『捻れた終着点』から、『あまねく奇跡の始発点』へ   作:文才の無い本の虫

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Favor:眠たくなる様なハッピーエンド

 

 

 

 

 

「クックック・・・・・成功おめでとうございます。では、私はこれで」

 

 

「貸し、忘れるなよ」

 

 

「ええ、勿論ですとも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「で、俺の気の所為でなければ・・・・・ユメ、お前は俺のことを知っているな?」

 

 

「うん!!主人格は私だけど、いーっぱい君の事を知っているよ」

 

 

「はあ・・・・・俺の血を通貨に使ったのが原因か」

 

 

「――肯定。それ以外ありえません」

 

 

「えー、愛の力かもよ〜?ねえ、君はどう思う?」

 

 

「・・・・・やめてくれ、その話題は()に効く」

 

 

するとユメはニヤリと笑って言う。

 

 

「あれれ?もしかしてまだ女の子に刺されちゃう様な生活してるの?君だけで充分だーって言ってたのに〜?」

 

 

君は、(・・・)相変わらずだな・・・・・」

 

 

自然と、彼女との記憶を鮮明に思い出していく。

 

トントン、と肩を突かれた。

 

 

「ふふふ、マスター。この方とはどういうご関係ですか?」

 

 

「・・・・・黙秘しても良いか??」

 

 

「駄目です」

 

 

「ふふん。アトラ君はね〜、私の夫だよ!!ねえ、

ア・ナ・タ☆」

 

 

「ユメお前巫山戯てるだろ?!」

 

 

――確かに『僕』とお前は夫婦だったが今は違うからな??

 

というか主人格は此処のお前な筈だろう??

 

ミシリ、と肩から異音が鳴る。

 

 

「マスター、私は今冷静さを欠こうとしていますよ?私とは結婚なんてしたことありませんでしたよね??精々が恋人ですし結婚を前提にお付き合いしても爆散しますしループしますし。私だってマスター(先生)の意思は尊長したいですよ?ええ、ですがそれにも限度があります。私に『愛』を教えたのはマスター(先生)なのですから責任は取るべきでは無いですか?私だって我慢してるんですよマスター?」

 

 

悪かった、俺が悪かったが・・・・・つい言ってしまう。

 

 

「・・・・・アロナ助けてくれ」

 

 

「私にも無理なものは無理です。諦めて一夫多妻ですか?」

 

 

「余計な事を言わないでくれそんなこと言ったらハルナが」

 

 

「呼びましたか?お食事のお誘いなら何時でも歓迎しますわ」

 

 

「何処からどうやって来た?!此処アビドス砂漠の中心だぞ?!」

 

 

「愛の力ですわ」

 

 

「いや、いくら何でも可怪しいだろう??」

 

 

「マスター、聞いてますかマスター?・・・・・ああ、もういっそ監禁してしまうのもありですね♪今の私は『箱舟』ではないのですから。私がマスターを独り占め・・・・・とても甘くて誘惑的な響きです。どうしましょうか、マスター?」

 

 

「アトラさん、ノアさんはどうしたのですか?というか逃げた方が良いのでは?このままだと監禁まっしぐらですわよ」

 

 

「監禁は御免被る」

 

 

――ノアとの二人きりの生活ならまだしも、動けないのは困る

 

するとノアが言う。

 

 

「では今度休暇を取って旅行に行きましょう。遠くの誰も知らないような島を買っておきますね。一週間ぐらい構ってくれたら監禁は(・・・)やめておきます。どうしますか、マスター?」

 

 

アロナが首を傾げる。

 

 

「――疑問。実質一択では?」

 

 

俺は、大まかなミレニアムの年間予定を思い出す。

 

――リオ会長が役に立たないなら俺達が下手に休暇を取るとミレニアムが回らなくなる

 

直近の大きなイベントは・・・・・。

 

 

「・・・・・ミレニアムプライスが終わってからで良いか?」

 

 

「はい♪」

 

 

ノアは、見覚えのある――この笑顔になら騙されても良いかと思った――笑みを浮かべた。

 

・・・・・何処から何処までが演技だったのだろうか。

 

――まあ、仕方無いか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・何かごめんね、アトラ君」

 

 

「謝るなら最初からすんな。そんなんだからホシノにおバカって言われるんだぞ」

 

