『捻れた終着点』から、『あまねく奇跡の始発点』へ   作:文才の無い本の虫

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Remember:___…

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・姉さん、俺には前世の・・・・・いや、此処とは違うキヴォトスで生きた記憶があるんだ。それも幾つも」

 

 

 

 

 

ソファーで姉さんと並んで座り、俺は言う。

 

――ゆっくりと思い出しながら(ページを捲りながら)

 

 

「其処では、俺は今と同じ様に『生徒』、(ある時)は『先生』で、(またある時)は『大人』だったんだ」

 

 

懐かく、寂しい記憶。

 

――カンナの呆れ顔やホシノ達との馬鹿騒ぎ

 

 

辛くて、悲しい記憶。

 

――シロコの泣き顔、アロナの号哭、ノアの涙

 

 

楽しく、温かい記憶。

 

――ノアの笑顔、生徒達の笑顔

 

 

『生徒』の時は(俺は)、色んな物を背負って、最後には消えた」

 

 

――キヴォトスの運命、アロナとの契約(・・)、ノアとの出逢い

 

 

『先生』の時は(私は)記憶をなくして、ハッピーエンドに辿り着く為にループを繰り返した。時には生徒と結ばれた事もあったし、時には生徒を失った事もあった。そして・・・・・最後の最後で、大切な生徒を救えなかった」

 

 

――幾重にも絡まった糸、愚直に繰り返した先生としての努力

 

 

『大人』の時は(僕は)、『生徒』の時の後悔だけを理由もわからず抱えて生きた。最後は呆気なく銃に撃たれて死んだ」

 

 

――善良であれかしと生きた記憶、生徒達を遠巻きに眺めていた

 

 

「突拍子も無い話だけど、本当にあった・・・・・俺の大切な記憶(ブルーアーカイブ)なんだ」

 

 

すると、姉さんが俺の手を握って言う。

 

 

「・・・・・アトラは、偉いですね」

 

 

「俺は偉いなんて言われる人間じゃ」

 

 

そして姉さんは俺を抱き締めて言った。

 

 

「アトラ、前世があろうとなかろうと関係ないのです。私が大切な弟だと思うのは貴方です。今話してくれた全てを背負ってきたアトラなんですよ。それに、その(前世云々)程度で私がアトラと縁を切る様な事など万に一つもありえません。というかもし来世があるなら会いに行きますからね?」

 

 

姉さんの体温を感じる。

 

その真っ直ぐさは、世界を超えて来たハルナを想起させる。

 

――迷っていたのが、馬鹿らしい

 

 

「・・・・・は、ははは!!まったく、俺が馬鹿だった」

 

 

「ええ、大馬鹿者ですよ。ですから、罰として今日は抱き枕の刑です」

 

 

「姉さん、昔と変わらないと思うんだけど?」

 

 

「ノアさんが居るとこういう事は出来ませんのでね」

 

 

「それもそうだね・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――その日は、とても良く寝ることが出来た

 

 

『安堵・・・・・おやすみなさい、マスター。良い夢を』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「・・・・・先生」

 

 

―――――――(シロコ、大丈■か?)

 

 

「先生は、私をどう思ってる?嫌い?・・・・・・・・・・ああ、死体に聞いても、答えが帰って来る訳が無いか。先生は、私が殺してしまったから」

 

 

―――――――――――――(私/■が、シロコを嫌■訳が無い■■う)

 

 

「・・・・・会いたい、会いたいよ先生。もう一度声が聞きたいよ。罵詈雑言ても良いから・・・・・ねぇ、先生。あと何回キヴォトスを滅ぼせば、あと何十年過ぎたら、私は先生に会えるの?(死ねるの?)

 

 

――――――――――――――(大丈■。『俺』がシロコ■助け■■る)

 

 

「もう・・・・・私の手は汚れ過ぎてるから、死んでも先生には会えないか」

 

 

・・・・―――――――――――――(それでも、シロコは私/■の生徒だ)

 

 

声は、届かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

姉さんに打ち明けてから、一週間が経った。

 

ユウカがシャーレに付きっきりで居ないため、俺とノアはセミナーの業務に忙殺されていた。

 

最終手段を使う程に。

 

俺は手を止めずに隣で書類仕事を手伝ってくれているアロナに言う。

 

 

「アロナ、手伝って貰って済まん」

 

 

『大丈夫です。マスターのなでなでの障害は、排除します。粛清です』

 

 

そんな物騒な台詞を吐きながら、アロナは書類を片付けていく。

 

俺の十倍位の処理速度だ。

 

 

「アロナちゃんが居るとあっという間に書類が片付きますね」

 

 

そう言うノアも凄まじい速度で書類を片付けている。

 

アロナに手伝いを頼んでからは、業務が昼までに片付くようになりとても助かっている。

 

――腕の疲れは甘んじて受け入れよう

 

・・・・・というか俺、必要か??

