IS インフィニット・ストラトス BREAKERS(改訂)   作:raludo

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なんとか今月中に上げられた……。


第六話 irregular×irregular

織斑一夏は存外にも落ち着いていた。これから形としては初となるISの模擬戦闘を前にして、緊張しすぎるわけでも、不安に駆られるわけでもなく、かと言って慢心しているわけでもなかった。

 

ニュートラル。その言葉が今の一夏を表すのにふさわしかった。同じ境遇の相手との模擬戦に心を躍らせ、体が少し熱を帯びていると共に、頭の方はクリアで冷静さを欠いていない。自分で思うのもなんだろうが、今、最高に集中できていると一夏は確信する。

 

紅牙のいる反対のピットで、首を長くして自身のISを待っている一夏は、その知らせに来たであろう、千冬を出迎えた。内心の興奮を抑えつつ、自身のISのことを聞いてみると、千冬の表情は少し陰りを見せた。

 

「すまない。お前のISだが、情報入力最適化のフィッティングがまだ終了していない。本来は時間をかけてゆっくりとフィッティング作業をするのだが、どうやらまだ少し時間がかかりそうだ」

 

フィッティング。簡単に言ってしまえば、千冬が言ったように情報を最適化する過程のことである。この場合の情報とはIS操縦者を差し、操縦者身体データ等をISに最適化させ、その操縦者にとって最良な状態にISを移行させる。これを一次移行(ファーストシフト)と呼び、フィッティングはその一次移行に必要不可欠な過程である。

 

「え?じゃあ模擬戦はどうするの?」

 

「まさか私もフィッティングが終了していないとは露にも思っていなかったからな。打鉄で出ることもできるが……お前どうしたい?」

 

「どうしたい……ってなにが?」

 

千冬の言葉の真意を計りかね、 一夏はおうむ返しのように千冬に問いかける。しかし、その答えは一夏の予想を斜めに上回るものであった。

 

「このまま打鉄で戦うのもいいだろう。しかし、相手は専用機。まず間違いなく性能差に押しつぶされるだろう。フィッティングが終わるまで待つことも可能ではあるが、それでは今の時間がもったいない。一応フィッティングは終わっていないが、一次移行していないまま戦うのも、アリと言えばアリだ」

 

「え、フィッティングが終了していなくても戦えるのか?」

 

「一応な。フィッティングは情報の最適化。要はお前の情報をISにフィードバックし一次移行を促している。当然、情報量が多ければ多いほど一次移行時の変化は大きくなる。――つまり、それだけお前に馴染んだISに仕上がる。単なる身体データだけではない、お前自身が一次移行前のISで戦うその情報が一次移行に大きな変化をもたらしてくれるだろう」

 

つまり、一次移行前にできるだけ情報をISに与えれば、それだけ一次移行の際により自分にフィットしたISに仕上がる。というわけだ。ここまで聞いたら、一夏の返事は決まっていた。

 

「わかった。フィッティングの途中かもしれないけどやるさ」

 

「よし、ならすぐに準備させる。お前もISスーツはしっかりと着用しておけよ」

 

「わかってるさ」

 

機体の用意をするために千冬がその場から離れ、席を外す。一夏もISスーツを見に纏うために更衣室へと歩を進める。個人的なことを言えば、別にフィッティング途中のISをわざわざ引っ張り出してすぐ戦う必要はないのかもしれない。しかし、あの姉がわざわざ自分に意見を聞いてくるという時点で、やったほうが良いに決まっているのである。そうでなければ、即座に模擬戦を中止していることだろう。あの人はそういう人である。自分に意思の確認はしてくるが、結局は最良の選択肢を選ぶよう仕向けてくる。今回だって、わざわざフィッティング途中のISについての説明を挟んだのは恐らくそう言うことだろう。別に悪いと言っているわけではなく、最初から選択肢などないようなものなのである。

 

「まあ、そういうところは感謝しているんだけどな。間違った道に進まないように道を示してくれる。ありがたい。ありがたいんだけど……」

 

――俺はいつまで千冬姉の手を煩わせなければならないのだろう。いつになったら、千冬姉の手を借りずに自立した人間になれるのだろうか。

 

一夏の中でそう言った疑問が渦巻く。いつまで迷惑を掛け続けるのかと。だが、どう考えても今の自分はちっぽけな存在で、この状態で自立を謳っても、鼻で笑われるだけだろう。

