断頭台…?せめて大司書って呼んでほしいじゃない。 作:システマチック発光ネズミ
新年おめっとさんで御座います。
今日の執筆のお供はモンスター(inアヒルのドナルドコップ)とAC6の反応集です。
テスト勉強チカレタ…チカレタ…
小説書くのタノチイ…タノチイ…
図書館の主
──勇者ヒンメルの死より、28年後。
「よし、これで依頼は完了だね」
「そうですね、フリーレン様。早速報酬を取りに行きましょう」
「ちょっと腹減ったし、ついでに物資も買っていかねぇ?」
フリーレン一行は城塞都市ヴァールを通過し、エング街道上の村…ケライン村に立ち寄り、依頼をこなしていた。
目当てはもちろん、魔導書である。
なんでも、“
「おお、ありがとうございます!ささ、どうぞ。これが報酬の魔導書です」
「「おおー」」「“
「ええ。この村には魔法を使えるものはおりませなんだ。こんなところで埃をかぶるより、あなた方に渡したほうが本も書いた方も喜ぶでしょう。…ああ、そうだ!それともう一つお願いがあるのです。
…森の館の調査をお願いしたい」
「森の館?」
「ええ。と言っても報酬となるものは先ほどお渡ししたそれ以外にこの村にはありませんので、あくまで“お願い”という形になってしまいますが…」
曰く、高台から見て影も形もないのに、森に入るといつの間にか見える。
曰く、森に目印なんてないのになぜか行く方向がわかる。
曰く、見目麗しく、しかし人とはどこか違う少女たちが出入りしている。
曰く、音や振動は感じないのに、たびたび光と土煙が上がっている。
村長も村の若い男衆に聞いただけらしく、詳細な事はわからないそうだが…それでもフリーレンにはいくつか気になったこともあった。
特に、森の洋館の存在“そのもの”。驕っているわけではないが、フリーレンは索敵に一定の自信がある。今回の依頼ではあまり森方面には向かわなかったとはいえ、森は探知魔法の範囲には入っていた。
だというのに分からなかったということは、範囲を限定しているのか…考えたくはないが、少なくとも隠れることに関してはこちらより上手の魔法使い。友好的ならまだいいが…敵対的、あるいは魔族だった場合、最悪パーティーの全滅もありうる。
「…フェルン、シュタルク。二人はここで待ってて。村の守りは頼んだよ。」
「なんでだ?森の調査だけだろ?」
「相手が魔族だったら、少なくとも隠れることにおいてはフリーレン様より上です。戦闘になれば、むしろ私達がいるとフリーレン様の邪魔になるでしょう。それよりも、村で待機して護衛に努めたほうが良い、ということですよね」
「そうだね。それとフェルン、何かあったら合図送るから、“
それだけを告げ、フリーレンは森に足を踏み入れた。
フリーレンが森に入ってから、およそ20分。
彼女は自分の直感とより高密度にした索敵魔法を頼りに、森を進んでいった。
そして…
「おぉ…」
華美な装飾は一切なく、しかし荘厳な館が目に入る。
そして、違和感に気付く。
「これは…索敵に使っている魔力が吸収されているのかな。」
問題は、これだ。
対魔族用の索敵魔法を使っているものの、あの建物のあるところだけまるで何も無いかのように反応が空っぽなのだ。
ありうるとすれば封魔鉱…だが、封魔鉱を加工することは出来ない。
硬度や魔法に対する耐性はもちろん、熱に対する耐性だって一級品なのだ、加工できるとしても神代クラスの古代文明くらいしかない。見るからに新築なあの館にあるようなものじゃない。もしかすると、索敵魔法を無効化ないし妨害する魔法具があるかもしれない。
扉の近くまで来てみるが、ここでも索敵魔法の反応はない。
「壁だけかと思ったけど、扉もなんだ。」
いつでも“
「あら?」
「っ“
薄紫色の髪、クワガタみたいな大きな角。
魔法は使えないが、この魔力と姿形は間違えようがない。
北部高原の、南の勇者率いる北部連合軍対シュラハト率いる七崩賢の戦いにおいて連合軍を文字通り
「…久しぶりだね」
「そうねぇ…80年ぶりくらいかしら?」
七崩賢、“軍勢”のアウラ。
「ここは…図書館かな?」
