C.E.で最もフリーダムなアスラン   作:アマシロ

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目覚めを待つ剣

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――やっぱ、相手のGも強くなってね?」

「同感です」

 

 

 

 アークエンジェル、会議室。

 第八艦隊の先遣隊が全滅してから、艦長、副長(フラガ大尉)、CIC担当(バジルール少尉)、アドバイザーとして呼ばれたストライク担当の俺も入れて、首脳陣?で会議を行っていた。

 

 

 

 

「……やはり強奪されてすぐの時はまだ本調子ではなかった、ということかしら…」

「本来あのOSを動かせるようにするだけでも一苦労ですからね」

 

 

 

「こっちもアレックスが調整してくれたとはいえ、正直MS形態で戦えってのは無茶ぶりだぜ?」

「前フリですか、無茶ぶりを可能にする男」

 

 

 

「ちげぇっての! マジで定着したらどうする気だよ坊主……」

「いいじゃないですか、誤差ですよ誤差」

 

 

 

 

「いや絶対不可能を可能にする方がカッコイイだろ!?」

 

 

 

 

 そんなフラガ大尉の言葉はスルーして、ひとまずの対策を考える。

 

 

 

 

「とりあえずブリッツは修理しなければ使えないかと。あまり大きな損傷ではないので、第八艦隊との合流くらいには終わっているかもしれませんが」

「幸い、敵艦は距離をとって追尾する方針みたいね。……このまま行けば、第八艦隊と合流できる、ハズだけれど……」

 

 

 

 

「正直、数がいてもG相手では被害が広がるだけのような気はしますね」

 

 

 

 

 正直、アークエンジェルから電力供給したランチャーストライクでアグニを連打すれば第八艦隊くらいは軽く落とせそうである。Gが3機もいるなら言わずもがな。

 

 

 

 

 

「とはいえ、我々だけで倒し切れる相手でもありません。第八艦隊と合流して叩くのが一番だとは思いますが……」

「それだってバッテリーを消耗させるくらいにしか頼れねぇよなぁ……」

 

 

 

 

 

 そう、実際問題ジンに対して有利に立てるスペックを持つG兵器は、当然の如くメビウスや既存の連合艦隊にも圧倒的に有利。

 波状攻撃でバッテリーを削り切れればいいが、そんな甘い考えを許してくれるパイロットでもなさそうである。

 

 

 

 

「バッテリーの都合上、守る側が有利なのは間違いありません。このまま行くしかないでしょう」

「だよなぁ」

 

「そうね」

「………」

 

 

 

 

 

 

 こうして、とんでもない送り狼を引き連れてアークエンジェルは第八艦隊に合流し――――のちに低軌道会戦と呼ばれる戦いが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――アスランに言いくるめられてしまい、ラクスに連れられてプラントに着いた私。とりあえずラクスの邸宅でじっくり休んだ次の日――――どういうわけか、いかにも機密ですという雰囲気のエリアに連れてこられていた。何故かザフトの赤服を着せられて。

 

 

 

 

「ラクス、これは一体……?」

「ごめんなさい、これはアスランにはダメだと言われていたのですが―――わたくしの独断ですわ」

 

 

 

 そうして隔壁をいくつか越えると、多くの人間がデータとキーボードと向き合う区画に。

 

 どうやらMS開発の現場らしく、流し見た範囲でPS装甲のデータやビーム兵器の関する設計など、どう考えても無関係な人間が見てはいけないデータで。平然と奥に進むラクスに『あ、この人もアスランの婚約者なんだなぁ』とちょっと遠い目になった。

 

 

 

 

「アスランが使っているストライク……あのMSは確かに優秀です。けれど地球軍のもので、いつまでもお借りするわけにはいかないでしょう?」

 

「あ、うん」

 

 

 

 

 『お借り』しているというのが果たして適切なのかは謎だったけれど。

 どちらかというとアスランがレンタルされているような……。やっぱりアスランは早く帰ってきて欲しい。友達も大事だけど、アスランがいないと――――。

 

 とかなんとか考えているのを見抜いたのか、ラクスはこちらに向き直り。

 奥で鎮座するまだ組み立て途中と思しきMSに目をやりつつ言った。

 

