『捻れた終着点』から、『あまねく奇跡の始発点』へ   作:文才の無い本の虫

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――これは、彼がまた違う物語を紡いだ世界線







Vol.2,5「小さな奇跡を」
Unless:夢と暁と


 

 

 

 

 

 

「ねぇ、ホシノちゃん」

 

 

「何ですか、ユメ先輩」

 

 

「アレって・・・・・人だよね?」

 

 

「そう見えますね」

 

 

「どうしようかな・・・・・うん、拾って帰ろっか」

 

 

「は?」

 

 

「ひぃん・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「見て見て、ホシノちゃん、アトラくん!!」

 

 

ユメ先輩――薄い青緑の長髪の、発育の良い女性。俺の恩人で、先輩――が、古そうな資料を俺達に見せ(特徴的なアホ毛を揺らし)ながら言った。

 

 

「昔の生徒会が、アビドスにあったオアシスの湖にすっごいものを埋めたらしいの!!」

 

 

「物?金塊か何かか?」

 

 

「すごい物、ですか?」

 

 

俺とホシノ――薄桃色の短髪の、オッドアイの小柄な少女。俺のもう一人の恩人で、同級生――はユメ先輩の言う『すごいもの』に反応する。

 

此処、アビドスは莫大な借金を抱えている為、万年金欠なのだ。

 

 

「アトラくんは夢が無いね〜。そのすごいものは花火なんだけど、希少鉱物が入った花火らしくて・・・・・これに刺激を与えると、プラズマになった火花が発生して空を彩るっていう技術が使われてるんだって。元々はお祭りに使う予定だったらしいんだけど、何故かうまく動かなくて、全部(・・)オアシスの湖に捨てたんだって」

 

 

「ふむ・・・・・不法投棄では?」

 

 

全部だと?

 

昔の――今は、全校生徒3人だが、昔はマンモス校だったそうだ――アビドス高校で打ち上げるとしたら百は下らない数はあった筈だが??

 

ホシノも疑問符を浮かべていた。

 

 

「・・・・・なるほど?」

 

 

「すごいよね、1個で100万円以上もする花火をうまく動かなかったからって捨てちゃうんだよ?」

 

 

「それ・・・・・幾らぐらいになるんでしょうか」

 

 

「花火玉が百個あると仮定したら・・・・・1億円位か?」

 

 

「うん、多分ね。その100分の1で良いから、私たちに残してくれてもよかったのに・・・・・ひぃん」

 

 

「ふむ・・・・・それなら、干からびたオアシスの下に埋まっているのでは無いか?」

 

 

「そっ!」

 

 

ユメ先輩が楽しそうに言う。

 

すると、ホシノが神妙な顔で、言った。

 

 

「・・・・・ユメ先輩は、自分がいま何を言っているのか分かってますか?」

 

 

「えっ・・・・・?」

 

 

「はぁ・・・・・また何時ものか」

 

 

彼女の瞳は輝いていたのを見て、俺は、溜息を吐く。

 

――だが、こういうのは嫌いじゃない

 

 

「こうしてる場合じゃないですよ!ユメ先輩!アトラ!今すぐ探しに行きますよ!」

 

 

「そう!!私もそれを言いたかったの!・・・・・お宝探し、スタートっ!」

 

 

「うへへ、行きましょう先輩!アトラ!」

 

 

「うん!これで私たちも大富豪だよ、ホシノちゃんにアトラくん!」

 

 

「俺の意見とかは・・・・・聞いてないな」

 

 

ホシノとユメ先輩が駆け出す。

 

俺は、誰も居なくなった生徒会室の戸締まりをしながら、溢す。

 

 

「・・・・・そう上手く行くものか?」

 

 

取り敢えず、追い掛けなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――俺は、彼女達の後を追って駆け出した

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・因みに、結局花火は見つからず、更にめげないユメ先輩が「地面を掘ったらドカーンって地下水が湧き出るかも!」と言って掘ってみたものの、無駄足に終わった。

 

ユメ先輩・・・・・貴女の水着は、目のやり場に困るから控えて欲しいのだが。

 

 

「水着着る必要ありました?!」

 

 

「ひぃぃん」

 

 

「ユメ先輩も反省しているだろうし、そこまでにしてやれ」

 

 

「アトラくん〜!!」

 

 

「アトラはユメ先輩に甘すぎですよ!!」

 

 

まあ、良い思い出だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

ある日、俺は嫌な予感がして、アビドス砂漠に来ていた。

 

――何かが、呼んでいる?

