転生したら腕だった件~欲望と夢と青い記録~   作:あかさや

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アビドス三章が過去編みたいなので急いで仕上げて見切り発車。
原作との齟齬は知らん。


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失った右腕のあった所から血が地面に滝のように流れ落ちる。

 

「あはは…誰にも知られずにこんなところで終わっちゃうのかな…? もう、私ってばカッコ悪いなぁ…」

 

何とか逃げ込むことができた遺跡のような所で壁に寄りかかったままズルズルと座り込む。

たまたま、偶然見つけた遺跡に逃げ込むことで生きながら得たが、でも死ぬのが少しだけ先延ばしできただけなのは右肘から途絶えることなく流れ出る血から容易に想像できる。

 

「…ダメな先輩でごめんね……ホシノちゃん…」

 

視界が霞むがヘイローに罅が入っていく感覚が恐怖をあおる。

 

「やだ…まだ……まだ、何もっ……」

 

「おいお前! そのままだと死ぬぞ?」

 

不意に声が聞こえた気がした。

入った時に遺跡には他に誰も居なかったはずなのに男の人の声が聞こえた。

 

「やだ……いやだ……死にたくない…私、まだ、死にたくない…よぉ……」

 

「…オレならお前を助けることができるかもしれん、死にたくなかったらオレの手をとれ。もっとも……」

 

それは死に際の幻聴だったかもしれないけど、もうそれに縋るしかなかった。残った左手を声のする方に必死に伸ばす。

 

「地獄の底まで悪魔と相乗りする勇気が、お前にあるのなら、な」

 

差し伸べられた固い手をつかんだ瞬間、私の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

少し時は遡る。

 

「あー、何でこうなるんだべ?」

 

ふよふよと空中を漂う鳥の翼のような意匠のある赤いガントレットのような右腕、それが今の俺だ。

 

「確かに転生特典で仮面ライダーオーズを選んだけど、何でアンクなんだよ!?」

 

オーズドライバーにバースドライバー、メダジャリバーやライドベンダーに何枚かのコアメダルと大量のセルメダル、と一通り変身アイテムとかは揃っているのに転生したのは主人公の相方の右手怪人。

 

「エイジ、これを使え! ってメダル投げるのか?てかそもそもここ仮面ライダーの世界なのか? まだ遺跡の中だし、でも他のグリードは見当たらないが…まあ、リイマジの可能性もあるか…」

 

そんな感じでぶつぶつ呟きながら考えてると血塗れの女の子が遺跡の中に転がり込んできた。

右腕は既になく大量の血が滴っている事から重傷なのは一目瞭然だ。

 

「おいお前、どうしたんだ!?」

 

「あはは…誰にも知られずにこんなところで終わっちゃうのかな…? もう、私ってばカッコ悪いなぁ…」

 

慌てて声をかけるが俺の声は聞こえないのか一人で虚ろに呟いている。

 

「……おい! おいお前! そのままだと死ぬぞ?」

 

「やだ……いやだ……死にたくない…私、まだ、死にたくない…よぉ……」

 

目の前まで近づいても反応は無かったが、今度は聞こえたのか反応を返してきた。

 

「…俺ならお前を助けることができるかもしれん、死にたくなかったら俺の手をとれ。もっとも……地獄の底まで悪魔と相乗りする勇気が、お前にあるのなら、な、ってホワァッ!?!?!?」

 

色々と格好付けてたら女の子の左手にガシッと力強く捕まれるとそのままだとびたーんと倒れ込む、俺は地面に叩きつけられてしまいセルメダルを吐き出してしまう。

 

「オイコラ何しやがる! 離せ! 死にかけてる癖になんつう馬鹿力だ」

 

火事場の馬鹿力というのか、意識を失いながらもしっかり握られた手から何とか抜け出すと女の子の失った右腕の部分に俺を融合する。

数秒後、憑依することが完了し彼女の身体を依代にしムクリと起き上がる。

重傷のままで痛みのはしる身体に鞭打ってセルメダルの所まで行くとそのセルメダルを右手から吸収し怪我の補修に使用することで身体は何とかなった。

 

「ふう、これで何とかなるか。こいつの意識は…ないな、そりゃああんな重傷なら仕方ねーか」

 

元の色は緑がかった色だったが俺が憑依した結果一部が赤くなってしまった髪を弄りながら呟く。

改めて身体を確認する。十代後半の、おそらく17、8位の女の子なのは間違いなさそうだが自己主張が激しい胸部装甲を持ち上げて思わず「うわデッカ」と言ってしまう。

長い髪が鬱陶しくなって、さすがに勝手に切るわけにもいかないから適当な紐でポニーテールに纏めると彼女の身元が分かりそうなものを探し始める。

着ているのが学生服っぽいから学生証や生徒手帳なんか持ってるかもと思ったらしっかり持っててくれたよ。

 

