルトには知られたくなかったんだけどな。知ったらメルト、気にするだろ?」

「当たり前じゃない!」

 そう言ったメルトは泣いていた。

 

「大切な人が! 愛している人が! ....心を壊して怪物になったって知ったら、誰でも悲しいに

 決まってるじゃない!」

「メルト....」

「ごめんなさい....! 私のせいで、アナタを人間じゃなくしてしまって....」

「....メルトのせいじゃねぇよ」

 俺はそう言ってメルトを抱きしめた。

 

「あの時....メルトが命を賭けて守ってくれなかったら俺達の旅はあそこで終わっていた。

 世界も救えず、俺は今こうしてメルトと再会できなかった。....ビーストになったのは、

 俺が弱かったからだ。だから、そんなに気にしないでくれ....」

「アナタが弱いわけないでしょ....! 仲間も、友人も、失っても進み続けたアナタが....」

「....みんながいたから、前に進み続けられたんだ。支えて、励まされて、託されて....

 メルトがあの時託してくれたのだって、俺が前に進む力になったんだよ」

「バカよ....アナタは、本当にバカよ....! もう少し自分のこと大事にしなさいよ....!」

 メルトはそう言いながら、俺の胸に顔を埋めた。

 

 ~~~~

 

「....落ち着いたか?」

「えぇ....」

 しばらくメルトの頭を撫で続けると、メルトは俺の胸から離れた。

 

「今の、誰にも言わないでよ....」

「わかってるって」

「....」

 俺がそう言うと、メルトは俺の頬に手を置いて目を見てきた。

 

「立香....もう二度と、アナタを闇に落ちさせないわ。だから、私の手を離さないで....

 アナタが闇に落ちそうになったら、私が何度でも手を引っ張るから....」

「メルト....」

 俺はそう言ってくれたメルトの手を優しく握った。

 

「....あぁ。絶対にこの手を離さない。だから、メルトも俺から手を離さないでくれ。

 もうメルトを失いたくないから....今度こそ、絶対に守るから....」

「立香....」

 メルトは俺の名を呼ぶと、唇にキスをしてきた。

 

「えぇ....約束よ、私のアルブレヒト」

 メルトはそう言うと、身体を動かして俺と場所を交代した。そして、俺は今メルトを

 押し倒しているような状態になった。

 

「今日は....立香の好きにしていいわよ。どんなプレイでもしてあげる」

「....嬉しいお誘いだな。でも、今日は止めとくよ」

 俺はそう言ってメルトの上からどいた。

 

「今ここで始めたら、間違いなく外の二人が暴走するからな....」

「女の子に恥かかせるなんて....ヘタレ」

「やめてくれませんかね....流石に傷つくんだが....」

 

 

 

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