『捻れた終着点』から、『あまねく奇跡の始発点』へ   作:文才の無い本の虫

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Pray:祈り、願い

 

 

 

 

 

「マスターの名前を?私は一体・・・・・■■■■■(ERROR)

 

「・・・・・考える■は・・・・・後に・・・・・私は、マスターを喪いたくないんです・・・・・私にまだ『権限』があるなら・・・・・『方舟』(本船)のリソースを・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生・・・・・そろそろタイムリミットの様です」

 

 

「そうか・・・・・」

 

 

『アトラハシス』の消滅を確認した後、俺はミネと空を見上げていた。

 

――私とミネは、良くこうやって空を見ていた

 

彼女の身体は、徐々に光になって消えていく。

 

不意に、彼女が近付いて――頬に柔らかい感触がした。

 

 

「?!」

 

 

「ふふっ・・・・・死人である私に出来るのはここまでです。ノアさんのこと、どうか悔いのない様に。天国か地獄がありましたら・・・・・其処から祈っています」

 

 

そう言って、ミネは微笑んで消えていった。

 

――温かい神秘を俺に残して

 

そして、ずっと続いていた痛みが止んだ。

 

――借り物の神秘による一時的な存在補填といったところか・・・・・・・・・・ありがとう、ミネ

 

俺は、猶予があるうちに(・・・・・・・・)プレナパテスとの約束を果たす為に、アリウス学園に走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女を探して十数分。

 

シロコはアリウス自治区の近くの森の中で泣き続けていた。

 

 

「先生・・・・・うぅ・・・・・」

 

 

「・・・・・泣くな、とは言わん。存分に泣いて、前を向け」

 

 

俺は、此処に来る途中に発行してきた学生証を彼女の手元に放り投げる。

 

 

「コレは・・・・・学生証?アリウス学園?」

 

 

「今からお前は、アリウス学園の黒狼シロコだ。そのままアリウスで過ごしてみるも良し、金を貯めて転校しても良い。書類さえ書けば通る様にして置く。詳しい話はアツコ・・・・・アリウスの生徒会長に聞け。彼女なら、無下にはしないだろう」

 

 

「・・・・・ありがとう」

 

 

「もう会うことはないかもしれないが・・・・・頑張れよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「は?」

 

 

俺は電話を落としそうになるのを堪えて、聞き返す。

 

 

「ノアが帰って来ていない?」

 

 

『ええ、そうよ。カヤさんにも聞いてみたんだけどそっちにも行ってないらしいの。貴方と一緒じゃないの?』

 

 

――嫌な予感がする

 

 

『警告。マスター、『方舟』が起動しています。権限はノアのものです』

 

 

空を見上げる。

 

其処には、白い移民船の船体が浮いていた。

 

 

「・・・・・ユウカ、少し迷惑をかけるかもしれない」

 

 

『・・・・・はあ、しょうがないわね』

 

 

「ノアを連れて必ず帰る。唯の思い過ごしだったら笑ってくれ」

 

 

『ええ、そうするわ。気を付けなさいよ』

 

 

「ああ」

 

 

俺はユウカとの通話を切った。

 

 

「アロナ、『方舟』に行く手段はあるか?」

 

 

『・・・・・『方舟』は上昇中。ヘリで行ける高度ではありません。今使える手段としてはマスターを『アロナちゃん・ドライバ』で打ち上げるか、ウタハ謹製の『暁ちゃん(命の保証はしない宇宙直行ロケット第2号)』にマスターを括り付けるくらいしか有りません。後者は推奨しませんが』

 

 

「前者で頼む」

 

 

俺は即答した。

 

後者は普通に死ねる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「ハルナにも伝言を頼みましたが・・・・・私は貴方の幸せを願っています」

 

「説教臭くなってしまいますが、後悔だけはしないように」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何時か・・・・・また会う時が来たなら、貴方の話を聞かせて下さい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

アロナによってどうにか『方舟』の内部に辿り着いた俺は、壁を蹴破って移動していた。

 

