人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている   作:アイリエッタ・ゼロス

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最弱の可能性/決闘

 ステータスが分かってから大体一週間とちょっとが経った。俺は図書館で本を読むか、

 訓練の様子を眺めていた。そして今日も、俺は図書館に来ていた。すると、図書館には

 既に先客がいた。

 

「今日も来てんのか南雲。勤勉なこった」

「水月先生」

 ここ数日、南雲とはよく図書館で会うことがあった。わざわざ訓練の合間を縫って

 この世界についての知識を付けようと努力していた。ちなみに俺は訓練には一度も

 行っていない。

 

「何かおもろい本はあったか?」

「どうですかね....? 今は北大陸魔物図鑑ってのを読んでるんですけど....」

「へぇ。まぁ敵についての知識を付けるのは重要だな」

 そう言いながら、俺は適当に本を取って隣に座って本を読み始めた。俺もここ数日で

 この世界についての知識をいくつか付けた。この世界はエヒトを始めとする神々の神代魔法で

 創られた、魔力を一切持たず魔法が使えない種族の亜人族は神から見放された悪しき種族、

 七大迷宮というこの世界における有数の危険地帯がある、帝国という傭兵団が興した

 新興の国がある。

 

「(情報は少ないが無いよりはマシだな....)」

 そう思いながら読んでいると、南雲からの視線に気づいた。

 

「何だ南雲」

「い、いえ....その、水月先生は戦争に反対派ですか?」

「随分急に聞いてくるな。....まぁ俺は反対だ。戦争なんて良いこと一つも無いからな。

 その口ぶりからしてお前もか?」

「はい....」

「そうか。まぁお前の判断は間違ってねぇよ。むしろお前が普通だ。他の戦争に参加しようと

 してる連中がおかしいんだよ。あれ見てんのに」

「あの....その時に思ったんですけど、先生って何者なんですか?」

 すると、南雲は恐る恐る俺にそう聞いてきた。

 

「....秘密だ。逆に聞くが、お前には俺は何者に見える?」

 俺は逆に南雲にそう質問した。

 

「....自分から不利益を被る人、ですかね」

「....アッハッハッハ! なるほど、そう見えたか!」

 俺は南雲の言葉に笑いが止まらなかった。

 

「ちょ!? 先生、ここ図書館ですって!」

「あぁ悪い悪い。あまりにも面白い回答が返ってきたからな。....ちょっと外に出るか」

 そう言いながら、俺は本を閉じ南雲を連れて外に出た。

 

「笑わせたくれた礼だ。お前に一つアドバイスをやろう」

「アドバイス、ですか?」

「あぁ。南雲、自分の天職をどう思っている?」

「天職って、錬成師のことですか? ....その、はっきり言って役に立たないって」

「確かに錬成師は役に立たないな」

「ぐっ....」

「あくまで前衛で戦うという意味でな」

「えっ?」

 俺の一言にショックを受けた南雲は顔を上げた。

 

「南雲、メルドは錬成師は何だって言ってた?」

「えっと....鍛冶職だって」

「そうだ。じゃあ質問だが鍛冶職は何をする職だ?」

「それは武器や防具を作ったり....」

「そうだな。鉱石や鉱物があれば武器が作れるな。じゃあもう一つ質問だ。元の世界に

 あってこの世界に無い武器を一つ上げてみろ」

「ある武器じゃなくて無い武器ですか? ....あっ」

 しばらく考えると、南雲は何かに気づいたように俺の顔を見た。

 

「銃、ですか?」

「....正解だ。この世界には銃が存在していない。遠距離攻撃においてかなりの有利が

 取れる銃がな。代わりが魔法かもしれないが魔法なんざ魔力が切れたら終わりだ。でも、

 銃だったら....」

「本体が壊れるか弾切れを起こさない限り永遠に戦える....」

「その通り。錬成師のお前なら最悪迷宮やその辺の鉱石で弾を作れるかもな」

「そうか....錬成師にはそんな力が....」

「ま、今のお前にできるかどうかは別だぞ」

「で、ですよね....」

 南雲は分かりやすく落ち込んだ。

 

「ま、これで分かっただろ。どんなものでも使いようによっては0から100になるんだよ。

 だから常に色んなパターンを考えて行動するこった」

「はい! ありがとうございます水月先生」

「おう。....だが、銃の事は周りには知られないようにしとけ」

 俺は真剣な声色で南雲にそう言った。

 

「....どうしてですか?」

「この世界に無い武器だ。教会に知られて量産させられる奴隷にされるって可能性は0じゃ

 ない。仮に作れて他の生徒に回せって言われたら面倒な連中にも作らなきゃいけない。

 それに、魔人族との戦争に全面的に出されるかもしれない。お前の意志を無視してな。

 ....アドバイスしといてこんな事を言うのもどうかと思うがな。だが、決めるのは南雲。

 お前自身だ」

「....わかりました」

「おう。じゃ、そろそろ訓練の時間か。一先ず剣とか槍の錬成やって精度を上げてこい。

 それだけでも役には立てるからな」

「はい!」

 そう返事して南雲は王宮の方に走っていった。

 