 

暫くして、地面が揺れ始めた。

 

 

〘――――!!〙

 

 

少し離れた場所の地中から出て来たのは、ヘイローを携えた、白い大蛇。

 

眉唾ものだったが、資料で見たことがある。

 

――セフィラ:ビナー。奴がアビドスの砂漠化の原因

 

俺は、ユメ先輩に貰った折り畳み式の盾を構え、拳銃を抜く。

 

 

「俺は、戦闘が嫌いだ。ユメ先輩が傷付くからな・・・・・だが、俺一人の労力であの人の笑顔が守れると云うのなら」

 

 

〘―――!!〙

 

 

ビナーが吠える。

 

――ユメ先輩は、俺の恩人で、太陽だ

 

俺はあの人の影で良い。

 

 

「セフィラ:ビナー・・・・・お前を、全身全霊を以て打ち砕こう」

 

 

『――了解。オペレーションを開始します』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――そうして、戦端は切って落とされた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「ホシノちゃん、アビドスも随分復興したね」

 

 

ユメはアビドス高等学校の屋上から、アビドスを見渡す。

 

少し前までは砂漠に飲まれかけていたアビドスは無くなり、あるのは活気づき始めた街だった。

 

 

「はい。これも、ユメ先輩とアトラのお陰ですよ」

 

 

「何言ってるのホシノちゃん!ホシノちゃんもがんばったでしょ?だから、私たち三人のお陰!!」

 

 

「・・・・・うへへ、そうですね、ユメ先輩」

 

 

そうやって二人が笑い合っていると、彼女達の後ろに声が掛けられた。

 

その声の持ち主は、ヘイローを浮かべた白い大蛇(・・・・・・・・・・・・・)の頭からアビドス高等学校の屋上に降りて、二人の方に歩いて行く。

 

 

「ユメ先輩、ホシノ」

 

 

「あ!アトラくん!今日のお仕事は終わったの?」

 

 

「ああ。コイツも居たしな」

 

 

彼――アトラは背後の白い大蛇(セフィラ:ビナー)を指して言う。

 

 

「ビナーくんちゃんもお疲れ様!いつ見ても、不思議だよね~」

 

 

「はい・・・・・もしかしてアトラは蛇使いだったんでしょうか?」

 

 

「・・・・・コイツの言葉を理解出来るし、否定できんな」

 

 

――――――(主、帰っても)?〙

 

 

「ああ、良いぞ」

 

 

すると、ビナーは砂漠の方に去って行った。

 

アビドスは、ビナーによる観光料や建築業で得た金で復興を始めていた。

 

だが、この復興はユメの人徳、ホシノの行動力、そしてアトラとビナー・・・・・そのどれかが欠けては成し遂げないものだった。

 

 

「これからも、がんばっていこうね!!」

 

 

「ああ」

 

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――今日のアビドスも、太陽に(夢と暁と影で)守られていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









――ユメ先輩

アビドスの太陽。アビドスの復興は八割が彼女の人徳によって成されていると言っても過言では無い。最近はアトラやホシノが補佐についているのでカイザーも丸め込んだとか。アビドスを卒業したが、アビドスの学校長として就任し、今でもアビドスを照らしている。最近の悩みはアトラとホシノが過保護なところ。二つ名は『アビドスの太陽』。


――アトラ

主人公(?)。結構難儀な性格をしている。ユメ先輩とホシノとは仲が良く、アビドスでも頼れる先輩として有名。ビナーはボコしたら従った為、有効活用している。最近ポンコツな白い少女の幻覚幻聴に悩まされている。ユメ先輩=命を地で行く。二つ名は『太陽の盾』『蛇使い』。


――ホシノ

実は一番の功労者。ビナーを一目見て、観光業や建設業をやってみようと提案した。現在は建設業や復興計画の陣頭指揮を取っている。アビドスではユメ先輩と一緒のときは優しい先輩として有名。復興計画の邪魔者は直ぐにボコすため二つ名は『狂犬』『暁のホルス』。



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