断頭台…?せめて大司書って呼んでほしいじゃない。   作:システマチック発光ネズミ

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あ、あっああ…赤ぁ!?えっ、ええ!?バーが赤ぉなっとる!?ナンデ!?!?

…失礼、取り乱しました。
とても高評価をいただけてるようで、感謝感激雨あられが止まらずに台風となっています。というか評価されすぎて足がガクブルいってます。

感想・評価・お気に入り登録、非常に感謝します。ちょっと勢い凄すぎて語彙がおかしくなってるかもですがお気になさらず。それだけビビってるだけですので。




大司書とエルフと弟子ふたり。

 

 

「フリーレン様、遅いですね…」

「もしかして、もうドンパチやってるんじゃねぇの?村長の話じゃ、派手に煙が上がっても衝撃も音も無かったらしいじゃん」

 

遅い。かれこれ1時間は経過している。

フェルンの頭に“強行突破”の四文字がよぎる頃、ようやく自分の探知圏内に見知った魔力がいることに気付いた。

 

「…あ、フリーレン様」

「ごめん、遅くなったね。」

 

そしてフリーレンの異常に気付く。表情はシオシオしてるのに肌艶がやけに良いのだ。フェルンは見たことのない表情に驚愕した。

 

「フリーレン様、館はどうでしたか?」

「大丈夫だったよ。ただの図書館だった。まぁ…」

「まぁ…?」

「運営してる奴が七崩賢のとびきりヤバイ奴だったけど。」

 

 

「…え、大丈夫なのそれ!?俺達殺されたりしない!?」

「大丈夫だよ。アイツ自身、自分の魔法で“人類に敵対行動は取らない”って契約結んでるし。あと今から館に行くよ。」

「あの、フリーレン様…流石に無防備すぎでは?相手は魔族ですよ?嘘をついてる可能性だって…」

 

よりにもよって魔族というのが怪しい。魔族は嘘をつく化け物だというのに、目の前の大魔法使いは何を言っているのだろうか。

それに七崩賢といえば、魔王軍における魔王直属の魔族達のことだ。

その中でもとびきりヤバイ奴…生き残りは確か、黄金郷のマハト、軍勢のアウラ、それとあと一人。この中で最も危険なのはおそらく黄金郷のマハトだろうとアタリを付ける。こいつはその名の通り、都市一つを丸ごと黄金に変えているのだ。対して軍勢のアウラはおよそ80年前から行方知れず、もう一人に関しては噂すら聞いたことがない。

 

しかし、この仮説は目の前の大魔法使いによって否定された。

 

「“軍勢”のアウラって知ってる?アイツの魔法は“契約の魔法(アゼリューゼ)”って言ってね、その魔法で結んだ契約には絶対に背けないんだ。」

「それを、その“軍勢”のアウラってヤツとフリーレンが結んだから大丈夫、ってことか?」

「まぁ、そんな感じ。事実、ヒンメルたちと一緒に戦ったときにヒンメルと不戦の契約をして、今まで一人も襲ってない。もっと言えば、定期的にゼーリエの弟子が来てるみたいだから大丈夫だよ。」

 

そう言ってフリーレンはスタスタと森に向かってしまった。

フェルンは気は引けるものの、渋々といった顔でフリーレンに付いていくのだった。

 

 

 

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「ここが…」

「でっけぇ…」

 

20分程歩いてたどり着いたのは、貴族の屋敷もかくやといった大図書館。この建物の名を示しているであろう看板には、丁寧な字体で“アウサェルデシュ大図書館”と書かれている。

しかし、シュタルクの中の戦士の勘とも言うべき何かは、扉の向こうにいる者の危険度をしかと感じ取っていた。

 

「シュタルク様?手が震えていますよ」

「あれ、ホントだ」

「…本当に、シュタルクはアイゼンそっくりだね。私達がアウラと戦ったときも、最初アイゼンは恐怖を感じていなかったのに手だけは震えてた。…まぁ、とりあえず入ろっか。」

 

目の前の大扉を開き、一歩踏み出す。それと同時に、フェルンが違和感に気付く。

 

「あら、思ったより早かったわね?さっきまで読んでた本はまとめておいたか、ら…?」

 

「…フリーレン様。ここ、魔法が使えません」

「封魔鉱を建材に使ってるみたいだからね。…ええと、アウラ。こっちが私の弟子のフェルン。で、こっちがアイゼンの弟子のシュタルクだよ。」

 

かつて己を追い詰めた者たちの弟子がここに来るとは思わなかったのだろう。アウラは一瞬固まった後、目を凝らして二人の少年少女を見つめた。

…そして、その異常性を見抜く。

 

