『捻れた終着点』から、『あまねく奇跡の始発点』へ   作:文才の無い本の虫

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Begin:アビドスへ

 

 

 

 

 

私は、夢を通じて呼び出した『私』(影法師)の話に耳を傾けている。

 

 

『・・・・・というわけで私はアトラの守護霊みたいな感じになってしまいました。まあ、残滓みたいなものですけど』

 

 

「成程・・・・・貴女(『私』)はもう一人の『先生』を見付けたんですね」

 

 

彼女は私の影法師。

 

私がリソース回収の為に幾つかの並行世界に飛ばしていた存在。

 

リソース回収が終わればば消えてしまう私の複製体・・・・・だった筈の存在。

 

■回目のループで私が言ったように結果ではなく過程を重視した存在。

 

そんな彼女は私がしたことのない(恋をした少女の様な)表情で言う。

 

 

『はい。どちらかといえばアトラは『先生(教え導く者)』では無く『希望を与える者(英雄)』ですが・・・・・私の大切な人ですよ』

 

 

「自分の惚気って結構クるものがありますね・・・・・」

 

 

惚気を聞くために呼んだわけでは無いのですが・・・・・。

 

すると彼女は首を傾げて言った。

 

 

貴女(『私』)は大好きな『先生』にでも会いに行けば良いんじゃないですか?』

 

 

「それです!!」

 

 

明日は先生に会いに行きましょう。

 

それに私の『神秘』と『血』(血と肉)を材料にクラフトチェンバーで製造した(・・・・・・・・・・・・・・)『シッテムの箱』の模造品(・・・)の状態を見たいですしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

俺はノアが淹れてくれたコーヒーを片手に、『先生』の手伝いで居ないユウカの三日分の(・・・・)仕事を処理していた。

 

・・・・・ユウカ、貸し一つだからな。

 

書類の数字の検算をしながらふと、先日会った『先生』を思い出す。

 

 

「・・・・・連邦捜査部『S.C.H.A.L.E』か」

 

 

横で同じく書類を処理していたノアが言う。

 

 

「確かユウカちゃんのお手伝いに行ってる所ですよね?」

 

 

「ああ。連邦生徒会長が招いた『先生』を顧問とした部活(・・)。規則や権限を流し読みしたが・・・・・正に超法規的機関と言うべきだ」

 

 

『――肯定。連邦捜査部『S.C.H.A.L.E』、通称:シャーレは連邦生徒会長に次ぐ権限を持っています。その気になれば小さい学校や企業程度なら潰す事も可能です』

 

 

アロナがいきなり現れて言った。

 

・・・・・最近、どんどんフリーダムというかマイペースになってるな。

 

前なんて俺の金で投資してたし・・・・・最上級の結果を持って来たから良いんだが、原因はヒマリだよな??

 

『ふふん・・・・・ミレニアムの清楚な高嶺の花であり、みなさんの憧れである『全知』の学位を持つ眉目秀麗な乙女であり私に感謝してくださいね』と言う様子が容易に想像出来るが、後であの『全知』は絶対に締める。

 

ノアがペンをくるくると回しながら言う。

 

 

「ふむ・・・・・各学校の首脳陣がどう動くかが心配ですね」

 

 

「ああ・・・・・だが、見た限りでは『先生』は底抜けの善人だ。聖人と言っても良い。時間は掛かると思うがどうにかするだろう」

 

 

「それに、ユウカちゃんもお熱ですしね」

 

 

ノアがクスクスと笑う。

 

少しユウカが可哀想になってきたな・・・・・。

 

 

「ノア、ユウカをからかうのは程々にな」

 

 

「ふふふ、善処します♪」

 

 

『マスター、愉悦が足りません。愉悦を下さい』

 

 

「・・・・・アロナ、お前のその愉悦の基準がわからないのだが??」

 

 

すると、アロナは俺の膝の上に座った。

 

・・・・・また成長してないか??

