機動戦士ガンダムSEED-アネモネの花言葉- 作:ピーチフィズ
華やかなパーティー会場、その一角ではひと組の婚約者達が不穏な空気を漂わせていた。
サラサラの銀髪の髪は顎のライン綺麗に切りそろえられ、端正な作りの顔には海のようなブルーの瞳が額に寄せられた眉により細められていた。
「······クライン嬢の護衛、だと···?」
不機嫌丸出しのイザーク・ジュールの声は地を這うように低かった。
「はい。
方やこちら、ザフト軍最高評議会会長の父シーゲル・クラインの娘であり、姉はプラントの妖精と謳われるラクス・クラインの妹であるカシス・クラインは、悪びれも無い笑みを浮かべていた。
カシスはイザークの婚約者でもあり、ザフト軍の同僚でもある。
本日今先程話を聞かされたイザークにとっては、頭を抱える程の重要案件だった。
婚約者が護衛···それも、姉の。
後日、追悼慰霊の為の調査に向かうと言うラクスの護衛であるが、姉に続きほんわりとした性格の持ち主であるカシスが心配でままならない。
もちろん、「許さん!!」と言えば良い話だが、カシスとて自分と同じ
赤を着るに相応しい実績と技量を持ち合わせている事は、イザークも重々承知しているが、心配か心配でないかと言えば心配だ。
怒りと、焦りと、心労が含まれた故の表情である。
カシスと言えば(どこがいけなかったのでしょう?怒ってらっしゃる···?)と、姉と同じ桃色の髪を内巻きのボブに切りそろえた髪を首を傾げて揺らした。
軍人と言えば護衛なども含め日常茶飯事だと言うのに···、などとイザークの心境も察する事無くただただイザークの顔を見ていた。
「イザーク···?」
「はぁー···。行っても良いが、私服で行け」
軍服の方が動きやすいのに、何故?カシスは目を丸くした。
「···私服、ですか?」
「そうだ。何があるかわからんだろう?ならば私服で行け。これが条件だ」
「ですが軍服の方が···」
「もしも地球軍に出会い頭に衝突してみろ!真っ先に殺されるのはクラインの娘であるお前なんだぞ!」
イザークがカシスの言葉を遮り、彼女の細い肩ををグッと引き寄せた。
(···狙われるのはむしろお姉様のような気が)
「軍服なんぞ、真っ先に殺してくれと言っているようなものだ」
「あらあら、···うふふ」
「何がおかしい?」
「いえ、心配してくださって、ありがとうございます···ただ、私もザフトの赤なのです。心配して下さるお気持ちは嬉しいですけれど、信用されていないみたいで少し腹がたちました。イザーク、久しぶりに踊りましょう」
「はぁ!?何をいきなり訳のわからない事を!?」
くすくす笑いながらイザークの手を取るカシスの手につられ、パーティ会場のホールの真ん中で、カシスはイザークを翻弄していたと言う。