サラミスと行く一年戦争   作:明田川

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蛇足です、思ったよりも多くの方に見て頂いたので投げっぱなしな終わり方では良くないなと思い書き足しました。

追記
最後にご報告があります


戦後

 

「戦争に勝ったな」

 

「はい」

 

「戦勝国はここからが大変だぞ、逃げた馬鹿野郎の捜査も残ってる」

 

直近の事件といえばデラーズとかいう軍人が残存戦力の中でも戦争終結に異を唱えた者達を集め、暗礁宙域に宇宙艦艇ごと姿を消した。このことで再編中だった連邦軍艦隊は大騒ぎをしたものの、ボロボロになった艦隊で追えるような場所では無かった。

 

「地球の復興には何十年かかるか分からん、今回の戦争で滅茶苦茶になったコロニーの復旧にはどれだけの資源と金がかかるか…」

 

水と空気を始めとした生活必需品の確保と輸送は常に続けなければならず、今後の復興を考えるのであれば安全な輸送経路の確保は必須だ。主力艦隊を再編すると同時に、護衛艦隊も複数用意しなければ経済が回らない。

 

「艦長がそこまで悩まれるということは何かあったのですか?」

 

「いや、前より大きな艦隊を任されることになったからな、これからの任務に嫌気が差しているところだ」

 

「早速働いたじゃあないですか、不審な動きをする船を拿捕して戦争犯罪に関する証言を得たのは我々です」

 

「だからだよ…」

 

残存戦力を連邦軍の管理下に置くため集結させたのだが、その指定座標から離れる船を見つけたので拿捕したのだ。その結果コロニー落としに深く関わった部隊であることが発覚、ジオンの新たな闇が世間に晒されるという一幕があった。

 

「仕事が減らん、面倒ごとが次々とやって来る」

 

「でも指示は出すんですよね」

 

「そりゃあな、仕事だからな!」

 

あれからジオンに対してまだマシな対応が出来るということで後処理を次々と放り投げられ、大量のデブリにも悩まされつつスペースコロニーを回っては仕事を続けている。

 

「デブリ回収のためにアレを使うと言う件だが、許可は下りたか?」

 

「本気で使う気ですか艦長、確かに武装は全て外しましたが…」

 

「モビルポッドの数が足りん、ボール以外にも働いてもらうのさ」

 

ーーー

ーー

 

ア・バオア・クーにて、機体色をオレンジ色に塗り替えられたMAが復旧作業に従事していた。それは投降した結果連邦軍に鹵獲されたビグ・ラングと呼ばれる機体であり、EフィールドにてナガノⅡがシャアの乗機と誤認したという小話がある巨大機だ。

 

「補給をお願いします」

 

「了解、そのまま進入して下さい」

 

ビグ・ラングの巨大な下半身はオッゴの補給を行えるようになっており、母艦として機能する。一々帰投して補給を行う必要がなく、専用の人員も必要としないため引っ張りだこだ。

 

戦後の復興には頭数が必要だが、この状況ではMSを作業用に転用するのは危険性が大きい。その点モビルポッドであるオッゴであれば反乱を起こしたとしても比較的鎮圧が容易で、ボールよりも拡張性が高く能率が高い。

 

「まさかオッゴが作業用として量産されるなんて…」

 

戦時にオッゴの運用試験を行なっていた彼は、兵器として生まれた物の数奇な運命に驚いていた。軍が解体されつつある中で彼は連邦軍に雇われ、MAの作業オペレーターとして働いていたのだ。

 

「作業用MA、オッゴと共に隣のセクターに移動してくれ」

 

「分かりました、現在の作業はどうすれば?」

 

「こっちの連中が引き継ぐ、悪いがあの区画は君達精鋭に頼みたくてね」

 

大量の戦死者が出て上のポストが空いたことにより、ナガノⅡの艦長は戦後の統治のことも考えてかなりの出世をさせられたらしい。そして彼が真っ先に始めたのは戦争によって使えなくなった場所の整備と復旧、それに伴いジオン国内の企業にオッゴを始めとした製品の生産を提案した。

 

「ボールよりもオッゴの方がよく動く、俺達の方でもジオン製を回せって五月蝿いんだぜ?」

 

「そうだったんですか、そこまでとは」

 

「まあ現場で長く働けばその手の好き嫌いも薄れるもんさ、良い道具に罪はないってことかね。国内は裁判やら捜査やらで騒がしいがなぁ…」

 

なんでもコロニー落としの責任を取らせる筈のザビ家が悉く死んでいるため、ジオン国内で責任の所在が宙に浮いているらしい。結局死人に口無しということでザビ家が悪かったと言うことにしてはいるが、捕虜からの証言などから深く関与した者達への処罰は追って行われるらしい。

 

「戦争が終わってもあの艦長殿がコロニーに仕事を寄越すもんだから、景気はそこまで落ち込まずに済むって話だぜ」

 

戦後の復興を進める際にジオン系の企業は必須と考えた艦長側と、ここぞとばかりに買収へ走りたいある企業との争いは中々の物だったとのことだ。最終的にはMS開発部門の幾つかをアナハイム・エレクトロニクスに譲ったらしいが、今も引き抜きは行われ続けている。

 

「アンタも腕を見込まれてオファーが来たそうじゃないか、行かなくて良かったのか?」

 

「もう少し待ちたい人が居るんです、取り調べがまだ終わっていなくて」

 

「なるほどな、投降組かい」

 

将校クラスともなると取り調べは相応に長引くため、戦友が帰って来るのを待つつもりだ。彼が戦友と共に技術士官として運用試験に当たった機体は悉くが採用に至らず、パイロットも死んでいった。しかし最後の最後にオッゴは役割を変え、コロニーのために働けている。

 

「俺は仕事ぶりで人を見ることにしているんだがな…オリヴァー・マイ班長、アンタは信用出来る奴だ」

 

「そんな、急にどうしたんですか」

 

「何、上司として部下を褒めてるだけさ」

 

人を殺すための兵器と関わり続けて来た彼には少々眩しい光景だったが、それでも嬉しいものは嬉しかった。仲間と共に生き延びられた幸運に感謝しつつ、戦後の生活費を稼ぐため、オッゴの活躍を戦友に伝えるために操縦桿を握るのだった。




成功しないプロジェクトXことMS IGLOOですが、今回ばかりは最後の最後に…ということで。オッゴ好きなんですよ、私。次回作はよく分かりませんが、皆様あちらに行かれますね(評価・感想欄)。

もし続きを書くことがあればTwitterにて動きがあると思うので、リンクを貼っておきます。絵を描いて過ごしているので、良ければ見ていって下さい。
https://syosetu.org/?mode=url_jump&url=https%3A%2F%2Ftwitter.com%2F%40a48981075

追記

【挿絵表示】

続編となる「マゼランと行く0083」にご期待ください。
公開予定日等は未定です。

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