難産…!圧倒的難産…!!
納得できなくて2、3回くらい書き直したけどまた書き直すかもしれない。
〔side
ワシは、自分がそれなりに場慣れしとることをこの時ほど感謝したことは無い。
少なくとも「死滅回游」なんちゅうのが命に関わってくるのは分かっちょった。
じゃからこんな時に訪ねてきよった知らんガキの対応を
その結果がコレじゃ。
知らんガキが田村の顔面を掴んだと思うたら、急に田村から怖気の奔るモンが立ち昇りよった。
突然のことじゃったけんど、即座に理解した。
『今のワシらがまともに関わったら死ぬ』
場慣れで得た直感を信じたワシは
今にして思えば、そん時に呪力を体験できたワシらは恵まれちょったと思う。
なんせ死滅回游2日目のことじゃからの。早めに呪術を体感したんは大きなアドバンテージじゃ。
その結果、その時に感じた
「――なるほど。色々と知れて良かったよ、ありがとう」
「それは良かったよ、いや本当に」
羽場という家主の消えた家で、机を挟んで座る二人の男が談笑に耽っていた――そう思っているのは片方だけだが。
玄関での戦闘から1時間弱、
刈り上げた朱色の髪、鼻背から左顎にかけて奔る傷痕と精悍な顔立ち。そして筋骨隆々な体型からは、先程までの一般的な中年男性と言わんばかりだった田村正造の姿とは似ても似つかなかった。
先程の戦いで、朱堅は間違いなく化野に殺された。しかしその後、なんと反転術式により蘇生されたのである。
化野は他の泳者を探す道中に独学で反転術式を習得しており、それが人の治癒を可能とすると理解したことで、一つの方針を立てた。
①片っ端から泳者を襲撃
②強かった者を蘇生して呪術について聞く
詳しければ僥倖。詳しくなくとも、その者の掴んだ感覚についてざっくりでも聞ける。そして最悪、蘇生できなくとも実戦で調べれば良いと考えたからだ。
そしてその考えの最初の犠牲者が朱堅だった、という訳である。
そんな化野の行き当たりばったりな考えや、独学で反転術式を習得したセンス。そしてそんな術師歴2日の男に負けたという事実から、朱堅は完全に打ちのめされていた。
「しっかし、受肉ってのは便利なんだねぇ。面も別人になったし、暴れないように切り落としといた四肢も生えたし」
「代わりに一発限りだがな。俺も実際に経験したのは初めてだ…まさか序盤で使うことになるとは思わなかったよ」
恐ろしいことを言いながら、しかし二人は何でもない事かのように会話を続ける。
「仕方ないでしょ、だってアンタ強いもん。まともにやったらまず負けるし。
最初は拘束しようかとも考えたけど、それじゃ足りないだろ?」
「まぁな。大抵の拘束なら力で破れるってのもあるが、縄抜けの類いにも心得がある。
だが、だからと言って四肢の切断に即行きつくのは引くがな。しかもご丁寧に、切断面を中途半場に治して新しく生えねぇようにするとか、もはや言葉も出ねぇよ」
「それを秒で理解して冷静に取引持ち掛けてきた朱堅も大概でしょ」
しかも受肉再生で四肢もしっかり生え揃ったし、と化野が文句を垂れる。
そんな様子を尻目に、朱堅は自分で入れた玉露*2に口をつける。
「(今言われた通り、もう一度戦えば十中八九で俺が勝つだろう。だが…)」
考えながら眼前の男を見やる。
「(エネルギーである呪力が、物質である水と同質の特性を持つなんざ考えられん。
だがコイツは何でもないかのように淀みなく操り、剰え術師として覚醒してから2日で、独学で反転術式を習得? それも他人を治せて、且つ死人を蘇生させられるほど高度なものを?
