ドンドンと原作と変わっていきまっせ。
「物質の三態」というものがある。
最たる例としては、水。
通常は液体だが、100℃を上回れば
液体、気体、固体。
これらの変化の事を表す化学的な現象を、人は「物質の三態」と呼ぶ。
――
しかし化野の呪力は元より、水に
それにより化野は、術式を構成する為の絶対条件である付与の過程を省略する縛りによって、上述した「切り替え」の対象を大きく拡大。その結果「呪力操作の補助」という、通常では備わっていない能力を新たに確立していた。
これは、その能力による恩恵の一環。
極低温で作成した氷を超高温の水蒸気へと急速に
呪態変化
「そぉ、らァ!!」
化野の手で氷が投擲される。
無論それでやられる
氷の軌道は大きく狂い、目標を捉えることなく爆発。
それにより生じた爆風は黄櫨に届くも、距離によって大きく威力が減衰。強力な熱風こそあるものの、その身体を傷付けるには遠く及ばない。
しかし。
「(これで対処できりゃ世話ねぇんだが、厄介なのは――)」
爆昇華によって広範囲に生じた風もまた、化野の呪力を含んでいる。
それが表すことはつまり、「周囲の風は
「もういっちょ!!」
広範囲に及んだ爆風が化野の手によって一息に
世界が白銀に侵される。
呪態変化
「ぐっ!」
対象を「爆風全域」から「黄櫨の周囲のみ」に絞る即席の縛りによって強化された氷は、その全身を隈なく覆って行く。生中には砕けぬ分厚いそれはまさに堅氷。
その力は、
無論、その時の霜凪は全力のものではない。
その場にいた術師たちの中で最も強い
しかし術師として覚醒した元非術師が、それもたった十余日でその域に達しているという異常性。それは化野の尋常ではない才能を如実に表していた。
だがしかし、眼前の術師もまた選りすぐりの猛者である。
バキィィィン!!!
「何度も何度も、ウザい奴だな…!」
堅氷を強引に粉砕し、黄櫨が今一度姿を表す。
彼はこの戦いで何度も氷凝華を食らっているが、その都度このように呪力で強化した肉体のみで全身の氷を砕いていた。
「(くそ、段々と技の精度が上がってやがる。始めは難なく砕けたってのに、このままのペースで行くと
「(これでもダメとか、マジで化け物だな。やっぱ初日の黒い雷…
経験によって培った技量。
天性の才で積み上げた力。
両者の予想に反して互いの実力は拮抗しており、ギリギリのバランスで戦場は保たれていた。
そんな中、新たな秩序が時を加速させる。
『『『『
『『『『〈
「んぁ?」
化野が思わず声を漏らす。殺し合いに抜け道を作るかのような、予想だにしていないルールに対して…
「(今のアナウンス、
2人か…近くにいるな?」
聞こえてきたアナウンスの声は4人分。
化野と黄櫨の他に、2人が周囲に隠れ潜んでいるという事。
「チィッ!」
大きな舌打ちの音が響く。
化野が顔を向けると、そこには十余の包丁が中空を飛んで自身へと向かっていた。
「(
「グルゥァ!」
更にそこへ、巨大な黒狼が猛威を振るわんと襲い掛かる。
その爪は、化野の痩躯を容易く細断せしめるであろうものだった。
しかしどちらも届くことはなく、化野が冷静に対処した。
「
ドドドドッ!!
ガガガギッ!!
左側に鳥のような造形をした氷壁を展開、翼を広げたそれは包丁群を冷徹に叩き落とす。
同時に後方にも氷を生成。その形は変質していき、やがて3体の狐の姿を取ったそれは黒狼の爪を危うくも食い止めた。
「だぁクソ!」
「なっ!?」
包丁群の奥にいた蓑虫を思わせる恰好の金髪男――レジィ・スターが悪態を付き、掌印を組み黒狼を召喚した黒髪黒服の少年――
――本来であれば、この2人は死闘を繰り広げる敵同士。共闘などありえないはずだった。
しかし化野と
レジィ一派の得点が流れ、そして目に見える驚異として存在している事から、伏黒の行動が変化。2人を打倒するまでという条件付きで、レジィ一派と一時共闘という選択を取っていた。
化野が奇襲を防いだ事によって一瞬レジィと伏黒に隙が生じるも、しかし化野はあえて見送り術式の分析に徹する。
「(『物体の生成or召喚』? いや多分そんなもんじゃないよな、なんだあの恰好。
レシート、物体、『印字内容の具現化』? 寒くないのかな…レシートである必要性、
…再現…売買契約……契約? あー成程、『契約の再現』。多分これかな、それでレシートか、頭柔らかいなコイツ)」
カランカランとアスファルトの上に落ちた十余の包丁を余所に、レジィの術式に素早く予測を立てた。
化野は身体ごとそちら側へ向き直った後、
「(そして彼の
となると格はアチラさんが上、こっちは分かりやすく式神専門の術式って線が濃厚かな)」
右に
そしてそれぞれが自身と拮抗した実力を持っている。
いつ死んでもおかしくない戦力差、自身の死が容易く想像できる状況。化野は己が窮地にいる事を理解し、冷や汗をかきながら舌を舐める。
「(そして強さは3人それぞれが俺とイーブン、連携してた事からして恐らく仲間かな。つまりこの多対一は――)
いいね、大ピンチだ」
そしてその評価は。
「こいつも含めて、ねっ!!」
くるりと半転、突如として後ろの中空へと回し蹴りを放つ。
そこには何もなく、ただ空振って隙をさらし、己をさらに窮地へと追い込む正に悪手の攻撃――いや、違った。
「ゴァァ!!」
蹴りは何も無かったはずの空間から、
化野は頬骨を捉えた足を振りぬき、黄櫨の近くへと轟音を立てながら丸ごと吹き飛ばした。
ドガァッ!!
「なっ――!?」
それを見て、レジィが顔を強張らせ驚愕を漏らした。
それは虎が現れた事に対してではなく、それが蹴り飛ばされた事に対して。
その虎は、レジィが
「
虎隠。それはレジィ一派の一員が操る、式神の内の一体。
その呪力は「薄い」という特性を持ち、五感と呪力による感知をすり抜ける。それにより、その存在を簡単に知覚する事は出来ない。
「へぇ、虎隠って言うの。良い式神だねぇ、死ぬかと思ったわ、ハハッ!」
化野が
何mか上にあるビルの窓からその様を見て、一人の男が蚊柱を見たような渋い顔を浮かべた。その男もまた、化野と朱堅の2人によって発生したイレギュラーである。
「うげぇ…。これでダメとかイヤだぁ、関わりたくねぇ~…」
悲痛な声を挙げるも現実は無常、化野は大まかながらもその位置を特定していた。
――戦況が、本来の流れと乖離して行く。
――千変万化、滄桑の変、波乱万丈の動きは、さらに加速する。
――ここからさらにどのような変化を遂げるのか。
それは、羂索も知らぬものである。
オリジナル設定マシマシでお送りしました。
詳細は後日追記。
_オリキャラ。
詳細は後ほど。
2026/01/04追記。
レジィの術式に対する化野の分析を大幅に修正。