人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている 作:アイリエッタ・ゼロス
「先生、これで良いですか?」
水月先生に言われ、僕は武器庫から一本の槍を水月先生に渡した。
「ん? あぁ」
そう言うと水月先生は何回か素振りをすると穂の部分が無くなるぐらいの所で
槍を折った。
「先生!? 何やってるんですか!?」
「槍のまんまでやったらアイツ殺しちまうからな。だから折ったんだよ」
そう言いながら水月先生は槍の柄の部分に指で何かをなぞっていた。
「こんなもんだな」
そう言って水月先生は訓練場の真ん中の方に歩いて行った。
「南雲くん」
僕は近くの石階段に座って水月先生の方を見ていると背後から声を掛けられた。振り向くと
そこにいたのは白崎さんと八重樫さんだった。
「隣良いかな?」
「ど、どうぞ....」
そう言うと二人は僕の隣に座った。
「(凄い気まずい....)」
「南雲くん、傷は大丈夫?」
「う、うん。白崎さんのおかげで。ありがとう」
「そっか! 良かった」
「ごめんなさいね南雲君。光輝も悪気があったわけじゃないんだろうけど....」
「アハハ....大丈夫だよ」
八重樫さんの謝罪に僕はそう返した。
「それよりも....光輝、何考えてるのかしら」
八重樫さんはそう言って天之河君を見ていた。
「光輝くんのステータスって確か二倍ぐらいなってたよね?」
「えぇ。私達の中だったら総合ステータスは一番高いわね。それに比べて水月先生は....」
「ステータスが全く分からないよね....そういえば、南雲くんって水月先生のステータス
見たことあったよね?」
「そういえば、ステータスプレートを貰った時、水月先生の近くにいたわね。南雲君、
水月先生のステータスってどんな感じだったか覚えている?」
「えっと....」
「(多分、言わない方が良いよね....)」
「ごめんね、僕もあんまり覚えてないんだ」
僕はそう考え二人にそう言った。
「そう....」
「あ、でも。多分水月先生、僕たちの仲じゃ一番強いと思う」
僕は技能の数を思い出してそう言った。
「そうなの?」
「うん。先生の技能の数、かなり多かったから....」
そう話している間に、水月先生と天之河君は一定の距離を取った場所で向かい合っていた。
「ルールは使えるものは何でも使っていい。ただし俺が危険と判断したか戦闘不能になったら
終了だ。二人ともいいな?」
「はい!」
「何でも良いよ」
「その水月....本当にやるのか? 仮にも天之河はこの数日でステータスを倍にまで
上げている。訓練をしていないお前が相手をするのは危険だぞ....?」
すると、メルドさんは心配した様子で水月先生にそう言った。だが....
「いらん心配だな。たかだか数日武器振ったやつに負ける通りはねぇよ」
水月先生は気にした素振りを見せずそう言った。
「っ! そうか....では、両者試合開始!」
「うぉぉぉぉぉ!」
メルドさんがそう言うと、天之河君は水月先生に向かって斬りかかっていった。だがその攻撃を
水月先生は涼しい顔で避けていた。そして水月先生はただ避けるだけで一切天之河君に攻撃を
仕掛けていなかった。
「どうしたんですか! 怖気づきましたか!」
「笑えねぇジョークだな。というか、こっちはわざと反撃しないでやってるんだ。訓練が
大事なんだろ? どうした? 訓練してない奴に一撃も当てられないのか?」
「そんなことない! ここからは本気で行く! "限界突破"!」
そう叫ぶと天之河君の身体は光り出した。そしてさっきとは比べものにならないほどの
速さで水月先生に攻撃を仕掛けた。が、その攻撃すらも水月先生は軽々躱していた。
「嘘でしょ....光輝の限界突破を使った攻撃をあんな簡単に避けるなんて....」
「凄い....まるで踊ってるみたい」
二人は水月先生の戦いを見てそう呟いていた。
「(凄いなんてものじゃない....水月先生、完全に天之河君の攻撃を見切っている)」
僕は水月先生の動きを見てそう思った。すると、天之河君の使っていた技能が解け天之河君は
その場で膝をついた。
「はぁはぁ....! どういうつもりですか! 何で攻撃してこないんですか! 戦う気は
あるんですか!」
天之河君は息を切らしながらも水月先生にそう叫んだ。
「はぁ....お前、ホント馬鹿だな」
すると、水月先生は呆れたようにそう言った。
「何が馬鹿だって言うんだ!」
「戦い方がだ。そんななりふり構わず攻撃仕掛けて敵に当たるわけないだろ。それに相手の
挑発に乗って思考を乱された時に技を使う。そして無駄な体力を使う。馬鹿の戦い方の
典型例だな」
「そんなことは....!」
「じゃあ避けてみろ」
そう言った瞬間、水月先生の姿が一瞬にして消え気づけば天之河君の目の前にいた。
「えっ....?」
そして次の瞬間、水月先生は持っていた棒を天之河君の心臓目掛けて打ち込んだ。当然今の
天之河君に避ける余裕もなく、天之河君は後方に吹っ飛ばされた。
「無駄に体力を消費した、だから今のを避けられねぇ....メルド、俺の勝ちで良いだろ?」
「....」
「メルド」
「あ、あぁ! この勝負、水月の勝ちだ」
水月先生の言葉に反応し、メルドさんはそう叫んだ。
「まぁ、こんなもんか」
そう呟きながら水月先生は持っていた棒を回していた。
「最後の一撃....もし槍の部分があったら....」
「うん....天之河君、間違いなく死んでた」
「そうだよね....」
「(確実に急所を狙った攻撃だった。そのためにわざと天之河君を泳がせていたとしたら....
水月先生、確実に戦い慣れしている人だ)」
僕は水月先生の戦い方を見てそう確信した。
「(でもそうだったら、先生はいったいどこであんな戦い方を....)」
僕は一人、呑気にあくびをしている水月先生を見てそう考えた。
メルドは....
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原作通り死亡
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生き残る