断頭台…?せめて大司書って呼んでほしいじゃない。   作:システマチック発光ネズミ

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最近ちょっとスランプ気味…ということで多分ちょっと短めです。

それと、今回から本格的に司書見習いのレーヴが暴れ始めます。アウラ式飛行魔法とか活躍するかも?

今回の執筆のお供は東方プロジェクトの楽曲とお茶です。


司書見習いと一級魔法使い試験 1日目

魔法都市オイサースト。大陸魔法協会のあるこの地では、様々な魔法使いに関する試験が行われる。例えば、魔導書図書館の司書選抜試験。例えば、協会事務員の登用試験。例えば…

 

「これより一級魔法使い選抜試験を行う」

 

一級魔法使いゲナウが宣言した、“一級魔法使いの選抜試験”。現代の魔法使いとしては最高峰の“一級魔法使い”を決めるための試験である。

 

この試験を受験可能なのは“五級から”、と比較的門戸の広い試験ではあるが、流石は最高峰を決める試験。合格者が多い年でもせいぜい5人、合格者無しなんて年もザラにある。

 

そんな中でも、受験する人は減ることはない。なぜなら、“特権”があるから。

大陸魔法協会の長であるゼーリエは、“一級魔法使いには、自身の望む魔法を一つ与える”と宣言した。そのため現在の一級魔法使い達は、自身の望む魔法によって“化け物”と言えるほどの実力をさらに伸ばしている。

 

故に魔法使い達は、この特権を羨み求めて試験に挑む。

あるいはこれを特別な称号として見、国のあれこれで優位に立つため…なんて人もいるのかもしれないが、それは試験が開催され始めてからおよそ半世紀経過した今でも極々少数だろう。

 

「それでは第一次試験の内容を発表する。パーティー戦だ。

総勢58名。基本三人一組、一つだけ四人一組のパーティーに分かれ試験を受けてもらう」

 

試験官のゲナウが言い終わると、受験者の眼前に腕輪が現れる。当然、この試験を受けたフリーレンとフェルン、レーヴの前にも。

 

「(これは…なるほどね。量産したアイギス、それも初期モデルのLPS*1を解読、流用したのか。コードに若干の改変はあれど、大筋が変わってない)」

 

レーヴが刻まれている文字を見れば…“17"。どうやら第17パーティーへと配属されたらしい。

魔力を通し、他の第17パーティーと合流するレーヴだが。

 

目に映ったのは、なんとも(ギャップが)騒がしい三人。

一人目。身長は150センチ程度だろうか、小柄で老人口調の子供。確か師匠の言うところの「ノジャロリ」というやつだ。まさか実在するとは思わなかった。

二人目。顔つきから見るに30歳程度だろうか。戦士にはよく見るが魔法使いには珍しい丸ハゲスキンヘッドの男。

三人目。豊かに蓄えたヒゲが重力に完全勝利をかましている、ザ・学者といった風貌の40代ほどの男。

 

個性のオイサースト万博とでもいうべきメンツである。

 

「む、やっと来おったか。どうやら儂等のパーティーが四人組のようじゃの」

「個性つっよ。…じゃなくて、待たせてたならごめんね。私はレーヴ、二級だよ。この中じゃ多分、メインの戦闘要員になるかな?」

「俺はブライ。三級だ。…なら俺は支援役か?攻撃手段もあるにはあるが」

「私はドゥンスト。同じく三級です。防御は得意なので、私も支援役になりそうですな」

「儂はエーデル。二級じゃ。精神操作魔法を得意としておる。対人はある程度出来るが、戦闘についてはからきしじゃからの。よろしく頼む」

 

…なんと能力もだった。

 

まさかレルネンおじちゃんの言っていた精神系魔法の権威の娘さんと同パーティーとは、なんて思いながら、一次試験の会場へ移動することになった。

 

お荷物が一人と、おそらくマトモに動けるだろう男二人を連れながら。

 

