盈月の儀で八人目になったのですが、何故か英霊がいません 作:飽き性なSS作家
「告げる!汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯のよるべに従いこの意、この理に従うのなら」
なにも見えない闇の中で誰かが叫んでいる。だがそれは、決して悲鳴でも、誰かに助けを求めているようには聞こえなかった
ただ
「我に従え! ならばこの命運、汝が剣に預けよう!」
それは闇に消えてゆく希望を再び輝かせる、烈火のような力強い声だった
「・・・ううっ」
目が覚め、起きあがろうとしたが体のあちこちから痛みが走り、結局体をあげることができなかった。特にお腹の部分が重い気がする「んん・・・」
原因がわかった。私のお腹の上で隣にいたアリアが両腕を枕にして寝ているからだ
「水雪さまぁ・・・」
「・・・生きてるってことは誰かが助けてくれたのか」
寝言で私の名を呼んだ彼女の頭を静かに撫でる。しかしこの家、天井といい壁といい、継ぎ接ぎだらけ。台風が来たら全部吹き飛びそうな・・・
「んしょ・・・。因幡さん起きて・・・起きてる!?」
「カヤちゃん?じゃあ、ここって・・・」
「どうしたカヤ。おお、目が覚めたのか」
「・・・」ビクッ
「カヤちゃんのお兄さんの長屋・・・へぇー・・・」
兄ちゃん、表に出ようや。久々に・・・キレちまったよ
「・・・助けてもらったのは感謝している。だけど、勝手に隣の長屋を使うのは証文と前金を頂いてからがここの鉄則!長屋一件分の貸し賃は来月から請求するからそのつもりで!返事は?!」
「わ、わかった」
「なぜ、私まで・・・」
二人の頭の上には大きなたんこぶがこさえられていた(もちろんカヤちゃんにはしていない)。体にガタがなければもう三発はいけたかもしれない、痛ててて
体を動かしたらまた痛みが。予想はしていたがカヤちゃんのお兄さんが説明してくれて確信できた。ちくしょう、まさか昨夜の武者が長屋を破壊した犯人だったとは
今度あったら付近にいるであろう主を探しだし、今回の医療費も請求してやる。だけどまずは、二人に自己紹介をしなければならない
「ゴホン・・・改めて危機を救ってくれてありがとう。私はこの辺で地主をしている、因幡水雪。隣にいるのは・・・」
「?なんだ」
タマモと言う前に、その言葉を喉の奥で止めた。その理由は伊織の隣にいる青年にある。見た目は美男、髪を下ろして女装したら女性と間違われるであろう細い体。ただ、伊織の友人にしてはあまりにも年が離れているように見えるた。が
「アリアと言う。宮本殿の隣にいる若君と同じサーヴァント・・・いや、逸れのサーヴァントの役を仰せつかった存在だ」
「!貴殿、こいつがサーヴァントだと、わかるのか?」
「ああ。昨日の偉丈夫と同じような、雰囲気?のような物が見えるので、もしかしたらと思ってね。と言っても、その存在を知ったのは昨日だけど」
決定的だったのは昨日の偉丈夫とは違う、透き通るような水をまとっている・・・と言っても信じないだろうな
「なるほど・・・」
「なら、あまり偽らなくてもよさそうだな。私はセイバーと言う。それでイナバ、隣にいるアリアはなんのクラスなんだ?」
「クラス?そんなものは知らない、というよりサーヴァントには位があるのか?」
「ええ、水雪さま。私達サーヴァントにはそれぞれクラスがあるのです。逸れのサーヴァントとして現界したわたくしは、ライダーとしてここにいます」
ライダー、確か南蛮の言葉で乗り手の意味があったような。なら、アリアはあの大きな狐に乗って戦うのだろうか
「ですが、わたくしが今できることは他人に術を施す程度しかありませんの・・・」
「え、そうなの」
じゃあ、あの
「「・・・」」
え、なに羨ましそうに二人ともこっち見てるの。
「ん゛ん゛っ。だが、ライダー。なぜ貴殿はこの地にいるんだ。昨日ある人から聞いた話では、逸れは召還された霊地から出ることは危険だと聞いたが」
「それはもちろん・・・」
え?なに頬を赤めらせてこっちを見てるの。まさか、まだ俺を骨も残さずに食べる気でいるのだろうか
「水雪さまのことをもっと知りたいからですわ」
「・・・知りたいからって言って、
「うふふ・・・それはおいおい、いたしましょうね」
あかん、確実に死体決定だ。薬物も効かないみたいだし、アリアが寝るまで警戒しなければ。あと
「なら、魔力はどうしたのだ?」
「それは・・・先程ほんの少しだけ頂きました~」
おい、待てぃ!何を頂いたんだ、何を!?