鈍感な彼と自意識過剰な彼女の学園物語   作:沙希

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 月曜日。

 有意義とは言えないけど、それなりに休日を楽しめたわ。

 彼の訓練や勉強に付き添っていたせいで、少しは気分転換できたわね。

 

(『あの、白鳥さん。俺のISスーツってどうなんでしょうか?』)

 

(『藪から棒ね。で?なんでそんな事を聞くのかしら?』)

 

(『いや、山田先生やクラスの子達がISスーツについて話してから、俺のスーツってどんな機能が備わっているのかなって』)

 

(『貴方のスーツ、イングリッド社が作ったスーツだけど貴方のだけは吸水性や伸縮性を主に考えられているスーツよ。男は女よりも汗をかく量が多いし、ISの訓練って身体全体を鍛えるから筋肉が付きやすくなるのよ。後は他のスーツと機能は変わらないわ』)

 

(『へぇ、そうなんですか。だから少しゴムみたいに伸び縮みしてたんだな。じゃあ、鈴やセシリアみたいに色違いでも、同じ機能が備わってるんですか?』)

 

(『あれはただ色とデザインを変えただけだから、他のスーツと機能は同じよ』)

 

 まぁ、周りの様子からするに機能よりもデザインや色が重視でしょうね。

 機能性と言っても、どれも機能は同じなんだしそう考えるのも妥当と言えば妥当だけどね。あんなスク水同然のスーツで機能も糞も無いだろうから。

 

 

 それにしても、デザインもデザインよね。

 別に水着みたいにしなくても、普段着の様なスーツが無いのかしら?

 まぁ、学園に通うんだから普段着じゃ拙い部分もあるだろうけども。

 それとも水着みたいなデザインは趣味で作っているのかしら?

 今更こんな事を考えるのも、時間の無駄ね。

 

「「「「えええええええええっ!?」」」」

 

 考え事をしていたら、周りが煩く騒めき出した。

 何事なのかとあたりを見回すと、教師二人が立つ教壇の前に二人の生徒が立っている。一人は銀髪で小学生と変わらない女と、金髪で『男子制服』を身に纏う女みたいな顔をした男だった。

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、みなさんよろしくお願いします」

 

(やれやれ。また面倒になりそうね)

 

(『白鳥さん、男ですよ男!なんでか分かりませんけど、男です!』)

 

(『はいはい、見ればわかるわよ見れば。なんで貴方も周りの生徒みたいに喜んでいるのよ?まさか、やっぱり┌(┌^o^)┐?』)

 

(『別にそういう意味で喜んでるわけじゃありませんからね!?俺は純粋に、気を許せて仲良くなれるかもしれないという意味で喜んでたんですけど!?』)

 

(『あぁ~、はいはい分かりました。私が悪かったわよホモ斑君。勘違いしてごめんなさいね』)

 

(『だから俺はホモじゃないですよ白鳥さん!?』)

 

 でも、貴方がそんな顔をして喜んでいるのを見るとホモにしか見えないのよね。

 あと、今日あたりから織斑×オスカル(デュノア)の構図が出来上がるに違いないわね。

 残念だけど、周りのお嬢様方も腐っているだろうからホモ認定にされるかもしれないでしょうけども。

 

 

 それと、あと一人の転校生だけどコスプレの一種かしらあの眼帯?

 大学時代は知り合いから借りたアニメで眼帯をしたヒロインがいたわよね。

 確か………………邪王なんちゃら眼だったかしら?あと主人公がダークなんとかマスターだった気がするわ。

 

(『なんかドイツの銀髪の子、映画や漫画の登場人物みたいな眼帯してますね』)

 

(『まぁ、理由があるかもしれないけれど触れないであげるのもやさしさよ。彼女にも何か理由があって眼帯を付けてるのでしょうから(中二病的な意味で)』)

 

(『そうですね。あまり触れてあげないほうがよさそうですね(傷や病気的な意味で)。それよりも、これからの訓練はどうします?転校生を訓練に誘おうかなと思ってるんですけども』)

 

(『いいんじゃないの?ドイツは兎も角として、フランスの方はたぶん専用機がラファールだろうから。射撃武装や接近武装が備わった万能タイプだし、それにあの子は代表候補だろうから私が指導しなくても――――――――』)

 

(『やっぱり誘いません』)

 

 言い終えようとしたら、何故か織斑がムッとしたように自分の言葉を否定した。

 なによ、急に。自分が誘うって言い始めたのに自分で否定するなんて。

 

(『白鳥さんが参加しないんじゃ、意味がないです…………』)

 

(『貴方が私をどれほど信用しているのか知らないけど、いい加減一人で自分がやるべきことを理解するのも成長の一つだと思うのだけれど?』)

 

(『そうですけど……………でも、白鳥さんが居てくれないと嫌です』)

 

 子供か此奴は。

 いったいどれくらい私を信頼しているか知らないが、その頬を膨らませる顔はやめてほしい。思わず殴りたくなってくる――――――が、別の人がやってくれそうね。

 

(『顔に注意しなさい』)

 

(『はい?』)

 

  バシンッ!!!

