C.E.で最もフリーダムなアスラン   作:アマシロ

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閃光の刻

 

 

 

 

 

 

 

 

――――フリーダム。

 

 

 ZGMF-X10A、鹵獲されたGAT-Xシリーズのデータからザフトで極秘に建造されたNジャマーキャンセラー搭載MSであり、核動力により従来のMSとは隔絶した火力・機動性・継戦能力を獲得した機体であり―――キラの代名詞とも言える機体。

 そのコンセプトは「殲滅型対MS戦用MS」であり、多数の敵MSを圧倒できるバーストモード、マルチロックオンシステムなどを搭載。

 

 連合の生体CPUが操る第2期GAT-Xシリーズは圧倒できなかったりと決して無敵の機体ではなかったが――――相手が悪かっただけで凄まじい強さだったのはその2年後でも明らかで。

 

 

 

 

 本来であればラクス達によって強奪されるはずの機体。

 恐らくは核に対する忌避感から極秘で扱われていたのがその根底にあったのだと思うが。まさかユニウスセブンの悲劇がなくなったことで投入が早まったのだろうか。

 

 

 

 シンとキラの戦いのような不殺狙いなど一切ないだろう敵パイロット。

 これは流石に不味いか、とバッテリーを確認。幸い最初はランチャーで戦っていたこともありまだ半分程度はある――――もう半分しかないとも言う。

 

 

 

 

 

 

『―――――これがアコードの、ザフトの力だ。沈んでもらうぞ、ストライク――――オーブのスーパーコーディネーター』

 

 

 

 

 

――――ん?

 

 

 

 

 いやコイツは一体何を――――とか「何か勘違いしてないか?」と思わず思ったところで、わざわざ説明してくれるフリーダムのパイロット。

 

 

 

 

『お前は世界を導くもの、アコードにはなれなかった失敗作なんだよ。だからこうしてここで死にかけている』

 

 

 

 

 

 説明している間は攻撃しないつもりなのか、アークエンジェルに向かって飛ぶストライクをグゥルに乗ったデュエル、バスター、ブリッツが囲み。

 フリーダムは上空からオーブ艦隊に向けてフルバーストモードで構えた。

 

 

 

 

 

『――――我々こそが、選ばれた新たな人類だ』

 

 

 

 

 

 

 瞬間、一斉に重要区画を撃ち抜かれて爆散するオーブ艦隊。

 あまりにも圧倒的すぎる虐殺に、キラがわざわざ不殺を試みた訳をなんとなく察した。ラクスが託してくれた力が、こんな光景を生み出すのを見たくなかったのだろう。

 

 

 

 

『くそっ、なんでこんな――――どうしてこんなことができる!?』

『悲観することはない。お前たちの死は無駄にはしないさ、アコードが統治する、争いのない世界―――その礎になるんだ』

 

 

 

 

『そんなワケの分からないことのために――――ふざけるなぁ!』

「駄目だ、カガリ!」

 

 

 

『行かせるかよ!』

『お前の相手はアタシたち!』

 

 

 

 

 ストライクを急上昇させてフリーダムの攻撃を阻止しようとするが、ブリッツとバスターが邪魔で突破しきれず。

 

 ソードストライカーの対艦刀を構えて突撃するスカイグラスパーだが、フリーダムは悠々と向き直り。あっさりと回避すると、そのままスカイグラスパーにビームライフルを叩き込んで。

 

 

 

 

 

 

『――――下がれ、この馬鹿!』

『くっ――――でも!』

 

 

『いいから下がってくれ! 素人を庇う余裕なんて無いの!』

 

 

 

 辛うじて、変形して急行したイージスが盾の残骸で防ぎ。

 しかしそのまま滑空するイージスに向けてフリーダムがフルバーストモードで構えた。

 

 

 

 

 

『勘が良いとは聞いているが――――避けられるかな?』

『くっそおおお!?』

 

 

 

 

 同時に、回避する隙間もなく放たれるビーム砲、ビームライフル、レールガン、そして機関砲の都合7門による一斉射撃。軍勢に対して用いられるそれをただ一機で受けたイージスはバイタルエリアこそ死守したもの両手足を撃ち抜かれて墜落。そのままPS装甲がダウンして海に落ちる。

 

 

 

『すまん、艦長―――…』

 

 

 

 

「――――フラガ少佐!」

『少佐!』

『イージスの反応はありますが――――バッテリーが……え?』

 

 

 

 

『さあ、次はどっちだ? それともあの足つきから沈めるか――――』

 