「…………」

「あの、何でしょうか」

「…あなた達、南の勇者の生まれ変わりかなにか?女の子の方は年にしてはあり得ないほど魔力の流れが緻密で澄んでるし、男の子の方は野性的な洗練のされ方をしてる…え、あなた達ホントに現行人類?なんか特別な方向に進化してない?」

 

…異常性を見抜くと同時に、アウラの顔に冷や汗が吹き出る。これほどまでに特化し洗練された魔力の流れなど、南の勇者や魔王などの実力者にしか見たことがなかったからだ。“こんなバグ個体ぽんぽん出てたまるか”と、アウラは人類の進化速度に改めて恐怖を感じた。

 

まぁ、自身の転生前の世界だって他の生物が億年単位、早くて数千万年単位でやっと進化したのに、人類だけ数百万、数十万年程度でどんどん種が増えては自然淘汰で飛躍的に進化していったことを考えれば、闘争の多いこの世界ではこうなるのも必然なのかもしれないが。

 

「ふふん、私とアイゼンの自慢の弟子だよ。」

 

フリーレンはドヤ顔を浮かべながら、机の上にキッチリと並べられた本を手に取り、読み始めた。それと同時に、アウラは未だ勝手のわからない弟子組二人にこの場所の軽い説明を始める。

 

「…まぁいいわ、知識を求めてここに来る以上はお客様だもの。改めてようこそ、アウサェルデシュ大図書館へ。ここでのルールは大まかに3つ。戦闘は禁止、過度に騒がず静かにすること、本は大切に扱うこと。これだけよ。

 読みたい本があれば、本棚側面に区分が書かれてるから、頑張って探して頂戴。本を借りたいなら私に言って、図書カードを発行するから。…それじゃ、ごゆっくり」

 

 

「…とりあえず、フリーレン様に聞いてみましょうか」

「そうだな、色々知ってそうだし」

 

 

 

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「ねぇアウラ、この魔法ってもしかして…。」

「あぁ、“ベクトルを逸らす魔法”?もしかしなくても、私の書いた飛行魔法と防御魔法の原型よ」

「やっぱり。対物理、対魔法両方に優れてる防御魔法だったけれど、どちらかと言ったら“防ぐ”というより“受け流す”ことに重点を置いたんだ。これは革命起こせるよ。」

「そこまでかしら?…あぁ、そうか。まだ避弾経始の概念が生まれてないのね。Mk.1(菱形)とかの時代にT-34(フライパン)投入するようなものか…」

「ヒシガタ?プライパン?」

「気にしなくていいわよ、ものの例えだもの」

 

 

「アウラ…様。これはどういう意図でしょうか」

「“魔法の統一規格(フォーマット)化について”?これは…言ってしまえば新人向けのものね。一般攻撃魔法とかの扱いに言及したものなのだけど、要は“手札の制限”。射程、追尾、軌道、圧縮率、弾速、弾数…普通、初心者はこんなに多くの要素を使い熟せないの。だから、予め一定の値と使用するべき状況をいくつか示しておいて、慣れたら完全マニュアルに移行しましょうね、って話なのだけど…まぁ、貴女はマニュアルの方が慣れてそうだし、参考程度に読めばいいわ」

「…そうですか。ありがとうございます」

 

 

「えぇと…アウラ、さん?」

「なにかしら」

「あの…この“斧術一覧”って借りていい、ですか?ちょっと、外でやってみたくて…」

「いいわよ?ちょっとまってて、図書カード発行するから…はいこれ。ここに血判お願い。…ん、そしたら一応、期限は7日間ね。それまでに返さなかったら…」

「ヒェッ…か、返さなかったら…?」

「本が勝手に戻ってくる」

「…ホッ」

「あと相手も必要でしょう?練習用のヒトガタ持ってくるわ。耐久性は抜群だから思いっきりやって大丈夫よ」

 

 

「“世界の鉱石一覧”?こんな本まであるんだ。どれどれ…“黄金”、魔法金属。込められた魔力によって強度が増加…“ミスリル”、金属。魔力を吸収し成長?しかし過度な魔力供給をすると黒ずみ脆化する。へぇ…“紅熟柘榴(アダマンタイト)”は…40年程前の大爆発のあと海底で発見。特異性はないが硬度や比重は最上級。…これ、見たことある気がするな。“蒼輝銀(オリハルコン)”…あぁ、ヒンメルが拾った青い石ころだ。懐かしいな。」

