『捻れた終着点』から、『あまねく奇跡の始発点』へ   作:文才の無い本の虫

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Vol.6「方舟と楽園と」
Crossing:始まり


 

 

 

 

 

「行ってらっしゃい、アトラ。此方の事は私達に任せて、ノアさんとゆっくりしてきて下さいね」

 

 

「ああ」

 

 

「それに、アトラは少し働き過ぎる所がありますから・・・・・いい機会ですね」

 

 

「じゃあ、行ってくる」

 

 

「ええ。行ってらっしゃい、アトラ」

 

 

という会話をレイナとしてから数時間。

 

俺達はウタハの運転するヘリ――ノアが手配したらしい――で、ノアが購入したリゾート島(・・・・・)に来ていた。

 

このリゾート島は貸し切り・・・・・というかウタハが作ったらしい。

 

 

「じゃあ、二人でバカンスを満喫すると良い」

 

 

そう言ってウタハは帰って行った為、この広いリゾート島にノアと二人きりだ。

 

 

「・・・・・広いな」

 

 

「はい。これで、二人きりですね♪」

 

 

隣でノアが微笑む。

 

取り敢えず(多分)、この旅行は悪い物にはならないだろう。

 

――俺の中で『コレは、監禁と変わらないのでは?』と言っているアロナに目を逸らしながら

 

そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、ノア」

 

 

「はい、マスター。どうかしましたか?」

 

 

「何故、リゾート島にミレニアム製の防衛装置があるんだ??」

 

 

「悪い虫が来ないようにする為です♪」

 

 

「・・・・・まあ良い。時間はあるんだ、取り敢えずゆっくりしようか」

 

 

「はい♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

私は膝の上で眠っているマスターの頬に指を這わせる。

 

――ああ、マスターの吐息を、体温を感じる

 

そしてそれを私だけが感じていること(生殺与奪を握っていること)に言い表せない背徳感を感じてしまう。

 

 

「ふふふ」

 

 

私とマスターがバカンス(監禁生活)に来てから早一日が経った。

 

――この島を整備していただいたウタハ先輩には感謝ですね

 

最初はマスターと爛れた生活をするのもアリかな、とは思っていたのですが・・・・・案外今の様にマスターの事を眺めてゆっくりしている方が心が満たされます。

 

――幾つか前の世界で過ごした様な爛れた生活も嫌いでは無いのですけれど

 

 

「マスター・・・・・マスターは今、幸せですか?」

 

 

咎人である私は、マスターにこう問うのを止められない。

 

マスターは、どんな世界でも(名前が違くても)どんなループでも(記憶を失っても)誰かの為に戦って・・・・・そして死んでしまう。

 

何度も何度も何度も何度も何度も『あの時』私がマスターを助けなければ、マスターは苦しむ事は無かったのではないかと考えました。

 

けれども、そうしていたら私は唯一無二のマスターを見殺しにする事になってしまう。

 

何よりもう二度とマスターと出逢うことはなくなっていたでしょう。

 

――私は、悪い子ですね

 

 

それでも(私が咎人でも)、マスターは私を好きで居てくれる・・・・・ああ、それはなんて甘い毒なのでしょうか」

 

 

私は、はじめの頃よりも、嫉妬深く、独占欲が強くなっている。

 

何時か、私はマスター以外の全てを滅ぼす時が来るかもしれない。

 

ユウカちゃんも、マスターの友人知人も全て。

 

悪い事だとはわかっていても、そうすること(マスターを独占出来る事)が出来たら、どれほど嬉しいことかと考えてしまう。

 

 

「でも、きっと私は後悔するのでしょうね」

 

 

――七つの古則の楽園証明

 

正しく、私の思いはソレに近いもの(二律背反)なのだろう。

 

そんな事を考えながら私はマスターの寝顔を観察する。

 

 

「マスター・・・・・今ぐらいは、ゆっくりとして下さいね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――お願いです・・・・・少しでも長く貴方と・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「〜〜〜♪」

 

 

上からノアの歌が聞こえる。

 

――ああ、寝てしまって居たのか

 

最近の疲れが溜まっていたのだろうか。

 

俺が起きた事に気付いた様で、ノアは俺を見下ろして言う。

 

 

「おはようございます、マスター。私の膝は良く眠れましたか?」

 

 

「ああ」

 

 

リゾート島に来てから一日が経った。

 

バカンスに来たと云うのに、俺達はリゾート島のコテージで何時ものように過ごしていた。

 

強いて、何時もと違うところと言えば俺とノア――と俺の中に居るアロナ――以外に誰も居ない事ぐらいか。

 

 

「もう少し、寝てて(寝顔を観察させてくれて)も良いんですよ?」

 

 

「ははは・・・・・遠慮しておくよ。駄目になりそうだ」

 

 

正直に言ってノアの膝枕は最高だ。

 

――アロナの言葉を借りるなら、『至福』だな

 

このままノアに膝枕をされながら寝かし付けられ続けるとノアが居ないと寝れなくなってしまいそうだ。

 

 

「ふふふ♪駄目になってくれて良いですよ?」

 

 

ノアはそう言って微笑む。

 

少し、心配してくれているであろうノアに心が痛む。

 

 

「・・・・・俺にはまだやらなければいけない事が山程ある」

 

 

――だから・・・・・俺だけ一上がりというのも出来ない

 

 

「そうですか・・・・・本当に、酷いマスターです。貴方は止まってくれないのですね」

 

 

「済まない」

 

 

「いいえ。それが私のマスターですから・・・・・ですが、少し休む位なら大丈夫ですよね?」

 

 

「ああ」

 

 

「では、二人でお昼寝しちゃいましょうか♪此処には人の目も、セミナーの仕事も有りませんから、ね?」

 

 

そう言ってノアは悪戯っぽく微笑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――そうして、俺達はゆっくりとした時間を過ごした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「はぁ・・・・・今頃、アトラはノアさんとバカンスですか。羨ましいですね・・・・・」

 

 

「私だってアトラとバカンスに行きたかったですよ?!語ってないで手を動かしてくださいよ(連邦生徒会長)!!」

 

 

「語りは私のアイデンティティなんですよ?!(レイナ)にもわかるでしょう?!というか私も先生と行きたいですよ・・・・・ですが私達にはエデン条約を成立させなければなりません」

 

 

「ええ。本来であれば(貴女)の遺産となるものでしたが、この世界には私達(貴女と私)が居ます。アリウスにティーパーティーに万魔殿・・・・・対処するべき場所は沢山ありますが、コレもまた私達の『責任』です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――何時もの電車に揺られて

 

連邦生徒会長(レイナ)は、私《俺》に言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()ですから、先生。(ねえ、アトラ。)どうか、(どうか、)生徒さん達を・・・・・(アリウスの子達を・・・・・)お願いします(お願いしますね?)()

 

 

「“うん。任せて。”」(「ああ、任せろ」)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









――ノア

アトラに止まって欲しい。だけど、自分のマスターなら止まらないだろうという事を一番知っている。

備考:ラスボス




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