人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている 作:アイリエッタ・ゼロス
「じゃあお前等は白崎に静因石を渡しに行け。俺はのんびり神殿の方に向かう」
「わかりました! 行こうユエ!」
「うん」
俺はそう言って二人を白崎のもとに向かわせた。そして、俺は近くの岩の上に座った。
「はぁ~、しんど....」
「(あんな至近距離で宝具受けるんじゃなかった....)」
俺はまだ痺れている腕を見ながらそう考えていた。
「....おかえり。帰ってきたのね。....その割には、随分な様子だけど」
すると背後からそんな声が聞こえた。振り向くとそこにはメルトがいた。
「おうメルト、ただいま。近距離で宝具の余波受けてな。身体が痺れてるんだよ。あと、
若干身体も熱い」
「何やってんのよ....」
メルトはそう言って呆れながら俺の腹に膝の棘を刺してきた。
「っ!?」
「メルトリリス!?」
「何やってるんですかあなたは!?」
すると、霊体化していた溶岩水泳部の三人が姿を見せた。
「麻痺を吸収してんのよ。私、そういうの効きにくいし」
そう言いながらメルトは俺の中にメルトウイルスを流し込み、俺の身体から麻痺と熱を
吸収した。
「全く、私の手を煩わせるんじゃないわよ」
「悪かった。ありがとな、メルト」
「....別に。アンタに倒れられると私が困るの」
メルトはそう言うと俺の顔を両方の袖で挟んできた。
「だから、もっと私を頼りなさい。良いわね?」
「....は、はい」
「よろしい。....あら、どうしたのかしら三人とも。そんな羨ましそうな表情で」
メルトがそう言った視線の先には三者三様の複雑そうな表情をした溶岩水泳部がいた。
「わ、私はその様なことは....」
「ふ、ふしだらですよ! 御禁制です!」
「メルトリリスさん....?」
「あら、怖い怖い」
「(煽るのは止めてくれませんかねメルトさん。清姫の目のハイライト消えてるんですけど)」
メルトの腕に頭を抱きかかえられた俺は背中に嫌な汗を流しながらそう思っていた。
「メ、メルト。そろそろ解放してくれないか? 神殿の方に向かわなきゃいけないんだが....」
「あら、私の腕の中はお嫌い?」
「そういうわけじゃ....」
「もう怒りました! わたくしという者がありながらイチャイチャイチャイチャと....!
許しておけません!」
「右に同じくです! 母はそもそもお付き合いを認めていませんよ!」
そう言った二人の背後には般若の様なものがオーラとして出ていた。
「(やばい....)」
「あら、女の嫉妬は醜いわよ? ねぇ立香? 嫉妬深い女は嫌よね?」
「「「あなたにだけは言われたくありません!」」」
「クハハハハ! まさにブーメランとはこの事だな!」
「(逃げたい....)」
俺はこの現状から現実逃避をするために何も聞かないようにした。
~数十分後~
「せ、先生!? どうしたんですかそんな顔して!?」
「あぁ....大丈夫大丈夫。ちょっと疲れただけだから....」
「(迷宮攻略するより疲れた....)」はぁ
すったもんだの後、俺は神殿に来ていた。そんな俺の表情を見てか白崎はそんな大声をあげた。
「それよりもそっちは?」
「こ、こっちは静因石のおかげで衰弱していた人達の様子はよくなってます。この調子で行けば
二日もあれば全員の治療が終わりそうです」
「そうか。なら、俺も少し休憩したらそっちを手伝う。仕事があったら言ってくれ」
「わかりました!」
「カオリ! こっち来て!」
「っ! 分かった! すぐに行く!」
ユエに呼ばれると、白崎は呼ばれた方に走っていった。
「(少し休んだら俺も手伝うか....)」
~二日後~
「一先ず、これで患者さん全員の治療は終了です。あとは時間をかけて安静にしておけば
完治すると思います」
「そうか....! 本当に、何から何まで感謝する。この国を代表して、礼を言わせてもらう。
ありがとう」
患者達の治療が終わり、俺達はアンカジの門の前にいた。そして、領主のランズィは俺達に
そう言って頭を下げてきた。
「この御恩は忘れない。何かあったら是非行ってくれ。微力ながら力にならせてもらう」
「....覚えておこう」
俺はそう言ってランズィと握手を交わした。
「じゃあ、俺達は行く」
「貴殿達の旅の無事を祈る。また会おう、我が国の英雄達よ」
そして、俺達はアンカジ公国から次に町に向かった。
~その日の夜~
「っ、これは....」
森の中で焚火をしながら晩ご飯を食べ終えると、溶岩水泳部の三人の身体が光り出した。
「私達はここまでのようですね....」
「....もう少し、ますたぁとご一緒したかったですが」
「私も同じです....」
「カルデアに戻ったらいつでも会えるさ。三人とも、ありがとな。助かったよ」
「....その言葉を聞けただけで嬉しいです」
「ではますたぁ、カルデアでお待ちしていますね」
「どうかお怪我はなさらぬよう、母は無事を祈っています」
そう言って、三人は光の粒子となって消えた。
「はぁ....やっと帰ったわね」
三人がいなくなると、メルトは大きなため息をついてそう言った。
「ため息でかいな」
「そりゃそうでしょ....めちゃくちゃな量の組み合わせある中でワーストクラスの組み合わせ
でしょあれは。あんな組み合わせは二度とごめんよ」
「(まぁ否定はしないが....俺も寿命縮みそうだし....)」
口には出さなかったが、俺は心の中でそう思った。
「次はもう少しマシな組み合わせだったら良いんだけど....」
「それはダ・ヴィンチちゃんのみぞ知るってやつだな....」