「ええ!魔王軍が解散したからやっとマトモに運営できるようになったのよ!」
「…あのとき言っていたことは本当だったんだ。」
「あのとき?あぁ、グラナト伯爵領の撤退戦のこと?あれはびっくりしたわぁ、北部高原で
ここから少し先のグラナト伯爵領で起こった防衛戦。
80年前、北部高原の南の勇者との戦いから南に
フリーレンとしては、色々と苦い思い出のある戦いである。
ヒンメルとアイゼンの斬撃は地面から生える砂鉄の奔流によって弾かれ受け流され、ハイターの女神の魔法を以てしてもあの防御を貫くことはできず、フリーレンが撃ち込んだ“
結局2日に渡って戦闘し、手駒をすべて削られたアウラが撤退、姿を晦ましたのだが…
『そもそも七崩賢になんてなりたくなかったのよ!!』
『魔族は戦争に勝つために常識すら捨てられない傲慢馬鹿ばっかりだし!』
『七崩賢ならまだいいけど全体で見れば協調性のきの字もないし!』
『私は図書館でゆったり本を読めればソレで良かったのよ…食糧問題も解決できてるし!』
『あと南の勇者!あれもうヒトやめてるでしょ!あの戦いで七崩賢の半数以上消し飛んだのだけれど!?勝ち目なんてあるわけないじゃない!!もーやだぁ!!』
…以上、戦闘中にアウラが放った愚痴(?)である。
正直フリーレンとしては、魔族とは全く思えない魔族だ、という第一印象を受けた。
血の匂いはするが、後で出会った“不死なるベーゼ”や“黄金郷のマハト”にははるかに及ばず、しかし制限を外した魔力はハイターを軽く凌ぎ、今までで見たこともない魔法を多く使う。
本心かどうかは分からなかったが、少なくとも魔族に協調性のきの字もないというのは共感できた。
…今となってはおおよそ本音なんだろうと分かったが。
なにしろ本気で穏やかな表情なのだ。少なくともフリーレンにはそう映った。
「びっくりした。未だにあの“契約”は続いてるんだ。血の匂いが薄れてる。」
「あぁ、あの契約ならもう期限は切れてるわよ?まぁちょっと前にドワーフの戦士の…アイゼンと同じ契約をしたけど」
アウラとヒンメル一行の戦闘の終盤に、アウラが使った魔法による“契約”。これによりパーティーの中で最も有効打を与えられたヒンメルが無力化され逃げられたが、同時にアウラは大きく弱体化するだろうと目されていた。
内容は単純、“勇者ヒンメルは大魔族アウラを害さない代わりに、大魔族アウラは人類を害さない”。つまりは不戦条約である。
「そういえば、ここじゃ魔法を使えないみたいだけど。なんで?」
「封魔鉱よ?」
「へ?」
「なにかおかしいかしら?」
「いやいや、流石に嘘だよ。封魔鉱は加工できるわけないじゃん。魔法具とかでしょ?早く見せてよ。」
「…しょうがないわねぇ。ほら、こっちよ」
外に出て、壁に打ち付けられている釘を抜く。
断熱材として入っている草の中に、淡く光るモノがあった。
「…ホントに封魔鉱だ。しかもこれ、凄い純度じゃない?」
「ふふ…封魔鉱自体を加工できずとも、不純物側をどうこうするのは出来るのよ。薬品にぶち込んだりね」
「薬品?」
「ええ、硫酸とか水酸化ナトリウムとかね。あとは…“
「どういうこと?」
“
フリーレンが煮え湯を飲まされた魔法の一つ。高速で迫ってくる剣にこれが掛けられると、たちまち万物を掘削するドリルに変貌する。アイゼンが全力で防いでくれなかったらフリーレンの片腕は今なかったかもしれない程に凶悪な魔法だ。
「確かに、封魔鉱はとんでもなく硬い。どこからノミを打っても、金槌で叩いてもせいぜい少しの傷が付く程度。でも、それは
「“
「いや、おかしいよ。だって封魔鉱は魔法を無効化するんだよ?魔法で回転なんて…」
「棒にくっつければ良いじゃない。」
「………そうだね。」
至って普通のやり方を提示され、フリーレンは止まった。
先程まで“封魔鉱の加工と純度の上昇”なんてぶっ飛んだ話をされていた分、衝撃も強かったのだろう、2秒ほど停止した。
「そういえば、ゼーリエとかは来なかったの?」
「ん?来たわよ…大体三十年くらい前かしら」
31年前、図書館“増築”中。
「〜♪」
“軍勢”…もとい、“大司書”のアウラは、とてつもなく慢心していた。
