人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている 作:アイリエッタ・ゼロス
? side
「くそくそくそっ! あの化け物め!」
あの化け物が消えてから僕は裏路地の壁に拳をぶつけていた。
「何なんだよ! 腕欠損してるのに一瞬で治るし、ステータス抜き取るし!
どうなってんだよ!」
「(おまけにあの人形も潰されるし....! 全部が悪い方向に向かった!)」
「どうすんだよホントに....!」
「....お困りのようですね」
「っ!?」
すると、突然背後からそんな声が聞こえた。驚いて背後を見ると、そこには修道女がいた。
ただ、普通の修道女と違い何か強烈な威圧感があった。
「あんたは....」
「あのイレギュラーが邪魔なのでしょう。それは我々も同じ。主の命によりあなたに力を
貸しましょう」
「主、だって....? 一体何者なのさ」
「この世界を支配、いずれは全ての世界を支配する偉大なるお方。それが主です」
「それって....」
「(思いがけないラッキーだ....!)」
表情に出さないように僕はそう思った。
「....なら、お願いしようかな。僕にとっても都合が良いからね」
「そうですか。では、事を起こす際にまた」
そう言って修道女はこの場から去っていった。
「これなら....!」
~~~~
立香side
『なるほどね~。清姫の方は立香くんの令呪持ってるからそれが魔力の代わりになってるね。
巌窟王の方は立香くんの影に基本いるから魔力消費が少ないし、なんなら立香くんから魔力を
吸収してるね。恐らくそれが理由で二人はそっちに残ってるだろうね』
「なるほど。了解だダ・ヴィンチちゃん」
ホルアドを出発して運転している俺はダ・ヴィンチちゃんと連絡を取っていた。
『それよりも、今は移動中かい?』
「あぁ。次の町に向かってる途中だ。砂漠を走ってるよ」
『了解した。なら、町に着き次第次のメンバー送るよ』
「了解」
『....あー。こんなこと言うのもあれなんだけど....頑張って立香くん』
「えっ....?」
すると、ダ・ヴィンチちゃんは有無を言わさず通信を切った。
「....」
「(あんな急いで切るなんて....何か嫌な予感が....)」
そんな事を考えていると、前を走っている南雲達の車の地面からミミズの魔物が現れた。
それと同時に、俺達が乗っている車の近くの地面から同じような魔物が出てくる未来が見えた。
「ちょっと掴まっててくれよ」
そう言って、俺はハンドルを切ってミミズの魔物の攻撃範囲から外れた。そして、さっきまで
いた場所から出てきた魔物に向かって風のルーンを飛ばした。ルーンは直撃すると、ミミズの
魔物を輪切りにした。南雲の方もランチャーを撃ったのか、ミミズの魔物は内側から爆発を
起こして粉々になっていた。
「お前等大丈夫か?」
俺は車を隣に止めて窓を開けてそう聞いた。
「大丈夫です。それよりも水月先生、少しあっちの方に行っても良いですか?」
「何かあったのか?」
「はい。人が倒れてるみたいなんですよね....」
「人? 何でこんな砂漠のど真ん中に....わかった、取り敢えずそっちに走ってくれ」
そう言って車を走らせると、地面に一人の男が倒れていた。
「(ま、治療は白崎に任せておくか....)」
そう思い、車の中から様子を見ていると倒れていた男は意識を取り戻して立ち上がり、車の中に
入っていった。そして中で話しているのか、しばらく車は止まっていた。
「時間かかりそうだな....」
そう呟くと、車の中の通信機が鳴った。
『水月先生!』
「何だ南雲。何か分かったか?」
俺は通信機を取ってそう聞いた。
『はい。実は....』
そう言って南雲は事情を話し始めた。倒れていた男はビィズ・フォウワード・ゼンゲンといい、
アンカジ公国の領主の息子らしい。何故ここで倒れていたのかというと、王国へ緊急要請を
行なうために向かっている途中に病で倒れたからだそうだ。現在アンカジ公国では原因不明の
高熱を発し倒れる人が続出し、既に二万人以上が病で倒れ医療関係者の中からも発症者が出た。
そして、遂には死亡者まで出始めた。どうにかこの状況を打破する方法はあるにはあった
らしいが、現状の国の力ではどうにもならないため王国へ要請をしに行こうとした。だが、
自分自身がその病に発症したため今に至ったらしい。
「なるほどな....」
『ビィズさんから依頼という形で助けてほしいと言われたんですが....どうしますか?』
「良いんじゃねぇか? どの道グリューエンに行くんだ。アンカジでミュウ預かってもらった方が
良いだろうしな。ま、一先ず向かってから動きは考えるぞ」
『わかりました』
そう言うと南雲からの通信は切れた。そして南雲の車はアンカジの方に向かって走り出した。
その車を追って、俺も車を走らせた。
~~~~
「ここがアンカジか....」
しばらく走ると、アンカジに着いた。
「あなたが水月殿か。ビィズ・フォウワード・ゼンゲンだ。この度は依頼を受けてくださり
感謝する」
「別にいい」
「本当なら活気に満ちた我が国をお見せしたかったが....すまないが、今は、時間がない。
都の案内は全てが解決した後にでも私自らさせていただこう。一先ずは、父上のもとへ」
「わかった。だが、少し待て」
俺はそう言ってダ・ヴィンチちゃんに通信を繋いだ。
「ダ・ヴィンチちゃん、町に着いた。送ってくれ」
『了解した!』
すると、俺達の目の前に魔法陣が現れた。
「水月殿! これは一体....!」
「俺の仲間を呼ぶ召喚術。さて、誰が来るか....」
そう呟きながら魔法陣を見ていると、魔法陣の光は収まり、二人のサーヴァントがいた。その
サーヴァントを見た瞬間、俺は思わず天を見上げた。
「嘘やん....」
「げっ....嘘でしょ....」
「....なるほど、そういう事か」
二人のサーヴァントを見て、三者三様の感想を呟いた。そして....
「マスター! 母が! 母が来ましたよ!」
やって来たサーヴァントの頼光さんが俺に抱き着いてきた。