『捻れた終着点』から、『あまねく奇跡の始発点』へ   作:文才の無い本の虫

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――今日は先生と学校に畑を作った

――学園長って書類仕事以外にもこんなこともするんだ・・・・・頑張ろう





――秤アツコの日記より







After:アリウス学園、一握りの・・・・・

 

 

 

 

 

「不知火アトラさん。一つ・・・・・質問しても宜しいでしょうか?」

 

 

そう、目の前の少女――桐藤ナギサは紅茶のカップを置いて言った。

 

 

「貴方は何故、トリニティの復興に手を貸して下さったのですか?」

 

 

「ふむ・・・・・何か下心があるのか、ということかな?」

 

 

「ええ、はい。その通りです。差し支えなければ、教えていただいても宜しいでしょうか?」

 

 

目元の隈を化粧で隠した彼女は、剣呑な雰囲気で言う。

 

下心、ね・・・・・。

 

 

「まあ、俺は政治屋じゃないし、別段隠し立てする事もないか。あえて挙げるとすれば、理由は二つかな」

 

 

俺は紅茶を軽く飲んでから言う。

 

 

「一つは新しい学園として(・・・・・・・・)ティーパーティとの関わりが欲しかったから。恩は売れるときに売っておいた方が良いからね」

 

 

「・・・・・至って普通ですね。もう一方の理由をお聞きしても?」

 

 

「あはは・・・・・此方は殆ど私情みたいなものさ。俺は政治屋じゃないからね・・・・・・・・・・もう一つの理由は、俺の友人の変な鳥のマスコット(ペロロ)が好きな平凡な女の子に、「助けて下さい」って言われてしまったから、だね」

 

 

「・・・・・っ」

 

 

「納得のいく回答だったかな?桐藤ナギサ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・・マスター、先程のは流石に悪役が過ぎます』

 

 

「ヒフミと先生から大体の事は聞いたが、少しお灸を据える位はいいだろう?」

 

 

『はあ・・・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

あの後、トリニティの復興にアリウスを動員したり、姉さんの協力の元、学園を建てたり、アリウスへの教育の為に先生とユウカを呼んだりで大忙しだった。

 

そうして、エデン条約の調印式から一ヶ月が過ぎ――俺は早朝のアリウス自治区改め、アリウス学園の自治区を学園の校舎を目指して歩いていた。

 

元々の自治区はスラムの様な状態だったが、この一ヶ月で整備された結果、ミレニアムに近い学園都市と化していた。

 

――エンジニア部には大きな借りが出来てしまったな

 

暫く自治区を歩いていると、大きな学園の門が見えて来る。

 

学園は寮を併設している為、自治区の半分は学園と言っても良い。

 

その門の前には、新しく仕立てた制服を着た生徒が立っていた。

 

彼女――アリウス学園の生徒会『カローラ』の会長(・・)、秤アツコ――は微笑んで言った。

 

 

「おはよう、アトラ先生」

 

 

「ああ。おはよう、アツコ」

 

 

アツコが横に来たのを見て、俺は少し速度を落として歩く。

 

 

「今日はノアさんは居ないんだね」

 

 

「庶務の俺と違って書記は替えが効かないからな」

 

 

「ふーん・・・・・先生の替えが効くって言われると少し嫌な気分になるね」

 

 

「そうか・・・・・済まないな(・・・・・)

 

 

謝る。

 

――俺は、彼女にソレを強いている側だから

 

 

「ううん。良いの・・・・・先生はちゃんと約束を果たしてくれたし、コレは私がしたいことだから」

 

 

そう、彼女は笑う。

 

――アツコは変わった

 

環境のせいで変わらざるを得なかったのかもしれないが。

 

 

「アトラ先生、今日は何をするの?また畑?」

 

 

「いや、生徒達の様子見だな。一ヶ月で出来るだけゆっくりと普通の生活に慣らしたつもりだが、彼女達が与えられる事に慣れきってはいけないし、バランスを取りそこねて虚しさに溺れて自暴自棄になっても駄目だ」

 

 

「・・・・・普通って難しいね」

 

 

「ああ。与え過ぎれば、それに慣れてしまう。それでは、自分で歩いているとは言えないだろ?だから自身で達成した、勝ち取った事が重要なんだ」

 