「…え、これ見たことあるの?」

「うん。確か丁度このあたりでね。朝方に見つけたって言って見せてきたんだ。綺麗だったから、きっとヒンメルの墓に入ってるはず。」

…え、あれまだこの世に1キロもないはずよね?脆化ミスリルと黄金とアダマンタイト粉末混ぜて作ったのが確か、90年くらい前だったはず。いやでも管理体制完璧よねうちの倉庫…え、じゃあ自然生成!?いやいやいやあり得ない、そもそも人工金属であって特に黄金は私の魔法でしかまだ作れないはずなのに…ブツブツ

「…?どうしたの。頭抱えてるけど。」

「──〜〜っはぁ…とんでもなく豪運ね、あの勇者。勝てる気しないわ」

「それはそうでしょ。ヒンメルには敵わないよ。」

 

 

 

…フリーレン達がここで本を読み始めておよそ3時間が経過した。外からはすでに夕日が差し込み、館内はおそらくまた鉱石を使っているのだろう、柔らかい光を放つランプに照らされていた。

 

「…ん、ふぅ。さて、次次と。…あれ?」グゥ

 

不意に、フリーレンの腹から食事不足の抗議が鳴る。思い返せば、朝から依頼をこなしてから、今までで何も口にしていない。そう思うが早いか、空腹感がこみ上げてきた。

 

「…ねぇフェルン。今日のご飯はどうしようか。」

「一応食料はまだありますが…今から作りますか?」

 

「なんなら、こっちで作るわよ?丁度この前、活きの良い魚が入ったのよ」

 

思わぬ助け舟が入る。にしても、魚とな?

 

…そもそも、この世界は食物の保存技術が少ない。氷が使える魔法使いや、近辺に氷室でもあれば話は別だが、大陸の真ん中あたりに位置するエング街道付近にはそうそうないため、塩漬け(ジャーキー)酢漬け(ピクルス)などの漬け物が旅食の主流だ。まして魚となれば、傷みやすい上に、捕れる場所に行くには最短でも10日はかかる大陸東岸まで行かなければならない。

 

しかし、ここに来るまでの街道ではずっと同じ味のスープと固いパンだったため、二人の魔法使いは新しい味に心を踊らせた。

 

「それじゃあ、お願い。いいよね、フェルン。」

「はい。お世話になります」

「ふふ、いつもはカロリーバーとかで済ましちゃうけれど、せっかくの客人だもの。腕を振るうわよ!」

 

…アウラは上機嫌で奥に引っ込んでいく。そして調理をしているだろう間に、いつの間にか外で鍛錬していたシュタルクが戻ってきた。

 

「あぁ゛〜…フリーレン、フェルン、ご飯どうするー?」

「それは心配ないよ。アウラが作ってくれるって。」

「なんでも、魚料理だそうですよ。シュタルク様」

 

そして、およそ30分が経過。

未だにいい匂いの一つもしない現状に、魔法使いの二人は待ちくたびれていた。

 

「…まだかなぁ。向こうで調理してるなら、匂いが来てもおかしくない筈だけど。」

「そうですね…少し、見に行ってきましょうか?」

「いや、そこまでしなくても──」

 

 

「出来たわよ―、食卓こっちにあるから着いてきてー」

 

 

「──お、出来たみたいだぜ」

「やっとだね。行こう。」

「はい、フリーレン様」

 

図書館の司書机、その奥にある扉を開く。重厚感のある木製扉は、その薄い見た目にとても見合わぬ重量を感じさせる。それに多少苦戦しつつ、開けた先には…

 

ムッワァ~…

 

「「「…ゴクリ」」」

 

「やっと来たわね。配膳終わってるから、適当に座りなさい…食べれないものとかはないわよね?」

「ないよ。それよりこの蓋、早く開けて良い?」

 

生活用具のベッドやクローゼットなどがあることから、おそらくここはアウラの私室なのだろう。しかし、フリーレン達の目線は未だ全貌を見せない料理に全振りされていた。

 

それもそのはず。なにせアウラの出す料理は、この世界ではそれこそ大規模な国の王族くらいしか食べたことのないであろう*1ものだからだ。フリーレンは目を輝かせ、フェルンとシュタルクは口から涎がはみ出ていた。

 

「それじゃ、召し上がれ。あ、蓋はこっちで貰うわよ」

 

アウラの合図とともに、皿に被さっていた銀色の蓋を取る。その中身に、フリーレン達は驚愕した。

 

「メインはオースト鮭とケーラ茸の包み焼き。隅に特製ソースがあるから、一緒に食べてみて」

 

