『捻れた終着点』から、『あまねく奇跡の始発点』へ   作:文才の無い本の虫

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Vol.5,0「追憶の物語」
Episode1:ある一日の始まり、追憶


 

 

 

 

 

 

視線を感じて、目を覚ます。

 

――何だか温かい?

 

 

「(じー・・・・・)」

 

 

目を開けると、アロナの顔が眼の前にあった。

 

アロナと、目が合う。

 

俺は彼女に、朝の挨拶をする。

 

 

「おはよう、アロナ」

 

 

「おはようございます、マスター」

 

 

「・・・・・で、何で布団の中に居るんだ?」

 

 

「回答。アロナたんぽです。駄目でしたか?」

 

 

「まあ・・・・・良いか」

 

 

俺はアロナの頭を撫でた後、布団からでて背を伸ばす。

 

時計を見ると5時頃を指していた。

 

――少し早めか

 

俺は自室から出て、朝食と姉さんの弁当の用意をする為に台所へ向かう。

 

ノアはまだ起きてないみたいだな。

 

隣を歩くアロナが言う。

 

 

「疑問。マスター、今日の朝食は何にするのですか?」

 

 

「何時も通りにトーストとベーコンエッグに、時間があるし適当な野菜スープでも付けようか」

 

 

「手伝います」

 

 

「ありがとう、助かるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「疑問。何故マスターはベーコンをそんなに時間を掛けてじっくりと焼くのですか?」

 

 

「ああ、姉さんの好きな焼き加減なんだ。それに料理は出来るだけ美味しく食べて貰いたいだろう?」

 

 

「成程。ヒマリの言っていた『おいしくなあれ、もえもえきゅん』ですね。ポーズはこれです」

 

 

「いや、何か違う気がする」

 

 

――アロナのそのポーズは可愛らしいとは思うが

 

 

「照れます」

 

 

「ちょっとまて今俺の思考を読んだか?」

 

 

「ふんす」

 

 

「回答になって無いんだが??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――そうして、今日が始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「と、言う訳で今日はアトラが朝食を作ってくれたんです!!しかもお弁当まで用意してくれたんですよ?!どうですかリンちゃん!!素晴らしいと思いませんか?!」

 

 

「今日は、ではなく、今日もですよね?というか仕事はどうしたんですかカヤ防衛室長」

 

 

「勿論終わらせてから来ましたよ?」

 

 

「はぁ・・・・・追い出す理由がありませんね」

 

 

「ええ、私の可愛くて格好良い弟の自慢話を私の不手際で中断するわけにはいきませんからね!!」

 

 

「そんなに暇なら手伝って下さい。仕事が終わったら1時間ぐらいは聞いてあげますから」

 

 

「ふむ、良いですよ。ぱぱっと済ませてしまいましょうか」

 

 

「そんなに直ぐに終わる書類では無いのですが」

 

 

「リンちゃん、何時も言っているでしょう?『超人』である私がついてるんですよ?直ぐに終わるに決まってるじゃないですか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うう・・・・・終わりません」

 

 

「(・・・・・昨日も同じ言葉を聞きましたね)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

セミナーの業務が粗方片付き、時計は正午を指していた。

 

俺は仕事を手伝ってくれたアロナを膝に乗せて撫でながら――近くのソファーで寛いでいるハルナに言う。

 

 

「ハルナ・・・・・何時来た??」

 

 

「今さっきですわ」

 

 

「扉が開いた覚えは無いんだが」

 

 

「通ってませんもの」

 

 

「・・・・・セキュリティ大丈夫だろうか」

 

 

俺はため息をつく。

 

ヒフミもハルナも素通りしてるが・・・・・。

 

――いや、ヒフミは一種の天才だし、ハルナは『愛の力(神秘)』が理由だから・・・・・セキュリティが弱い訳では・・・・・やっぱり不味いだろう

 

エンジニア部が転移装置でも作ってそれが流出すれば機密文書や押収品が盗み放題だな。

 

 

「・・・・・後で、依頼を出しておこう。で、ハルナ」

 

 

「何でしょうか?」

 

 

「用事は?」

 

 

「アロナさんを撫でながら言っても迫力に欠けますわよ・・・・・では」

 

 

彼女は、真剣な顔になる。

 

――何かあったのだろうか?

 

 

「・・・・・ご飯に行きましょう、アトラさん。私はもうお腹がペコペコですわ」

 

 

何だそんな事か。

 

それだったら電話なりモモトークなりで連絡すれば良いものを・・・・・。

 

 

「まったく・・・・・まあ、大事じゃなくて安心したよ」

 

 

「あら、大事ですわよ。私、お腹が減って死んでしまいそうですわ」

 

 

俺は何か言っているハルナを置いて、予定を思い出す。

 

今日の午後に急ぐ要件は無かった筈だ。

 

俺はハルナに聞く。

 

 

「ノアも一緒で良いか?30分程で帰って来ると思うんだが」

 

 

「ええ、勿論です。では、少し睡眠を取らせていただきますので・・・・・場所はお任せしますわ」

 

 

そう言ってハルナは腕を組んで寝てしまった。

 

前に聞いた話だと、風紀委員会は忙しく、やや寝不足気味らしい。

 

俺は食事の場所を考える。

 

 

「ふむ・・・・・」

 

 

ハルナが爆破しようとしない場所か・・・・・。

 

アビドスのメンバーの様子も見たいし、柴関ラーメンに行くか。

 

――アイツ、ちゃんと家片付けてるだろうな?

