人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている   作:アイリエッタ・ゼロス

77 / 78
この世界の過去/更なるセンチネル

「二人とも警戒しとけよ。どのタイミングで来るかわからんからな」

 俺は二人にそう言いながら客船のテラスに降りた。そして客船の中をしばらく

 歩いていると周囲の空間が歪み始めた。

 

「またか....」

 俺が周囲を警戒していると、周囲の景色は会場パーティーの様なものに変わった。

 

「これは....」

「パーティー....ですかね?」

「みたいね。さっきまでとは随分と大違い」

 そう言いながら船の中を歩きながら周囲の会話をよく聞いた。この海上パーティーは長年

 続いていた戦争の終戦を祝う為のものらしい。敵国の殲滅や侵略という形ではなく、

 和平条約を結ぶという形で戦争を終わらせることができ船員達も嬉しそうだ。船の中には

 人間族以外に魔人族や亜人族も多くいる。その誰もが種族の区別なく談笑をしていた。

 

「この世界にこんな時代もあったんですね....」

「みたいだな」

「(だが妙だな....さっきと明らかに違い過ぎる。これで終わるとは到底思えないな....)」

 俺はさっきの海賊船の違いを怪しみながら周囲を観察していた。すると、甲板にある

 壇上に初老の男が登った。その男に気が付くと、全ての人が静かになり初老の男に注目した。

 その男の近くには側近らしい男とフードを被った人間がいた。

 

「(あのフードの奴は何だ....? この状況であの姿は明らかにおかしい....)」

 そう思いながら、俺はフードの人物を注視しながら初老の男の話を聞いていた。

 

「諸君。平和を願い、そのために身命を賭して戦乱を駆け抜けた勇猛なる諸君、平和の使者達よ。

 今日この場所で、一同に会す事が出来たことを誠に嬉しく思う。この長きに渡る戦争を

 私の代で、しかも和平を結ぶという形で終わらせる事が出来たこと、そして、この夢のような

 光景を目に出来たこと....私の心は震えるばかりだ」

 そうして演説が続いていく中で、フードの人物の目が光った。

 

「(....今のは)」

「....こうして和平条約を結び終え、一年経って思うのだ。....私は、実に愚かだったと」

「....二人とも、周囲を警戒しておけ。予測が当たってたら来るぞ」

 そう言って、俺は空中にいくつかのルーンを描いた。

 

「そう、実に愚かだった。獣風情と杯を交わすことも、異教徒共と未来を語ることも....

 愚かの極みだった。わかるかね、諸君。そう、君達のことだ」

 そう言いながら、初老の男は魔人族と亜人族を指差した。そして魔人族の男が動揺しながら

 初老の男に近づくと、魔人族の身体から無数の剣が生えその場で地面に倒れた。そして、

 初老の男はエヒトへの狂信を叫んだ。それと同時に周囲から兵士達が現れた。その兵士達は

 魔人族や亜人族に向かって無数の魔法を放ち始めた。だが、今回は何故か俺達に攻撃が

 当たらず、幻だけに攻撃が当たっていた。そして、この攻撃の隙に初老の男達は船の中に

 戻っていった。そんな中、フードの人物の顔が一瞬見えた。フードの人物は女で、銀髪の

 人形みたいな女だった。

 

「(あの女の気配....まさか....)」

 そう思っていると、周囲の空間は歪み始め周囲は廃船が転がっている風景に戻った。

 

「うっ....」

「....香織、気持ち悪いなら吐いた方が良いよ」

 南雲はそう言いながら白崎の背中を擦っていた。

 

「今のがこの世界の過去みたいね」

 白崎の方を見ているとメルトが俺にそう言ってきた。

 

「あぁ。どこぞのキャメロットかっての....」

「それにしても....気づいた?」

「あのフードの女だろ? ウルでパイセンが殺した奴と同じだろうな。戦闘中の気配と

 似てたし」

「つまりは神の手駒がコソコソやった結果が今ってわけね」

「だろうな」

「水月先生、それって....」

「エヒトのせいでこれが起こったってことだ。まぁ、やったのは手駒の奴だが....

 恐らく今もこの世界のどこかに手駒はいそうだな。いるとしたら....帝国かハイリヒか」

 俺は少し考えていくつかの候補を呟いた。

 