 

 

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オイサーストから西へ少し行った場所、北側諸国はグローブ盆地にて。

夜が明けて、すっかり日も昇ったところで、試験官のゲナウから試験の詳細が明かされる。

 

…ただし、レーヴにとっては気色悪いことこの上ない景色を見ながら、だが。

 

「第一次試験の具体的なルールを説明する」

「この試験区域には隕鉄鳥(シュティレ)という小鳥が生息している。各パーティーにつき一つ籠を配布しておいた。

 第一次試験の合格条件は二つ。明日の日没までに隕鉄鳥(シュティレ)の入った籠を所持していること。その時点でパーティーメンバー全員が揃っていることだ」

「基本的に行動は自由だが、試験区域の外側に出た者がいた場合は、その所属パーティー全員をその場で失格処分とする」

 

「突破は無理だろうなぁ…。あんな気色悪いやつ、それこそフリーレンくらいののんびり屋くらいしか無理でしょうに。私だったら途中で諦めるね」

「強力な対物理結界か。しかも塵一つ通さんらしいな」

「“ぼくのかんがえたさいきょうのたて”のイメージだけで出力したような…それこそ子供の作った奇っ怪なオブジェだよ。理論も効率もあったもんじゃない。…いや、ある意味それも叡智に当たるのかな」

 

レーヴは気味悪いやと悪態を吐きつつ、万一のためと解析し始める。

 

「それでは第一次試験を開始する」

 

 

合図とともに、森へ歩を進め始める。数分歩いたところで、レーヴは確認するべき事項があることを思い出した。

 

「そういえばさ、皆って隕鉄鳥(シュティレ)についてどのくらい知ってる?」

「そういう鳥がいる、ってことは知ってる」

「私も同じようなものですね。ただ、何やら魔力探知が意味を成さないようです。試験前に見本として出された隕鉄鳥(シュティレ)には、魔力を感知できませんでした」

「儂も名前と姿形だけじゃ。実物は先程のが初めてじゃな」

 

そうか、とレーヴは返しつつ。これからの作戦について脳を回し始めていた。

 

確かに、隕鉄鳥(シュティレ)にはほとんど魔力がないために魔力探知は意味がない。また、ほんの少しでも魔力を感知するとすぐ逃げる臆病さを持つ上、魔力に対する感知能力は魔族並みかそれ以上と来た。

 

逃げ足も速い。最高速度は音速を超え、全力の師匠や速度特化の妹でやっと追い越せるかと言ったほど。私では迫れこそすれ、確保は難しい。更には竜並みの耐久性を持っているために、全速で突進されては私以外ひとたまりもない。

 

「…うーん、鳥を捕まえる魔法があればなー。図書館(ウチ)にはあったけどあんまし読まなかったのは失敗だった」

「なんじゃ、作戦でも思いついたか?」

「いんやまったく。それこそ全員、魔力切れにでもなってる状況なら或いは…ってとこかな」

「それは何故です?」

隕鉄鳥(シュティレ)は臆病なんだよ。魔族が目を凝らしてやっと分かる程度の魔力でも、ビビって逃げちゃう。おまけに逃げ足は音速超えときた」

「だから魔力切れ、か。…捕まえたパーティーから奪うのはどうだ」

「現状それが一番高確率かな。まぁやるにしても、明日の昼頃からだけど。あ、あと上空に注意してね。最低でも二人一組で行動すること」

 

空?と疑問に思いブライが見上げると、そこには巨大な鳥型の魔物。過去の記憶からそれを屍誘鳥(ガイゼル)だと断定し、パーティーメンバーの三人は忠告通り警戒範囲を引き上げることにした。

 

このあとエーデルの体力が尽き、小休止することになったが。レーヴはこれ幸いと手頃な洞窟を探しに行き、無事見つけた洞穴で一晩を過ごすことになる。

 

 

 

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「草木も眠る丑三つ時…だと思ってたんだけど。眠れない?」