 

「ひぃん・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

それから少しして、俺達は近くの駅に向かって歩いていた。

 

俺は隣を歩くユメに言う。

 

 

「お前は行方不明扱いになっている」

 

 

「あー、私死んでたからね・・・・・」

 

 

「だから、出稼ぎに行っていたという事にする。証拠となる金は用意しよう」

 

 

これは俺のエゴだからな。

 

ユメは驚いた顔をした。

 

 

「え?」

 

 

「お前が行方不明だった期間は二年。俺が二年間で稼いだ金額が大体二百億・・・・・バイト代は2割(四十億)で良いか?」

 

 

「いや、もらい過ぎだよ?!」

 

 

「俺のエゴで成功率2割の蘇生を施したんだ。それぐらいの対価はあって然るべきだ」

 

 

俺は実験だったという名目でユメにバイト代を無理矢理渡す事にする。

 

――アビドスは、もっと青春を謳歌するべきだ

 

 

「私の蘇生ってそんなに成功率低かったの?!」

 

 

「はい。死亡から二年の蘇生としては成功率が高すぎます。マスターと私のお蔭です。感謝すべきです」

 

 

「ありがとう!!良くわかんないちっちゃい子!!」

 

 

「馬鹿にしているのですか??」

 

 

珍しくアロナが青筋を立てている。

 

――そんなんだからおバカって・・・・・。

 

俺は先生にメールを打ち、近くの銀行と服屋の場所を調べる。

 

あとついでにシャワーがついている安いホテル(身だしなみを整えるための場所)も。

 

 

「連絡はしたから銀行と服屋に寄ってからアビドスに行くぞ」

 

 

「え?!やったー!!ホシノちゃんに会える!!・・・・・って何で服屋?」

 

 

「そのボロボロの制服だと絶対に誤解されるからだ・・・・・序に何処かでシャワーも浴びておけ」

 

 

俺はユメのボロボロな――少し、浮浪者染みている――制服を指す。

 

変な誤解でカンナの厄介にはなりたくない。

 

――それに、感動の再会で『臭いです先輩』とか『汚いです先輩』はいくら何でも可哀想だからな

 

 

「そんなに?!すんすん・・・・・うへぇ〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ハッピーエンドまで、あと少し

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マスター、手助けとは??」

 

 

「事実上借金完済までしちゃってますしね。まったく、お人好しです♪」

 

 

「・・・・・」

 

 

「マスターが照れています」

 

 

「照れてますね♪」

 

 

「アトラ君、銀行で借金返しても良いかな?!」

 

 

「良いぞ。その四十億はお前が身体を張って稼いだ金だ。自由に使え」

 

 

「わーい!!あ、でも借金返済した残りは返すよ。私の蘇生が実験だったとしても、私はたくさん良いもの(温かい感情)を貰ったから、報酬は最低限で良いの・・・・・ね?」

 

 

「・・・・・相変わらずだね君は。何か困ったら()に連絡すると良い。協力するからさ」

 

 

「話し方、戻ってるよ?」

 

 

「ん、ああ済まん・・・・・って主人格は此処のお前じゃなかったか??」

 

 

「うーん、どっちも私でしょ?」

 

 

「・・・・・敵わないな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

「“うん?”」

 

 

「どうしたんですか、先生?」

 

 

()は書類仕事の手を止めて、端末の通知を見る。

 

アトラからのメール?

 

“メールを読む。”

 

 

『先生へ

説明が面倒なのでユウカを連れてアビドス高等学校に来てください

よろしくお願いします

不知火 アトラ』

 

 

「“内容省き過ぎじゃないかな?”」

 

 

「メールですか?・・・・・ってメールが雑過ぎるわよ?!」

 

 

「“・・・・・良くわからないけど、行こう。アビドスへ。”」

 

 

「仕方ないですね・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「さて、そろそろか」

 

 

「うん・・・・・緊張してきたよ」

 

 

暫くして、アビドス高等学校の校門の前に着いた。

 

俺はアビドスの校門をゆっくりと開く。

 

校庭では、丁度アビドスのメンバーと、先生とユウカが話していた。

 

 

「先生〜いきなり来てどうしたの〜?」

 

 

