C.E.で最もフリーダムなアスラン   作:アマシロ

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舞い降りる剣

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――地球軍の本拠地であるアラスカを目指しつつも、オーブに立ち寄るために航行するアークエンジェル。それは、もう間もなくオーブ近海にたどり着こうかというところだった―――。

 

 

 

 

 

 

『レーダーに感あり! 機体照合――――Xナンバーです! デュエル、バスター、ブリッツ、急速に接近!』

 

『総員、第一戦闘配備! フラガ少佐、アレックス君、出撃準備を!』

 

 

 

 

『―――総員、第一戦闘配備! 総員、第一戦闘配備!』

『バリアント起動! コリントス、ウォンバット装填! 目標、敵MS!』

 

 

 

「まあそう簡単には行かせてくんないよね!」

「そうみたいですね!」

 

 

 

 

 フラガ少佐とそんな愚痴を交わしながらストライクのコックピットへ。

 すぐに起動しつつ、ブリッジと通信を繋げる。

 

 

 

 

「ストライカーパックはランチャーを! 水上戦です、アークエンジェルの上からアグニで敵機を叩き落とします。給電ケーブルは少佐が。エールストライカーの準備をお願いします」

「オーケー任せな!」

 

 

 

 

 

『了解。イージス、発進どうぞ』

『ムウ・ラ・フラガ。イージス、出るぞ!』

 

『続けてストライク、発進どうぞ』

「ストライク、アレックス・ディノ―――出る!」

 

 

 

 

 

 

 

 艦後方―――主砲であるゴットフリート、ついでにローエングリンで狙えない後方からサブフライトシステム(SFS)であるグゥルを使用して接近する3機のガンダム。

 ここさえ抜ければオーブにたどり着ける――――1つの山場になる戦闘が、始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――今日こそ決着をつけさせてもらうぞ……足つき」

 

 

 

 

 足つきが煙幕をばら撒き、その中から凄まじいエネルギーによる狙撃が放たれるが読心により問題なく散開して躱したサーペンタイン隊は足つきを包囲する形でミサイルをばら撒き、足つきを被弾させていく。

 

 

 

 

『―――くっ、避けきれない!?』

『なるほど、臆病だがいい戦術だ。身の程を弁えているヤツは手強いな。接近戦なら一方的に倒せるんだが』

 

 

 

 

 面倒くさそうに呟くストライクのパイロットに、奥歯を噛みしめたシュラ、グリフィン、リデラートは瞬時に動きを変更。どう見ても接近戦ができそうにない、長距離砲を構えたストライクに渦のように三方向から襲い掛かった。

 

 

 

 

『やれやれ、短気だな』

 

『減らず口を!』

『思い知れ!』

「――――落ちろ!」

 

 

 

 

 

 ばら撒かれた肩部ガンランチャーを回避、放射状に撒かれたアグニをグゥルからジャンプすることで回避した三機の集中砲火を跳び上がって回避したストライクは、そのままランチャーストライカーをパージ。

 

 イージスが援護射撃している間にエールストライカーに換装し、滑空することで距離を取るが―――その瞬間、足つき後方から火の手が上がった。

 

 

 

 

『更に後方からジン3機、ミサイル多数接近!』

『くっ、回避ぃ!』

 

 

 

 

「お前の相手もしてやるさ。足つきを落とした後でな」

『キャハッ! いい気味!』

『そのまま沈め!』

 

 

 

 

 

 

 確かにストライクは、あのパイロットは強い。それはこれまでの戦いで非常に遺憾ながら認めざるを得ない。

 だが――――我々アコードを相手に生き残れると思うな。

 

 

 

 

 

『―――っ、なんとか持たせて!』

『了解!』

 

 

 

 

 どうもオーブまでなんとかたどり着こうとしているらしい。

 中立国だから、避難民がいるから? そんな甘いものとも思えないが―――いざとなれば纏めて落としてしまえばいい。

 

 なにせ、『言い分』には困らないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

『――――右舷バリアント大破! 右舷エンジンブロック被弾! 推力低下!』

『ミサイル多数、避けきれません!』

 

『イーゲルシュテルン、ウォンバット、撃てぇ!』 

『ダメージコントロール! オーブ領海までの距離は!?』

 

 

『残り20……いえ、25!』

 

 

 

 

 

「―――――くそっ、こんなところで沈めさせてたまるか……死なせて堪るか!」

 

 

 

 激しい揺れに襲われるアークエンジェルの中で、カガリは必死に走っていた。

 

 

 

 

