そういえば劇場版のネタバレを含みます(今更)
主に敵の能力くらいのはずですが
「―――――いやー、全く参ったぜ! クルーゼの野郎ドックの出口で『待ち』の姿勢だ。こりゃのこのこ出て行ったら落とされるぞ」
ハハハ、と冗談めかしながらも目が笑ってないフラガ大尉。
それに相対するオーブのパイロットスーツを着た俺と、そこに抱き着いているいかにも民間人の少女ですという風体のキラ。いやまあこんな光景見せられたら普通に混乱するよね。
「おっと悪い、地球軍所属ムウ・ラ・フラガ大尉だ―――で、オーブの人間が何故此処に?」
「ジャンク屋のアレックス・ディノ――――オーブのモルゲンレーテの依頼でMS整備の手伝いをしている、ということになった」
「あー、それはつまり………――――どういうことだ?」
「簡単に言えば現首長ウズミ・ナラ・アスハの依頼で一部の暴走を止めに来たが、手遅れだったというところかな」
少なくとも、公表できる内容としては。
そんな副音声が聞こえたのだろう、苦み走り切ったフラガ大尉は両手を挙げて「いやー、こりゃ一介のパイロットにはお手上げだな!」とかなんとか言いつつ、なんとなく集まって気まずそうにしている地球軍の生き残りたちに目を向けた。
「ところで着艦許可を貰いたいんだが――――あー、誰に頼めばいい?」
「あっ、その艦長は、亡くなられて……一応、私が……アークエンジェル副長、マリュー・ラミアス大尉です」
「おっ、同階級か。……じゃあ悪いが艦長頼むわ」
「えっ!?」
「俺は艦のことはさっぱりだ! もともと副長ならちょうどいいだろ、な!」
「ではその場合次の副長はフラガ大尉で良いですね?」
このまま行くとバジルール少尉が副長になるけど、それおかしいよね。階級が上のフラガ大尉が副長やるべきだよね。クルーゼもなんか似たようなことやってたし。
ついでに言わせてもらうと真面目な軍人(新米)のバジルール少尉より、不良軍人のフラガ大尉が権力持ってた方がキラが過ごしやすいだろうし、俺もやりやすい。
すげぇ嫌そうな顔としか言えない顔になったフラガ大尉だが、諦めたように溜息を吐くと頷いた。
「わかったよ。ところで君も協力してくれるんだろうな、コーディネイターのパイロット君?」
「オーブ代表首長の命で動いてますからね、積極的に地球軍に協力はしませんが専守防衛くらいはしますよ――――地球までは。対価としては、俺とキラがオーブに帰るためのシャトルを融通していただきたい」
この、馬鹿野郎! そんなに主導権が握りたいのか!? お前が欲しかったのは、本当にこんなクソみたいな空気か!?
と叫びたくなったが別にそういうつもりでもなかったようで、想像以上に悪化した空気にちょっとだけ申し訳なさそうにしつつ大尉は言った。
「あー、その嬢ちゃんのことか?」
「ええまぁ……俺がここにいる理由でもある“大切な”友人です」
意味は分かりますよね、キラに危害が及んだら何するか分かりませんよ、俺の推しカプの片割れだぞ、と念押しするとフラガ大尉は真面目な顔で頷いて、それからにっこり笑って小指を立てた。
「つまり……“これ”だな! なんだよ坊主やるじゃねーか! ハハッ、いやー、どんな奴かと思ったがいい坊主だな! よっしゃ後で飲み物奢ってやるから少し話聞かせてくれよ、な?」
「いや違いますが!?」
反応古っ!?
ここ本当にコズミック・イラか!? と言いたくなるようなフラガ大尉である。
キラにはラクスっていう運命を超えた相手が――――ん?
なんとなく脇に引っ付いているキラを見る。
ダークブラウンの髪は大人っぽく肩まで伸ばしているし、原作同様細い身体だが女性らしい丸みもある。うーん、美少女。さすがスーパーコーディネーターだ。神に愛されているかのように錯覚する……これが製作者の性癖なのか、とか思ってしまうとアレだが。
(あれ、キラが女の子ということは……―――――そんな!?)
俺の中での運命である、キラ×ラクスのカップリングが――――?
(―――――これは、百合じゃないか!?)
これがデスティニープランに対する回答だということ…?
