『捻れた終着点』から、『あまねく奇跡の始発点』へ 作:文才の無い本の虫
――希望 / 絶望
――勇者 / 魔王
――善も悪も、今述べたものの様に表裏一体です
――
「天童アリスがリオ会長に拐われた?」
「“うん。アリスを取り戻す為に手を貸してくれるかな、アトラ。”」
「アリス・・・・・『AL-1S』はキヴォトスに厄災を齎すかもしれませんが?それに貴方と
「“そうだね・・・・・それでも、アリスは私の生徒なんだ。”」
「・・・・・全く。『
「“じゃあ・・・・・。”」
「ええ、力を貸しましょう。『ミレニアム最強』としてネル先輩にどやされない程度にはね」
「“ありがとう、アトラ。”」
「マスターも、十分お人好しです」
「・・・・・何か悪いか?」
「いいえ」
「アロナ、ノアを呼んでくれ。リオ会長が建設した要塞都市エリドゥに乗り込む」
「了解・・・・・あっ」
「どうした?」
「レイナからの伝言を忘れていました。うっかりです」
「おい」
「『セミナーの付近の金の流れがきな臭いとかで少し
「・・・・・かなり重要な情報だよなそれ」
◇◇◇◇◇
先生達との打ち合わせ――俺とノアは後詰め要員として別方面からエリドゥに殴り込む手筈になっている――を終えた後にレイナに『
――というかネル先輩が居るなら俺達必要だろうか?
『――報告。前方に多数のドローン:AMASを確認。ハッキングです、頭が高いです』
と、アロナによってリオ会長の展開していたドローンが次々と地に伏していく。
そうして俺達は要塞都市エリドゥに辿り着いたが・・・・・。
「なあ、アロナ」
『何でしょうか、マスター』
「何でこんなボロボロなんだ?」
要塞都市の壁は所々凹み、多数の爆発の跡がある。
『レイナに防衛装置の破壊を要請しました。序にあのドローン達に特攻させました。機械に裏切られる合理主義者・・・・・いい気味です。愉悦です』
「これ、ネル先輩もいるんだろう?・・・・・俺とノア、必要だろうか??」
『・・・・・ふむ、どうやら戦闘はもう既に決着した様です』
・・・・・。
先生に格好付けた手前にこのザマだ。
恥ずかしいから帰るか。
そうして踵を返そうとした時に、アロナが言う。
『――緊急報告。『AL-1S』によるプロトコル『ATRAHASIS』の稼働を確認。情報を取得します・・・・・マスター、最悪の場合です。『AL-1S』は
最悪の場合だ。
――彼奴等、無事だろうな?
「ったく!!アロナ、最短ルートを!!」
『このまま真っ直ぐ、です』
アロナの言葉を聞き、俺は『神秘』を廻す。
「ノア、俺は先に行く!!バックアップを頼む!!」
「了解しました。マスター、ご武運を」
『ノア、マスターの事は任せて下さい』
「ええ」
俺は、壊れかけの壁に向けて走り出す。
そして、壁を蹴り砕いて進む。
――ホシノの盾に比べればこんなもの、木の板の様なものだ
「ははは、あの日を思い出すな!!」
『はい。やはりマスターは脳筋です』
遥か向こうに、レールガンをネル先輩達に構えている天童アリス――『AL-1S』が見えた。
ウタハ、済まん。
あのレールガンは壊させて貰う。
俺は、速度を限界まで上げて、『AL-1S』目掛けて跳び・・・・・。
「せーのっ!!」
彼女が構えていたレールガンを殴りつけた。
するとレールガンは拉げ、安全装置が働いたのか銃口が閉じられる。
彼女は安全装置が作動して使えなくなったレールガンを捨て、俺の方を向く。
「――来ましたか、『お父様』」
「は?」
「いえ、こう云うべきでしょう――『王女』への最上位指揮権、『方舟』の
・・・・・成程。
ノアの後継機ではなく、姉妹機だったということか。
「“どういうこと?!”」
「・・・・・成程、その子が戦闘用だと言うなら指揮系統が存在するはず。それが何で不知火庶務にあるかは知らないけれどね」
俺は彼女に言う。
「俺に指揮権があると言うのなら、戦闘行為を停止してもらえるか?」
「・・・・・検討中」
その時、オープン回線で通信が入った。
『えー、聞こえていますか?此方はセミナーの生塩ノアです。これ以上戦闘を続行するなら痛い目を見てもらう必要がありますね?』
向こうの高台にフルチャージ状態のレールガンを構えたノアが見える。
「レールガンによる狙撃準備を確認・・・・・90%の確率で回避不能。本機に不利と判断。戦闘行為を中止します――――戦闘行動の中止により最上位指揮権を『ATRAHASIS』から変更。本時刻を以って『AL-1S』は『舵輪』の指揮下に入ります」
そう言って彼女は大人しくなったが・・・・・指揮下?
