『捻れた終着点』から、『あまねく奇跡の始発点』へ   作:文才の無い本の虫

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あれから、一週間が経った。

 

アリスは無事にゲーム開発部に戻り、何時ものミレニアムの騒がしさが戻って来た。

 

リオ会長はユウカに叱られ、セミナーの仕事を毎日する様になった為、仕事が物凄く楽になった。

 

アロナに頼めば1時間も掛からずに終わる程で、今度ノアとの旅行に行くための引き継ぎ作業をする側としては嬉しい限りだ。

 

それ以外に変わった事と言えば・・・・・。

 

 

『お父様!!おはようございます!!アリスは今日も元気です!!』

 

 

「ごふっ」

 

 

アリスから二日に一回程の頻度で――『アリスはモモイ達とお昼を食べました!!』(写真付き)のような――近状報告のモモトークが送られて来る事ぐらいか。

 

多い(酷い)時は一日に原稿用紙5〜6枚分のモモトークが送られて来た事もあったな。

 

尚、一日以内に既読をつけないと俺を心配する内容のモモトーク――『お父様?大丈夫ですか?!』――が30秒おきに送られて来る。

 

――アリスの純粋な目を見てしまったので止めてくれと言う訳にもいかず・・・・・

 

俺は『お父様』という単語にダメージを受けながら『ああ、おはよう』と返信する。

 

次の瞬間には『はい!!アリス今日も頑張ります!!』と送られて来た。

 

――今はまだ朝の4時なんだがなあ・・・・・

 

 

「取り敢えず、朝食の用意をするか」

 

 

「手伝います、マスター」

 

 

「ああ、助かるよアロナ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

「ふふふ・・・・・あと少しですね♪邪魔が入らないように、快適に過ごせる様に、念入りに準備をしませんと・・・・・・・・・・ああ、マスターと水入らずの休暇。想像するだけで気分が高揚してしまいます」

 

 

『from:ウタハ

 

ノア君の要望通りにコテージを建てて島を整備しておいたよ。事前の運び込みも済ませておいた。私は建設と環境整備は専門では無いんだけどね・・・・・まあ、満足してくれる出来にはなっていると思うよ。じゃあ、アトラ君と良い時間を』

 

 

「ふふっ・・・・・ふふふ」

 

 

『p.s. ノア君、約束は守ってくれ給えよ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

昼。

 

セミナーの仕事が片付き、休暇を取るための引き継ぎ業務も終わった。

 

ノアによると出発は明日らしく、荷物はもう送ってあるらしいので――荷造りをした記憶は無いが――時間が空いてしまった。

 

――アリスに少し留守にする事と返信出来ないかもしれない事を伝える序にゲーム開発部の様子でも見に行くか

 

そうして歩いていると、ゲーム開発部の扉の前に見慣れた人物が立っていた。

 

 

「ユウカ?」

 

 

「あら、アトラじゃない。引き継ぎ業務は終わったの?」

 

 

「ああ。少し暇になったから色々と様子を見て回ろうかと思ってな」

 

 

「成程ね・・・・・でも今は止めたほうが良さそうね」

 

 

「どういうことだ?」

 

 

「ほら」

 

 

ユウカが扉を少し開けて中を指差す。

 

俺は近寄って部室を覗き込む。

 

 

「すぅ・・・・・」

 

 

「・・・・・」

 

 

「むにゃむにゃ・・・・・」

 

 

ふむ・・・・・成程。

 

気持ち良さそうに寝こけているな。

 

 

「確かに今は止めたほうが良さそうだな」

 

 

「ええ・・・・・あ、そうそう。旅行の間は此方は心配しなくて大丈夫よ。私が留守にしていた分、アトラはノアとゆっくりしてきて頂戴」

 

 

「ああ、そうさせてもらうよ。ユウカ、少し此処(ミレニアム)を頼む」

 

 

「勿論よ。任せときなさい!」

 

 

そう、ユウカは言った。

 

――まあ、大丈夫だろう

 

 

そうして俺はゲーム開発部の前を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

夜。

 

あの後、エンジニア部には明日の朝に世話になるので顔は出さずにノアと家に帰った。

 

夕食は姉さん特製青椒肉絲(餡掛けうどん)だった。

 

――アロナが目を輝かせていたのが少し面白かった

 

そうして風呂から出て来た俺は涙と鼻水を垂らした姉さんに抱き着かれていた。

 

 

「うぅ・・・・・長期間アトラと会えなくなるのは寂しいですが、ノアさんとの旅行を楽しんで来るんですよ・・・・・」

 

 

「姉さん、出発は明日なんだけど・・・・・」

 

 

「カヤはマスターのことになると大袈裟です」

 

 

「アロナさん、たった一人の大切な家族()ですよ?!大袈裟にもなります!!」

 

 

「ふむ・・・・・(確かに私のマスターと一時的とはいえ離れる事は我が身を裂かれる事よりも辛いです。)理解しました。カヤが大袈裟なのも納得です」

 

 

「ほら、姉さん。顔拭くから・・・・・」

 

 

「うう・・・・・」

 

 

暫くして(俺が姉さんの顔を拭いた後)姉さんは俺から離れて言う。

 

相変わらず切り替えは早いんだよな・・・・・。

 

 

「明日も早いのでしょう?早めに寝たほうが良いですよ」

 

 

「うん。おやすみなさい、姉さん」

 

 

「ええ。おやすみなさい、私のアトラ」

 

 

姉さんは微笑みながら俺の頭を撫でて言った。

 

 

『おやすみなさい、私のアトラ。良い夢を見るんですよ?』

 

 

『うん・・・・・おやすみなさい、姉さん』

 

 

――もう俺の方が背が高くなってしまった

 

その表情に、俺は小さい頃を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『from:アリス

 

今日、アリスは皆と『超乱闘スマッシュシスターズ』というパーティーゲームをしました!!疲れてしまって少し寝てしまいましたが、とても楽しかったです!!お父様もお姉様との旅行を楽しんで下さい!!おやすみなさい!!

 

p.s. ケイがデレました!!』

 

 

「最後の文が意味不明なんだがどう思う??」

 

 

「ふむ・・・・・意味不明です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









――カヤ

料理が上手い『お姉ちゃん(超人)』。アトラを見送る為に次の日の業務を終わらせて定時よりも早く帰って来て夕食を作った。何故青椒肉絲を作ろうとして餡掛けうどんになるのか・・・・・。(ちなみに青椒肉絲の材料+うどんで餡掛けうどんは作れなくもない)




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