まぁ、仕方ない部分はある。
なにせアウラにとってストレスの塊であった魔王軍が解散したのだ。
今まで嫌嫌やっていた軍の運用も、ぎゃいぎゃい煩い(一応)部下も制圧しなくて良い。南の勇者のようなバグってる敵の相手もしなくていいし、魔王からの命令に従う必要もない。
そして、趣味に没頭できる。
生まれだの性別だのといったことは憶えていなかったが、アウラは転生者であった。
そいつは、とかく本が好きだった。学び舎では休憩時間になっては図書館に入り浸り、放課後になっては公営の図書館に入り浸り、休日になっては本屋に入り浸った。
もはや
ついでに本を読んで得た自身に全く関係のない知識も。
故に、アウラは趣味人だった。
己の好きなことを思う存分できることにうち震えていた。
「〜♪♪」
それはもう、慢心していた。某AUOが如く…いやそれ以上に、慢心しきっていた。
故に、厄災はやってくる。
「〜♪〜──ズドォン!!──きゃ〜!?!?」
−“最強”ゼーリエ、降臨。−
ここがゲームの世界なら、こんなテロップが出るだろうと思えるダイナミック突撃である。
「ほぅ…貴様だな?“軍勢”のアウラは。」
「…せめて“大司書”って言ってほしいわね」
恐怖。
アウラはただひたすらに恐怖を感じた。
自身を圧倒する魔力量。確認するまでもない、殺戮の技術。
…しかし、惜しくもここはゼーリエの全力を出せるフィールドではなかった。
「まぁ、良い。“
「ッ…?あ。」
ここは増築工事中の、しかも最終段階の内装取り付けの部屋。
壁の断熱層にはもちろん精製済みの高純度封魔鉱が混ざっている。
更に、この部屋には試験的に“封魔鉱混成床板”を採用していたので部屋を中心とした半径38歩*2は魔法が使えなくなっていた。
「魔法具か?にしては強いな…まさか。」
「正解は言わないわよ…あなた、名前は?」
「フン、魔族に名乗る名はないな?」
「上等…大体わかったわ。“ゼーリエ”。違う?」
アウラは、収蔵する本を一冊一冊丁寧に読んでから本棚に並べる。その中には、“人類の英雄総一覧”という本もあった。
その最後のページ。そこに記載されている人物こそ、人類側最強にして最古の魔法使い、“ゼーリエ”だった。
「魔法都市オイサーストにいる大陸魔法協会の長、世界最古の魔法使いがなんでここにいるかは知らないけれど…」
アウラは戦々恐々としていた。正直、封魔鉱があるとはいえ相手が肉弾戦をしてこないとも限らないし、永い生涯の中で封魔鉱の対処法を知らないとも限らない。
それはそれとして、アウラは静かにキレていた。
“あと少しで図書館の増築が完了したのに…おまけにもう運んでた書籍入りの本棚がいくつか吹っ飛んだ!こんのロリババァ絶対に許さん!!!”
…と、まぁ。
自身のライフラインを木っ端微塵に破壊されたのでキレるのは当然ではあった。
そして、キレる方向もまた独特であった。
「とりあえず、修繕費。ライヒ金貨10枚ね?」
___ここから簡単ダイジェスト*3___
ゼ「あ゛?んでテメェに金払わなあかんのや。魔族風情が抜かすなや」
ア「んだとコラ、ここじゃ魔法使えんのが分かっとらんようやな年増エルフ」
ゼ「なんや若造、イキっとるんか?つーかその魔力、12年前の大爆発*4で見たな?さてはテメェじゃろ。沿岸の街が盛大にぶっ壊れてんねん、そっちこそ金払ってもらおか」
ア「ホォー?証拠はあんのやろな?口だけなら誰でも言えんで?そもそもそいつぁ冤罪やし、追加で慰謝料もらおか?」
ゼ「あん?この私に楯突くんかワレ?雑魚魔族風情が調子乗るもんやないで?」
ア「お?やるんか?えーでえーで、おっ始めた瞬間にオイサーストに隕石ぶち込んだる。弟子もろとも更地にしたるけどええのんか?人類の生存圏はワイの掌の上やで?嫌やったらさっさとワビ入れんかい」
___ダイジェスト終了___
…かれこれ2時間ほどだろうか。
不毛?な言い争いは一旦落ち着きを見せた。
「…っはぁ、つまらん。期待外れだった。帰る」
「そうはいかないわよ」バスバスバス
…落ち着きなんてなかったらしい。