 

 

 

 

 しつこく絡んでくるブリッツのグゥルを奪って海に蹴り落とし、急上昇。

 アークエンジェルの方を向けばフリーダムの背後を取れるように位置取りつつ併走して飛んでくるデュエルのビームライフルを盾で防ぐ。

 

 

 

 

 

 

「――――カガリ、上だ!」

『――――っ、ああ!』

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 何をしても無駄だ。

 上下からの挟み撃ちを指示したらしいストライクと戦闘機。

 

 フリーダムの機動性があれば避けるのも大した手間ではない。

 ブリッツとバスターのエネルギー残量が危うく、デュエルもかなり消耗しているのでこちらで引き受けなくてはならないのはかなり面倒だが。

 

 しかしあの意味不明な回避運動を見せつけた足つきを見た後だと、まあそれなりに消耗するのも仕方ないと思える。

 

 

 

 

 

 ビームライフルを乱射しながら急接近してきたストライクに再度のフルバースト。

 しかしそれはグゥルを盾にすることで辛うじて逃れ。

 

 

 

 

(涙ぐましい努力だな――――おっと)

 

 

 

 

 戦闘機から放たれたビームを回避。

 無視してストライクに再度のフルバーストを放とうとして――――違和感を覚えた。

 

 読心の意識を多少戦闘機に向けると「全部喰らえ」何を?

 

 

 

 

(なんだ? 今の戦闘機―――何か、減って――――馬鹿な!?)

 

 

 

「ぐぅっ!?」

 

 

 

 

 

 

 上空でパージされて自由落下してきたソードストライカーの対艦刀がフリーダムの装甲を掠め。

 自分のすぐ近くを通り抜けた巨大な刃物に思わず肝を冷やしつつ――――その対艦刀を掴み取ってビームを発振させて突撃するストライクを見た。

 

 

 

 

 

『―――――アンタは俺が討つんだ! 今日、ここで!』

 

「――――っ!?」

 

 

 

 

 

 脳裏を過るのは、対艦刀でコクピットを貫かれるフリーダムのやけに鮮明なビジョン。

 

 完全に不意を突いたストライクの対艦刀は急激に後退したフリーダムを僅かに掠め――――しかし推力の違いでどう頑張っても追いつけない。フリーダムのウイングバインダーと、核動力が組み合わさった機動性の違いであり。残酷なまでに明確な機体の性能差だった。

 

 

 

 

 

「っ、ははは! 残念だったな、これで終わりだ!」

 

 

 

 

 

 割り込んだデュエルのビームサーベルはエールストライカーを分離することで辛うじて避けたストライクに、フルバーストの射撃を叩き込む。

 

 

 

 

 

 

 

 それを対艦刀を盾にしつつ、もう片方の手で抜いたビームサーベルでビームを切り払うという超絶技巧を見せたストライクだったがレールガンの直撃でPS装甲がダウンし――――落下していくストライクに、ビームサーベルを構えたフリーダムが追撃する。

 

 

 

 

 

 

 ビーム砲を受けて左腕ごとストライクの盾が爆散する。

 ビームライフルを防ぐために必要なサーベルを維持するためのエネルギーもなく。着水したストライクにそのままビームサーベルを突き立て――――衝撃。

 

 

 

 

 

 

 

 横から何かに激突されたのか、ストライクに当たるはずだったビームサーベルはコクピットハッチを浅く切り裂き。フリーダムの画面いっぱいに、深紅の装甲が映った。

 

 

 

 

 

「―――――な、ん」

『へへっ、やっぱ俺って不可能を可能にする男なんでね』

 

 

 

 

 

 

 

 

――――コイツ! エネルギー切れと見せかけて、手動でPS装甲を落としていた!?

 

 

 

 

 正気か!?

 戦場で、しかも落水直前に自ら鎧を手放して裸になるなど正気じゃない!