「“それが、私にもわからないんだよね。あ、来たみたいだね。”」

 

 

先生が此方に気付いて、周りの生徒も此方を向いた。

 

そして、ホシノが目を見開いて固まった。

 

 

「・・・・・え?」

 

 

「“どうしたの?”」

 

 

「ユメ、先輩・・・・・?」

 

 

ガシャン、とホシノが銃を落とした音が響く。

 

俺はそっとユメの背を押した。

 

 

「行って来い、ユメ」

 

 

「・・・・・うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

「貴方は・・・・・」

 

 

私の前には、あの人が――ユメ先輩が立っていた。

 

服装は違うけれど、あの時のままで。

 

先輩は口を開いた。

 

 

「ごめんね、ホシノちゃん・・・・・帰って来るの、遅くなっちゃった」

 

 

――ああ、この人は間違いなくユメ先輩だ

 

思わず、嗚咽が溢れる。

 

 

「ユメ、先輩・・・・・ぐすっ、心配、したんです・・・・・いっぱい、探しました、でも、見つからなくて。あったのは盾だけで・・・・・ちゃんとしなきゃってユメ先輩の真似をして・・・・・頑張ったんです・・・・・」

 

 

優しく、昔の様に抱きしめられた。

 

ぽんぽん、と頭を撫でられる。

 

 

「うんうん・・・・・ホシノちゃん、私の居ない間、良く頑張ったね。あんなにいっぱいあった借金も少し減ってたしね・・・・・ホシノちゃん、ただいま」

 

 

「はい・・・・・おかえりなさい」

 

 

私は、ユメ先輩の腕の中でさめざめと泣いた。

 

先輩は、私が泣き止むまで、背中を撫でてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?!どういうこと??」

 

 

「あの人は、私達の大先輩ですよ〜・・・・・まったく、何処に行ってたんでしょうか?」

 

 

「ん、ホシノ先輩のあんな顔、はじめて見た」

 

 

「感動的ですね・・・・・」

 

 

「“えーっと、何で私呼ばれたんだろう?”」

 

 

「先生にはシャーレの権限でユメの行方不明届けの取り下げや諸々の手続きをして貰いたいんです。彼女達の為にもお願いできますか?」

 

 

「“成程ね。任せて。”」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「うへ〜、アトラくんがユメ先輩の雇い主だったってことかな?・・・・・変な事はしてないよね??」

 

 

「勿論だ。相応の給料も払っている」

 

 

すると、ユメがニヤニヤとしながら腕に抱きついてくる。

 

――君は懲りないのか??

 

 

「え〜。別に変な事しても良いんだよ?」

 

 

「誤解を招く事を言うな」

 

 

「(何だか距離が近いわね)」

 

 

「(ですね~☆)」

 

 

暫くして、ユメが思い出したように言った。

 

 

「あ、そうそう!!皆、借金は完済しといたよ!!」

 

 

「「「「え?」」」」

 

 

「ん、予感通り逆境が裏返った」

 

 

「えっへん!!・・・・・まあ、借金が無くなっただけで学校とか自治区はボロボロのままなんだけどね。でも、皆が居ればどうにかなる!!そうでしょ、ホシノちゃん」

 

 

そう言って彼女はホシノに向かって言う。

 

 

「うへ〜・・・・・勿論ですよ、ユメ先輩」

 

 

「皆、これから、よろしくね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――めでたしめでたし、だな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「柴関ラーメン・・・・・久し振りだね〜。ね、アトラ君!!」

 

 

「まったく・・・・・今日は俺が奢ろう。シロコ達も好きなものを頼むと良い」

 

 

「本当ですか?!」

 

 

「ん、太っ腹」

 

 

「うへ〜太っ腹だねえ・・・・・ユメ先輩、距離近くない?」

 

 

「近いですね〜☆」

 

 

「マスター、私はチャーシューましましというものを食べてみたいです」

 

 

「ほら、先生も行きますよ!!」

 

 

「“ちょ・・・・・って力強っ?!”」

 

 

「あらあら、ユウカちゃん、そんなに急がなくても大丈夫ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『どうですか、アトラ。この光景は、間違いなく貴方が導いたものです』

 

 

「ああ、良い光景だ・・・・・正に、陽だまりで読む、眠たくなる様なハッピーエンドだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









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