人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている   作:アイリエッタ・ゼロス

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気は乗らないが仕方なく

 立香side

 

「何だと!? 状況はどうなっている!」

「迷宮の門番や近くにいた冒険者達が対応していますがあと数分もすれば包囲網を

 破られそうです! それほど数も多く危険な魔物がいます!」

「う、嘘だろ....何で魔物が....」

「お前を追ってきたからじゃねぇのか」

 動揺してそう呟いた遠藤に俺はそう言った。

 

「逃げるやつを追えば出口への道がついでに分かるからな。もしも魔人族の目的が町を

 破壊するのなら当然の策だな」

「そ、そんな....でも、転移の魔法陣はあの時俺が....!」

「知るかよ。他に追う方法でもあったんだろ」

「う、嘘だ....そんな事ありえない....」

 そう言いながら、遠藤は地面に膝から崩れ落ちた。

 

「はぁぁぁ....余計な仕事増やしやがって。しゃあねぇ、民間人の被害防ぐために俺等も

 動くか....」

 そう言って、俺は立ち上がった。

 

「ロア、冒険者どもに民間人の避難をさせろ。町に出てきた魔物と勇者どもは俺等でどうにか

 してやるよ」

「ほ、本当か!」

「あぁ。だから冒険者どもに俺等の邪魔をしねぇように言っておけ。それと、ミュウの為に

 部屋を一室貸せ。連れて行くわけにはいかねぇからな」

「わ、分かった!」

「ティオ、お前はミュウを見るためにここで待機。終わるまで出てくるなよ」

「承知したのじゃ」

「俺等は迷宮の入り口に急ぐぞ。時間が経てば民間人に被害が出る。二人も手を貸してくれ」

「もちろんです、ますたぁ」

「うん!」

「じゃあ急ぐぞ!」

 そう言って、俺は全員を連れて迷宮の入り口に向かった。

 

「(二人にも念話入れとくか....)」

 

 ~~~~

 

「こりゃ全滅してるな....」

 迷宮の入り口近くに着き俺はそう呟いた。迷宮の入り口は既に破壊されており、魔物達が

 あちこちに動いていた。

 

「南雲、一先ず迷宮の入り口を囲むように防壁を」

「はい!」

 俺が南雲にそう言うと、南雲は迷宮の入り口を囲むように防壁を造り出した。

 

「OKだ」

「ちょっと、呼び出されて来たけどどういう状況よ」

 俺がそう言っていると、背後からメルトの声が聞こえた。

 

「メルト。迷宮の魔物が町に出てきたんだよ。ついでに迷宮の中に勇者がいるんだと」

「そう。本当に興味ないわね」

「俺だって興味ねぇよ。ま、そうも言ってる状況じゃねぇんだよ。ほっとけば民間人に被害が

 出るからな。....パイセンもボロ負けして機嫌悪いんでしょうけど手伝ってください」

 俺はメルトの背後に機嫌が悪そうな表情をしているパイセンにそう言った。

 

「どうなってんのよあの賭場....! 何で私の読みがことごとく外れるのよ....! ここでも

 虞美人差別か!」

「(いやそれは単純にパイセンの読みが悪いだけじゃ....)」

 俺はそう思ったがどうにか声に出さずに我慢した。

 

「愚痴は後で聞くんで....南雲、ユエ、シアは町に出てきた魔物の掃除。ジャックはここで

 迷宮から出てくる魔物を殲滅、パイセン、バーサーカーは迷宮内にいる魔物の掃除を。

 二人は好きに暴れて、最悪迷宮をぶっ壊しても良いんで。俺とメルトと白崎で八重樫の所まで

 向かう。さ、とっとと終わらせるぞ」

 そう言って、迷宮に突入するチームは南雲の防壁を跳び越えて迷宮の中に入った。

 

 ~~~~

 

「じゃあここは任せますよ」

 パイセンと清姫に迷宮内の魔物を任せた俺達は魔物がいない場所に着いた。

 

