『捻れた終着点』から、『あまねく奇跡の始発点』へ 作:文才の無い本の虫
「ハルナ?」
「・・・・・アトラ、さん?」
ガシャン、と彼女――ハルナが銃を落とした音が響く。
すると、彼女はスッと身を屈めた。
――何か不味い。『神秘』を防御に
彼女の姿がブレる。
「見つけましたわ!!」
「ごふっ?!」
――何が起きた?!
瞬間、俺は壁に叩きつけられていた。
「マスター?!」
「ハルナ何してるの?!」
「うふふっ、もう離しませんわ!!」
ハルナが俺を抱き締め、身体からミシミシと異音が鳴る。
『神秘』を回してるのに痛いんだが?
――声が出ない
『身体ダメージにより『舵輪』の起動を確認。マスター、大丈夫ですか?』
――大丈夫に見えるか??というか今何か折れた音がしたんだが??
『――マスターの治療を優先します』
・・・・・少しずつ、痛みが引いていく。
ようやく、喋れる程に回復し、俺は口を開く。
「ハルナ・・・・・痛い」
「す、すみません!!お恥ずかしい姿を・・・・・アトラさんに会えて、ついはしゃいでしまいましたわ」
「謝るのは、良いんだが・・・・・取り敢えず離してくれないか??」
「嫌ですわ」
ハルナは俺を抱き締めたまま、言う。
すると、ハルナの後ろでノアが銃を取り出した
「大丈夫ですよ、マスター。今助けますから」
「・・・・・何がなんだかわからないけど、ハルナを撃たせるわけにはいかない」
ノアとハルナの間に白髪の風紀委員――確か、空崎 ヒナ――が割り込んだ。
「退いてください」
「断らせてもらう」
正に、一触即発。
――ゲヘナで問題を起こすわけにはいかない
俺は、ハルナの背を叩く。
「ハルナ」
「なんでしょうか」
「場所を変えよう。俺が奢るから」
「ふむ・・・・・道理ですわ」
周りを見回して、ハルナは頷く。
「失礼しますわね」
そしてハルナは俺を肩に担いだ。
・・・・・この姿勢、地味にキツイんだが。
「ヒナにノアさん。場所を変えましょう。少々此処では都合が悪いですわ」
「・・・・・わかりました。ですが、マスターに何かあれば撃ちます」
「よろしくってよ。私はアトラさんを害したい訳ではありませんから」
「ハルナ、ちゃんと説明してね」
「ええ」
そうしてハルナは歩き出す。
「なあ、ハルナ・・・・・降ろしてくれないか??」
「嫌ですわ。また消えられても困りますもの」
◇◇◇◇◇
そうして訪れたゲヘナで一番高いカフェ。
四人席に――俺はハルナに手を掴まれたまま。左にハルナ、右にノア、対面には風紀委員長が――座り、各々が何かしらの注文をする。
・・・・・確実に財布が軽くなるな。
俺は一番安いコーヒーにするか。
暫くして注文したメニューが届き、対面の風紀委員長が口を開いた。
「それで・・・・・ハルナ、この人は誰?どういう関係?」
「うふふっ。この方は私の愛する御方ですわ」
「?今会ったばかりでしょ?」
「
「・・・・・そう。ゲヘナの校則には人の恋人を奪ってはいけないとも、一夫多妻が禁止とも規定されていない。ハルナが良いのなら、好きにすると良いわ。私は応援するから」
「うふふっ。気が早いですが、ありがとうございます」
「ふーん?・・・・・(どうしましょうか?私だって独占欲はあります・・・・・ですが、マスターの幸せが第一です。ハルナさんの存在はマスターの助けになるでしょうし、私はマスターの意思に従うだけ。私はマスターのものです・・・・・それに、マスターは私のものですから♪)・・・・・私は何も言いません」
「あら、以外ですわね」
「マスターを害さなければ貴女がマスターのご友人であることに変わりはありません。私は狭量ではありませんので」
「そのようでは、私がアトラさんを取ってしまいますわよ?」
「ふふふ・・・・・私がマスターの一番であることは変わりませんから♪」
「あら」
「ふふふ」
・・・・・。
『修羅場・・・・・成程。これが、愉悦』
『アトラ、死なない程度に頑張って下さい・・・・・あははっ』
お前達、後で覚えとけよ。
「貴方と、貴女の名前は?」
「・・・・・俺は、セミナー庶務の不知火アトラだ」
「同じくセミナー書記の生塩ノアです」
「そう・・・・・私は風紀委員長の空崎ヒナ。うちのハルナをよろしくね」
その直後、彼女の電話が鳴った。
彼女は一言二言話した後、ハルナの方を向いて言った。
「ハルナ、仕事よ」
「ぬぐぐ、名残惜しいですが仕方ありませんわ・・・・・アトラさん、またお会いたしましょう!!」
「マスター帰りましょうか」
「ああ・・・・・」
疲れた。
ん?
ノアが俺に向かって手を伸ばして、ニコニコと微笑んでいる。
「なあ、ノア」
「なんでしょうか?」
「その姿勢は俺に抱き抱えて帰れと?」
「ふふふ」
――やはり、ノアの笑顔には勝てなかった
「・・・・・わかったよ」
そうして俺は、ノアのことを横抱きにして帰った。
電車?
もちろんノアを抱えたままで。
――運命が動き出すまで、あと少し