 

 

『では、替わりに頭を撫でて下さい。マスターのなでなでは、至福です』

 

 

「ふふふ・・・・・マスター、私も撫でて下さい♪」

 

 

横からノアに抱き着かれる。

 

ノアの使っているシャンプーの香りが鼻腔を擽る。

 

・・・・・。

 

 

「まだ仕事が残ってるんだが??」

 

 

『他人の仕事よりも、私とのスキンシップの方が大切です』

 

 

「そうですよ、マスター♪」

 

 

・・・・・まあ、ユウカの仕事は後でも良いか。

 

 

「・・・・・はあ、少しだけだぞ」

 

 

「ふふふ」

 

 

『至福、です』

 

 

その後、俺は小一時間程、彼女達の頭を撫で続ける事になったのだった。

 

・・・・・鍛えといて良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「“・・・・・ふう、やっと終わった。”」

 

 

「お疲れ様です、先生」

 

 

「“ユウカ、手伝ってくれてありがとう。”」

 

 

終わった書類を横に置いて、ユウカが淹れてくれたコーヒーを飲む。

 

 

「“そういえば、もう一週間かあ・・・・・”」

 

 

「ああ、先生とお会いしてからもうそんなに経ったんですね・・・・・」

 

 

「“最初は堅い感じだったよね”」

 

 

“『私たちは今日この瞬間を絆と定義し、証明することになるでしょう』って。”

 

するとユウカは顔を赤くして言う。

 

 

「わ、忘れて下さい!!」

 

 

「“ははは。”」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“一週間も経ったけど、まだわからない事だらけだよ。”」

 

 

「でも最近は先生らしくなった気がします」

 

 

「“ははは・・・・・そう見えるなら、それはユウカのおかげだね。このままずっと手伝って貰いたいくらいだよ。”」

 

 

「うえぇっ?(ず、ずっと?!)・・・・・も、もちろんです!」

 

 

(“そんなに顔を真っ赤にしてどうしたんだろう?”)

 

ん?

 

 

「先生ぇーー!!」

 

 

「“連邦生徒会長?!”」

 

 

「癒やして下さい!!」

 

 

「いきなり来て何言ってるのよ?!」

 

 

「“二人共喧嘩しないで・・・・・ほら、よしよし”」

 

 

「はあ・・・・・癒されます・・・・・」

 

 

「きゅ、急に何を?!」

 

 

「“ごめん、嫌だった?”」

 

 

「・・・・・嫌では、ありませんけど」

 

 

ユウカはぷいっと顔をそらすが、彼女の耳は赤かった。

 

・・・・・それはそうと、連邦生徒会長。

 

仕事は終わらせて来たよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

机の上に置いてあるタブレットの中で、長い白髪の黒いセーラー服を着た少女と薄い水色のショートカットの連邦生徒会長を幼くした様な(・・・・・・・・・・・・・)少女が向き合っていた。

 

 

『・・・・・貴方のマスターはクソボケですね』

 

 

《・・・・・否定材料がありません》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

時刻は午後の二時。

 

ユウカの分の書類も含め、全ての書類仕事が終わった。

 

俺とノアはでコーヒーを飲みながら休憩していた。

 

因みにアロナは俺の膝の上で静かに寝ている。

 

――本人曰く『スリープモードです』とのことだ

 

こういうまったりとした時間は良いな。

 

心が癒やされる。

 

・・・・・心、か。

 

あの(悲劇)がフラッシュバックする。

 

シロコは元気でやっているだろうか。

 

まあ、あの面子なら大丈夫だろう。

 

ホシノ達が楽しそうに何時ものラーメン屋で談笑している光景が浮かぶ。

 

――その光景に俺達は居ない

 

 

「・・・・・はは」

 

 

「どうしたんですか、マスター?」

 

 

・・・・・俺に、その光景を羨む資格は無い。

 

だが、神がいるというなら、寂しく思う位は許してくれ。

 

 

「いや、『向こう』のアビドスでの事を思い出していたんだ」

 

 

すると、ノアは少し悲しそうな表情をする。

 

 

「成程・・・・・少し、寂しいですね」

 

 

「ああ。『此方』のシロコやホシノは俺達の知ってる彼女達ではないからな・・・・・」

 

 

――『向こう』の彼女達は修正力によって俺達の事を覚えていないだろう

 

俺は、ホシノの寂しそうな横顔を思い出す。

 

『・・・・・あの時、アトラくんが居たらユメ先輩を救えたのかもね・・・・・ごめん、らしく無い話をしちゃったね〜。忘れてくれると嬉しいな〜』

 

それは、俺が変えられなかった悲劇。

 

 

「ユメ先輩、か」

 

 