そんなまさか。少女たちの百合百合した光景を見てにっこり「これも
「キラには
「おー、怖い怖い」
「えっ!? ア、アス―――アレックス!?」
「あとなんなら俺の家族(ぐるみの付き合い)みたいなものですからね、部屋は可能なら隣にしてもらいたい」
「オッケーオッケー、副長として許可するぜ!」
「ちょっ、アレックス! 待ってってば!」
「え、嫌なら別にいいが……」
いざという時不便なんだよなぁ、キラを連れてアークエンジェルを脱出する可能性もゼロではないし。と顔を曇らせるとキラは真っ赤な顔で痛くない程度の拳を脇腹にコツコツとぶつけてきつつも言葉が出てこないのか口をパクパクさせた。
「―――ぃ、ぃゃじゃ、ない……っ、けど……!」
「じゃあ構わないか?」
「――――は、恥ずかしいの…!」
「大丈夫だ、キラ。(お前の生活能力皆無なことくらい)皆もすぐに分かる」
「~~~~っ!? バカ…っ、アレックスのバカ……!」
キラの友人たちが「トリィの声の人よね」「うわあ」「想像の斜め上にカッ飛んでるじゃんか」となんか思ってたのと違う反応をしているのはスルーしていいのだろうか。あ、トリィの功績か。話が早くて助かる。
「とりあえず敵に動きがないようでしたら、一旦使えそうな物資を集めますか。キラは……あー(コーディネイターなのを隠している以上は役に立たなそうだから)、俺の部屋でのんびり寛いでていいぞ」
「ぅ、………っ~~~~アレックスなんてもう知らないから!」
ちょっとだけ痛いパンチが脇腹に一発。世話を焼かれてると知られるのは恥ずかしいのか顔を真っ赤にして走り去るキラを見送りつつ、既にアークエンジェルに格納したイージスと、まだ下に置かれたままのストライクを見て。「お熱いねぇ」と見当違いなことを言ってるフラガ大尉に声を掛ける。
「ではフラガ大尉、ストライク……アレを拾ってくるので一応警戒態勢お願いします。MAに変形できるので、“エンデュミオンの鷹”ならイージスくらいイケるでしょう」
「いや無茶ぶりだぜそれは!?」
「頼みましたよ、無茶ぶりを可能にする男」
「不・可・能! 不可能を可能にすんの! 嫌だぜそんな社畜みたいな称号は! 絶妙にカッコ悪いし!」
―――――――――――――――
『ったく、無茶苦茶だぜ』
「……そう、ね」
X-303イージス。そのコクピットで待機するフラガ大尉をモニター越しに見ながら、マリューは先ほどの話し合いを思い出していた。
オーブに協力しているジャンク屋、というなんと言えばいいのか困る―――おそらくはオーブが他国に介入するための建前なのだろうが―――青年、アレックス・ディノ。数回ほどXナンバーの調整にも参加していたので腕がいいのは知っていたが、ジンをああもあっさりと一蹴するほどとは。
Xナンバーの開発にも携わり、そして先ほどストライクに乗りはしたものの何もできなかった自分からすると誇らしいやら恥ずかしいやら。それも、コーディネイターだからと言われれば納得するしかないのだけれど。
そうすると意見の対立からの決裂の心配はやはりある。
『ヘリオポリスはオーブの所有するコロニーであり、民間人が多数いる。徒に被害を増やすのは勘弁してほしいですね』
『そんなもの! 戦争をしているんだぞ、こちらは! 待ち伏せに真っ向から突っ込めというのか!』
たしかに、戦闘を行う上でそれはどうしても避けたい。
が、アレックスは冷めた目で反対するバジルール少尉を見据えると言った。
『中立国の民間人を盾に脱出すると? 地球連合の軍人は大したものだな。それとも隔壁を、いるかもしれない民間人ごと陽電子砲で吹き飛ばすつもりか? その場合、オーブとしては宣戦布告と受け取らせてもらうが』
『くっ……』
『俺からの提案は単純だ。俺がストライクで出て注意を惹きつけている間にイージスのMA形態でフラガ大尉が敵艦を強襲。戦力を分断したところをアークエンジェルで強行突破する』
『おいおい、そりゃ坊主の負担がデカすぎるだろ』
『ザフト艦が落ちれば連中も帰る手段がなくなる――――フラガ大尉の手際次第ですよ』
無茶ぶりをする代わりに、一番の無茶は自分が引き受ける――――道理には合う。バジルール少尉は『コーディネイターだから裏切るのでは』と疑っていたが、そこは奇しくも彼が大切な家族とまでいったキラちゃんがいることで解決された。
OSを調整中のMSのコクピットにまでキラちゃんを連れ込むイチャイチャっぷりである。
差し入れのおにぎりを握るあたり、キラちゃんも憎からず思っているようだし。
『というか、キラちゃんもコーディネイターなんじゃないか? なんというか、まあ、目を引く容姿だしな』