『こちらはオーブ軍第二護衛艦隊。戦闘中の地球軍艦艇、並びにザフト軍に通告する。貴官らは不当にオーブの領海に接近しつつある。我々は転進が認められない場合、貴官らに発砲する権限を有している。直ちに転進せよ』

 

 

 

 追われているアークエンジェルに対する無慈悲とも思える通告だが、確かにオーブとしてはそう言う他にないだろう。まるで祖国に見捨てられたような心細さと歯がゆさはあるが。

 

 

 

 

『――――カガリ、お前が見つけるんだ。お前にとっての正しさを』

「やってやる……やってやるさ! 私だって、オーブの獅子の娘だ! オーブの国民を守るためなら、戦ってやる!」

 

 

 

 避難民も、オーブの名前を借りてるだけとかいうふざけたヤツでも! あんなんでも死なせていいヤツじゃない!

 少なくとも無駄に争いを広げるようなヤツに落とさせはしない!

 

 

 

 

 格納庫に駆け込み、偵察に使われたくらいで長らく死蔵されていたスカイグラスパーに乗り込む。

 そしてそのまま権限を持っているマードックに向けて叫んだ。

 

 

 

 

「機体を貸せ! 私が出る!」

「はぁ!? 何言ってんだ、遊びじゃないんだぞ!?」

 

 

 

「そんなこと言ってる場合か!? このままじゃオーブに着く前にアークエンジェルが沈む! ジンくらいなら私が止めて見せる!」

 

「ぐっ……すまん、艦長! じゃじゃ馬娘がスカイグラスパーを貸せと怒鳴り込んできた」

『なんですって!?』

 

 

 

「――――頼む! 私だって死にたくないし―――死なせたくないんだ!」

『………っ、やれるの?』

 

 

 

『確かにシミュレーターの成績は良かったですが、無茶です!』

「無茶をやらなきゃ、沈む時だろ!」

 

 

 

『―――~~っ、発進許可します! ただし、後方のジンへの牽制がメインよ。必ず生きて帰ってきて!』

 

「あーもう! 総員退避ぃ! スカイグラスパー出るぞ!」

 

 

 

「すまん! ――――カガリ・ユラ・アスハ! スカイグラスパー、出る!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 じわじわとミサイルで削られていく足つきから、見慣れない戦闘機が発進する。

 どうやらパイロット不在で放置されていたそれに、素人が乗り込んだようで。即座に単純思考のバカと見抜いたアコードはビームライフルで撃ち落とそうとし―――。

 

 

 

 

 その瞬間、ビームが乱射されるイメージを察知して散開。

 が、イメージ通りのビームは発射されず。ストライクのパイロットが殺気を飛ばしてきただけだと瞬時に理解したシュラは仕返しに足つきにミサイルを追加で叩き込んだ。

 

 

 

 

「―――やるな。だが二度は通じん!」

 

『チィッ! 想像以上に厄介だな!』

 

 

 

 

 敵戦闘機は足つきの背後を跳びまわるジンの足場、グゥルを一機撃ち落とすことで狙いを母艦から逸らしたようだが。果たして素人がいつまで飛んでいられるか。

 

 

 

 足つきとグゥルの間を飛び移りながらの格闘戦を繰り広げるデュエルとストライクを尻目に、イージスは給電ケーブルを繋いだ状態での射撃に徹しつつ的確に嫌がらせをすることでなんとかブリッツとバスターを近づけさせず。

 

 

 それでも2対1で勝てるほどアコードは甘くはない。イージスの使っていたケーブルが破損し、左腕を撃ち抜かれ、ダメージが蓄積していく。

 

 

 

 

 

 が、このままではオーブ領海に入ってしまうだろう。

 このままでは――――な。

 

 

 

 足つき……アークエンジェルとやらを攻撃するフリで引き入れる? ザフトは攻撃できない? そんな甘ったれた考えが、本当に通じるとでも?

 

 

 

 

 

 

 

『――――闇に堕ちろ!』

 

 

 

 

 

 

『馬鹿な、何をしている!?』

『ミサイル、発射されます! 目標ザフトのMS!』

 

 

 

 

 その瞬間、ちょうど飛んでいたTVの撮影ドローンが記録したのは、まだオーブ領海の外にいるザフトに対してオーブ艦隊がミサイル攻撃を敢行した決定的な場面で。

 それはザフトのジンからも記録されていた。

 

 

 

 

 

「――――オーブ軍による攻撃を確認した、我々も自らの安全を守るために実力を行使する!」

 

 

 

 

『――――キャハッ、沈め!』

『オラオラオラ!』

 

 

 