 

「難しいな。大きくなるって。俺はちっぽけなままだよ。――ダメだ。今はそんなことを考えている場合じゃない。目の前のことに集中。小事を成せぬ者は大事も成せないからな」

 

じめじめとしたマイナス思考を振り払うように、頭を振る。今は模擬戦に集中するべきだと気持ちを切り替え、更衣室へと向かう。その瞳にしっかりとした意思を宿らせながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

黒咲紅牙の実力は如何程なのか。男性でISを操縦できる人物であるという、紅牙の表向きの事情だけを見れば決して強いという意見は出てこないだろう。

 

しかし、彼の裏の事情を知る者は違った。

 

Maximum Soldier計画。昔、日本のとある研究所が推し進めていた計画である。この計画は名前の通り、最強の戦士を生み出すために人体改造を前提とした非人道な計画。通称はMS計画と濁されて呼ばれていた。

 

だが、この計画は長続きしなかった。計画自体はISの台頭前からあったのだが、なかなか思うように進まず、また被験者の中でも成功者が一人しかいなかったという事実から計画は潰えた。

 

その一人を除き、残りの被験者は経過途中で息絶えるか、生き残ったとしても所謂〝不良品〟という烙印を押される結果となった。この計画の成功定義は〝生身での限定空間における対IS戦闘〟を可能とすることにある。それがどんなに無理難題であるかは、もはや語る必要もないことだろう。それでもこの計画が一時でも続いたのは、研究者たちの恐るべき妄執とも呼べるべき一つの狂ったイデオロギーが存在していたからであろう。

 

結局唯一の成功体となったその一人も計画と共に闇に消えることとなり、計画は完全に葬られることとなった。だが、その計画のノウハウは闇の深淵の中を漂い、次なる火種を作り出していたことには、その時点で誰も気づくことはできなかった。

 

 

 

 

(――紅牙。大丈夫ですか)

 

零の声で意識が深層から引き戻される。集中するために一種の瞑想のようなことをやっていたのだが、どうも深く心に潜りすぎたようだ。おかげで色々と嫌な記憶を思い出してしまった。

 

(大丈夫だ。何でもない。――少し昔を思い出していただけだ)

 

(そうですか。……それにしても遅いですね。何か手間取っているのでしょうか)

 

現在、紅牙はアリーナの隅で来るべき相手を待っていた。というのももうすぐ試合開始というのに、相手が一向に出てくる気配が無いのである。

 

(一度、通信を入れてみるか?)

 

(それが良いでしょう……待ってください。ピットの開閉を確認)

 

(――ようやくお出ましか)

 

紅牙が佇んでいる側とは反対のピットが開閉される。そこから鈍色の銀を纏った織斑一夏が真っ直ぐにアリーナ中央に向かって飛び出してきた。

 

「悪い、待たせたかな?」

 

「いや、時間ぴったりだ」

 

オープンチャネルで遅れてきたことに対する詫びを入れる一夏だが、そもそも時間ぎりぎりではあるが、別に遅刻をしているわけではないので一夏が謝る必要はない。

 

(相手のISをスキャン中。――該当なし。全くの新鋭機ですね)

 

(まあ、倉持技研の新鋭機だろうな。一夏用に特別準備したもので間違いないだろう。零、常にスキャンは掛けておいてくれよ。何が出るかわからないから)

 

(了解です)

 

『よし、二人とも配置につけ』

 

アリーナアナウンスが流れる。それを合図に二人ともアリーナの中央を挟んで一定の距離を取る。

 

(零、 ハンドライフルとハンドランチャーを一つずつ。まずは様子見だ)

 

(了解です)

 

紅牙の右手と左手に光の粒子が集まりそれぞれハンドライフルとハンドランチャーが展開される。二つとも片手で扱えるシンプルな造りで性能の信頼度も悪いわけではない。しかし、専用機に載せる兵装としては少々役不足感が否めない。

 

だが、紅牙はそれを気にせず自然体で構える。それに対し、一夏の方も近接ブレードをコールし構える。

 

(この距離でいきなり近接ブレード?)

 

自分と一夏の間には十分な距離がある。にもかかわらず初手から近接武器を展開する一夏に怪訝な表情を隠せない。

 

(まさか、遠距離装備がない?)