俺は胸ポケットから、少し前にアロナに頼んで取り寄せた資料を取り出す。

 

『■■ ユメ、二年前に行方不明』

 

――何かが引っ掛かる

 

向こうでも、此方でも、ホシノは盾と腕しか見付けていないらしい。

 

この違和感は・・・・・。

 

それに、アビドスに呼ばれている気がするんだ。

 

――確かめてみるべきか

 

俺は、立ち上がる。

 

 

「・・・・・行ってみるか、アビドスに」

 

 

確か、バイクのメンテナンスは終わっている筈だ。

 

定期検査も数分で終わるだろう。

 

 

『マスター、ナビゲートはお任せ下さい』

 

 

「ふふふ、マスター、久し振りのデートですね♪」

 

 

「ははは・・・・・そうだな。気楽に行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ?!」

 

 

「ハルナ?」

 

 

「アトラさんとノアさんがいちゃついている気がしますわ・・・・・!!」

 

 

「大丈夫??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

引き続き書類仕事を続けていると、机の上に置いてあるタブレット――連邦生徒会長曰く『シッテムの箱』というオーパーツ――の中に居る少女が言った。

 

 

《先生、右から二番目の書類の上から三枚目に急を要しそうなものがあります》

 

 

彼女はA.R.O.N.A。

 

連邦生徒会長に渡された『シッテムの箱』のメインOSらしい。

 

()は書類仕事を一旦やめて、アロナに言われた場所を見る。

 

 

「“これ?”」

 

 

アロナが言った場所には封筒があった。

 

“封筒を開ける。”

 

これは、手紙だろうか。

 

 

「どうしたんですか、先生」

 

 

「“これなんだけど・・・・・。”」

 

 

「手紙ですか?・・・・・うーん?」

 

 

ユウカと手紙を広げて覗き込む。

 

 

『連邦捜査部の先生へ

こんにちは。私はアビドス高等学校の奥空アヤネと申します。今回どうしても先生にお願いしたい事がありまして、こうしてお手紙を書きました』

 

 

手紙を捲っていく。

 

どうやらアビドス高等学校というところは補給もできず、大変な状況のようだ。

 

手紙の最後の文に目が行く。

 

 

『先生、どうか私達の力になっていただけませんか?』

 

 

“立ち上がる。”

 

(『先生』)にはそれだけで、十分だ。

 

 

「“ユウカ、ちょっと行って来るね。”」

 

 

「はぁ・・・・・先生、私もお供します。私だってこんな手紙を見てそのままにして置けるほど悪人ではないつもりです」

 

 

「“素直にアビドスの子たちが心配だって言えばいいのに・・・・・。”」

 

 

「何か?」

 

 

「“ナンデモアリマセン・・・・・。”」

 

 

するとユウカは端末を取り出しながら言った。

 

 

「取り敢えず弾薬は倉庫にあるのを持って行けばいいとして・・・・・移動手段はヘリを手配します」

 

 

「“え?徒歩で良くないかな?”」

 

 

「アビドス砂漠で遭難したらどうするんですか?始めて行く場所ですよ?それに結構な量の弾薬を担いでいくわけにもいきませんから」

 

 

「“成程・・・・・やっぱりユウカは頼りになるね。()だけだったらそこまで思いつかなかったよ。”」

 

 

「も、もうっ・・・・・先生は私が居ないと駄目なんですから♪ほら、先生。ヘリも直ぐ来ます、行きましょう!!」

 

 

「“勿論!!”」

 

 

《先生、私を忘れないで下さい》

 

 

「“あっ・・・・・ごめん。”」

 

 

《先生はもう少し危機管理意識を持つべきです・・・・・女性関係でも》

 

 

「“え?”」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――早瀬ユウカ 好感度:52(上昇中)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









――連邦捜査部『S.C.H.A.L.E』

通称何でも屋。『先生』を顧問とする生徒のための部活。今の部員は早瀬ユウカのみ。

備考:ユウカは偶にシャーレのビルに泊まっていたりする。




――好感度

通称絆ランク。アロナに見える対象の人物からの好感度を数値化したもの。基本的に(・・・・)上限は99。大体50で恋人とか親友とかそう云うレベル・・・・・らしい(アロナ達の主観なため)。

備考:アトラ→ノア:90。ノア→アトラ:99(???)。





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