 

 

 

「だから、彼のための『剣』を用意したくて。――――想いだけでも、力だけでも駄目なのです。この戦いを終わらせるためには」

 

「それが、あのMS?」

 

 

 

「ええ。NJC――――核動力を搭載した、プラントを守護する機体――――X09A、ジャスティスですわ」

「……………ラクス、私ただの学生なんだけど」

 

 

 

 

 そりゃあ宿題で色々やらされたりはしたけれど。

 間違いなく優秀なコーディネーターが集められただろう場所で、果たしてどれほどの役に立つのか?

 

 

 

「ですが、あのアスランがOSの調整をキラに任せたのでしょう?」

「え、まあ……」

 

 

 

 

「なら、大丈夫ですわ」

「アスランって普段どんなことしてるのか怖くなってきたよ」

 

 

 

 

 

 まあそれでも、アスランのためにできることがあるなら――――そんな想いで頷こうとした私に、ラクスは今までみたことが無いほど真剣な表情で首を横に振った。

 

 

 

 

「これはきっと、アスランに怒られてしまうことです。わたくしは、わたくしの想いのために、キラの力を利用しようとしている――――アスランが戦火から遠ざけようとした貴方を、戦いに関わらせようとしているのですから」

 

「………」

 

 

 

 

 

「恨んでいただいて構いません。けれど、わたくし一人の想いでも、力でも――――戦いは終わらない。あの人の……アスランの行きたいと望む場所に必要な……力になりたいのです」

 

「……うん、ならきっと。私と同じだよ」

 

 

 

 

 

 そう、同じだった。

 同じ人に惹かれて、同じように戦いに心を痛めて―――私はアスランがコーディネーターと戦うことにさせてしまったから、ちょっと特殊だけれど。

 

 

 

 

 

「頑固で、いじっぱりで、強がりで、優しくて……なんでも抱え込もうとする分からず屋だもん。私たちだって、できることがあるって教えてあげないと――――守られるだけが、私たちじゃない」

「………キラ」

 

 

 

 

「だから。よろしくね、ラクス。私、アスランにも言われたけど人とのやり取りとか得意じゃないから……」

「ふふっ、いつも聞いておりましたわ。お任せください、わたくしこう見えて顔がききますの」

 

 

 

 

 見ての通りの間違いでは? とは思ったものの、アスランと同じで若干冗談が分かりにくいので曖昧に笑ってやり過ごす。

 

 

 

 

「では、キラに協力していただくにあたって―――――」

 

「――――ハイマットモードに移行した際のバランサーに誤差が生じるだと!? 何故そんなことが起きる! ニューラルネットワークとフィードフォワード制御をもう一度見直せ! なぜそんなことが理解できないんだ!」

 

 

 

 

 修羅場だなぁ、と思いながら怒られているスタッフを後目にラクスに視線をやり――――頷かれたので軽く設定を流し見る。

 

 なるほど確かに、これだと怒りたくもなるかもしれないなぁ……でもできれば怒らずにやってほしいなぁ、なんてことを考えつつも修正。

 

 

 

 

「できました」

「………誰だね君は―――あー、ラクス様?」

 

 

「キラはアスラン・ザラが認めたとても優秀な技術者ですわ。主に……プログラミングが得意だと」

「ちょっとラクス、いきなり盛らないで!?」

 

 

 

 

「見せてもらう。―――これは……いや待て、ハイマットモードだけではないな!? なるほど大気圏内における空力制御項目を個別に設定したことで分離時に――――しかしこんな効率化が可能なのか? いや実際こちらの方が数式として――――失礼した。開発主任のアルバート・ハインラインだ。見たことのない顔だが……」

 

 

 

「キラ・ヤマトです。えーと――――ラクス?」

「キラはザフトではなく、私の個人的な友人ですわ。ですので、わたくしと対等だと思って下さいね」

 

 

 

 

 それはめちゃめちゃ気を遣うやつなのでは? と思ったけれど、ハインラインさんは一瞬遠い目になったがすぐに再起動して言った。

 

 

 

 

