地球低軌道上をコンパスの主力戦艦である『ミレニアム』がアラートを鳴らしながら航行する
『コンディションレッド発令。コンディションレッド。東アジア共和国、コウライ自治区領内へブルーコスモスと思われる攻撃部隊が進行。パイロットは搭乗機へ、各隊員は速やかに所定の作業を開始せよ』
艦内の乗組員が忙しなく動いており、艦橋では現状に関して情報共有が行われていた。
「行動探査によると進行部隊はシラギ市街から発進したと推測。すでに会敵しており戦闘が開始されているようですが、コウライ自治区全域に強力なジャミングがなされていて戦闘状況が全く不明な状況です。」
技術大尉であるアルバートが、ミレニアム艦長であるアレクセイに状況を報告する。それに対してアレクセイは各位に指示を出していく
「コンパスヘッドクォーターに回線を固定。コウライ自治政府には呼び掛けを続けるんだ。」
ミレニアム格納庫内でオペレーターの声が響く
『ヤマト隊発進準備を』
各パイロットが自身の機体のコクピットへ入っていく
青い機体には英雄の『キラ・ヤマト』が乗っていた
『敵部隊は大隊規模との情報ですがそれ以降、コウライ自治区全域のジャミングにより連絡が取れていない状態です。コウライ自治区の防備を考えますとかなり危険な状況が予想されます。』
「了解。フリーダム突入後、シンは政府施設の防衛を。ルナマリアとアグネスは市民の避難を誘導しつつコウライ守備軍の援護を。」
『『『了解!』』』
「ハーケン隊はミレニアムをお願いします」
『まかせな、隊長』
アレクセイの情報提供を聞きキラは自身の部下に指示を出していく。
『ヤマト隊出撃後、本艦もコウライ自治区へ突入し民間人の救助に入ります。よろしいですね』
「了解」
各々が自身の役割を把握していく中で発進準備が進んでいく。
ミレニアムのカタパルトに『ゲルググメナース』『ギャンシュトローム』の2機が接続され発進許可が出される。
「ルナマリア・ホーク。ゲルググ出るわよ!」
「アグネス・ギーベンラート。ギャン出ます!」
続いて『イモータルジャスティス』『ライジングフリーダム』の2機がカタパルトに接続され同様に発進許可が出される。
「シン・アスカ。ジャスティス出ます!」
「キラ・ヤマト。フリーダム行きます!」
4機のMSが出撃する。コウライ自治区の民間人を救うために。世界の平和のために。
大気圏に突入し、徐々にコウライ自治区が近づいてくる。だが戦場が近づくにつれキラはある異変に気付く。
「......おかしい。」
『どうしたんですか?隊長?』
キラの発言に対してシンが疑問を投げる
「静かすぎる。戦場まで20㎞を切った。なのに戦闘の光、ましてや音まで聞こえないなんて」
今までにない状況にキラの中に緊張が走る。
「急ごう!」
そう言ってMSのスラスターを全開にして現地へ急行する
そして空から見えた景色に絶句する
「なんだよ....これ....」
シンが呟く
そこにあったのは、50機以上の破壊されたダガーやウィンダム、戦場の中央にはデストロイが仰向きに倒れていた
シン、ルナマリア、アグネスが絶句する中、キラだけは視界の端で起きた爆発を逃さなかった
「あれは!」
「隊長!?」
爆発が起きた場所に急行するキラ、そしてそれを追うシン。二人の目に映ったものは妖しい赤色を纏った白いMSが残った最後のウィンダムに切りかかる姿だった
「ッ!やめろ!!」
キラは思わず白いMSの進路上にビームライフルを放つ
白いMSはこちらに一瞥もくれることなくビームライフルを避ける。この間に最後のウィンダムはスラスターを全開にして逃げ去ってしまった
白いMSはウィンダムが逃げていった方向を眺め、次にこちらに目を向ける
「こちらは世界平和監視機構・コンパス直ちに戦闘を停止せよ」
目の前の白いMSに停戦を促す。だが
『コイツ!』
白いMSは武装を解除することなくもう1本のビームサーベルを展開しこちらに近づいてくる。その姿を挑発にとらえたのかシンは激昂する。
「まだ切り足りないってことか!隊長ここは任せてください!」
シンはジャスティスを駈り白いMSに接近する
『シン!だめだ!コイツは普通じゃない!』
ジャスティスはビームサーベルを展開し白いMSに切りかかろうとする。だがそれよりも早く白いMSのビームサーベルがジャスティスの左腕部を溶断した
「なっ!?コイツ早すぎッ」