 

 

 

 

 

『こう近づけば、回避は無理だなッ!』

「くそぉ、放せぇ!?」

 

 

 

 

 密着状態から放たれるイージスのビーム砲――――スキュラ。

 辛うじてそこにフリーダムの盾を割り込ませ――――――爆発。

 

 

 

 

 

 フリーダムの盾と左腕が損傷したものの、イージスは今度こそエネルギー切れでPS装甲がダウンし。

 

 

 

 

 

 

(なら悪いが、一緒に死んでくれ)

「何――――やめろ、ふざけるな!」

 

 

 

 

 脳裏にイージスの自爆コードが浮かぶ。

 コクピットハッチが開いて脱出しようとするパイロットだが、10秒で間に合うはずもない。イージスの手足が既に損傷していたこともあり、フリーダムはギリギリのところでイージスを振りほどき―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――フラガ少佐ぁ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 閃光。爆発。

 

 

 

 永遠にも思えた一瞬の後。

 水蒸気の中から浮かび上がってくるのは、僅かに全身が焦げて盾がなくなった程度のフリーダム。遠くまで吹き飛んだイージスの頭部が、破片が、いくつかの水柱だけを残して消える。

 

 

 フリーダムは悠々と両腕を広げ、水上に佇むような姿からウイングバインダーを広げたハイマットモードへ。

 

 

 

 

 

 

『……確かによく健闘したと褒めてやろう。感動的だった―――だが、無意味だよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ! 俺が――――俺の甘さが、少佐を殺した――――」

 

 

 

 

 

 近距離で受けた爆発の衝撃からなんとか機体を立て直して周囲を見渡すが、やはり少佐の姿はない。

 

 ストライクのコクピットで思わず拳を叩きつけるが、既にPSダウンし危険域に突入したエネルギーも、左腕と盾、ライフルと対艦刀、エールストライカーとサーベルも失い。あるのはアーマーシュナイダーのみ。

 

 

 

 

「ラスティ……俺は………フラガ少佐………ニコル…ッ!」

 

 

 

 

 俺も結局は何も変わらない。ニコルをむざむざ死なせたアスラン・ザラと同じだ。

 どんな理由があっても、ベストを尽くさなかった俺を庇ってニコルも、フラガ少佐も…ラスティも!

 

 

 

 

 

 

 

「―――――お前だけは………俺の命に代えても、お前を討つ!」

『既にバッテリーの尽きた機体で! どこにそんな武器がある!? どう戦う? 素手で殴ってみるか!?』

 

 

 

 

 

「くっ――――」

 

 

 

 

 武器は―――ない。

 エネルギーの尽きかけたストライクを自爆させたところで、イージスの自爆が殆ど効果の無かったフリーダムをなんとかできるかというと怪しい。

 

 脱出を考えずに、密着して、振りほどかせずに自爆させられれば――――。

 

 

 

 

 

『だがその前に――――』

『死ね』

 

 

 

 

 

 デュエル、ブリッツ、バスター。

 ビームサーベルが、トリケロスのビームライフルが、ビーム砲が、それぞれストライクを狙う。

 

 辛うじて跳び上がることでトリケロスのビームは回避したものの、そのままデュエルの攻撃を阻止するための武器も、回避するための翼も、剣もなく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―――武器ならあるよ』

 

 

 

 

 

――――瞬間、降り注いだビームの豪雨がデュエルの両腕と頭とグゥルを、ブリッツのトリケロスを、バスターの右腕とグゥルを吹き飛ばし。

 

 

 

 

 

 

 蒼い翼を広げて、白いフリーダムが舞い降りる。

 黄金色に輝く関節部、より繊細で、女性的なシルエットにはなっているが―――。

 

 

 

 

 

『―――――私が守る。私たちの翼が、アスランを守るから』

 

 

 

「『――――フリーダム!?』」

 

 

 

『こちらはザフト軍特務隊、キラ・ヤマト。ザフト、地球軍、オーブ軍、全軍に伝えます。直ちに戦闘を停止し、撤退してください。受け入れられない場合は、実力にて排除します』

 

 

 

 

 

 

 

 向かい合う二機のフリーダム。

 既に武装を失い戦えなくなったデュエル、バスター、ブリッツ。そしてストライク。

 

 動いたのはオルフェのフリーダムだった。

 

 

 

 

 不規則に動きながらビームライフルとレール砲を放ち。

 対するキラは舞うように回避していく。

 

 

 

 

『――――そんなもの!』

『チッ! なら、これはどうだ――――』

 

 

 

 

 

 フルバーストモードを構えたフリーダムが、ストライクを照準し。

 

 

 

 

 

 

『――――これなら避けられまい!』

『――――は…?』

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間、キラの動きが“変わった”。

 全く同じ武器が、正確にストライクを狙った射撃を“撃ち落とす”。

 

 更にそのままハイマットモードも同時に展開し――――連射したまま一気にオルフェに向けて突貫する――――と見せかけて、一気にストライクの傍まで舞い降りて。

 

 

 

 

 

 

「キラ……キラ、なのか…?」

 

 

 

 

 

 戦ってほしくなくて。

 守ってやりたくて。

 