 

暫くして、業務が終わり、膝の上に座ったアロナを撫でながら言う。

 

 

「なあ、ノア。最近会長を見ないな」

 

 

「そうですね。リオ会長が最後にセミナーに来たのは約164時間前・・・・・約一週間前ですね」

 

 

「まったく、この忙しい時に何をしているんだろうか?」

 

 

『・・・・・驚愕』

 

 

「どうした?」

 

 

『報告。ミレニアム内に秘密裏に建造されている要塞都市を確認しました。土地の所有者は調月リオです』

 

 

「要塞都市だと?座標は出せるか?」

 

 

『了解。マスターの端末に送信します』

 

 

端末を取り出して、マップデータに送られて来た座標を重ねる。

 

すると、それを見てノアが言う。

 

 

「・・・・・おかしいですね。セミナーに来ていた書類と名義が違います」

 

 

「なに?」

 

 

名義が違うだと?

 

俺は顎に手を当てて――勿論アロナを撫でるのは止めずに――思考を回す。

 

リオ会長が居なかったのはその要塞都市関連?

 

――あの合理主義の独裁者が報告をしないという事は俺達に露見してはいけない計画なはずだ

 

機密性?

 

――いや、違う

 

むしろ土地の規模を見る限り合理的にいくなら俺達や銀行に資金提供を求めた方がいいはず。

 

――ここ数年でセミナーに都市建設を理由にした大規模な融資の書類は来ていない

 

俺達に少しも情報が無いと言うことはトキだけを動かしている?

 

そもそも、何故要塞都市を作る必要があった?

 

要塞都市ということは何らかの敵を想定しているはずだ。

 

――要塞都市を作れる程の金額はどうやっ・・・・・まさか

 

 

「マスター?」

 

 

『心配。マスター、手が止まっています』

 

 

ノアとアロナが俺の顔を覗き込んでいた。

 

どうやら、アロナを撫でる手が止まるほど考え込んでいたようだ。

 

・・・・・これは不味いかもしれん。

 

俺はアロナに言う。

 

 

「アロナ、俺達の端末から今の情報を痕跡が残らないように消してくれ。あとヒマリにハッキングはされてないか?」

 

 

『・・・・・削除完了。ヒマリのハッキングは弾いています。序に盗聴器も壊しておきました。褒めて下さい』

 

 

「ありがとう」

 

 

『むふ。至福です』

 

 

俺はアロナを撫でる。

 

 

「いきなりどうしたんですか?」

 

 

「この件は根深い。今これに深入りすると他の問題に対処できず、色々と詰む」

 

 

それに、あの合理主義独裁者会長の事だ、絶対に致命的な策が配置してある。

 

トキの最終手段(未来予測)にはアロナに頼めば余裕で制圧出来るが、謀略に関しては専門外だ。

 

 

「幸い、虐げられている奴はいなさそうだ。だから、後回しにする。今はアビドスの件を解決しないとな」

 

 

「・・・・・マスター、大丈夫なんですか?」

 

 

ノアが心配そうに言う。

 

――アル達の事だろう

 

 

「大丈夫だ。全部思い出して、割り切れたよ。此処の彼女達と俺の知っている彼女達は別人だよ。ハルナ以外」

 

 

「ふふっ、そうですね。マスターが元気になったようで何よりです♪」

 

 

“私/俺が見るべきなのは、過去ではなく今の生徒達だ”という『先生』の時の心構えが役に立った。

 

・・・・・黒いシロコの事だけは無理だったがな。

 

まあ、今はざっくりと「ああ、こういう事があったかもな」と云う感じにふんわりとしているが。

 

多分量が多すぎて脳が何処か焼き切たんだろう。

 

こうやってマトモに生きれるのは奇跡だな・・・・・いや、多分アロナのお陰だな。

 

 

「ははは・・・・・ありがとうな、アロナ」

 

 

『?どういたしまして、です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――取り敢えず、準備をしよう

 

何があっても大丈夫な様に・・・・・そして、悲劇を起こさない様に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









――アトラ

脳が焼き切れたのがいい方向?に作用しているかも。ループでの知識が使えず、記憶障害が起きかけている。



――ノア

地味に引きずっているが、表には出さない(描写力が欲しい)。アトラの異変に違和感を感じている。



――アロナ

可愛い。滅茶苦茶有能。アトラがちゃんと生活できるのはアロナのお陰。




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