「いや、たまたまじゃ。かくいうお前は…」

「結界の解析だよ。と言っても、粗探しをしてるだけだけどね」

 

トトトトト…と、絶え間なく妙な音が響く。

エーデルはこの試験が始まる直前、この結界のことを“子供の作った奇っ怪なオブジェ”と評していたのを思い出す。自身もかなり裕福に、かつ英才教育を受けていると自覚しているが、この魔法を“気色悪い”と評せるほど解析能力に長けてはいない。

 

これが才能の差か、と。

攻撃魔法の修行で散々思い知らされたそれを噛み締めながら、レーヴの隣に座る。

 

「のう、レーヴ。粗探し、というと何なのじゃ?私から見て、これは対物理に特化した強力な結界。塵の一つすら通さんような物じゃぞ?」

「おまけに魔法もね。一点集中させた魔法由来の衝撃だろうとびくともしない。でもね、魔法の世界じゃ天地がひっくり返ることだってある。事実、私は一つ抜け道を見つけた」

 

レーヴがまっすぐ立てた指先が、淡く光る。

…杖の核となる結晶部分を発光させるのは一般的だが、指先が光るなんて魔法を見たことのなかったエーデルは、目を見開く。

 

光の振幅と波長を変える魔法(フォラリザチオン)って言うんだけどね。あの結界、どうやら光は通すらしい。光だって物理現象だってのに。あの結界の構築者は大方大魔法使いゼーリエなんだろうけど、彼女にとって“光”は特に害はないものらしいよ?」

 

知識があれば、そんな馬鹿げたことを考えないだろうに。

 

そうレーヴはつぶやきながら、光に寄ってきた屍誘鳥(ガイゼル)を音もなく消し飛ばす。周辺をほんのり暖かい風が包むが、レーヴは気にせず休息を促す。

 

「ほら、もうそろ寝よ?寝付けなかったら一緒に寝てあげる」

「儂は子供ではないぞ。これでも18は超えておる」

「マジで?年上だったとは…人体って不思議だねぇ」

「…年は幾つじゃ」

「身体は21らしいけど、何年かは意識不明の重体だったからね。実質17、8くらいだよ」

「お前のほうが年上ではないか…」

 

そうして、夜は更けていく。

…なお、結局二人はアウラ謹製寝袋の中で抱き合いながら寝たのだが、それを早起きしたドゥンストによって目撃され。しばらくパーティーの男衆がほわほわした空気に包まれていたが、不定期に発生した屍誘鳥(ガイゼル)の襲撃のせいでそんな空気はさっぱり消え去ったのだった。

 

 

 

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「…まじかよ、やりやがった」

「なっ、これでは飲み水が取れんではないか!ブライ、ドゥンスト、レーヴ!早く融かせ!」

「仕方ありませんな」

「あぁ、これはやらないとやばい…レーヴ?」

 

2日目の昼頃。第二パーティーによる作戦で、試験区域中央にある湖が使えなくなった。凍ったのだ、しかも魔法によるもの故に融かすにも時間がかかる。更に、魔法を使えば隕鉄鳥(シュティレ)は近づきすらしなくなるだろう。

 

「(…いや、もし融かせたら?)」

 

レーヴの脳がフルスピードで回転しはじめる。今までの要素が繋がって、一つの線を描き始める。

 

そもそも、なぜ魔法による凍結は対処しにくいのか。

これは至って簡単。水あるいは氷に対して魔力が付与されているから。融かそうとすれば、この魔力の層を突破して熱を伝えなければならない。

 

ブライとドゥンストに残されている魔力量は、おおよそ最大値の6割ほど。氷側の魔力を見てみれば、とてもじゃないが二人はこの巨大な氷を融かすことはできない。すぐさま魔力切れに陥るだろう。

 

「(魔力切れ…魔力…あ、もしかして)」

「おい、レーヴ?手伝ってくれよ」

 

