『捻れた終着点』から、『あまねく奇跡の始発点』へ 作:文才の無い本の虫
「マスター!!起きて下さい、マスター・・・・・」
《――マスターの生命機能の低下を確認・・・・・?思考回路にバグを確認》
私の腕の中で、喪われていく、マスターの体温。
救うには、コレしか無い。
――ああ、マスター。私は悪い子です
「・・・・・それでもマスターは、我儘な私を赦してくれますか?」
"・・・・・私は覚えている、アトラハシスの嘆きを。"
"・・・・・私は望む、彼の者の腕を。"
――パスワード認証完了
《・・・・・》
「――プログラム:『舵輪』を実行します・・・・・」
《――疑問。ノア、貴女は・・・・・》
「・・・・・・・・・・アロナちゃん。私はもう、
《――何故?何故?何故?思考回路にバグを確認しました・・・・・本機の存在意義を再定義――》
◇◇◇◇◇
ズキズキと背中と
俺は確か、ノアを庇って・・・・・。
《――マスターの意識の回復を確認。A.R.O.N.Aはシステムアップデート中です》
「っ・・・・・痛え」
「お目覚めですか、マスター」
目を開けると、ノアが俺の顔を覗き込んでいた。
ノアに外傷は無さそうだ。
「ノア?・・・・・無事か?」
「ええ、マスターとアロナちゃんのお陰で無事ですよ」
――ああ、ノアが無事で良かった
どうやらノアが寝かせてくれたのか、俺達はビナーの死角になる廃墟の中に居る様だ。
俺は、体を起こしながら聞く。
「俺が寝てたのは何分だ?」
「ぴったり2分30秒です」
2分強・・・・・戦況が変わるには十分な時間だ。
「ノア、戦況は?」
「ホシノさんとシロコちゃんが戦っています。決定打が無く膠着状態と言ったところでしょうか」
「・・・・・寝てる場合ではないか」
「寝てて下さい。傷は未だ治り切っていませんから」
「治る?」
「はい。マスターに私の
俺は背中を触る。
・・・・・確かに服は焼け焦げて溶けているのに傷がない。
それは置いておくとして、ビナーを倒すにはあと一手が必要なのは本当だ。
「・・・・・運良くハルナとかが通りすがってくれると嬉しいのだが」
すると、廃墟の中に足音が響き、俺はその足音がする方向を見た。
――今日は、ツイてるみたいだな
ヴァルキューレ公安局の制服を身に着けている彼女は、近付いてきて、俺に言った。
「美食研究会長ではないですが・・・・・私では役不足ですか?防衛室長」
彼女――ヴァルキューレ警察学校公安局局長、尾刃カンナ――の実力を俺は誰よりも知っている。
「いや・・・・・十分だ」
「それは良かったです」
「でも、カンナが何故此処に?」
「パトロール中に砂嵐が見えましてね、人助け中の防衛室長なら直ぐに向かうだろうと思い、急行した次第です」
「助かる。また借りが増えてしまったな」
「いえいえ。アトラ、さっさと済ませて打ち上げといきましょう」
カンナが手を貸してくれる。
俺はその手を取って、立ち上がった。
「そうだな。ノア、準備は良いか?」
「勿論です、マスター♪」
《――報告。A.R.O.N.Aのシステムアップデート完了。マスター、防御は任せて下さい》
「心強いな・・・・・じゃあ」
――リベンジと、行こうか
◇◇◇◇◇
〘―――――!!〙
「ん!!食らうと良い」
シロコが手榴弾を投擲する。
俺は二人に声をかけた。
「済まん、待たせた」
「二人揃って遅刻何てさ〜おじさん、そういうのはイケナイと思うな〜」
「ふふふ。どうしましょうか、マスター?」
「勘弁してくれ・・・・・」
「ん、そっちの人は?」
「強力な助っ人だ」
「ふむ、手短に自己紹介を。私はヴァルキューレ警察学校公安局局長の尾刃カンナです。まあ、宜しく頼みます」
「ん、心強い」
「うへ~、私はそういうカッチリしたのは無理だ~」
そうやってビナーの死角に回りながら話す。
「取り敢えず俺とカンナで気を引く。シロコとホシノはノアの護衛を」
「護衛?」
「ああ。ノアのレールガンならあの蛇を木っ端微塵に出来る」
「成程〜それにはタメが必要ってことだね」
「はい。時間にして30秒程無防備になります。ホシノさんとシロコちゃんにはその間のカバーをお願いします」
「了解した」
「オッケー」
「じゃあ、戦闘再開だ」
俺とカンナはビナーの気を引く様に走り出す。
「防衛室長」
「今はアトラで良い」
「はは、そうですね。では、何時もの様に?」
「ああ。二手に分かれて側面から叩く」
「了解しました・・・・・派手にいきましょうか」
俺は右に走り出し、カンナは左に走り出す。
雨のように降り注ぐミサイルを避けながら進む。
《マスター》
「どうした?」
《マスターへ最大限のサポートをするためにマスターの『神秘』への接続の許可を求めます》
ふむ。
断る理由は無い。
「アロナ、君に任せる」
《――了承。マスターの『神秘』に接続。マスターのサポートを開始します》
「っ?!」
ゾクリと、触れられない筈のヘイローに触られた様な、何かが入ってくる様な感覚。
そして、画面の中に居る筈のアロナが、隣に浮いていた。
『マスター、防御はお任せ下さい』
「ああ」
説明は後で聞けば良い。
俺は、
防御は考えなくて良い。
――『神秘』を脚に
強く、踏み込む。
近くを掠めるミサイルがアロナによって逸らされる。
『――告。通しません』
〘――――?!〙
「せーのっ!!」
回し蹴り。
「釣りは要らん。全弾持ってけ」
追加で鉛玉を叩き込む。
ビナーが揺らいだ。
「こちらも負けていられませんね」
そこにカンナが『神秘』を纏ったハンドガンを打ち込む。
〘―――!!!〙
更に、ビナーが揺らぐ。
そろそろか。
ビナーの斜め後ろで、ノアが『スーパーノヴァMk-Ⅱ』を構えている。
彼女の周囲に電光が迸った。
「――チャージ完了。目標、ロックオン・・・・・
『スーパーノヴァMk-Ⅱ』、最終認証、『
〘――――――――!!〙
――光が、ビナーを貫いた
――尾刃 カンナ
『ヴァルキューレ警察学校公安局局長』『狂犬』
備考:キヴォトス内で上澄みレベルの『神秘』量。
――プログラム:『舵輪』
『方舟』の持つ七つのプログラムの一つ。詳細不明。