 

「ぐへっ!?」

 

「私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めるものかっ」

 

 そう言って自分の席に座る眼帯(ボーデヴィッヒ)。

 ほんと、今日もまた退屈しない日が続きそうね。

 

(『白鳥さん!なんでもっと早く教えてくれなかったんですか!?思わず変な声だしてしまったじゃありませんか!』)

 

(『あら、人のせいにするなんて人としてどうなのかしら?私はちゃんと忠告してあげたじゃない。顔に注意しなさいって』)

 

(『そうですけども!鈴の時みたいに具体的に言ってくれてもいいじゃないですか!』)

 

(『なにカリカリしているのよ。もしかして殴られた怒りを私で発散しているつもりなのかしら?』)

 

(『あ……………いえ、別にそんなんじゃありませんけど』)

 

(『まぁなんにせよ、あの女が何が理由で貴方を殴ったかしらないけれど、貴方も殴り返せば良かったじゃない。『左の頬を殴られたら、右の頬を差し出せ』、『10倍返しだ!』って神様にしては良い言葉を残しているんだし』)

 

(『白鳥さん、それだと俺がもう一発殴られる事になります。あと、最後半沢○樹や』)

 

(『半沢がこの世界にも存在する事には驚いたけど、殴られたなら殴り返せばいいじゃないの。理由、思いつかないんでしょ?』)

 

(『で、でも…………女の子を殴るなんて、そんな』)

 

(『私は男だろうが同性だろうが、大人だろうが同い年だろうが殴るわよ。例えどんな理由があろうとも、私は殴るわ』)

 

(『………………強いですね、白鳥さんは』)

 

(『貴方が貧弱すぎるだけよ』)

 

 優しいのは結構な事だけれど、世の中には優しさで通るほど甘くないのよ。

 などと考えながら、オスカルを任され、次の時間が訓練実習なので織斑がオスカルを更衣室まで急いで向かうのを眺めるのであった。

 

 

 

  …………………ホント、変わったわね。彼も――――――――私も。

 

 

 

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 転校生もといシャルルを更衣室へと案内し、着替えが終わってグラウンドへと到着―――――したのはいいのだが、我が家のお姉さまが俺の頭に無慈悲な鉄槌を下したのは言うまでもない。

 まぁ、くだらない事を考えたせいでもあるんだけれども。

 

(『何度見ても男が見れば発情しそうな光景よね。水着姿同然でグラウンドの真ん中に立っているんですもの。なんのイベント?なんて疑問が出そうだわ』)

 

(『分からない気がしますけど、俺見て言うセリフですかそれ?別に発情しませんからね?………………白鳥さんがISスーツを着ていたら別ですけど』)

 

(『最後なんて言ったのか聞こえなかったのだけれど?』)

 

(『俺の友人ならありえそうと言ったんです!』)

 

(『気色悪っ。貴方の友人、こんな光景を見て発情するの?どういう友人よ。私だったら絶対に絶交するわね』)

 

 ……………………すまんっ、五弾田。

 生贄にするつもりは無かったのだが、とりあえず謝らせてくれ。

 ここまでボロクソ言ってくるとは思ってもみなかった。

 

(『それにしても態々合同でやるものなのかな?時間割を見たけど、1日に2時間は組み込まれているのに』)

 

(『IS学園は他の学校と違って海外からも生徒が来るから1.5倍の数の生徒が在学しているのよ。1クラスに2時間も使うと足りないから、合同でやる方が効率がいいのよ。少しは足りない頭を回しなさい。何のために態々コーヒーを飲んでいると思っているの?私が効果なく飲ませているとでも思っているのかしら?』)

 

(『精進します…………………』)

 

 白鳥さんの辛口コメントを今日も有難く頂きました。

 因みに俺は毎朝コーヒーを飲むようにしている。それは朝の訓練後にカフェインを摂る事もそうだが、コーヒーは脳を活性化させる効果があると白鳥さんが言っていた。

 

 

 『バカな貴方に丁度いい飲み物ね』、なんて言われたのを覚えている。

 しかし、効果は実証済みなので否定できないのが仕方ないけどね。

 お蔭さまで学年10位以内に入っています。

 でも、いまだにバカと言われる事実。何故だ?