 それでもきっと、誰よりも頼りになる親友で。

 モニターに表示される、見慣れないパイロットスーツに身を包んだ、けれどいつもの優しい笑みの少女。

 

 

 

「うん。来ちゃった」

「……………俺は、お前を巻き込みたくなくて……」

 

 

 

『――――ばか。頼ってよ、私も、ラクスも……アスランを守りたい。―――後で、大切なお話があるから!』

「……すまん」

 

 

 

 

『これを――――アスランなら、いけるよね』

 

 

 

 

 フリーダムの装備していたウイングバインダー―――にしか見えないパックが離脱。ストライクに装備される。

 一気にエネルギーが回復し、鮮やかなPS装甲が再展開。

 

 本来対応していない予定の装備だからか、一部表示がおかしくなっているが……キラが設定してくれているのだろう。何も問題はない。

 

 

 

 

 翼を渡してほぼ白い装甲と黄金の関節部という華奢な機体のみになったフリーダムに、スカイグラスパーが先ほど分離したエールストライカーを運んできて。

 

 

 

 

『ええい、どっちでもいいから受け取れ!』

『――――ありがとう!』

 

 

 

 

 フリーダムの翼を身に着けたストライクと、ストライクの翼を身に着けたフリーダムが並び立ち、渡されたサーベルを構えた。

 

 

 

 

 

 

『既に死に体のストライクなど、必要ないだろう! 放っておけばよかったものを!』

 

『必要だから助けたんじゃない! 大切な友達―――大切な人だから守りたいだけ!』

 

「行くぞ、キラ! 俺たちの力で、アイツを止める!」

 

 

 

 

 

 

 軽くフットペダルを押し込んだだけで機体が振り回される感覚とともに一気に急上昇する。ストライクフリーダムほどではないが、ピーキーすぎる設定だ。ヴォワチュールリュミエールが無い分、純粋に高出力による高機動なのだろう。開発は詳しくないがたぶん。

 

 

 

 

 

 フリーダムがフルバーストモードも構え、こちらはハイマットモードで対抗。

 キラならハイマットフルバーストで全弾叩き落としながら接近したりできそうだが、こちらは純粋にロックオンさせないように螺旋を描きながら急上昇。

 

 

 

 

『――――堕ちろ!』

「くっ――――――おおおぉッ!」

 

 

 

 

 ウイングバインダーを大きく広げ、機体をロールさせつつ急激に側方に滑らせることで大部分を回避。直撃コースのビームをサーベルで切り払い、散々とキラが使うところを見たハイマットフルバーストモードへ。とはいえ今あるのはウイングバインダーならぬウイングパックに内蔵されたバラエーナプラズマ収束ビーム砲2門だけだが。

 

 マルチロックする時間はないので、雑に狙ってそのまま連射。

 

 

 

 

「―――――当たれぇッ!」

『その程度!』

 

 

 

 

 

 雑な狙いでもある程度こちらの狙いが分かるからか、反則的な初動の速さで『撃たれる前に避ける』フリーダム。

 

 

 

 そこにビームライフルを二丁構えたキラがフリーダムを突っ込ませ。

 

 

 

 

『――――これなら、どうっ!?』

 

 

 

 

 乱射されたビームにより、十字砲火に晒されたフリーダムは既に盾を失っていたこともあり、被弾。ウイングバインダーをいくつか損傷し、機動を乱しながらも急降下し水面付近を飛ぶことで振り切ろうとする。

 

 

 

 

『―――クソっ! 何故だ――――何故私が……追い詰められている、のか…!?』

 

 

 

 

 ウイングバインダーにより有機的な動きができるが、ストライクの出力しかないため直線的な加速で劣るウイングストライク。出力は十二分にあるがエールストライカーのため直線的な動きになってしまうエールストライカーフリーダム。

 

 

 

 

 

『――――キラ、合わせろ!』

『――――うんっ!』

 

 

 

 

 

『私が、私は! 分断と流血の時代を終わらせるために生まれたのだ! こんなところで負けるわけにはいかない!』

 

 

 

 

 

 オルフェによるフリーダムのバーストモードでの射撃が盛大に水しぶきを巻き上げ――――その間に並んでの飛行に移ったストライクとフリーダムがパックを換装する。

 

 

 

 

 

「「パック、換装!」」

 

 

 

 

 フリーダムの核動力から十分に電力供給を受けたエールストライカーが再びストライクの翼となり。ストライクに十分な想いと力を託したウイングパックが再びフリーダムの背に戻る。

 

 

 