――というか何故こんな状況が出来上がっている??
俺は振り返り、ネル先輩達――正確にはその中に居た先生に言う。
「・・・・・取り敢えず先生、経緯を聞いても良いか??」
◇◇◇◇◇
あの一件から数時間後。
俺達はセミナーに併設されている会議室に居た。
先程の先生による説明で大体の事を――ネル先輩がトキを撃破した後に『AL-1S』が目覚めた事、そして『アリス』と『AL-1S』が異なる人格である事も――把握した。
俺は『AL-1S』を座らせた椅子の横で、先生達に言う。
「ふむ・・・・・先生、それにゲーム開発部。君達は
「“アリスには楽しい青春を送って欲しい。私からはそれだけだよ。それに、後は皆が言うことだしね。”」
「アリスは私達の大切な仲間だよ!!」
「うん、お姉ちゃんの言う通りアリスは私達ゲーム開発部の一員です」
「うん・・・・・だから、アリスちゃんに戻ってきて欲しい」
――あの時の無垢な子供は良い仲間を持ったみたいだ
それを聞いた俺は、
「だ、そうだ。『AL-1S』・・・・・いや、天童アリス。君はどうしたい?」
俯いて彼女は言う。
「・・・・・アリスは、皆と居ても良いのですか?」
間髪入れずにモモイとミドリが言った。
「「勿論!!」」
後ろでユズも頷いている。
それを見て俺は言う。
「良いかい?天童アリス。物事は基本的に表裏一体だ。君にはとても強い力がある。それをどう使うか、どう成るかは君次第だ。君は勇者か?それとも魔王か?」
彼女は勢いよく立ち上がり、言う。
「アリスは・・・・・勇者になります!!」
「ああ。それで良い」
何と無くアロナにするようにアリスの頭を撫でる。
彼女は心地良さそうに目を細めてから言った。
「はい。見守っていて下さい!!お父様!!」
「んぐっ」
「あら、大丈夫・・・・・では無さそうですね」
『マスターは今後起きるであろう騒動による心労から気絶した様です。お労しや、です』
「はっ?!」
「・・・・・カヤ防衛室長、今度は何ですか?」
「おめでたではない感じですが・・・・・アトラに娘が出来た気がします!!私からすると姪っ子ですね!!」
「ふむ、頭大丈夫ですか??というか本当だったらそれを感知できる貴女が普通に怖いのですが」
――天童 アリス
別の世界線よりも比較的平和な道を歩んでいる小さな勇者。レールガンの修理費はアトラがポケットマネーから出した。修羅場の元。ヒフミやハルナのハイライトが消えないことを祈ってます。尚、もう一人の自分(通称ケイ)と対話及び人格の切り替えが可能になった模様。
――不知火 アトラ
普通に胃が痛い。先生に対して結構格好付けたのに特に役に立てなかったので少し申し訳なく思っていたりする。尚、ミレニアムプライスが終わったのでこの後、『ノアとの約束』を果たす事に・・・・・。
――レイナ
アトラに『レイナ、お前が必要なんだ』と呼び出されてルンルン気分で向かったら唯の救援要請でエリドゥの防衛装置相手に八つ当たり無双してた。