死滅回游の一般泳者   作:モチゴメ

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話が…話が圧倒的に進まない…(投稿10分前に何とか書き上げながら)


第2話 ご近所さん


 

11月 2日 天気:晴れ

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 一晩かけて考えて、ひとまず今後の方針を決めた。

 と言っても大層なものじゃなく、無難に「生きのびる」というだけだ。

 目的もなく、ただ宙ぶらりんになってぼんやりしてるよりかは良いと思う。

 

 (開始と同時ではあったけど)参加したのが昨日だから、総則8の「術式の剥奪」までの猶予は十八日、一息着きつつ呪術を調べるくらいは可能だろう。

 

 という事で、これから一日懸けて他の術師を探そうと思う。

 できれば昨日の術師のように、呪術に詳しそうなのを見つけたいところ。

 


 

「これで一時保存して…っと」

 

 途中まで日記を書き、そこまでを保存してからノートパソコンをスリープさせる。

 こまめに電源を点けて消してを繰り返すより、点けたままにするかスリープさせた方が電力消費は少ないらしいと知ったための行動である。

 節電と節水。

 この2つもまた、化野(あだしの)が今後の方針として決めた事だった。

 

 必要最低限の荷物を持って化野が玄関から出ようとすると、ふと思いつき空に問いかける。

 

「コガネ」

「おうっ!」

 

 するとポンッ!と効果音が付けて謎の生き物が空から現れる。

 髑髏の頭。下に行くにつれて細くなる体躯には手足の代わりに細長い尻尾、そして背に羽を生やした姿。

 それを始めて見た時の化野は新手のUMAかと心底驚いていた。

 

 コガネ。

 それは全泳者に与えられる式神。

 総則を追加する際の窓口であり、点や総則が追加された際のアナウンスなどを行う。

 言わば死滅回游に参加している証明であり、そして泳者をサポートするナビゲーションAIのようなものである。

 

「この辺りを軽く…そうだな。だいたい俺を中心に、半径100メートル以内に泳者がいるか調べられる?」

「あいよっ!」

 

 気前の良い返答し、コガネは検索を掛けるため静まり返る。

 現在の化野には知りえないことだが、今後追加される総則9『全泳者の情報の開示』によって、他泳者の名前や得点などをコガネを通して知ることが出来る。

 逆に言えばその総則が追加されるまでは直接調べる他に無いのだが、しかし化野が今した問いかけは『周囲に泳者がいるか否か』。

 この程度であれば、総則9が追加される前でも知ることが可能である。

 

「三名の泳者が確認されました」

「…意外といるな」

 

 先程とは打って変わり機械的な言葉を吐くコガネ。

 しかし化野は動じることなく検索結果への感想を漏らす。

 しかも“三”人、幸先が良いな。と化野は笑みを浮かべて喜びをあらわにした。

 

 化野は自らの三希(みつき)という名前に基づき、「3」という数字を非常に好んでいた。

 ラッキーナンバーと言えば多くの人は「7」と答えるだろうが、化野にとってのラッキーナンバーは「3」だった。

 

 ウキウキとした気分で化野が外に出る。

 

「じゃあコガネ、『一番近くにいる他プレイヤーから俺が遠ざかったら』教えて貰える?」

「あいよっ!」

 

 化野は器用にコガネを使いこなし、他泳者を探すため地道に足を進め始めた。

 


 

「クソッ! 電話も繋がらん!」

「ど、どうしましょうダーリン!」

 

 機能しない一世代前の固定電話を叩きつけて男は怒りをあらわにし、そしてその恋人の女はオドオドとパニックを隠そうともしない。

 

 共に死滅回游に巻き込まれた覚醒型の泳者であり、初日を現実逃避に費やしてようやく状況を認識し始めたところだった。

 

 

 死滅回游(しめつかいゆう)泳者(プレイヤー) 

 羽場(はば)鉄裕(てつひろ) 所持得点(しょじポイント) 0点

 羽生(はにゅう)行子(ゆきこ) 所持得点 0点

 

 

「あ、あのう――」

「黙らんかい! 何も出来んくせに喋るなぁ!」

「ひっひぅ…」

 

 そして、もう一人の男が羽場に怒鳴られて縮こまる。

 

 

 死滅回游泳者

田村(たむら)正造(まさぞう) 所持得点 0点

 

 

 田村は羽場の部下であり、同時にパシリでもある。

 些細なことから人生が転落し、新たに働きだした交通整備のバイトで羽場に遭遇してしまったのが運の尽きだった。

 カツアゲや詐欺行為で金を稼いでいる、言わば半グレである羽場に偶々目をつけられて以降使いっ走りとして酷使されているが、しかし仕事によっては下手な労働よりも多くの金を恵まれるため、田村も田村で状況から抜け出せずにいるのが現状だった。

 

 そして死滅回游開始後、出来ることは無いかと羽場の下に来たのが先ほどの事である。

 

「ッチィ! 売人(バイヤー)とも汚職警官(いぬっころ)とも連絡が付かんし、どないせいっちゅうんじゃ…!」

 

 羽場はひとまず上や横との繋がりを辿ろうとしたものの、死滅回游による電波遮断によりスマホ・固定電話等による連絡手段が断たれていた。

 

 逡巡し、売人が常駐している場所へと直接赴こうとしたその時だった。

 

 ピンポーン!

 

「あぁ!?」

 

 インターホンの音が玄関から鳴り、全員の意識がそちらへ向く。

 羽場がチラリと田村へ視線を向け、玄関へと顎をしゃくる。

 

 お前が出ろ。

 

 これから生き死にが関わってくると朧気にだが理解していた羽場は言外に田村へと伝え、恐る恐る田村がインターホンに応答した。

 すると――

 

「ごめん下さーい、近くに住む化野と申します―!」

 

 純朴そうな青年がカメラに顔を合わせていた。

 




羽場(はば)鉄裕(てつひろ)
_第161話(単行本18巻)から登場し、虎杖に瞬殺された男。名前は本作の捏造。
 キャラから考えて半グレ設定が生えてきた。半グレの詳細は想像で書いた。

羽生(はにゅう)行子(ゆきこ)
_同上。多分描写の外で田村に蹴りとか入れてる。

田村(たむら)正造(まさぞう)
_だ、誰…!?となるオリジナルキャラ。
 詳しくは次回。


7/25追記。
一部文章を修正。

2025/11/26追記。
同上。

話が短いけど短期間で出るのと、話が長いけど長期間かかるのとどっちが良い?

  • 短くても良いのでバンバン出してほしい
  • 長い方が良いので時間かけて書いてほしい
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