 

(そんな状態……あり得るのですか?たとえ初期プリセットが近接装備だけだったとしても、後からいくらでもインストールできるのでは)

 

(そうだけど、実際相手はこの距離で近接装備を展開したんだ。時間がなくて積んでいないんじゃないのか?まあ、どちらにしたって俺にはあまり関係ないけどな)

 

(ですね。いつも通り〝いい感じに手加減〟して戦えばいいと思いますよ)

 

零の返答に苦笑しつつ、相手を見据える。一夏の方も準備はできているみたいで、今にも飛びかかってきそうだ。

 

『では、両者準備はいいな。――戦闘始めっ!』

 

「はああああっ!!」

 

試合開始のアナウンスと共に疾風の如く、最大出力のブーストでこちらに上段からの太刀を浴びせようとする一夏。その一太刀は確かに一夏の渾身が込められていたが、紅牙にとっては最初の状態から飛びかかってくることは容易に読めていたので、ひらりと蝶のように翻すように危なげなく躱す。そして、裂帛の一撃を外してがら空きになった背中を踏みつけ、その勢いを利用して距離を取る。

 

「くそ、簡単に躱してくれるな……」

 

「……」

 

一夏の悪態を素知らぬ顔で聞き流し、右手のハンドライフルを構える。セミオートの小型アサルトライフルでもあるこのハンドライフルは標準的な火力を維持したまま、コストパフォーマンスの向上に成功したライフルである。既製品とは違い、マガジンの容量が増量することにより、継続的に戦闘が行えるようになっている。しかし、先にも述べた通り、専用機が扱う主兵装としては威力も抑え目なこのハンドライフルでは役不足だろう。

 

だが、そんなことを今言っても仕方がない。照準を一夏に合わせすぐにロックオン。そのまま数発トリガー。乾いた炸裂音と同時に鈍い金属音が二重奏を奏でる。

 

「くっ……」

 

一夏も容易に接近するのは無理と判断したのか、回避行動に徹する。その機動は拙いものであったが、的確に銃弾は避けられている。一見無様にみられるかもしれないが、躱すべきものはしっかりと躱せている。その事実に紅牙は少し驚きながらも、トリガーを引く指は離さない。そのまま一マガジンすべて撃ちきる。

 

(命中率三割程度。これは相手をほめるべきなのか、紅牙を貶すべきなのか判断に迷いますね)

 

(うっさい。ロックオンはしているけど、適当にしか撃っていないから当たらないだけだ)

 

「どうした。もう来ないのか?なら、こっちから――」

 

「悪いが、接近を許すつもりは無い」

 

円軌道でくるくると体を横に回転させながら、紅牙は左手のハンドランチャーを構える。このハンドランチャーは小型軽量化に成功したグレネードランチャー。特筆すべき点は用途によって弾薬を変更することによって、さまざまな状況に対応できることである。

 

(ハンドランチャー、炸裂弾をセット)

 

構えたハンドランチャーに量子化されていた弾薬が装填される。そのれを確認するや否やトリガーを引く。ポンッと小気味の良い音とともに炸裂弾が一夏に向かって放たれる。

 

「なっ」

 

咄嗟の出来事だったのか回避が一瞬遅れた一夏は炸裂弾の回避を紙一重のところで行うが――少し間に合わなかった。

 

豪快な爆発音と共に一夏は爆炎に飲み込まれる。幸いなのは着弾が胴体ではなく腕に掠った程度だったことだろう。爆発は盛大だが、大きな損傷を負うことはなかった。

 

だが、紅牙の狙いはそこではなかった。

 

(ハンドライフルリリース。代わりにシュナイダーナイフを)

 

(了解)

 

右手のハンドライフルが光の粒子となりリリースされ、代わりにIS用のシュナイダーナイフが展開される。すると即座に、ハンドランチャーを握っている左手の手首に固定装備されているアームアンカーを爆発に飲まれている一夏に向かって射出。このアームアンカーはワイヤー制御が可能で、射出した先端には鋏状のアンカーが取り付けられており、物を挟めるようになっている。

 

アンカーに手ごたえ。獲物に食いついた証拠である。紅牙はニヤリと口元に笑みを浮かべ、そのアンカーを高速で巻き取る。

 

「うおっ!」

 

アンカーにがっちりと右腕を拘束された一夏は何がどうなったのかわからず、そのまま紅牙の元に引き寄せられる。

 