「ハイリヒって....じゃあ雫ちゃんが....!」

「可能性の話だ。ただまぁ、これを見たからには一度行った方が良さそうだな。そのためには、

 さっさと攻略するか。行けるか白崎?」

「は、はい。少し楽になったので」

「そうか。じゃあ進むぞ」

 そう言って、俺は新たに現れた魔法陣の方に向かった。

 

 ~~~~

 

 魔法陣に乗ると俺達はSE.RA.PHに戻っていた。

 

『流石に今のは簡単でしたねぇセンパイ♪』

「BB....」

 SE.RA.PHに戻った瞬間、BBの声が聞こえてきた。

 

『ま、あの程度で狼狽える様じゃセンパイ、今頃精神異常きたしてますもんね』

「余計なお世話だ....それよりも、セイバー達はどうした?」

『ご安心を。別の場所に転移させただけですので。このセンチネルを突破したら会えますよ!』

 BBがそう言いながら指を鳴らす音が聞こえたかと思うと、俺達の目の前に黒い靄が現れた。

 そしてその靄はその場で人型に変わった。

 

『今回は十分間、耐えることができたらクリアです! ただ、攻撃に極振りしてるので一撃が

 致命傷だと思ってくださいな!』

 そう言い終わるとBBの声は聞こえなくなった。

 

「おいマジか....とんでもない人センチネルにしやがった」

「先生、あの人は....」

「ライダー、古代エジプト最大最強の太陽王....真名オジマンディアス。俺が契約してる

 王のサーヴァントの一人だ」

「最大最強の太陽王って....その肩書ってことはかなり強いんじゃ....」

「そんな言葉で済まねぇよ! 取り敢えず今回は耐久ってBBが言ってるんだ。とにかく避けて

 避けて避けまくれ! 下手に防御や反撃は二人は絶対にするなよ!」

 そう叫んでいると、オジマンディアスは杖を掲げた。すると空中に、無数の光が集中した。

 

「来るぞ! 絶対にあの光に当たるなよ!」

 

 ~~~~

 ユエside

 

「どの世界でもこのようなことが起きるのですね....あぁ、私は悲しい....」

 アーチャーは今見た光景が消えていく中、そう呟いた。私達が見たのは過去のトータス

 だった。そこでは全ての種族が仲良くパーティーを行っていたのだが、突如人間の王が

 多種族に対して攻撃を仕掛け辺りを血の海に変えた。そしてその王はエヒトに狂信を

 叫んでいた。

 

「お主の世界でもこのような事が起きたのか?」

「えぇ。正確には、私達の世界ではないのですが....マスターが旅してきた世界の一つに

 似たような世界があったのです。善き人々だけを生かしその他は虐殺する....先程と

 同じようなことが、マスターの旅の中ではあったのです」

「....リツカの旅、そう思うと危険」

「えぇ。マスターの旅は、決して容易な旅ではなかった。言い方は悪いですが、よくも

 まぁ五体満足で旅を終わらせることができたと思います」

 そう話しながら出口の方に進み魔法陣の上に乗ると、私達はさっきの迷宮に戻っていた。

 

「っ....!? お二人とも、来ます」

 迷宮に戻った瞬間、アーチャーは何かに気づいたのか弓を構えた。すると私達の目の前に

 黒い霧が現れ、黒い霧はどんどんと形を変えていった。そして霧は馬に乗った人の形に

 なった。

 

「っ!? なるほど....性格の悪いBBらしいやり方ですね....」

 アーチャーは影の形を見るとどこか苦々しい表情に変わった。

 

『アナタ方に用意したのは彼女です! 十分間、彼女の攻撃を耐えることができれば

 クリアですよ!』

 そう言って、何処からかBBの声が聞こえてきた。

 

「お二人とも、攻撃よりも防御や回避を優先で。特にあの槍の攻撃は受けない方が

 よろしいかと....」

 アーチャーがそう言うと、馬に乗った人間は槍を掲げた。

 

「一先ず、ここを乗り切りましょう」

 

 ~~~~

 ガウェインside

 

「ふむ、どうやら元の迷宮に戻れましたね」

 マスター達と分断された後、私達はこの世界の過去を幻で見た。その幻はこの世界の神を

 狂信したものによる他種族の虐殺だった。

 

「亜人族が差別されたのってあの時からなんですかね....」

「恐らくそうでしょう。虐殺が始まる前までは種族間での差別はなかったように思えます」

「でもあの村長みたいな男、途中から様子が変だったけど....」

「えぇ。それに関しては同感です。洗脳か、もしくは催眠の類だったのか....」

 そう話しながら歩いていると、私は強烈な殺気を感じその場で剣を抜いた。

 

「セ、セイバーさん?」

「シア殿....どうやらBBはとんでもないものを用意したようです」

 そう言って殺気の方を見ると、そこには黒い霧が浮遊していた。そして黒い霧は

 揺らめきながら形を変え、人型に姿を変えた。

 

「な、何ですかあの骸骨は!?」

「マスターが契約している英霊(サーヴァント)の一人です....」

 シア殿の驚きの言葉にパッションリップはそう返した。

 

「その中でも、最強格の一人に名を連ねる方です」

 そう言って、私は目の前で剣を地面に突き刺した山の翁と向き合った。

 

『さて!アナタ達には彼を用意しました!見事十分間耐えることができればクリアですよ!』

 どこからかBBの声が聞こえたかと思うと、山の翁は地面から剣を抜いた。

 

「シア殿、決して油断されぬよう。パッションリップ、出来るだけシア殿のサポートを」

「わかりました」

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。