白いMSは返す刃でジャスティスのコクピットを狙う
「ヤバッ!」
『シン!!』
だがその刃をキラのフリーダムがシールドで受け止める
「シン下がるんだ!コイツは僕が相手をする!」
「ッ!了解!」
シンは悔しさを噛み締めながら後方へ下がる
シンが後退したのを確認しキラは白いMSのビームサーベルをシールドで払いのけると同時に腰のビームサーベルを抜き居合術のように切りかかる。
だが
「なに!」
こちらの攻撃が紙一重で避けられた
「今のを避けた?」
まるでそこに攻撃が来るのがわかっていたかのように
「くッ!」
その後も熾烈な切り合いが続く。高等技術の応酬に遅れてやってきたルナマリアとアグネスは目の前の光景に息を飲む。
「何なのよこれ」
「ッ!隊長援護します!」
アグネスの言葉に対してシンは制止する
「よせ!アグネス!」
「何でよ!このままじゃ隊長が!」
アグネスはシンにかみつくが
「俺たちが行っても邪魔になる....悔しいけど」
「ッ!いいわよ根性なし!私だけでも行くわよ!」
「アグネス!」
アグネスはシンの制止を聞くことなく切り合いに突っ込む
「隊長援護します!」
大型ビームアックスを振り上げ白いMSに切りかかる
「あれ?どこに!?」
白いMSは一瞬でアグネスの目の前から消えた。そして
「きゃッ!」
気づくとギャンは四肢を切り落とされていた。コクピットはアラートが引っ切り無しなっていた
「くッ!」
ギャンのカメラは生きていて白いMSがこちらに向けてビームサーベルを振り落とそうとする姿が見える
「嘘?あたしここまでなの?まだあたし......」
そういって目をつぶり覚悟を決める
『アグネス!』
が間一髪のところをキラが救う。だが救った代償は大きく、フリーダムの右腕部がなくなっていた
『ルナマリア、シン。アグネスを連れて下がるんだ!』
そう言ってキラは再び白いMSと切り合いを再開した
『アグネス!大丈夫!』
ルナマリアの心配する声が聞こえる。
「.....えぇ、大丈夫よ」
ルナマリアはアグネスが生きていたことに安堵するが、白いMSとフリーダムの戦闘は終わりへ向かっていた
「グッ!」
元々押され気味であったがフリーダムの右腕がなくなったのが決定打となった。徐々に押されていく
「クッ!こんな!」
フリーダムが徐々に破壊されていく
『隊長!!』
シンの叫ぶ声が響く
白いMSの刺突がフリーダムのコクピットを貫こうと近づいてくる
「あぁ、ラクス.....」
自身の死の直前に出た言葉は最愛の人の名前だった....
「おい」
声が聞こえる
「おい、レイ起きろ!」
誰だろう、この声は
「さっさと起きろ!」
この声は
「アレンさん.....」
「起きたか寝坊助め」
「何であの時死んで....」
「あぁ、死んだ。だけどあまりにも情けないお前の声が聞こえてな」
「僕は!誰も助けれなくて......もう何も考えれなくなって....」
「.................」
「もう何もかもどうでもよくなったんです.....」
「お前の夢ってのはそんな簡単に諦めちまえるものなのか」
「.....この世界は醜い。他者と争い、奪い合う。なんで助け合わない。こんな世界を導くなんて俺には....」
「確かにこの世界は醜い、だがお前にはこんな醜い世界を変えることのできる可能性がある」
「アレンさん......」
「ほら、そろそろ時間だ!今回は俺も止めるのを手伝ってやる。」
そういってアレンさんは僕の手を握る
「レイ、お前といた1年楽しかったぜ」
アレンさんに握られた手から緑色の光が溢れていく
フリーダムのコクピットに迫っていたビームサーベルが動きを止める。
「何が!?」
妖しく赤色に光っていた筈の白いMSが苦しむように後ずさり、妖しい光は徐々に失われていき、優しい緑の光が白いMSを包み込む。その光は白いMSだけでなくコウライ地区全域に広がっていく。
あまりのまぶしさにキラは目を瞑る。眩しさに目が慣れていきゆっくり目を開く。そこには
「.....フレイ?」
一瞬の出来事だったすぐに消えてしまった。だがそこには本当にいたような気がした。
「今のは......」
そして目の前のMSは膝をついていた。緑の光は消えていく。光が完全に消えると白いMSの装甲は閉じていく
「.......ミレニアムへ、作戦終了。MSを1機鹵獲した。」
まだ元気があるすごい