『捻れた終着点』から、『あまねく奇跡の始発点』へ 作:文才の無い本の虫
「“・・・・・。”」
「どうしたんですか、先生?」
「“こんなに大きいヘリをパって呼べるって・・・・・もしかしてユウカって
「うーん・・・・・計算通りなら、今月だけでも先生の総資産よりは稼いでますね」
「“嘘でしょ・・・・・シャーレの給料って結構高い筈なんだけど・・・・・。”」
シャーレの給料は大体キヴォトスのオートマタ会社員の三倍くらいなんだけど。
「そんなこと言ったらノアやアトラの方がお金持ちですよ」
「“あの時の二人が?”」
あの時、戦車にバイクで突っ込んだユウカの同級生だというセミナーの二人組を思い出す。
(“彼の方は脳筋っぽかったんだけど・・・・・。”)
「はい。アトラは投資や企業との取引が上手いですし、ノアは過去の記録からの予測だったら私よりも精度が高いですね。セミナーの給料もありますし、結構な額を稼いでいると思いますよ?」
「“うわあ・・・・・あの子達ってそんなにハイスペックだったんだ・・・・・。”」
《先生、あと数分程でアビドス自治区です》
「よし、先生。準備しましょう。アビドス高等学校までは歩きですよ。乗り付けは失礼に当たりますから(・・・・・一応三日分の水分とかは持って来たし、大丈夫よね?)」
(“・・・・・ユウカには悪いけど、何か嫌な予感がするなぁ。”)
――そうして、
「“此処がアビドス・・・・・砂漠にしか見えないね。”」
「・・・・・座標的にはアビドス高等学校の100メートル圏内な筈ですし、遭難はしないと、思います・・・・・」
「“本当に?”」
「言わないで下さい先生!!私も少し思ってますから!!」
◆◆◆◆◆
「うん、これで検査は終了だね」
『どうですか、ウタハ』
アロナ君の見た目は高校生程までに成長している。
順調にアトラ君の『神秘』と情報の海から栄養を得て、成長しているみたいだね。
「ふむ・・・・・アロナ君の成長具合からして私とヒマリが組んだプログラムは正常に作動しているよ。調子はどうかな?」
『はい、良好です。ウタハとヒマリには感謝しています。これでいざというときのために備えられます』
「ふふふ、そうかい。私は技術者として要望に応えただけさ」
私がヒマリと考え、アロナ君に――正確にはアトラ君の
単純に情報という膨大なエネルギーとアトラ君の『神秘』を利用して情報生命体と定義したアロナ君を成長させる為のプログラム。
プログラムの名前は『何時かアロナちゃんは神に至るでしょうから』とのヒマリの皮肉だがね。
だが、まあ・・・・・
「うーん、アトラ君とノア君のナノマシンは相変わらず不活性化のままだね。二人共健康体だよ・・・・・私は医者じゃないんだけどね」
「相変わらず済まん。
「ええ。何時もありがとうございます、ウタハ先輩」
「ははは、君達には何時も世話になっているしね。これぐらい構わないよ。あ、そうそう。バイクは外に停めてあるからそのまま乗って行ってくれて構わないよ」
◇◇◇◇◇
周囲は見渡す限りの砂。
定期検査を終えた俺とノアはバイクに乗って、アビドスに来ていた。
俺は砂漠を走りながら言う。
「・・・・・なあ、ノア」
「なんでしょうか、マスター」
「アビドスってこんなに砂漠に飲まれてたか?」
「いえ・・・・・最寄りの駅を基準にして『向こう』よりも2メートルほど埋もれていますね」
明らかに砂漠化が進んでいる。
原因は・・・・・奴か。
「すると・・・・・此方にも
するとノアが苦い顔で言う。
「・・・・・ウタハ先輩に無理を言ってでも『
「まあ・・・・・俺とノアの二人でならどうにか出来るさ」
『――不満。私を忘れています。次はあの憎たらしいヘビをぼこぼこにしてやります、ビナーの蒲焼きです』
アロナの物言いに思わず笑ってしまった。
「ははは!!アロナがそう言ってくれると心強いな。頼りにしてるよ」
『はい。私はマスターの相棒ですから、心強いのは当然です。もっと褒めて下さい』
「ふふふ・・・・・(アロナちゃん、ありがとうございます)」
『(いいえ、マスターをサポートするのが私の存在意義――いえ、やりたい事ですから)・・・・・マスター、もうすぐでアビドス高等学校です。そのままアビドス高等学校に向かいますか?』
アロナに応えようとして、頭にノイズが走る。
「・・・・・っ?!」
――ア―――・・・・こ―――よ――
声が聞こえる。
「・・・・・呼ばれている気がする」
『――報告。微弱な精神波を感知・・・・・コレは、声?』
「マスター?アロナちゃん?」
ノアが心配そうに俺のことを見ている。
気をしっかり持て。
心配させてどうするんだ。
「・・・・・この『声』は後回しだ。取り敢えず、アビドス高等学校に向かおう」
『――了解』
それから数十分後。
アビドス高等学校が見えて来た。
『もうすぐでアビドスです』
・・・・・可笑しいな、銃声が聞こえる。
少し前に取り出した
「あら?・・・・・マスター、アビドスの校門の近くで戦闘を確認しました。ユウカちゃんと先生も居ますね」
何だか憶えのあるシュチュエーションだな。
「・・・・・ユウカと先生が揃うとトラブルを引き寄せる共鳴性の特殊体質か??」
それとも珍道中体質?
しかし・・・・・
――先生・・・・・貴方も
そうやって考えていると、俺の横にふわふわと浮いているアロナが言った。
『どうしますか、マスター』
「・・・・・面倒だし、突っ込む。ノア、カバー頼む。派手に行こう」
「ふふふ、了解です♪」
俺はノアが銃を取り出したのを確認し、アクセルを全開にする。
――ヒフミにまた脳筋と言われてしまうな
『マスター、スタングレネードの使用を提案します。置き土産だぜ、というやつをやりたいです』
横で、ふんす、とアロナが言う。
ヒマリの所で映画にでも影響されたのだろうか?
確かにウタハから『使用感を聞かせてくれ』と
アロナの方を横目で見ると、期待に目を輝かせているように見えた。
「・・・・・まぁ、良いか」
――機械仕掛けの神
ウタハとヒマリが合作で作り上げたアロナを成長させる為のプログラム。ヒマリの予想では、『神秘』と『情報』を吸収して成長しているアロナは何時か『神』に至るらしい。
備考:『神』とは信仰(認識)によって力を持つ。
――先生、世界の主人公と、物語の主人公は違うというのは