 

すると、隣に居た■■■が言う。

 

 

『アトラはユメさんが心配なんですね』

 

 

・・・・・。

 

――そう、だな

 

ユメが『彼女』であるように、俺も『僕』だってことか。

 

アロナが俺の動揺を察したのか――読んだんじゃなかろうな――此方を見上げた。

 

 

「どうしたのですか?」

 

 

「いや、何でも無いよ」

 

 

俺はアロナの事を優しく撫でる。

 

ああ、そうか。

 

俺は『俺』()で良いんだったな。

 

 

――『君は君でしょ?ね、アトラ』

 

 

記憶の彼方で、彼女が笑う。

 

俺は、横に居る■■■の方を見た。

 

問いかける様に、確認する様に。

 

 

「そうだろう?なあ、■■■(連邦生徒会長)

 

 

『ふふふ』

 

 

彼女(・・)は何も言わずに微笑んだ。

 

 

暫くして、帰って来たノアと、起きないハルナを連れて(俺が抱えて)、俺達はアビドスに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

――それは、ある寒い日の事だった

 

 

 

 

 

少女が散歩をしている時に、『彼』は空から落ちてきた。

 

ボロボロの『彼』に、少女――■■■は言う。

 

 

「貴方は?」

 

 

「・・・・・わからない」

 

 

そう『彼』は答える。

 

■■■は『彼』を家に連れて帰ることにした。

 

何故か放って置けなかったのだ。

 

 

「美味しいですか?」

 

 

「・・・・・済まない。わからない」

 

 

「そう、ですか・・・・・」

 

 

『彼』は、何もかも全てを知らなかった。

 

■■■達と同じ様に光輪(ヘイロー)を備えているにも関わらず、『彼』は彼女達とは明確に異なっていた。

 

 

「うん、決めました。貴方の名前は『アトラ』です」

 

 

「アトラ・・・・・」

 

 

「はい。わからないなら、知って行きましょう。時間はあります。始めましょう、貴方の『青春』(ブルーアーカイブ)を」

 

 

「・・・・・宜しく、頼む」

 

 

『彼』は■■■の手を取る。

 

そうして、『彼』――『アトラ』と■■■の物語は始まった。

 

 

 

 

 

――『彼』と■■■が仲を深めるのに、然程多くの時間がかかることはなかった

 

 

 

 

 

「君には、夢とかありますか?」

 

 

「夢、か」

 

 

「はい」

 

 

「俺は・・・・・『俺』がわからない。■■■に名前を貰い、お前に引っ張って貰って此処に居る。だから、というわけでは無いのだが、俺は『俺』(■■■に出会う前の俺)がわからないんだ」

 

 

「はぁー何を言ってるんですか」

 

 

■■■は隣に座っている『彼』に言う。

 

 

「君は君でしょ?ね、アトラ」

 

 

「そう、か」

 

 

「そうですよ」

 

 

暫くして、■■■は言う。

 

 

「アトラは、輪廻転生って知っていますか?」

 

 

「ああ。死んでも生まれ変わるという考えだろう?」

 

 

「ええ。先程、夢について話しましたよね・・・・・もし、生まれ変われるなら(・・・・・・・・・)、何も背負わないで生きてみたいな、と思うんです」

 

 

「それがお前の(ユメ)か」

 

 

「はい。アトラには、何かありますか?」

 

 

「・・・・・お前が夢の先(ユメ)で見る景色を見てみたい」

 

 

アトラがそう言うと、■■■は少し驚いてから微笑んだ。

 

■■■は、未来を知っていた。

 

 

「・・・・・ふふ、君には良い出会いがあると思いますよ?それで、考え方が変わるかもしれませんね」

 

 

でも、と■■■は続ける。

 

 

「でも、それでも・・・・・君が同じ事を思っていたのなら。影法師の私でも。私は、君と歩んでみたいです」

 

 

「影法師?」

 

 

そして、■■■はアトラの額を人差し指で軽く突く。

 

■■■は、悲しそうに言う。

 

 

「少し、喋り過ぎてしまいました。忘れて下さい・・・・・ごめんね、アトラ」

 

 

「な、にを・・・・・」

 

 

アトラは気を失った。

 

■■■は、アトラの記憶に封を掛ける。

 

そして、都合の良い記憶を偽造した。

 

 

「君は・・・・・貴方はこの先、『方舟』と出逢い、恋をして、世界を救う。その『物語』(ブルーアーカイブ)の中に、私は必要ありません」

 

 

■■■はアトラの頭を愛おしそうに撫でる。

 

 

「もし、影法師である私が生まれ変わる事ができたのなら・・・・・一緒に歩んでくれますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――彼女の夢は、思いもよらない形で叶う事になる

 

これは、遠い追憶の物語(ブルーアーカイブ)だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










――アトラ

コメント:何処かから落ちてきた『彼』。最初期の設定では主人公とは別の人物の予定だったが、同一人物にしたほうが物語的に面白そうだからとした結果・・・・・。



――■■■

コメント:紛う事なきヒロイン。どうしてこうなった。「物語が複雑過ぎる―――!!」。作者が大真面目にリメイクを書くか迷う最大の要因。追憶の部分の設定は前からあったし、伏線も張っていたつもりだが整合性がヤバくて冷や汗。



総評:もう最後まで駆け抜けるしか無い。整合性はできるだけ取るが、原作再現と倫理観は何処かに置いて、書きたいように書く。パヴァーヌはもう少し後になるなあ・・・・・。




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