「くっ、なめんな!」

 

引き寄せられているとわかった一夏は逆方向に加速しようとするが、一歩遅かった。

 

「どうした?そっちのお望みの近接戦闘だ。――逃げるなよ」

 

紅牙は左手を思い切り引くことで強引に一夏を引き寄せる。右腕を拘束されている一夏はいくら反対方向にスラスターを吹かせても、右腕を引っ張られればバランスを崩す。紅牙はその隙を見逃さず、一気に一夏に向かって加速。右手のシュナイダーナイフを逆手に構える。

 

一夏も迎撃しようとするが、右手を引っ張られている状況では満足に構えも取れない。咄嗟に近接ブレードを左手に持ち替えとけばよかったと歯噛みするがもう遅かった。

 

ガンッ!!

 

金属同士がぶつかる金属音が数回響き、一夏は吹き飛ばされる。だが、右手のアンカーがそれを許さず、吹き飛んだその瞬間からすかさずワイヤーを巻き取り再び引き寄せる。

 

「どうした、他に武装はないのか?右手のブレードだけじゃどうにもならないぞ」

 

「分かってる……けど!!」

 

先ほどと同じように一夏を引き寄せてシュナイダーナイフを一閃。火花が散り再び一夏は弾き飛ばされる。そこで紅牙は興味を失ったかのように一夏の右手を拘束していたアンカーを解除。お終いとばかりに体勢を崩している一夏にハンドランチャーを向ける。その銃口を目視した一夏は思わず目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

情けない。俺はこの程度なのか。紅牙の持つハンドランチャーの銃口を見てしまった俺は反射的に目を瞑った。

 

そして脳裏によぎる今までの行動。模擬戦が始まってから終始圧倒されていた。いや、もうあれは遊ばれていると言った方が正しいだろう。事実、俺は攻撃らしい攻撃もできず翻弄されている。武装が〝一つ〟しかないと言っても、これはあんまりにも惨めだ。

 

未だにフィッティングは終了しない。いや、フィッティングしてももう結果など変わらない。あれだけ努力したと言っても、しょせんは紅牙にとっては雀の涙よりも小さなものでしかなかったのだ。

 

この際、どうして紅牙がこんなにも強いのかは置いておく。いくら疑問に思おうが、変わらない事実なんだ。目を逸らしたところで意味はない。

 

――諦めるの?

 

諦める……。どうなんだろう。諦めるとは違うと思う。なんていうかな、悟ったんだよ。

 

――悟った?

 

どうして勝てるつもりでいたんだろうな俺は。どこかでまだISの戦闘を甘く見てたのかな。千冬姉にしごいてもらったというのに、情けない限りだよ。

 

――それは違うよ。

 

何が違うんだよ。現にこうして俺は散々に打ちのめされているじゃないか。

 

――違うよ。だって……

 

 

 

 

――〝まだ始まってもいないんだから〟

 

 

 

 

ハッと目を開ける。目前には紅牙の放った炸裂弾が迫っているが、そんなことはどうでもいい。今はただ、その名を叫べばいい。

 

――だから始めよう。さあ、名前を呼んで?あなただけの……力を

 

「その名は――」

 

その声をかき消すように炸裂弾が文字通り炸裂し、爆炎が一夏を包んだ。

 

 

 

 

「やった……か?」

 

(紅牙、それはフラグです)

 

(うるさい)

 

紅牙は爆炎を見つめる。試合終了のブザーが鳴らないということはまだ一夏は倒れていないのだろう。

 

とどめとばかりにハンドランチャーをリロード、再び爆炎の中央に向けて照準を合わせる。

 

随分とあっけなかったな。紅牙は内心でそう思っていた。いや、〝自分〟と互角にやり合えても、それはそれで人外の境地にいることを指しているのだが、そう思わずにはいられなかった。

 

だが、紅牙のその思いは見事に無駄となった。

 

(待ってください。爆炎からかなりの高エネルギーが検出されています)

 

(――なんだ?)

 

(これは……一次移行です!)