「これで良かったのかねぇ....」

 俺はそう呟きながら図書館に戻った。

 

 ~~~~

 数日後

 

「こんにちは水月様」

「おう王女さん」

 城の中を散歩していると偶然王女さんと会った。

 

「何やってんだ?」

「勉強の休憩中です。国を背負う者の一人として色々学ばなければいけませんので」

「大変だなアンタも」

「水月様は?」

「俺はただの散歩。ちょっと暇だったからな」

「そうでしたか。なら、少しご一緒してもよろしいですか?」

「別に良いが、暇だぞ?」

「構いませんよ」

「なら好きにしな」

 そう言って、何故か俺は王女さんと散歩することになった。場内を歩きながら王女さんは

 色んな場所に着いて話してくれた。そして、俺達は丁度ガキどもが訓練している場所が

 見える所に着いた。

 

「この時間は訓練中でしたか....」

「みたいだな....」

「(にしても....)」

 俺は訓練の様子を見て随分甘い訓練だと思った。

 

「ぬるい訓練....」

「えっ?」

 そして、気づかない間に俺はそう呟いてしまっていた。

 

「あぁ、気にしないでくれ。ただの独り言だ」

「そ、そうですか....」

「(ダメだな。どうも師匠達との訓練と比べちまう。....まぁあの訓練に比べたら

 ほとんどの訓練がぬるい訓練か....)」

 そんな事を考えながら、俺は訓練場にいる南雲を探した。

 

「水月様、あれ....」

 すると、王女さんがある方を指差した。

 

「ん? ....アイツ等」

 王女さんが指差した方を見ると、そこでは南雲が檜山とその取り巻きによってリンチに

 されていた。

 

「あれ、早く止めた方が良いんじゃ....」

「だな」

「(丁度いい実験機会かもな)」

 そう思いながら、俺は空中にルーン文字を描いた。

 

「水月様、それは....?」

「俺の師匠から教わった魔法、さっ!」

 そう言って、俺は檜山達のいる方に向かってルーン魔術を飛ばした。

 

「さてさて、威力はどの程度やら....」

 そんな事を呟きながら着弾点を見ていると、檜山達四人を巻き込むほどの巨大な炎が

 出現した。檜山達四人は炎に包まれ身体が燃えていた。

 

「威力抑えてこんなもんか....」

「威力抑えてアレですか!?」

「(やっぱ師匠やアニキみたいにはいかねぇか....)」

 王女さんの言葉を聞き流しながら、俺は少し残念に思いながら別のルーン文字を描いた。

 そしてルーン魔術を飛ばすと、今度は水が出現し燃えていた部分を消火した。

 

「さて、一応様子見に行くか。王女さんはどうする?」

「ついて行きます! 彼が心配なので」

「はいよ」

 

 ~~~~

 

 南雲達がいた場所に着くと随分人が集まっていた。そして南雲は白崎から治療を受けていた。

 

「えらい人集まってんな....」

「水月先生。それにリリアーナ王女も!?」

「おう南雲。怪我大丈夫か?」

「は、はい。白崎さんが治してくれたので」

「そうか。....にしても結構燃えたな」

 俺は燃えた跡を見てそう呟いた。

 

「わりぃな王女さん」

「....一先ず使用人達に修繕をするよう伝えておきます」

「頼んだ」

 そんな会話をしていると周囲にいた人間は俺の方を見ていた。

 

「す、水月先生....」

「何だ?」

「さっきの炎って、まさか....」

「あぁ....俺の魔術だ。思ったよりも威力は出なかったがな」

 そう言うと、ここにいた人間は驚いたような表情をした。

 

「ホ、ホントですか?」

「あぁ。王女さん隣で見てたし。なぁ王女さん」

「えぇ、そうですね。さっきの炎は確かに水月様が出したものです」

 王女さんがそう言ったことで、尚更周囲の人間は驚いた表情になった。すると、突然

 天之河が俺に詰め寄ってきた。

 

「水月先生! どうして檜山達の攻撃を!」

「どうしてっていわれてもな....南雲をリンチしてたからだな」

「檜山達がそんな事する筈ないじゃないですか! 訓練のない時は図書館で読書に耽って

 いたり真面目に訓練をしようとしない南雲の不真面目さをどうにかしようとしたのかも

 しれないじゃないですか!」

「(....戦闘職四人で非戦闘職の奴を囲んで痛めつけるのがか)」

「それに水月先生も訓練に真面目に参加したらどうですか! 皆少しでも強くなろうと

 努力して....そんな努力の機会を無駄にしている水月先生は間違っています!」

「....はぁ。正義感もここまでくると滑稽だな」

「何だって!?」

 そう叫んで天之河は俺の胸ぐらを掴もうとしてきた。

 

「ちょ、ちょっと光輝! 落ち着きなさいって!」

 すると八重樫が俺と天之河の間に入って天之河を止めようとしていた。

 

「だが雫!」

「てか、初日に言ったこと忘れたのか? 戦争は志願制。俺は戦争に参加する気は無い

 からな。訓練する必要性が無いんだよ」

「(正直ぬるいし....)」

 俺は口には出さなかったがそう心の中で思っていた。

 

「でも! 他の皆は!」

「何だ? 皆がやったらやってないやつもやれってか。随分横暴だな。個人の意思は

 無視ってか?」

「先生! 変に光輝を煽ろうとしないでください!」

「っ....! 決闘だ!」

 すると、突然天之河がそんな事を言ってきた。

 

「はぁ?」

「先生の考えは間違っている! 俺と決闘して負けたら訓練に真面目に参加してください!」

「ちょっと光輝!」

「へぇ....お前が負けたら?」

「俺が負けるはずがない! 不真面目に訓練に参加しない先生になんて!」

「光輝、あなたいい加減に....!」

「よせ八重樫。馬鹿に何言っても無駄だ。....良いぜ、その決闘受けてやるよ。南雲か

 白崎、メルドを訓練場に呼べ。後適当に槍を一本持ってこい。俺は先に訓練場で待ってる」

 そう言って、俺は一人訓練場の方に向かった。

 

 

 

 

 

決闘するのは....

  • 立香
  • メルトリリス
  • 巌窟王
  • 清姫
  • 虞美人
  • ジャック
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