人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている   作:アイリエッタ・ゼロス

76 / 78
不可思議な幻

 白崎side

 

「南雲! この二人を同じタイミングで倒すぞ! こっちが撃破できるタイミングになったら

 叫ぶからそれまでどうにか抑えてろ!」

 倒す条件を考えていると、向こうで戦っている先生がそう叫んだ。

 

「同じタイミング....」

「一先ず水月先生の指示が来るまで足止めする。ユエ、トドメは任せる。香織、僕と

 ティオさんと一緒に弾幕を張って動きを止めるよ」

「うん!"極雷光"!」

 私は魔法を使いながら敵の動きを防いでいた。そして数分後....

 

「南雲! 10秒後に攻撃を仕掛ける!」

 先生からの合図が聞こえた。

 

「ユエ!」

「うん! "蒼龍・獄炎"!」

 ユエちゃんがそう叫び手を天井に向けると、巨大な蒼い炎の龍が現れた。その龍は敵に

 向かって突進していった。敵もあの物量に耐えられなかったのか、肉体が燃え始め光の

 粒子となってこの場から消えた。

 

「(今度は倒せた....同時に倒すのが条件ってことなんだ....)」

 そう思いながら先生の方を見ると、先生の背後にBBさんがいた。

 

「っ、先生!」

 私は咄嗟に叫んだが遅く、先生は真下に向かって落ちていった。それと同時に私の足元の

 地面が無くなった。

 

「っ!?」

 私は"極光鎖"を使って落ちるのを防ごうとしたが、落ちる速度が思っているよりも速く

 私の"極光鎖"は地上に届かず、何処かに向かって私は落ちていってしまった。

 

 ~~~~

 立香side

 

「ごふっ....!」

 BBによって何処かに落とされた俺は背中から受け身も取れず落ちてしまった。

 

「(アイツ....あとで覚えてろよ....!)」

 俺は痛む身体を動かしながら周囲を見た。俺が落ちた場所は廃船の様な場所で、周囲には

 無数の廃船があった。

 

「ここにいたのね」

 すると、廃船の影からメルトが出てきた。

 

「メルト」

「周囲にリップ達はいないわ。BBの事だし分断されてるわね」

「そうか。あいつ等は?」

「さぁ? ....それよりも、色々と聞きたいことがあるんだけど?」

 そう言いながら、メルトは俺の頬をつねってきた。

 

「痛い痛い痛い!?」

「あの本は何? それにさっきの、スカサハの宝具でしょ? 何で立香が使えてるのよ」

「言う! 言うから一回頬から手を....!」

「あ、水月先生!」

 すると、何処からかそんな声が聞こえてきた。声の方を見るとそこには南雲と白崎がいた。

 

「っ! 先生凄い傷じゃないですか!? 今回復魔法を....!」

「大丈夫大丈夫、一応自動回復始まってるから。数十分もすれば完治する。それに魔力は

 温存しておけ白崎。迷宮の半分も進んでないからな。あとメルト、つねるのやめて....」

「....」

 俺がそう言うとメルトは引っ張るように離した。

 

「痛っ!?」

「それで、さっさと話しなさい」

「分かった、分かったから....その前に確認だけさせてくれ」

『リップ、ガウェイン、トリスタン。三人とも無事か?』

 俺はこの場にいない三人に念話をした。

 

『こちらガウェイン。シア殿とパッションリップと同じ場所に落とされたようです』

『周囲は廃村で、わたし達は廃村の中にある家屋にいます』

『こちらトリスタン。ユエ殿とティオ殿と壊れた教会にいます。ただ、近くから

 ガウェイン卿の魔力やマスターの魔力は感知できません。恐らく別の場所に移動したかと....

 マスターはどちらに?』

『こっちはメルトと南雲と白崎といる。場所は廃船だ。ただ三人の魔力は感じない。

 取り敢えず警戒しながら先に進んでくれ。こっちも先に進む』

『『了解』』

『わかりました』

 そう言うと、三人との念話は切れた。

 

「シアはリップとセイバー、ティオとユエはアーチャーと一緒みたいだ。取り敢えず、先に

 進むみたいだから俺達も進むとするか」

 俺はそう言いながら自分の身体に魔法をかけた。すると俺の身体は宙に浮いた。

 

「よし、じゃあ進むか」

 そう言って宙に浮きながら俺は廃船が連なっている方向に進み始めた。

 

 ~~~~

 

「で、さっきの事だったな。あれは俺の宝具の一つだ」

 俺は宙に浮いて進みながらメルトにそう言った。

 