 

「一夏さん、スーツを着るだけなのに随分と時間が掛かりましたわね」

 

「え?あぁ、まぁな。道が混んでたからそれでな」

 

「嘘おっしゃい。いつもは間に合うくせに」

 

 何故かセシリアの言葉の端々に棘があるのだが。

 こういうとき、白鳥さんに聞けば分かるかもしれないが、また馬鹿なの?とか、死ねばいいと思うなんて言われる気がするのでやめておこう。

 絶対に俺の精神をズタズタにするくらいボロクソ言ってくるだろうし。

 

「えぇ、えぇ。一夏さんはさぞかし女性の方との縁が多いようですから?そうでなくと二月続けて女性からはたかれたりしませんよね」

 

(『だそうよ、織斑君。彼女さんが貴方の女性との縁が多いからご不満らしいわ』)

 

(『いや、別に彼女って訳じゃないですから』)

 

 俺は常に白鳥さん一筋。

 それにセシリアが俺を彼氏にしたいとか、恋人にしたいとか思っていないはずだ。

 

「なに?アンタまたなんかやったの?」

 

「えぇ。こちらの一夏さん、今日来た転校生の女子にはたかれましたの」

 

「はぁ!?一夏、アンタなんでそうバカなの!?それよりも、アンタ先週の休みは何処に行ってたのよ!いい加減教えなさいよ、バカ!」

 

 バカバカって言いすぎだぞ、鈴。

 これでも学年10位なんだし、少なくとも鈴よりは成績上だっただろうが。

 あと後方注意な、二人とも。

 

「――――――安心しろ。バカは私の目の前にも二人いる」

 

 そして今日もまた二つ、青空の下で出席薄という名の鉄槌で殴られる音が響くのであった。

 

 

 

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 今日もよく叩かれる音が響くわね。

 織斑姉に呼ばれた二人は頭を押さえ、織斑をにらんでいるのを見て私はそう思った。

 織斑は発言を弁えるようになったので多少叩かれるのは少なくなったが、最近あの子らが叩かれるのが多くなってる気がする。

 

(『鈴とセシリアが戦うのか。どっちが勝つと思います?』)

 

(『さぁ。訓練の時はいがみ合ってて一度も対戦したのを見たことないから分からないわ。まぁ、予想しろと言われればツインが勝つんじゃないの?射撃と接近戦を両方兼ね備えているし。話を振ってきた貴方はどうなの?』)

 

(『俺はセシリアだと思いました。ほら、射撃じゃ随一だしピットとかもあるし』)

 

(『いまの貴方でも訓練機で勝てるのに?』)

 

(『……………………絶対にセシリアがそれ聞いたら落ち込みますよ?』)

 

(『事実だから仕方ないわね』)

 

(『白鳥さんって、セシリアに恨みでもあるんですか?』)

 

(『まったくないわね』)

 

 恨みどころか、織斑同様で弄れば輝くタイプだから気に入ってるわ。

 まぁ、相手が見えないからどうしようもないのだけれどね。

 それにしても今日は良く織斑に災厄が降りかかる日よね。

 

(『あれ?なんで白鳥さん、俺から距離を取るんです?』)

 

(『まぁ、上を見れば分かるわよ』)

 

(『上?』)

 

  キィイイイン………………!

 

「あああああ――――っ!ど、どいてください~っ!」

 

「へぁっ!?」

 

  ドカーンッ!!

 

 突如、空から飛行物体が織斑の方へと降ってきた。

 幸い織斑は白式を展開したので、謎の飛行物体に吹き飛ばされて肉体にダメージを負う事は無かった。

 グランドに大きな穴が出来て、砂煙が晴れると謎の飛行物体の正体は緑のISを纏ったメガネ(真耶)だった。

 

(『こういう場合は、『親方!空から女の子が!』って言った方がいいかしら』)

 

(『『くそ、ボロエンジンめ』って何言わせるんですか。とりあえず俺も言いたい事があるんですけど、良いですか?』)

 

(『どうぞお好きに』)

 

(『オンドゥルルラギッタンディスカー!!』)

 

 今度はなに言うかと思えば、空耳ワードだった。

 前も思ったけど、貴方って案外知識豊富よね。下らない事だけど。

 

(『とりあえず、退けてあげたら?先生、気まずそうだけど?』)

 

(『え?』)

 

「あ、あのぉ、織斑君……………困ります…………こんな場所で……。いえ!場所だけじゃなくてですね!私と織斑君は仮にも教師と生徒でですね!……………あぁ、でも、このままいけば織斑先生と義姉さんって事になってもいいのですけれど―――――」

 

「す、すす、すいませんしたー!!!!」

 

(『良かったわね。巨乳教師の胸を鷲掴み出来たわよ?これで少しは先生に意識されるんじゃないかしら?』)

 

(『なんでですか!というか、なんで距離を取ってるんです!?』)

 

(『もし実体化できたら即刻貴方から距離を取るから。えぇ、大丈夫。5メートル以上なら触れもしないだろうから。あと、これから私に話しかけないでねゴミ屑』)

 

(『うわぁあああああああああああああああああああああ!!!』)

 

 絶望したように慟哭するゴミ屑。

 今日もまた一つ彼は一人の女にフラグを立てるのであった。

 その後、ゴミ屑ラブの3人がゴミ屑に向けて攻撃してきたのは言うまでもない事。

 モテる男は辛いわね、ゴミ屑。

 

 

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