「それは……何故赤服を?」

「そちらの方が話が早いかと思いまして」

 

 

 

 

 にっこり。権力をひけらかすというより、当然のように振り回すラクスに何とも言えない気分を味わいつつも、確かにこれなら自分がやった方がアスランのためになりそうだと納得する。

 

 

 

 

「ところでこの機体のコンセプトですけど……装備換装型強襲用MSなのに装備が一つしかないんですか?」

「NJCを搭載したことにより投射できる火力に制限が無くなっているんですその必要がなくなったというべきでは。試算段階ではあるがこの時点の装備であっても使いこなせるパイロットが存在しないんですこれ以上装備させる意味合いがない」

 

 

 

「……そう、ですか?」

「ところでこのMSのデータを組み込んだシミュレーターはありませんの?」

 

 

 

「……ありますが。まさか―――」

 

 

 

 

 

 

 そのまさかだった。

 妙に身体のラインが強調されてしまうパイロットスーツを着せられ、微妙な気持ちになりつつもシミュレーターへ。

 

 でもまあ、シミュレーターくらいなら――――。

 

 

 

 

 

 OS調整のために見たアスランの戦闘と、そのデータ、映像を思い返しつつ射撃武器を放っていく。

 所詮はシミュレーターなので、加速度なんかは想定せず機動が取れることもありサクサクと撃墜していく。

 

 

 

 

 

(……でも、アークエンジェルが背後にいるとすれば)

 

 

 

 

 アスランでも、モントゴメリィは守れなかった。

 分かっていても回避できないだけの火力、それがあればアスランなら必ず―――。

 

 

 

 

 

「マルチロック……いやそこから更にマニュアルでだと!? バカなそんな挙動は想定されていないだがあの早さと正確性では実戦でも――――いやしかしそれでは本当に火力が足りないのか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 絶対に仕留める―――避けてもよけなくても当たるよう、ビームを“置く”。

 四肢とコクピットを一瞬で爆散させられたシミュレーター内のMSにちょっと微妙な気持ちになりつつも、敵エースパイロットを想定して確実に仕留める。

 

 

 

 そして、対一般のパイロットも想定してビームを乱射。精度に改良の余地がある気もするけれどマルチロックのお陰で楽に残った機体も排除し。汗を拭ってシミュレーターから出たところで珍しく落ち込んだ様子のラクスと目が合った。

 

 

 

 

 

「……アスランが、キラを遠ざけようとした理由が分かりましたわ。……あまりにも、戦えてしまうのですね。キラは」

 

「そう、なのかな。……でもきっと、これで良かったんだと思う。私に力があって、アスランが守ってくれていて――――もしいざという時、何もできなかったら。きっと後悔するから」

 

 

 

 

「――――恨んでくれて、構いません」

「じゃあアスランに怒られる時は一緒に怒られてね」

 

 

 

 

「……優しすぎますわ、キラは」

「ラクスもでしょ」

 

 

 

 

「――――すみません、次はフリーダムでのシミュレーションをお願いしたいのですが。十分な休養の後で構いませんので。――――試作のドラグーンシステムのデータがあったな用意しておけ! それと脚だ、蹴りを近接戦闘に能動的に組み込むのであれば脚部にビームサーベルを仕込む方が空間戦闘においては優位を取れるハズ―――何、ドラグーンシステムはまだ実用レベルでないだと!? ええい私がなんとかする、見せろ!」

 

「あ、プログラムは私がなんとかします」

 

 

 

 

「……ありがとうございます。ではハード面はこちらで。――――あんな単純な構造のものだぞシステム面はともかくハード面で作れないわけがない! データさえできればいい、シミュレーターで動作できる!」

 

 

 

 

 

 

 これは久々に修羅場かなー。

 アスランとトリィの開発に夢中になったころのことを思い出して。

 

 ラクスの差し入れてくれるおにぎりを食べて、ラクスに無理やり休憩させられたり仮眠を取ろうとしたら家に戻るように怒られたりと、『やっぱりアスランに似てるかも』と思いながら世話を焼かれるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 



お客様の中にハインラインさんをエミュレる方はいらっしゃいませんかー。
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