誤解なく分かり合える人がいれば世界は?   作:天羽々斬

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プロローグ

 

 

C.E71 5月5日 

 

けたたましく鳴る警報、重い身体を引っ張られる感覚。

 

「もう少しだ。もう少しで格納庫に着く....そこまで頑張るんだ」

 

壮年の男から優しくかけられる声。この人は誰?

 

「ついたぞ。」

 

格納庫に着き、照らされる光に目が慣れなかったからか目を細める。

徐々に目が慣れていき目の前の光景に息をのむ。

そこにあったのは『白』だった。何物にも汚されない白亜だった。

 

「きれい」

 

思わず声に出すと男はこちらを一瞥する。

 

「行くぞ」

 

男は再び僕を引っ張ってその『白』に近づいていく。

昇降機に乗り『白』の胸部に近づくと男は慣れた手つきで胸部付近に触れる。すると『白』の胸が開き僕はそこに入れられる。

 

「時間がない、説明するぞ。この機体に研究所からの脱出ルートをダウンロードしてある。これに従ってここから出るんだ。」

 

続いて男は

 

「お前はこの混沌の世界における唯一の希望だ。時が来たらお前がナチュラルとコーディネーターの架け橋になるんだ。」

 

そう男が言った次の瞬間格納庫内に銃声が響く。

 

「困りますね~博士。勝手なことをされてしまうと。」

 

格納庫に軽薄な声が響く。声の方向に目を向けるとそこには軍服の男達が立っていた。

 

「やっとの思いで再生させたその機体に一体いくらかかったと思っているんですか、ましてや我が軍の希望でもあるコード0まで一体何を考えているのです?。」

 

「この子は希望だ。この世界を救うための」

 

「ええそうです!そのコード0は我々地球連合軍にとっての希望。忌々しいコーディネーターどもを絶滅させ青き清浄なる世界を実現させるための鍵。さぁ返して下さい。」

 

「違う!この子はナチュラルとコーディネーターの架け橋となるべき存在だ!」

 

「....どうやら議論は平行線のままのようです。あなたの能力は買っていたんですがね。」

1発の銃声が響く。

 

「ぐっ!!」

 

目の前で男が撃たれた。だが男は撃たれると同時に『白』のコクピット閉じた。

 

「まったく面倒なことを、この機体にはまだ判明していないブラックボックスがあるのであまり壊したくはないんですがね。仕方ありませんか、ダガーをこちらに」

 

閉じられたコクピットの中で男は血にまみれながら言う。

 

「もうすぐここ...にMSが来る。戦うしかない。お前にはそれだけの...力がある。この機体....『ユニコーン』と一緒にこの...狂った世界を正しく導い...てくれ....」

 

そう言った後男は動かなくなった。

知らない男のはずだった、知らない男のはずなのに何故だろう、いろんな感情が流れてくる。だが時間は待ってはくれない。コクピット内アラームが響く。

 

「中のコード0は無傷で取り出してくださいよ。我々にとって何物にも代えがたい物ですからね。機体は仕方がないですがまた金を出してもらいましょう」

 

目の前に青い巨人が近づいてくる。思わず操縦桿を握る力が強くなる。

その瞬間目の前のディスプレイに「NT-D」の文字が浮かびあがりコクピットが僕を拘束するように変形していく。ユニコーンの白い装甲の隙間から赤色の輝きを見せる。

 

「何なのですか、これは」

軍服の男がつぶやくと同時にユニコーンは変形していく。全身の装甲が開いていき、最後に一本角が開く。

 

「これが隠されていたこの機体本来の姿ですか...」

 

ユニコーンはビームトンファーを展開し腕を上げる。本来の機体のスペックでは考えられないような巨大なサイズのビームサーベルが展開され格納庫の天井をも貫く。

 

「素晴らしい!!このような力がこの機体には!あなたには!隠してあったんですね。ぜひその力で青き清浄なる世界をっ」

 

それが男の最後の言葉だった。展開されたビームトンファーは天井、壁、こちらを鹵獲しようとするダガーも関係なく全てを溶断していった。

その日地球連合軍基地の何者かの襲撃に合い全滅する。襲撃者は不明、生存者なし。

 

 

 

意識が浮上していく、目を開けると青い空が目に映る。体を起こすと木々が生い茂っているのが見える。

 

「何処ここ」

 

周囲を見渡すと同時に視界の下に何かが映る。冷たく、動かなくなった男だった。

 

「............」

 

少年はコクピットを開放する。男を引っ張り出すと男を木にもたれかからせる。

 

「あなたが誰かなんてわからない。でも........」

 

少年はユニコーンのコクピットに戻る。

 

「僕が導くよ。何年かかっても」

 

そう言って少年はユニコーンを駈りこの場を去る。

 

 

 

『託す』

そう聞こえた気がした。




元気があれば続きます。
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