「……そうかもしれないですが。戦いを嫌う、中立のコーディネイターだと…?」
『そうだな。まあザフトも大西洋連邦以外とはそう大きくやり合ってないからな。だからこそ、今回の襲撃は意外だったんだが――――Xナンバー、それほどのものか』
「……ええ。PS装甲にビーム兵器、ミラージュコロイド……戦局を一変させうる……Nジャマーという抑止力を、更に抑止するという狙いがあったみたいなのですけれど」
結局は奪われてしまった。
大きな視野でみれば、ザフトの打つ手は怖いほどに的確だ。普段はNジャマーで弱体化した、大西洋連邦を狙い撃ちにし。Nジャマーを恐れてユーラシア連邦も東アジア共和国もファニーウォーのような様相を呈している。
もちろん実際は連合が団結すれば大西洋連邦だけが叩かれている状況よりザフトが圧倒的に苦しくなるのだろうけれど。それでも誰だって自分が苦しくなりたくない。ザフトが明らかにユーラシア連邦、東アジア共和国には本気で攻めてこないことも相まって。
むしろ東アジア共和国などは軍需増大による好景気になっているとさえ聞く。
大西洋連邦の落ちぶれ具合を見ればなおのこと真面目に戦いたくないだろう。自分が本格的に攻撃に参加すれば間違いなく残った一つが独り勝ちするとなればなおさら。
最近では大西洋連邦で力を持っていたブルーコスモスの盟主も積極攻勢を提案しないことで過激派と対立しているとか、いないとか。
『何だったか最近噂の国防委員長の息子だっていう『ザフトの獅子』に歌姫か。核攻撃を防いだ英雄がNジャマーを地球全土じゃなく限定散布にさせたって噂、本当なのかねぇ』
「さすがに地球全土に散布は……冗談だと思いたいですけれど」
しかし完全に嘘と切り捨てられないくらいには、コーディネイター達の怒りを感じている。民間人しかいない、農業用コロニーへの無差別核攻撃。それは未遂だとしても、逆に地球へ行われれば絶対に地球軍と国民は許さないだろう。
『まあそれくらいしないとザフトがこうまで粘れないでしょ。……実際は、まあいいようにやられてるわけだけどさ』
「でも実際、コーディネイターであるアレックス君の腕前はやはり、フラガ大尉から見ても…?」
『ありゃお手上げだぜ。……まあ、戦場で出会うザフト軍でもあれ程の腕利きはそうはいないと思うがね。それこそ―――ちょうど外で待ち構えてるクルーゼみたいな、ね』
『ストライカーパックはエールを装着! 残り二つもすぐ射出できるように準備を頼みます』
「アークエンジェルは地球、アラスカへ向かいますが……ナスカ級は高速艦であり、振り切ることは困難です。よって今回の目標は暗礁宙域に逃げ込み、彼らを撒くことを第一とします。第二目標は敵戦艦の無力化ないしは機関を叩くことです」
『ま、できる限り俺もエンジンを狙ってみるが―――相手はクルーゼだ、悪いが期待はしないでくれよ』
―――――――――――――――――
さて、クルーゼ隊の面々がどうなることかと思っていたらまさかのファウンデーション(まだその名前は存在していないが)から来るとは。
正直なところ、原作のクルーゼ隊であるアスラン(殺る気なし)、イザーク、ニコル、ディアッカより強敵と言っていいだろう。ついでにジンもいる。
こちらはキラの代わりに俺がストライクに。イージスにはフラガ大尉。
PS装甲相手だと全然頑張れないガンバレルこと、メビウス・ゼロよりは圧倒的に頼りになるだろうがバッテリー切れは怖い。
一応キラにキレッキレのOSを用意してもらったのでそうそう遅れを取ることはないと思いたいが……1対3であの読心術と、意識共有らしき連携は厄介がすぎる。精神攻撃もあるし。
癒し系小動物女子なキラをコクピット内に置いておき危なそうなら物理で止めてもらう……いやそれ脱走すると思われそうだな。
ラクスもコクピットにでもいれば謎パワーでガードしてくれそうなんだが。いや無理かな? 物理で正気に戻すラクスはちょっと面白そうなので見てみたいけど。
『X105ストライク、発進どうぞ』
「ともかく、やるしかない…か――――アレックス・ディノ! ストライク――――出るぞ!」
宇宙での戦闘の中でも、近くに構造物がある場合は比較的戦いやすいと個人的には思っている。距離感も掴みやすいし、障害物として使うことで敵の意表も突きやすい。
まあ心を読まれるなら意味ないかもしれないが。
コロニーを出た瞬間、放たれる集中砲火をエールストライカーの機動性に物を言わせつつ、どこかのシャアよろしくコロニー外壁を蹴って加速することで回避する。