「さて、八重樫達は....多分これだな」

 俺は地面に手をつき、魔力感知で魔力を探した。すると、だいぶ下の方から魔力が密集して

 いるのがわかった。

 

「おぉおぉ....随分魔物もいるし何か変な魔力の奴もいるな。これは魔人族か....? ま、

 どうでもいいか」

 そう呟き、俺は戦斧となっているクレスを構えた。

 

「白崎少し離れてろ。俺が地面に穴開けたら後をついて来い」

 そう言って俺は戦斧に魔力を込めて集中した。

 

「ふぅ....閃天撃!」

 俺は空中に跳び、地面に向かって思いっきり戦斧を振り下ろした。すると地面は崩壊を始め、

 どんどん下に向かって行った。

 

 ~~~~

 清姫side

 

「あぁもう! どいつもこいつも鬱陶しい!」

「(わたくし必要ありましたかねぇ....)」

 迷宮内の掃除を頼まれたわたくしは目の前で暴れている虞美人さんを見てそう思っていた。

 

「全部ぶっ殺してやるわ! 滅びの定めにすら見放された、我が永遠の慟哭。空よ! 雲よ! 

 憐みの涙で命を呪え!」

「(これは....少々マズいですね....)」

 虞美人さんのその言葉で、上空は赤く染まり無数の剣が降り注いできた。

 

「っ! 転身火生三昧!」

 わたくしも咄嗟に宝具を発動し、虞美人さんの宝具から身を守った。そう、守ったのは

 良かったのだが、虞美人さんの宝具によってわたくし達がいた地面は崩壊を始めてしまった。

 

「(組む相手間違えましたね....)」

 

 ~~~~

 南雲side

 

「(これで最後!)」

 目の前にいる魔物に銃弾を撃ち込んだ僕はそう考えた。

 

「大丈夫ですか?」

 僕は逃げ遅れていた人にそう声をかけた。

 

「は、はい! ありがとうございます!」

「まだ魔物もいると思うので急いでギルドの方に逃げてください」

「わ、分かりました!」

 そう言うと、逃げ遅れた人はギルドの方に走っていった。そうして辺りを見渡していると、

 ユエから念話が入った。

 

『(ハジメ、そっちは終わった?)』

『(終わったよ。ユエは?)』

『(こっちも大丈夫。シアとも合流した。一度迷宮の入り口に集まる?)』

『(そうしようか。じゃあ入口の方に向かうよ)』

『(了解)』

 そう念話をして迷宮の入り口に着いたのだが....

 

「何この霧....」

 迷宮の入り口周辺は謎の霧に包まれていた。

 

「ハジメ!」

「ハジメさん!」

「ユエ、シア」

 すると、横の道からユエとシアが現れた。

 

「これ、何の霧....?」

「さぁ....」

「こんな霧、さっきまで無かったですよね....」

 ユエは霧を見ながらそう聞いてきた。そして、不思議に思いながらユエが霧に近づくと、

 ユエは急に後ろにジャンプした。

 

「ユエ! どうしたの?」

「ハジメ、シア....この霧、近づいちゃダメ。危険すぎる....」

 そう言いながら、ユエは自分の手を見せてきた。ユエが見せてきた手は何故か皮膚が溶けて

 骨が見えていた。

 

「ユエ!? ちょ、ちょっと待って! 今、神水を....!」

「大丈夫、これぐらいならすぐに....」

 ユエがそう言うと、ユエの手は元に戻っていった。

 

「ハジメ、シア。二人は絶対この霧に近づこうとしちゃダメ。触れたら死にかねない....」

「りょ、了解....」

「な、何なんですこの霧....」

「(一体誰がこの霧を....迷宮の入り口だけだし魔物じゃなさそう....てことはもしかして....

 ジャックさんがこの霧を....?)」

 そんな事を考えながら、僕とユエとシアは謎の霧を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに霧の中からは誰かの笑い声と金属の音と肉が斬れる音が聞こえた。

 

 

 

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