レーヴは周囲を見渡す。

隕鉄鳥(シュティレ)は、魔力がほとんど無い故に魔力探知を無効化する。探知しようと思うなら、最低限“魔族トップクラスの知覚能力”が必要になるだろう。

 

そう、魔力が無いわけじゃない。魔力があって、探知はその実可能なのだ。精度が馬鹿みたいに必要なだけで。ならば、師匠にもらったこの駆体(カラダ)で、出来ぬはずがない。

 

「見つけた」

「なんだって?というか融かすの手伝って…」

「いや、そのままでいい。二人は氷を融かして。近くに隕鉄鳥(シュティレ)がいる。ほんの少しでも融かせれば、隕鉄鳥(シュティレ)をこっちに引っ張れるかもしれない」

「…行けるのか?他所の水溜りに行ってしまうじゃろう」

「だったらとっくに行ってるはずだよ。行ってないのは、多分他所の水溜りにも魔力を籠めてあるからじゃないかな…どこか一つ、魔力を籠めてない場所を残してさ」

 

ただし、レーヴ達は区域内の地理を把握しきってるわけじゃない。ましてや私が気付けたんだ、他の受験者…特に、ヒゲを云十年剃ってなさそうなお爺さんなら、多分とっくに解き明かしてる。

 

それなら火力と機動力に欠ける私達が動くのは下策だ。あっさり返り討ちになる。

 

「おい、二人共…そろそろ魔力が尽きる」

「こちらも限界です。捕獲するなら準備を」

「おっけぃ、隕鉄鳥(シュティレ)もこっちを見てる。エーデル、魔力抑えて。挟み撃ちにしよう」

「わ、わかった!」

 

二人の魔力が切れる。それと同時に二人の体勢が芯が抜けたように崩れた。

湖をみれば、ほんの少し。それこそ一舐め程度だが、氷が融けていた。

 

「(ナイス二人共。さて、お客さんは…来た)」

 

尻を突き出した格好で倒れたドゥンストに、お目当ての隕鉄鳥(シュティレ)が止まる。そこを、なんとか立ち上がれたらしいブライと魔力を完全に消したレーヴとエーデルで捕まえる。手で押さえ、拘束魔法を幾重にも掛け、やっと抵抗が無くなった隕鉄鳥(シュティレ)をサッと籠の中にいれる。

 

「ふぃー、これで条件達成!…ってわけにゃ行きそうにないね」

「そのようじゃな。いくつかのパーティーが近づいてきておる」

「んじゃ暴れよっか。他所でもドンパチしてるみたいだし…その前に、大地を操る魔法(バルグランデ)っと」

 

レーヴが大地を隆起させ、ブライとドゥンストを守るシェルターを作る。ブライが軽く叩いてみるが、コンコンと、まるで金属でも叩いたかのような音が鳴る。

 

「さてと」

「うむ、では」

 

光の振幅と波長を変える魔法(フォラリザチオン)!」

「“眠れ”!!」

 

 

 

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「時間だな。第一次試験合格者は、計6パーティー19名。現時刻を以て第一次試験試験を終了とする。第二次試験は三日後だ。詳細については追って通達する。以上だ。解散」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
Local Positioning System/近距離測位システムのこと。アイギスの基本機能の一つで、一定範囲内のアイギスを探知できる。しかしこれが搭載されていたのは三型までであり、それ以降のモデルには改良型が搭載されている




「試験の具体的なルールを説明する」
「この試験区域には、読者が待機している」
「作者につき一つスマホを配布しておいた」
「試験の合格条件は一つ、本日12時までに文をあと3000文字以上描き、完成させること」
「それでは試験を開始する」




あー終わった!!!どーもアイアム作者!!
最近忙しいんで文が短いのは許してね!最低限五千文字は書くから!

お気に入り登録、感想、評価その他ありがとうございます!お気に入りは7000人くらいいてビビりました!!ありがっとう!

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