『捻れた終着点』から、『あまねく奇跡の始発点』へ 作:文才の無い本の虫
――さあ、まだ物語は始まったばかりです
RE Start:奇跡は唐突に
『アトラ・・・・・』
――
『私は本来、彼処で消えるはずでした。ですが、貴方には返せない程の恩があった。ですから、その恩を返そうと思います・・・・・貴方に
――どう云う事だ?
『マスター・・・・・起きて、生きて下さい。マスターにはその権利と義務があります』
『私達は、ずっと傍にいますから』
――目を、開ける
「うぁ?」
声。
いや、どうやら俺はこの女性に抱かれている様だ。
「カヤ・・・・・この子が貴女の弟よ」
「ちいさいて・・・・・あたたかいです」
伸ばされた幼女――カヤの手を握る。
――温かい
「そうね、アトラを守ってあげるのよ」
「はい、かあさま!・・・・・これから、よろしくおねがいしますね、アトラ!」
「あう」
ふむ・・・・・成程。
――どんな羞恥プレイだこれは
『あはは・・・・・すみません。空いている縁が此処しか無くて』
『マスター、強く生きて下さい』
◇◇◇◇◇
――ノアに、会いたい
母が、亡くなった。
「ねえさん」
「大丈夫・・・・・大丈夫ですよアトラ。貴方の事は、私が守ります。物語に出てくる『超人』の様に・・・・・そう、私は超人ですから」
「姉さん、遅刻するよ?」
「な?!だ、大丈夫です!私は超人なので!」
「・・・・・走れば間に合うかな?」
――随分この話し方に慣れて来たな
「白と青の拳銃?」
姉さんから渡された二丁の拳銃。
片方は白の割合が多い拳銃で、もう片方は青の割合が多い拳銃。
「少し早いですが、誕生日プレゼントですよ。アトラは白と青が好きだったでしょう?」
「ありがとう、姉さん・・・・・すごく嬉しいよ」
「アトラ!頑張って下さい!!」
「なんで居るの姉さん?!授業は?!」
「弟の勇姿を見ることより大切な事はありませんね!」
・・・・・何と言うか、家族が居なかった俺としてはこういう温もりは新鮮だった。
卒業式。
俺は姉さんと一緒にキヴォトスに行くために飛び級だが。
「ほら、アトラ。手を繋いで行きましょう!」
「もう、手を繋ぐ年では無いと思うんだけど」
「超人の私は、常識なんて知ったことではありませんね!それに、大切な弟の手を繋ぐのに理由は必要ないでしょう?」
カヤ――姉さんが俺の手を握り、俺はその手を握り返して、二人並んで歩き出す。
姉さんは、『超人』という言葉を多用するところ以外は、優しく、とても良い姉――面と向かって言うのは恥ずかしいが、自慢の家族――だ。
『――指摘。彼女の様な人を、ブラコンと言うそうです。そして、今のマスターの様な人を、シスコンと言うそうです』
・・・・・何か悪いか。
◇◇◇◇◇
俺は、高校生になった。
進学先にはキヴォトスのミレニアムサイエンススクールを選んだ。
何と言うか、縁を感じたからだ。
今日は姉さんの付き添いで、入学式に来ていた。
俺は、遠くに見えるサンクトゥムタワーを見る。
とても・・・・・とても懐かしく感じる。
すると、隣を歩いていた姉さんが声を掛けて来た。
「アトラ、どうしたんですか?」
「いや、何でも無いよ」
そろそろ入学式が始まる。
どうやら近くにいる新入生も会場に向かっている様だ。
「うわーすっごいね」
「うん!」
「ほう・・・・・此処がミレニアムサイエンススクールか」
「
「ふふっ、ユウカちゃん、そんなに急がなくても間に合いますよ」
――聞き覚えのある声
俺は、急いで後ろを振り返る。
そして――彼女と目が合った。
「ノア?どうしたのよいきなり立ち止まって」
「ユウカちゃん、これ、持ってて下さい」
「え?まあ、良いけど・・・・・」
彼女が、歩いてくる。
俺は荷物を姉さんに渡して、言った。
「ごめん、姉さん。少し待ってて貰っても良いかな」
「?別に良いですよ?」
俺は彼女の方に歩く。
――もう、俺の眼には彼女以外は映っていない
そして、俺達は、対面した。
彼女は変わらず、白い髪に紫の瞳。
間違える訳が無い。
俺は、言う。
「済まん、ノア。随分待たせた」
「はい・・・・・遅いですよ、マスター」
彼女――ノアを強く抱きしめる。
公共の場?
知ったことではない。
ノアの温かい手が背に触れる。
「とても・・・・・寂しかったんですよ、マスター」
「ああ、俺もだ」
ずっと長い時間、抱き合っていた様な気がする。
あの世界でノアと交わした、会話を思い出す。
『そこは、『愛してる』ですよ』
『・・・・・もう少し待ってくれ』
――待たせてしまったから
俺は彼女に向き直り、言った。
「愛してる」
「はい。私も愛してますよマスター。これから、末永くよろしくお願いしますね?」
彼女は、何時ものニコリとした笑顔で言った。
――もう、離すものか
「勿論。ノアを離す訳が無いだろう?」
「ええ、私もです♪」
――こうして、俺とノアは再び出逢った
「えーっと・・・・・貴女はノアを抱き締めてる人の知り合いかしら?」
「姉です。貴女こそ、私の弟と抱き合っている彼女の知り合いですか?」
「(『私の』ってこの人ブラコンなのかしら?)ええ。私は早瀬ユウカ。ノアの友達よ・・・・・で、アレってどういうことなの?」
「・・・・・超人の私にもわからない事はあります。推測ですが、運命の人と言うものでは無いでしょうか」
「そんな非現実的な!・・・・・でも、二人共幸せそうね」
「まあ、アトラが幸せなら些細な事は知ったことではありませんね・・・・・ですが、先ずは姉の私に話を通すのが道理というものではないでしょうか?」
「・・・・・(良い人っぽいけどやっぱりこの人ブラコンだわ)」