『敵機体は――――デュエル、バスター、ブリッツ! Xナンバーです! 更にジンが2機!』
『………此処で死んでもらう!』
『キャハハッ! 私らに勝てるわけないって、教えてあげるよ!』
『チッ、俺もそっちの機体が良かったぜ』
『もう投入してきたというの!?』
きわめて有機的な連携――――言うは易し、の典型だろうが気味が悪いほどに連携が取れた動きで散開した三機が、波状攻撃を仕掛けてくる。
実弾兵器しか持たないジンは一旦無視し、いや丁度進行方向にいるので蹴らせてもらうことで加速し包囲から逃れる。狙うならやはりブリッツか。武装が貧弱なので近づいてもさして怖くはない。バスターは距離を取っているため、上手く意表を突きたいが。
『チッ、舐めやがって―――!』
『ほらほら避けないと当たっちゃうよ!』
「こいつら……誤射の心配がないのか!」
なんて面倒な。
ブリッツの近くにいても、掠めるような射線で平然と撃ってくる。これでは接近してもオールレンジ攻撃を受けるような無茶苦茶ぶりであり、全く意味がない。
さすがにジンは戸惑うように遠慮がちにしか撃ってこないが、それでもキツイ。ジンの射撃はPS装甲で受けるとして無視しなければ流石にやっていられない。
あと流石に多勢に無勢であのデュエルの相手はしたくないので、デュエル相手はエールストライカーの機動性で引き撃ちに徹し。
そうこうしている内に新たにシグーが参戦してきてしまった。
『さて、どこまで足掻けるか―――見せてもらうぞ』
来たか、ラウ・ル・クルーゼ!
わざわざ艦をがら空きにしてくれるとはお優しいが――――それもこちらが持ちこたえられればの話だ。
要所要所でシグーから放たれる弾は、言ってしまえば他のGより正直うっとおしい。
更にさすがに同じ手は何度も食らってくれないらしく、蹴り飛ばして加速できるMSがなかなか近くに来ない。
その間にもこちらの動きを読んでいるようなクルーゼの射撃がストライクの装甲、もといバッテリーを削っていく。
対処法のある読心よりもNT?の空間把握能力を持つクルーゼの方が厄介か。
「ちぃッ! このペースだとそう長くは持たないか…! なら―――」
早くも残り4割ほどまで減少したバッテリーを見て舌打ちしつつ、意識を集中させる。
『させるか…!』
『闇に堕ちろ―――!』
くっ、不味い―――!?
間に合わないか!
――――――――――――――――――――――
―――薄闇に包まれたような、どこか鈍い光に包まれたその心の中には、音楽が響いていた。
ZURA~♪ ZURA~♪
Hey! One Two さん、し
やるなら今しかないじゃないか! ZURA♪
やるなら今しかないじゃないか! ZURA♪
キラとJOY! キラエン(ド)ジョイ!
ふざけたシンに俺が天誅♪
『……は?』
『なんだコイツの心は………どうなってる?』
『なんなのさ、一体!?』
「この、馬鹿野郎ッ!」
何故か相手が混乱した隙をついて、ストライクの放った蹴りがブリッツを吹き飛ばし。そのままの勢いでバスターをビームサーベルで貫く――――寸前で回避され、右腕を切断するに留まる。
そのままバスターにトドメを刺そうとして、しかしクルーゼの援護射撃により中断する。
『一度下がれ、落とされたいか!?』
『ヴェサリウスに敵MAが急速接近! これは―――――』
『回避しろ!』
遠くから爆発の輝きが目に入る。
どうやらフラガ大尉が早くも目標を達成してくれたらしい。クルーゼがこっちにきたお陰か。
『よっしゃあ! アークエンジェル、第二目標は達成だ! 粘れば落とせるかもだが――――捨て身になられても困る! どうする艦長!?』
『アークエンジェル、機関最大! 一気に突破するわよ! イージスはストライクの撤退を援護!』
撤退を指示する声は聞こえてはいた。
だが、不思議と好戦的な気持ちが湧き上がってくるこの感じは―――――。
危険域のバッテリーと、撤退しようとする敵機を見比べ。迷っている間に迎えに来たイージスに捕まって離脱する。
『よくやったな、坊主!』
「ええ、まぁ……しかしこれは………相手は妙な能力を使うようです」
『妙な能力ぅ? クルーゼか?』
「もっと眉唾な感じですが」
面倒な相手と戦うことになった。よくシンはこんなの相手にできたな。
ビームライフル、サーベルだけで三機を相手にするのはバッテリーの面から厳しいし、換装もそう簡単にはさせてもらえないだろう。
とりあえず乱れた精神を落ち着けるためにラクスの歌でも聴くか……。
もうなんかとんでも誤字やらかしたり、既に少し錯乱しているみたいなので明日から量減らすかペース落としますね…。