 

(なっ――)

 

紅牙が驚くのもつかの間、爆炎が光に押し出されるようにして吹き飛んだ。そしてそこにいたのは――。

 

 

 

 

『一次移行完了。――〝白式〟起動します』

 

「ファースト……シフト。――フィッティングが終わったのか」

 

眼前に展開される空中ディスプレイには先程一夏が口にした名前が――白式の名前があった。

 

「これが、俺の力……。俺だけの力」

 

一夏は自身の手を開き見る。先ほどと違い、青い手に白銀の籠手。ハイパーセンサーでデータを見れば、この機体は全身白銀となっているらしい。どこの西洋甲冑だと言ってやりたいが、今はいい。

 

「近接特殊ブレード〝雪片弐型〟。なるほど……な」

 

自身の握っている得物が変化していることに気付くが、その名前を把握して笑みを漏らす。姉妹揃って同じ型の刀を振れるとは光栄である。

 

「紅牙……仕切り直しだ!!」

 

 

 

 

「ぐっ!!」

 

一次移行を終えた一夏の動きは先ほどとは違い、積極的に接近を試みていた。

 

(機動性能が織斑一夏に合わせて調整されたのでしょう。動きの無駄が格段に減っています)

 

一夏から放たれる上段からの一太刀。それを受け流そうと逆手に持ったシュナイダーナイフを構えたが、見事それが〝斬り裂かれてしまった〟。

 

(零、BFSを起動する)

 

(了解です)

 

シュナイダーナイフを斬り裂いたことで気勢が乗ったのか、一夏の斬撃は止まらない。横薙ぎ、さらに回転しもう一振り。それを宙返りの要領で躱すが、すかさず一夏の追撃が入る。

 

「はっ!!」

 

紅牙の耳元に風切り音が響く。回避に徹しているが、これは中々に厳しい。なので、紅牙も反撃に転じることにした。

 

(まさかBFSを使う羽目になるとはな)

 

(BFS起動します)

 

一夏の下段からの斬り上げを右腕の光の剣が防いだ。

 

「!?」

 

その剣はビームエネルギーで構成された剣で、右腕の籠手に固定装備されている発振器から出力されていた。

 

BFS――Beam Frash systemは両腕の籠手に装着されている発振器からビームエネルギーを放出し、好きな形状に形作ることが可能な画期的なシステムであり、今しがた紅牙が一夏の斬り上げを防いだのもこのシステムで作り出したソードによるものである。

 

「近接戦闘なら――負けないさ!!」

 

左腕のハンドランチャーを投げ捨て、左腕のBFSも同様に起動。二振りの光の剣を携え、反撃に転じる。

 

右、左と交互に腕を振るい斬撃を一夏に浴びせる。だが、一夏も負けることなく一振りのブレードでかろうじて防ぐ。

 

「俺は――ここで止まるわけにはいかない。千冬姉のためにも。俺のためにも。そして、〝白式〟のためにも!!」

 

『零落白夜――起動』

 

嫌な音声が聞こえた。零落白夜と言えば、ISを扱うものなら知らないものはいない。悪魔の一振りとして有名なワンオフアビリティーである。どんなものでも一振りで文字通り斬り伏せてしまう悪魔の太刀。それが零落白夜である。

 

それを表すかのように一夏の持つ刀身は縮み、その中央からは蒼いエネルギー刃が出力されていた。

 

(それに触れてはいけません!!)

 

(わかってる!!)

 

必殺の一撃を込めた一夏の一太刀。上から下に一気に斬り下げる。それを紅牙は受け止めるのではなく再び宙返りで躱し、すぐさま腕を交差し二つの光刃で薙ぎ払う。あくまで冷静に。

 

「……一矢報えたかな?」

 

「――ああ、見直したよ」

 

カウンターとして放った左右両方のソードでの薙ぎ払いが一夏の白式の装甲を斬り裂きそのシールドエネルギーを削り切った。

 

 

 

 




あとがき

どうも、raludoです。

今回は結構難産だったりしました。なんかもう、一夏が主人公としてキャラが立っちゃって、戦闘シーンの視点をどうするか、かなり悩みました。頭の中にはどっちも書きたい描写が浮かんでいるのに、自分の技量じゃ文章にできない。うーん、歯痒い。もっと戦闘シーンとか上手く書けるようになりたいなあ。

てか、もう一夏が真の主人公でいいんじゃねww

それは置いといて、何とか今月中に投稿することができました。かなりぎりぎりでしたが。うーん、これも何とかせねば。

それでは今回はここまで。

BREAKERSをご覧いただきありがとうございました。

追記 XPERIAさん、評価していただきありがとうございました!
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