 

「成程・・・・・だからバイトとか畑仕事とかを授業に組み込んだんだね。私には難しいけど、頑張って覚える」

 

 

彼女はノアからプレゼントされた手帳に真剣に何かを書き留めていく。

 

その様子に、少し申し訳無く思う。

 

 

「・・・・・アツコ、気張らずにな」

 

 

「うん、先生。わかってる」

 

 

俺達は学園の中を歩いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――そうして今日も、アリウス学園の一日が始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「・・・・・シロコ、目元に隈が見えます。暫く休息を取ったほうが宜しいでしょう」

 

 

「ミネ・・・・・私は」

 

 

「貴女にも、救護が必要ですか?」

 

 

「・・・・・休む。先生をお願い」

 

 

「ええ」

 

 

――青い髪の彼女の頭上には、補われた様な紫色の(・・・)ヘイローが輝いていた

 

 

――――、――。―――――――――――(ごめ■ね、ミネ。シロコを任せ■しまって)

 

 

「はあ・・・・・そう思うなら急いでください。私は反転したお陰で(・・・・・・・)比較的正気を保ってはいますが、彼女は壊れる寸前です。先生の事ですから、何か策はあるのでしょう?その為に私を呼んだ筈です・・・・・まあ、『いつでもお呼びください』とは言いましたが、自殺した後に呼び出されるとは思ってもいませんでしたが」

 

 

―――――。(済ま■いね。)―――――――――――――――――。(私/■は飽く迄も残滓みた■なものだ■ら。)―――――――――――――――(奇跡を起こす■とは出来ない■だ)

 

 

「だから・・・・・自身を頼る、と」

 

 

――。――――――――――(うん。申し訳■い話だけ■ね)

 

 

「それを見極める為に(死人)を呼んだのですね・・・・・困ったお方です、本当に。今度こそは、正解を引いて下さいね?」

 

 

―――――――――(確約は出来な■かな)

 

 

「私・・・・・先生のそういう所が嫌いです。そろそろ救護が必要ですか(殴りますよ)?」

 

 

『・・・・・―――(ごめん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

――マスターが・・・・・『カード』を使った?

 

――また(・・)マスターが居なくなってしまう?

 

――嫌だ

 

 

――それだけは

 

 

「・・・・・置いてかないで下さい、マスター」

 

 

――もう寂しいのは嫌なんです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

――魂が、己の存在が軋みを上げる

 

 

「・・・・・っ」

 

 

残された時間は、少ない。

 

 

「・・・・・ごめんなさい、アトラ」

 

 

「レイナ・・・・・所詮、()は死人だ。この時が与えられただけ、幸運だよ」

 

 

「ですが、貴方には本来必要の無い別れを」

 

 

レイナの言葉を遮るように言う。

 

 

「良いんだ。人生なんて一期一会・・・・・本来は(・・・)そうなんだよ」

 

 

「・・・・・貴方は消えてしまうのに、ですか?」

 

 

「ああ」

 

 

「まったく・・・・・・・・・・君は、酷い人だね」

 

 

「済まないな、レイナ。後は頼むよ」

 

 

「ええ、任されてあげます。惚れた弱み、と云うやつです。まったく・・・・・貴方は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 









――アリウス学園

アトラが設立した全寮制の学園。生徒会は『カローラ』。今はアトラが運営しているが、ゆくゆくは『カローラ』の会長であるアツコに全権を委任するつもり。アリウス生徒達の更生施設の様な側面もある為、アトラによって幾つか授業が追加されている。自治区の半分は畑とか言う不思議な学園。(そうせざるを得なかった)

備考:数年後には立派な学校になっていることだろう



――アツコ

アトラが居なくなる事を何と無く察している。アトラとの関係性は親子に近い。ノアとはすぐに仲良くなった模様。今は『カローラ』の会長として学園の事や政治の事を勉強中。



――プレナパテス陣営

何故か少し楽しそうな気もしなくもない(シロコの精神状態は最悪だが)。どうやら反転した生徒が二人いる模様。



――アトラとレイナ

彼と彼女に残された時間はそう長くは無い。だから、彼は託す為に動くのだ。




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