人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている 作:アイリエッタ・ゼロス
「....のう、水月殿」
「何だティオ?」
ウルから全速力でフューレンに向かい、フューレンの入場の検査待ちをしているとティオが
話しかけてきた。
「その、一つ聞きたいことがあったのじゃが....」
「聞きたいこと?」
「うむ。....水月殿、それにお仲間の四人は一体何者なんじゃ? 人ではないのじゃろ?」
「....気づいてたのか? 俺が人間じゃないって」
俺は少し驚きながらティオにそう言った。
「魂の形を見ての。....勝手に見てしまったのは申し訳ないが」
「魂の形、ね....」
「メルトリリス殿、アルターエゴ殿からは神性を感じた。後の二人からも人ではない気配を
感じた。じゃが....特に凄かったのは水月殿じゃ。あのような恐ろしいものを抱えて平然と
しているのは、失礼な言い方にはなるが異常じゃ」
「ま、そりゃそう思うわな」
そう言いながら、俺は自分の胸に手を置いた。
「俺の魂、半分は人間だが半分はビーストだからな」
「ビースト?」
「そ。俺は人間とビーストのハーフみたいなもんだ。今は人間の部分が生きててビーストの
部分は無数の魔術によって封印されてる」
「そんなに危険なものなのか?」
「あぁ。俺の世界でビーストっていうのは世界を滅ぼすほどの強力な力を持った者達の事だ」
「世界を!?」
「あぁ。人類である限り出てくる悪、人類史に留まる澱み、人類そのものの汚点で人類を滅ぼす
七つの災害。人類悪とも言われるな」
「それが、水月殿と言うのか....?」
「俺の場合は少し違うな。俺は、特殊な理由でビーストになったからな」
「特殊な理由....」
「ま、長くなるからその話は今度な。....それで、あの四人はサーヴァントって言われる
英霊だ。簡単に言えば過去に世界で活躍した人間が霊になったものだ」
「....もう既に頭の中はパニックじゃ」
ティオはそう言いながら頭を押さえていた。
「ま、今は怪物一人と英雄の霊とでも思ってくれたらいい。ちゃんと話すタイミング
あったら話すさ」
「....そういう事にしておくかのう」
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「ウィル! 無事かい!? 怪我はないかい!?」
しばらくしてから、俺達はフューレンの冒険者ギルドの応接室にいた。そして、現在イルワが
ウィルを肩に手を置いて心配そうにそう言った。
「イルワさん....すみません、私が無理を言ったせいで、色々迷惑を....」
「何を言うんだ....私の方こそ、危険な依頼を紹介してしまった....本当によく無事で....
ウィルに何かあったらグレイルやサリアに合わせる顔がなくなるところだよ....二人も随分
心配していた。早く顔を見せて安心させてあげるといい。君の無事は既に連絡してある。
数日前からフューレンに来ているんだ」
「父上とママが....わかりました。直ぐに会いに行きます。みなさんも、お世話になりました」
そう言うと、ウィルは応接室から出て行った。
「....立香君。ウィル、何かあったのかい? 何だか雰囲気が暗くなってるように見えたんだが」
「現実知ったんだろ。実力も無いやつが戦場に立つとどうなるかが。言っとくが、アイツの
メンタルケアまでしろって言われてないから俺は知ったこっちゃない」
そう言って、俺はソファにもたれかかった。
「ま、そんな事は俺はどうでもいい。それよりも報酬、キッチリ払ってもらうぞ」
「わかっているよ」
そう言うと、イルワは手紙とステータスプレートと金を置いた。
「君達のランクを金にしておく。この手紙は次に向かう町の支部長に渡してくれ。それと、
出来る限り君達の後ろ盾になろう」
「そりゃどうも。ユエ、お前等ステータス見てみたらどうだ?」
「うん」
そう言うと、ユエ、シア、ついでにティオもステータスプレートでステータスを開いた。
そのステータスを見て、イルワは口を開けて固まっていた。
「これは....とんでもないな....」
「ま、滅んだと思われた種族二人に魔力のある亜人だからな」
「三人でこれという事は、メルトリリス君はもっと....」
「まぁぶっ壊れるんじゃねぇか? メルト、ちょっとやってみてくれ」
「いいけど....」
そう言ってメルトがステータスプレートを使おうとすると、ステータスプレートが粉々に
砕け散った。
「やっぱそうなるか....」
「ステータスプレートが壊れるところなんて初めて見たんだが....」
「ま、そんだけ強いって事だ。....言っとくが、メルトに変なことをしようとするなよ?
手を出した瞬間、俺が消す」
「冗談がきついよ....流石に君達を敵に回そうとは思わないさ」
「そうか。ならいい。....んじゃ、貰うものも貰ったし俺達は行くとする。頼むから、
もう変な依頼を頼まないでくれよ」
「あぁ。出来る限りそうするとしよう」
その言葉を最後に、俺達は応接室から出てギルドの外に出た。すると、外にはモルガンと
ティアマトとパイセンが待っていた。
「終わったの?」
「えぇ。さっさと話し切り上げてきましたよ」
「そ」
「じゃあ少し買い物でも行って....」
そう言って歩き出そうとしたその時、モルガンとティアマトの身体が光り出した。
「これは....時間切れですか」
「む....早すぎる」
「言われてみれば確かに....宝具を使ったからか....?」
「これはダ・ヴィンチを問い詰める必要がありますね....」
俺がそう言うと、モルガンは物騒なことを言いだした。
「ほどほどにな....」
「我が子、元気でやる。母は応援している」
「ありがとう」
そう言うと、二人は手を振りながら光の粒子となって消えた。
「....何でパイセンだけ残ったんすかね?」
「知らないわよ」
「ですよね....ま、あとでダ・ヴィンチちゃんに確認するか」
そう呟き、俺達はここから離れた。