 

「アロナ、此方で合っているか?」

 

 

『はい。ノアの反応まであと200メートルです』

 

 

ミネの神秘のお陰で調子が良い。

 

――あの時(連邦生徒会時代)の九割といったところか

 

 

「せーのっ」

 

 

そうして壁を蹴り抜くと、直径100メートル程の円形の場所に出る。

 

その中心には、レールガンをもったノアが居た。

 

彼女は言う。

 

 

「マスター・・・・・どうか、此処に居てくれませんか?『方舟』のリソースを使えば、マスターの延命も可能な筈です」

 

 

――ああ・・・・・それじゃダメなんだ

 

俺は、言う。

 

 

「断る」

 

 

「なら、実力行使です。私は、マスターが居なくなるのは嫌なんです」

 

 

――ミネのお陰で持ち堪えてはいるが、俺はもう長く無い

 

俺は言う。

 

 

「・・・・・ノア、俺は・・・・・お前に、貴様(・・)に言いたいことがある」

 

 

「今更、何を言うつもりですか?」

 

 

――少しキツイ位が丁度良い

 

最初で最後の喧嘩だ・・・・・俺が居なくなっても、過去に囚われている(俺の事をマスターと呼ぶ)彼女が前に進めるように。

 

 

「俺は・・・・・隣に立ってくれないノアが――嫌いだ」

 

 

「・・・・・っ」

 

 

「ノアの事は愛しているとも・・・・・だが、ノアは・・・・・一度でも俺の名前を呼んだことがあったか??」

 

 

――無意識か意識的かはわからないが・・・・・彼女は俺をマスターと呼び、根本的に一歩引いている

 

過去を、清算する。

 

例え、彼女を傷付ける事になったとしても・・・・・彼女は、彼女の道を歩んで良い筈だ。

 

『方舟』として持って来てしまった数多の記憶がそれを邪魔している。

 

もしかしたら、彼女は・・・・・ノアの記憶を持ってしまった別人だったのかもしれない。

 

――だから

 

俺は拳銃を構えながら言う。

 

 

「ノア・・・・・賭け(喧嘩)をしよう。俺が勝ったら、俺はお前のマスターを辞める。お前が勝ったら、俺でおままごとをするなりキヴォトスを滅ぼすなり好きにしろ」

 

 

「・・・・・ッ!!良いでしょう!!その喧嘩買ってあげます!!」

 

 

ノアが、レールガンを構えた。

 

――その瞳は、怒りに燃えていた

 

 

「アロナ、アレを出してくれ。それと、何があっても手を出さないでくれ・・・・・コレは、俺の喧嘩だ」

 

 

『・・・・・・・・・・了解。ご武運を』

 

 

キラキラと薄紫のエフェクトが輝き、右手側にレバーアクション式ショットガン――『Self-certification(自己証明)』が現れる。

 

俺は、それを手に取った。

 

 

「それは・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ノア・・・・・最初で最後の(・・・)喧嘩といこう。全力で掛かってこい(・・・・・・・・・)

 

 

――今の俺は、強いぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









――不知火 アトラ

擦り切れていた彼は無意識に崩れて行く存在の維持に神秘を使っており、実際に戦闘に使えた力は本来の半分にも満たない。
だが、今の彼は特異な神秘を分け与えられ、一時の猶予を与えられた。
かつての世界で、平均程度の神秘量で(・・・・・・・・・)連邦生徒会長の右腕として活躍する事が出来た(・・・・・・・)彼は裏でこう呼ばれていた。



連邦生徒会副会長(影の超人)』、と。





――蒼森ミネ

黒舘ハルナという前例がある以上、奇跡を成した彼女もまた、本来の神秘に加えてもう一つ神秘を得ていた。
それは――――(黄泉返り)
彼女は最後に敬愛する一人へと自身の神秘の全てを分け与えた。
彼女は、彼の支えに成ればと『願い』分け与えた。



それが、どう作用するかは、その時が来なければわからない。






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