 バスターの放った射撃がオーブの護衛艦の弾薬庫を貫き、爆沈する。

 ブリッツのトリケロスが、デュエルのグゥルが放ったミサイルが、必死の抵抗を試みるオーブ艦隊に襲い掛かる。

 

 既に死に体のアークエンジェルを放置して。

 

 

 

 

 

 

『――――チッ、狂犬め!』

「残念だったな、ストライク。お前には水底が似合いだ」

 

 

 

 

 

 足場をなくして、最後に潰してやる。

 そのままグゥルをオーブ艦隊に向け。

 

 

 

 

『くそっ……やめろぉぉぉぉッ!』

「ふん、死ね」

 

 

 

 

 怒りのあまり真っ直ぐに突っ込んでくる戦闘機を、ビームライフルで撃ち抜く――――その瞬間、飛び出してきたストライクが盾で割って入って。

 

 

 

 

 

『――――下がれ! カガリ、死ぬ気か!?』

『だって! わた、私は――――!』

 

 

 

 

「迂闊だな、ストライク!」

『くっ!?』

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 無理に空中で割って入ったことで、ロクな回避ができなくなったストライクに三方向から攻撃が迫る。このままでは死ぬ――――俺も、皆も。

 

 

 奇妙にゆっくりに感じる時間、迫るビーム、ミサイル、サーベル、回避しきることは到底不可能だろう波状攻撃に、思い出すのはいつか見た記憶。

 

 

 

 

 

 

『あそこには仲間が――――友達がいるんだ!』

 

 

『アスランが信じて戦うものはなんですか?』

 

 

『こんな戦いは、もう終わりにしなくちゃいけないんだ』

 

 

『アンタって人は―――ッ!』

 

 

『――――生きる方が、戦いだ!』

 

 

『俺が―――お前を討つ!』

 

 

 

 

 

 

「――――アークエンジェルを、沈めさせはしない!」

『終わりだ―――!』

 

 

 

 

 

 

 脳裏で弾ける(可能性)

 一気に広がった視野と、ゆっくりに感じる体感時間の中で、打開策を模索する。

 

 

 

 

 

 

 水面に向かって急降下、追尾したミサイルが襲い掛かるのを――――水しぶきをスラスターで巻き上げることで壁にし、誘爆させる。

 

 

 そこを狙って放たれたバスターの射撃は急制動で回避。

 機動力が死んだその瞬間を見計らってデュエルが強襲し――――。

 

 

 

 

 

『う、おおおおおっ!』

 

 

 

 水中に片足を接触させることでつんのめるようにドリフト。

 デュエルのビームサーベルを回避すると、水面を滑るようにして辛うじて制動し、スラスターを全開にする。

 

 

 

 

『終わりだ!』

 

 

 

 

 しかしさすがに打つ手がなくなったストライクにランサーダートを構えたブリッツが接近し―――。

 

 

 

『させるかあああっ!』

 

『!? 下がれ、グリフィン!』

 

 

 

『ちぃっ!』

『くそっ、素早い!』

 

 

 

 ソードストライカーを装備したスカイグラスパーの対艦刀を構えての突撃を間一髪で回避したブリッツにカガリは舌打ちしつつ離脱。そこにブリッツが攻撃を仕掛けようとし。

 

 

 

 

 

 が、そこでブリッツにオーブ軍から放たれた大量のミサイルが殺到した。

 

 

 

 

 

 

『ぐああああっ!?』

『オーブ軍か!』

 

 

 

 

 喜色を滲ませるカガリに応えるように、オーブ軍が派遣した更なる護衛艦、そして多数の航空機がレーダーに表示され。

 

 

 

 

『我々からの攻撃となってしまったのは誠に遺憾だが――――これ以上蛮行を許すわけにもいかん! 攻撃だ!』

 

 

 

 

 

 

 

 一見すると望むべくもない救援に見えた。

 だが、これは――――何だ。この嫌な予感は!?

 

 

 

 

 

 

「―――――まさか。いや、不味い! オーブ軍、下がれ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――瞬間、空からオーブ軍に光が降り注いだ。

 

 

 

 

 

 

 通常の、バッテリー駆動のMSであれば一瞬で電力が枯渇するだろう大火力。

 それを投射し、舞い降りる『殲滅型対MS戦用MS』。

 

 Nジャマーキャンセラーを搭載し、既存のMS全てを過去のものにする最新鋭機が、蒼い翼を広げて舞い降りる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――…フリーダム…っ!」

『こちらはザフト軍特務隊、オルフェ・ラム・タオ。先制攻撃のみに飽き足らず、わが軍に対して明確な敵対行動を取ったオーブ軍への―――報復を開始する!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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