 

「誰かに言われたまま戦って、それで最後は本当に平和になるのか!? お前の言う平和とはなんだ!?」

 

『争いがない世界だ! 真に優れたアコードによって支配され、人も、国も、あるべき正しい姿に割り振られる! それこそがあるべき未来!』

 

 

『――――そんなもの、人は望まない!』

 

 

 

 

 

 再び舞い上がったエールフリーダムがハイマットモードとフルバーストモードを並列起動。瞬間的に、ほぼ全ての武装をマニュアル操作することで先読み回避する暇を与えない早打ち。

 

 

 

『実際に知れば誰もが望む! 人は、己に与えられた役目を果たすだけでいい! 誰も間違わない! 誰も迷う必要はない!』

 

『――――私が欲しいのは、大切な人と笑い合える明日だ!』

 

 

 

 

 

 辛うじて直撃は避けたフリーダムだが、各部の装甲が吹き飛び左足が爆散。

 失速したところにビームサーベルを構えたストライクで突貫する。

 

 それを宙返りするように回避し、ビームサーベルを構えようとしたフリーダム。

 が、それを見越してストライクを突進させ、そのまま先に頭部を蹴り飛ばす。

 

 

 

 

 

 

 

「――――このっ、馬鹿野郎…ッ!」

『クソっ、クソっ、クソッ! この程度の相手に――――撤退するぞ!』

 

 

 

 

 

 

 

 ハイマットモードで一気に飛び去ろうとするフリーダムに、エールストライクで追いつくことは不可能。

 キラにトドメを差してくれとも頼みたくなかったこともあり、滑空しながら逃げていくフリーダムを見送り。

 

 

 

 

 

 

 

 そのまま緩やかに落下しそうなストライクを、キラのフリーダムが抱きしめるようにして支える。

 

 

 

 

 

『大丈夫、アスラン?』

「……ああ。なんとかな………っ! そうだ、少佐は!? フラガ少佐―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

……

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、死ぬかと思ったぜ。坊主が咄嗟に庇ってくれなきゃ死んでたね」

「いやなんで生きてるんだよ」

 

 

 

 

 カガリが辛辣すぎる。

 

 

 

 

 そう。イージスが自爆した瞬間、割と至近距離にいたストライク。

 もともとキラとアスランが戦った時に至近距離で自爆されてもキラが無事だったのを知っているので、逃げるのではなくストライクを脱出してきたフラガ少佐の盾にして。海中だったこともあり、多分爆発の衝撃もかなり殺されたのだろう。

 

 

 なのでむしろストライクの装甲に激突した時の打撲のダメージの方があるかもしれない。受け身を取ったから平気? 本当に何者なんだフラガ家。

 

 

 本気で死ぬかと思ったが、もともと少佐が割り込んでくれなければこっちも死んでいたので後悔はない。でも流石に少佐は死んだんじゃないかと思ったけど。ほぼ無傷とは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とかなんとか言いながら少佐を回収してアークエンジェルに帰還。

 あちこちボロボロで大わらわではあるのだが、それでもまずは。

 

 

 

 

 助けに来てくれたキラと向かい合って――――と、思ったところでヘルメットを投げ捨ててすごい勢いで走ってきた。

 

 

 

 

 これは――――殴られる!?

 しかし甘んじて受けよう、と目を瞑ったところで、勢いよく抱き着かれて倒れそうになり。咄嗟に回転して勢いを流しつつ受け止めた。

 

 

 

 

 

「……ばかっ! 心配、したんだよ…っ!? 死んじゃったかもって、ばか……ばかぁ………アスランのばかぁ……っ!」

 

「あ、いや、その…………アレックス……」

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

 

 確かにそれは私が悪いけど、今それ言っちゃうの?

 と泣きながら充血した目でジトーっと睨んできたキラは、むぎゅうっと強く抱き着いてきて。

 

 

 

 パイロットスーツごしにほんのり柔らかいような……そうでもないような……。

 読心されたら殴られそうなことを考えつつ抱きしめ返した。

 

 

 

 

 

「ごめん。ありがとう、来てくれて助かった」

「………うん」

 

 

 

「ところでキラ?」

「なに?」

 

 

 

 

「髪飾り、似合ってるぞ」

「~~~っ!? ほんとにさ、そういうところがさぁ…っ!」

 

 

 

 

 

「えっ。いや、ほら。だってせっかくつけてくれてるわけだし……」

 

 

 

 抱き着きながら蹴ってくるという無駄に器用なことをしてくるキラだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








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