「で、こっちの白いのがライス。上に乗ってるのは自家製…というか、うちの子が作ってるのを貰ったのだけど、ウェスティオ海苔の佃煮ね。一緒に食べると美味いのよ、これ」

 

「こっちのスープは、コンソメとトマトのミネストローネ。コンソメは色んな具材を混ぜ込んだ特殊なスープで、そこにトマトをはじめとした野菜やお肉をいれたものよ。テーブル真ん中にある四角い焼きパン…クルトンっていうのだけど、これを入れても美味しいわ」

 

アウラが言い終わると同時に、フリーレン達は料理を口に入れる。フリーレンは包み焼きを、フェルンはミネストローネを、シュタルクはライスを食べ、三者三様に反応を示す。

 

「…〜〜〜っ」

「…っ……っ」

「んまぃ…んまぃ…」

 

若干名が涙を流していたが、アウラは嬉し涙…もとい、旨し涙だと判断し、自身の食事に手を付け始める。

 

「すごいおいしい…アウラって宮廷料理士だったりした?」

「そんなわけないじゃない。料理っていうのは生命の活力よ。それは魔族でも人間でも、ドワーフもエルフも変わらない。…だから、私の生涯の中で1,2を争う研究項目であって、今日たまたま、そのお披露目が出来ただけよ」

「そっか。…ヒンメルたちにも、食べさせてあげたかったな。」

「あの世に行ったらたっぷり振る舞ってあげるわよ」

 

 

「んまぃ…んまぃ…」

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

「世話になったね。」

 

一晩明けて、フリーレン達は出立の準備を進めていた。

 

「ええ。…そういえば、行き先はあるの?」

「うん。魂の眠る地(オーレオール)に行く。」

 

あぁ、とアウラは反応する。かの地は大陸最北端エンデ…つまり、魔王城のすぐそこなのだ。アウラは立ち入ったことはないが、シュラハト(クソッタレ宰相)に引き摺られて魔王城に向かっていたときに一目は見ていた。

 

「てことは、また魔王城への旅?」

「そうなるね。ただ、今回はヒンメル達の痕跡を辿って行こうと思ってる。」

「へぇ…そういえば、北に向かうなら山越え必須よね。確かあの辺りって今豪雪地帯になってたような…ちょっと待ってなさい!」

 

ドタドタ、と。

およそ今までの落ち着き具合からはありえないような急ぎようで、図書館の奥に行ってしまった。と思えば、何やら白い腕輪と黒い円盤を持って来た。

 

「はいこれ、餞別よ」

「…なにこれ。」

「最新の“アイギス9型”と“脆化ミスリル魔導バッテリー”。これさえあれば吹雪だろうが猛暑だろうが問題ないわ。起動方法は音紋認証式で、アイギス展開って言えばいいわ。そしたら即座に防護結界が張られるから、何かあったら使いなさい。戦士の子はこっちのバッテリーと併用して頂戴、最低でも40時間は稼働できるわ」

「……ねぇ、私達を甘く見てない?吹雪とかで死にそうになるように見える?」

「死にはしないだろうけれど、対策忘れて困るタイプでしょ。八甲田山オチとか死んでも笑えないわよ」

 

アウラの顔と声色が余りにも真面目すぎることに気付いたフリーレンは、渋々三人分の腕輪と黒い円盤を受け取る。

 

「それじゃあ、体調には気をつけてね」

「心配しすぎだって。…それじゃあね。」

「アウラ様、お世話になりました」

「ありがとうな!」

 

三人の陰が遠のく。寂しくなるな、と感傷に浸り、図書館に戻った頃。

 

一つ、伝え忘れていたことを思い出す。

 

「あ。()()()のこと、伝え忘れてたわ。…まぁ、いいか」

 

 

余談だが、フリーレン一行は次の野営地に泊まっていつものスープを食べた際、三人とも「アウラ(様)のとこのスープ、貰えばよかったな(ですね)…」と、ちょっぴり後悔したそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
とはいえ、転生前の世界では高めなおしゃれ料理程度だが




ええ…なんか、ええ?UAが1万近くなって…ええ??しかもなんか、お気に入り登録の中に私の好きな作品を書いて下さってる方が…ええ!!??

…失礼、また取り乱しました。ドーモ作者です。
なんか、うん。勢いすごいねみんな!?お気に入り登録とか2/4には見たけど倍近くなってない!?
こんなに嬉しいことはないです。小5のころ行きたいツアーに当たった時以上に嬉しいです。

びっくりし過ぎて語彙が出て来ませんが、これからも「“大司書”のアウラ」を宜しくお願い致します。
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