もはやそれは天才どころじゃねぇ、理不尽の域だ。
…そう、理不尽。コイツは、
生前、つまり平安時代。
呪術全盛と謳われるその時代を生きていた朱堅は、とある討伐隊に編成されたことがあった。
その対象は、一人の術師。
幾多の術師連中を退け、蹂躙し、そして貪った化け物。
四つの目に四つの腕、そして腹にも口を携えているという異形。
不可視の斬撃や雷撃など、様々の呪術を使い暴れまわる姿はまさに鬼神。
人はそれを『史上最強の術師』、或いは『呪いの王』と呼称した。
「(流石にあれと比べれば天変地異と山の落石くらいには大きな格差があるが…それでも、
そう考えながら、朱堅は先程の戦闘を思い出す。
即座に人を襲える精神、淀みない呪力操作、冷静な攻撃。
話によると初日で黒閃を決めたそうだが、それでもまだ才能に従っているだけと言わざるを得ないだろう。
「(俺には積み上げてきた経験があるが、コイツは才能があっても、まだ原石でしかない。経験が無い。つまり、今はまだ俺より弱い。倒すのは容易だ。
だが逆に言えば、経験を積んだコイツが
目の前で茶菓子を頬張る男が強くなった姿を空想する。
朱堅は、無意識のうちに魅せられてた。
自らを一度殺害してみせた、怪物の才能に。
「(我が事ながら、随分とイカレた思考だな。
テメェを殺した奴に協力して、さらには強くしようってんだから)」
朱堅は心の内で、その考えを顧みて自嘲した。
「で、縛り…だっけ? 本当に協力してくれんの?」
化野の言葉に朱堅が首肯する。
「二言は無い。それにさっきも言ったが、他者間の縛りは強力なものだ。破った時のペナルティは計り知れねぇ。仮に心変わりすることがあっても、そう易々と裏切ることは出来ねぇよ」
情報を対価にし、朱堅が化野との間に結んだ縛りは以下のものだ。
1、互いの命を脅かす行動を禁じる。ただし、相手に害された場合はその限りではない。
2、相手に情報の提供を求められた際には、それを惜しまないこと。ただし、命を脅かすリスクがあった場合はその限りではない。
3、朱堅は化野への協力を可能な限り惜しまないこと。
4、この縛りは双方の同意があった場合に限り、変更ないしは破却が可能とする。
朱堅が提案したものに対し、化野がいくつか変更ないし保険を追加した結果、このような形に落ち着いた。
「情報だけ聞いた後にじゃあ殺す、なんてされたら目も当てられねぇからな。
それにこの状況下だ、複数人で行動した方が色々と便利だろう。例えば就寝時の見張りとか」
「あー、確かに寝込みを襲われる可能性もあるか…」
「…それに、お前がどこまで強くなれるのか個人的に興味がある。
精々、失望させてくれるなよ?」
「自分を殺した奴に惹かれるとか、お前頭おかしいんじゃない?」
「俺もそう思う」
化野は気味悪がり、朱堅は薄く笑った。
先程とは表情が逆転していた。
「――それじゃあ、これからよろしく?」
「ああ、よろしく頼むぜ」
片や覚醒した才能の原石。
片や受肉した歴戦の猛者。
――東京第一
11月 2日 天気:晴れ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
《中略》
端的に、今日あったことを書く。
①、反転術式という回復手段を手に入れた。
②、歴戦っぽい術師を倒した。
③、その術師を蘇生して情報を得た(別途記載)。
④、その術師が仲間になった。
①から③までは、自分でも分かる。納得がいく。
でも正直、④は未だに分からない。
自分を殺した奴の仲間になるとか、RPGのモンスターか?
弱肉強食に生きる野生動物でもそうはならないでしょ、と心から思う。
でもまぁ呪術について知れて且つ強くなれるってんだから、当初の目的は果たせた上でお釣りが来た、ということで良しとしようと思う。
ひとまず一段落はついた。
それで一つ、今後の方針を変更しようと思う。
死滅回游は、人を殺すゲームだ。
術師5点、非術師1点。
今の俺の得点は6点だけど、ここで一つ疑問が湧いた。
それは、得点に上限はあるのか? という事だった。
気になってコガネ(別途記載)に聞いてみた。
すると、上限は無いとのことだった。
そこで「今後の方針」だ。
折角だし、取れるだけ取ってみようと思う。
呪術を得てどこまでやれるのか知りたくなった、というのもある。
全ポイントを獲得できるのか。それとも、途中で俺がポイントになるのか。
折角のゲームなんだ。その遊び方に則って、精一杯楽しもうと思う。
そうと決まれば早速特訓だ。
仲間になった朱堅の下で、呪術を最大限使えるようになろう。
俺の術式も色々と検証したいところだ。
いつか朱堅の言っていた、領域展開というのも使えるようになったらいいな。
楽しみだ。
化野
_邪悪なサイコパス感を出そうとしてるけどこれで良いのか…?となってるキャラ。ぶっちゃけ動かし辛い。
朱堅
_何で生きてる…!?何でそうなる…!?となったキャラ。設定上だと羽場の点になるはずだったものの、書いていく内に何故か生き返った&生きのびた。
羽場&羽生
_書いていくうちに何で登場したのか分からなくなったキャラ。一旦フェードアウト。
もしかしたらこのまま再登場しないかもしれない。あと方言が難しい。そもそもどこ出身?
とりあえず序盤は今話で終了。
次回から時間が飛びます。そろそろ伏黒とかの原作キャラを出したいな…。
なお不定期更新タグ。
7/25追記
容姿についての情報を追加、及び一部文章を修正。