おそらく油断を誘って殺そうとしたのだろう、背中を見せ離れようとしたゼーリエだが、あえなく黄金の糸に絡め取られた。
“ワイヤーランチャー”。
文字通り細長い金属線を飛ばす機械のことである。
動力は火薬だとか、電動だとか、あるいはクモ糸のように発射できるとか色々あるが。アウラの使うものは電動。しかもワイヤー両端をレールガンと同様の仕組み、つまり亜音速で発射される拘束用のものだった。
“魔力遮断合金”。
アウラのワイヤーに使用されている金属の名前である。
まぁつまり、何が言いたいのかというと…“ゼーリエはまともな抵抗もできずにすっ転んだ”。
「あでっ」
「いかに大陸最古の魔法使いとはいえこれは解けないでしょう?何ヶ月も失踪してたら流石に弟子の一人や二人は捜しに来るハズ。というわけでぇ…」
「…まさか」
「慰謝料払うまで石抱の刑」
「………」シオシオ
石抱とは。
わかりやすく言えば、凹凸のついた床板の上に罪人を正座させ、さらにその上に重しの石版を載せる、という昔の刑罰である。
この世界では魔族であることを隠し人里に潜入していたアウラからこの刑罰方法が伝わり、罪人に対する拷問の一つとして用いられていた。そして、その効果は広めた本人がドン引きするほど効果覿面だった。
理由としては、『下に凹凸があるため座ると痛い』『重しがレンガ等で代用できるためポンポン重しを載せられる』など様々だが。
この世界において石抱の刑が恐れられる最大の理由が『正座』である。
そもそもこの世界には“正座”という座り方はなく、そのため人々は座っているとしばしば足の血管が狭まり、いざ立とうとすると痺れてその場に崩れ落ちるのである。
つまり。この時点でゼーリエは弟子が来てアウラに金銭を支払わなければ永久に解放されないことを意味し、ある意味死刑宣告されたも等しい状態になってしまったのである!
そしてせめてもの反抗(身じろぎとも言うが)虚しく、ご丁寧に床に封魔鉱を混ぜたものを使い、重しには鉄のような見た目より軽い金属製洗濯板を十数枚載せられ、3ヶ月もの間シオシオ顔で正座させられたのであった。
余談ではあるが、3ヶ月後に来た弟子は“それはゼーリエ様が悪い”と言いつつ“
「…とまぁ、こんな感じね。お弟子さんの方は時々来てるわよ」
「へぇ、すごいね。…ねぇ、これはなんの魔導書なの?飛行魔法みたいだけれど。」
…会議は踊るよいつまでも。
大量に蔵書されている魔導書の山に、フリーレンはもともとの依頼である“森の館の調査”をそっちのけにして読み耽ってしまっていた。
「飛行魔法よ、間違いなくね。と言っても、50年くらい前に私が個人的に解釈して再構築したものだけれど」
アウラの言にフリーレンは目を見開いた。
なにせ、飛行魔法というモノを人間は解析できていない。80年間、ともすれば今もなお、人類における最高峰といえる者たちが血眼になって研究を続けているというのに。
目の前の魔族はそれをたった50年足らずで解析し、再構築したというのだ。
…おまけに、この魔法は美しい。複雑だけれど理路整然としていて、魔法に触れて数十年の人間だとしても使いやすく工夫に富んでいる。とてもじゃないが魔族らしからぬ(クヴァールの“
「それにこれ、人間が使っているものよりもスピード出るよね。」
「ある程度の条件が揃えば、ね。…というか、何であなたがここに来たの?出会い頭に“
「………あ。」
「フリーレン様、遅いですね…」
どーも作者です。
おおよそ3ヶ月くらいかけて出来ました。
そしてぇ…祝!18歳!!あーんど受験終了!!
やりました。これで私はフリーダムです。
ついでにSEEDFREEDOM見ました。ステラのところで内心大爆笑してました。一瞬ゲッターの機械獣ぽいと思ったのは私だけ…?
というわけで、これまで貯めてたネタを短編か連載の形で投稿していきます。なんせ十数個あるんでね、これから頑張っていきたいと思います。
好評であれば続きを作ったりするかも。
ではでは、また次回。
多分次のネタは、「神(ヤンデレ強火ヒキニート)に愛された少年」です。
…あくまで多分ですからね?書きにくかったら別のにします。