「アビドス高校、梔子ユメ、か…ってアビドスって、まさか!」

 

学生証をよく見直しても書いてある事は変わらない。

文字だけでなくピラミッドに太陽を合わせたような校章に、張られている写真が

 

「ユメ先輩…ここブルアカなのか……?」

 

転生前にやったことのあるスマホゲーム、ブルーアーカイブのキャラだった。

 

「でもユメ先輩はゲーム開始の一年以上前に死んでるはずだから…もしかして俺が憑依したことで生き延びれる、って事か?」

 

だとすると何だ? もしかしてホシノちゃんことブルアカおじさんがオーズに変身して俺は「おじさん、新しいメダルよ」とサポートするのか?

はぁ、好きなライダーに変身できると思ったのに転生したのはサポートキャラかよ…

ため息をついてたら不意にドドドドド、と遺跡が揺れ始めた。

 

「何だ? 地震か!?」

 

ヤバめの揺れに焦った俺は残ったメダルを本体である右手に取り込むとオーズドライバーなどを手にライドベンダーに飛び乗ってセルメダルを一枚入れて起動させる。

そのままアクセルをふかし女の子ことユメ先輩が転がり込んできた入り口から飛び出すと遺跡が崩れてしまった。

 

「ふう、間一髪だったな…だがいったい何が……」

 

崩壊した遺跡を見ながら何が起こったのか思案していると砂漠が爆ぜる。

現れたのは巨大な機械仕掛けの大蛇…

 

「ビナーくんかよ」

 

アビドス砂漠を根城にする第三セフィラ・ビナー。ブルアカお馴染みの総力戦の顔である。

てか遺跡が崩壊したのはコイツが原因かよ。

砂漠から出てきなビナーを見てたら不意に目があった。

 

「やべっ、ロックオンされた!?」

 

ライドベンダーを反転させアクセル全開すると同時に上げられる咆哮、そしてビナーの口から放たれるゲロビ。

 

「あぶねっ!! おーい!! どこだおじさーん!!! お前の大切な先輩がピンチだぞぉい!!! …中身違うけど」

 

何とかゲロビを回避して逃げようとするもビナーはその巨体で追いかけてくる。

そして放たれる無数のミサイル。直撃こそ免れたが爆風が襲いライドベンダーから投げだされ、砂漠の上をゴロゴロ転がる。

 

「…ったく、チュートリアルに単騎で戦う相手じゃねぇだろ。こうなったら…」

 

口に入った砂を吐き出しながらオーズドライバーを装着し、右腕の本体から取り出した三色のコアメダルを装填する。

 

「ビナー相手にどこまで通じるかやってみるか、変身!!」

 

右腰部分から取り外したオースキャナーをメダルの上を走らせる。

 

タカ! トラ! バッタ!

タ・ト・バ! タトバ タ・ト・バ!!

 

多数のメダル状のエフェクトが取り囲みそれが身体に吸収される。

タカヘッド、トラアーム、バッタレッグのオリジナルコアメダルでは唯一の多色コンボ。仮面ライダーオーズ・タトバコンボへと変身した。

 

 

 

 

 

 

 

ビナーと対峙するオーズ、それを遠く離れた場所から見ていた者が居た。

 

「ククク、よもや古代キヴォトスの欲望の王が蘇るとは思いませんでした」

 

異形の頭部に黒いスーツ姿の推定男性、ゲマトリアの黒服と名乗る男性は観察するように見つめる。

 

「いえ、あえてこう言いましょう、ハッピィバースデイ オォォォズ!!」

 




アンク
仮面ライダーオーズの転生特典を選んだら作中の怪人アンクに転生してしまった転生者。
さらに転生先はブルーアーカイブで、偶然迷い込んできた瀕死のユメ先輩に憑依する。
憑依した影響で髪の一部が赤メッシュとなり瞳の色も赤くなり目つきも鋭くなる。ヘイローも赤いエジプト十字状に変化している。
作中では古代キヴォトスで作られた生物兵器グリードの一機。

【挿絵表示】



梔子ユメ
原作ではお亡くなりになっているアビドスの先輩。
アンクに憑依されたことで死亡を免れたが、意識が戻っていない。



※イメージイラストはnovelAIで作成しました。
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