「宝具ですって?」

「あぁ。"英霊の記録(サーヴァント・アーカイブ)"、俺がこれまで契約してきた英霊、縁を結んだ英霊の能力を

 記した本だ。あれを起動することで選択した英霊の能力が使える。さっきは師匠の宝具を

 起動したんだよ。でもあれ、俺が()()()()姿()になった時に使うようだからなぁ....人間の

 身体でやるとアホみたいな反動くるんだよ。それに魔力溜めるのに時間もかかるし」

「なるほどね....だからあんなボロボロになったわけ....」

「そういう事」

「あの、水月先生。今の話を聞いていて気になったんですけど、()()()()姿()って?」

 俺がメルトに宝具の事を話すと南雲が俺にそう聞いてきた。

 

「あぁ....お前等には言ってなかったな。()()()()姿()っていうのは俺の暴走モード。

 一回なったら対象が消滅するまで暴れ続ける俺の切り札みたいなもんだ。詳しいことは

 あんまり話したくないが、まぁ話す時があったら話してやるよ」

 そう話していると....

 

『うぉぉぉぉぉぉ!』

『わぁぁぁぁぁぁ!』

 突然周囲から雄たけびが聞こえてきた。それと同時に空間が歪み、いつの間にか俺達は

 海賊船の様な船の上にいた。そして俺達の周囲には船の船員のような人物も現れ、この船と

 似たような海賊船が周りにいくつも出現した。

 

「これは....」

 突然の風景の様変わりに警戒していると、船同士で魔法の撃ち合いが始まった。

 

「おいおいマジか....! 全員回避!」

 俺は宙を舞いながら三人にそう言った。そして自分に向かってくる攻撃に向かってルーンを

 飛ばし攻撃を相殺した。だが、何故か南雲は手に銃を持っているのに攻撃を避けていた。

 

「どうした南雲。この威力なら銃で相殺出来るだろ」

「それが銃弾が魔法を貫通したんです! 何回か撃ったんですけど全部効かなくて」

「銃弾が?」

 俺はそう言いながら向かってくる魔法を相殺しながらメルトと白崎を見た。二人は自分の

 武器を使いながら攻撃を相殺していた。

 

「....物理は効かないって感じか?」

 俺は近くに落ちていたナイフを拾って魔法に投げた。するとナイフは魔法を貫通し、魔法は

 そのまま俺に向かってきた。

 

「なるほど....南雲、魔力を込めた攻撃を仕掛けろ。物理は効かないみたいだ」

「分かりました!」

 そしてしばらく魔法の相殺をしていると、虚ろな目をした人間が俺達に襲い掛かってきた。

 

「全ては神の御為にぃ!」

「エヒト様ぁ! 万歳ぃ!」

「異教徒めぇ! 我が神の為に死ねぇ!」

「今度は狂信者かよ....」

 俺は寄ってくる敵にルーン魔術を飛ばしながら周囲を見た。

 

「(ちまちまやってるとキリがないな....ここはメルトに任せるのが良さそうだな)」

「メルト! ランサーの霊基になって周辺の船を全部押し潰せるか?」

「....出来るけれど、やって良いの?」

「あぁ。正直、これ以上ちまちまやっててもキリがねぇ!」

「わかったわ。なら、二人を連れて空中にでも逃げてなさい。」

 そう言うと、メルトはランサーの霊基に姿を変えた。その姿は普段のペンギンパーカーの

 姿ではなく、水上のプリマドンナ....あの特異点で誰よりも輝いていたスタァの姿だった。

 

「了解。南雲、白崎。俺達は離れるぞ」

 俺は二人にそう言って空中に退避した。二人も俺の言葉に反応し、それぞれの方法で空中に

 飛んできた。

 

「水月先生! メルトリリスさんは....」

「メルトは今から周辺の船を全てぶっ壊す。近くにいると危険だから退避したんだよ」

 そう話していると、メルトは海の中に飛び込んだ。そして次の瞬間、海水は急激な渦潮を

 起こし周囲にある船を次々と海の中に飲み込んでいた。

 

「やっぱメルト、前より魔力量増えてるよな....」

 俺はそう呟きながら次々と破壊されていく船を眺めていた。そして全ての船が破壊されると

 メルトは海面に上がってきた。そして俺達を見て手を振ってきた。俺と二人はメルトの

 近くに降りた。

 

「ありがとなメルト」

「えぇ」

 そう話すと、再び周囲の空間が歪んだ。そして気づけば俺達はさっきまでいた廃船の上に

 いた。

 

「さて、取り敢えず突破したことだし....あそこに現れた客船に向かってみるか」

 そう言って、俺はさっき見えなかった客船の方を見てそう呟いた。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。