『捻れた終着点』から、『あまねく奇跡の始発点』へ 作:文才の無い本の虫
ビナーの巨体が、支えを失った様に砂漠の上に倒れていく。
頭上のヘイローも無く、数秒待っても動く様子はない。
「終わったか」
『――報告。セフィラ:ビナーの沈黙を確認』
そう、隣でアロナが言った。
ビナーの向こう側から、携帯の呼び出し音と共にカンナが現れた。
「――何?事件だと?・・・・・アトラ、急用が入りましたので打ち上げはまたの機会に」
「済まん。助かったよ、カンナ」
「いえ、いい運動になりました。では、私はこれで」
そう言ってカンナは去って行った。
暫くして、向こうからホシノとシロコが走ってくるのが見える。
「やった〜!!ありがとね、アトラくん〜(これでユメ先輩も・・・・・)」
「ん・・・・・アトラ、ありがとう」
少し照れ臭い。
何も言えずに頬を掻いていると、後ろから抱きつかれた。
――ああ、安心する
「マスター、お疲れ様です♪」
「ノア」
「ふふっ、帰りましょうか、マスター。それにホシノさんとシロコちゃんも、ですね」
「そうだな」
すると、シロコが言う。
「ん、打ち上げに行くべき」
「それだったら良いお店知ってるよ〜」
――こういう騒がしさは、嫌いじゃない
俺は少し頬が緩むのを感じる。
「仕方無い。今日は俺が奢ろう」
「太っ腹・・・・・!!」
「お〜!!」
「マスター、無駄遣いは程々にですよ?」
――こうして、長い一日は終わり、俺達は帰路に着いた
◇◇◇◇◇
アビドスの一件から数ヶ月が経った。
あの後、俺達はシロコから『アビドス高等学校名誉生徒』なる称号を貰い、今でも交流は続いている。
つい最近の事で言えば、新入生と転入生が3人入ってきたらしい。
更にセフィラ:ビナーの起こしていた砂嵐が止んだため、少しずつ住人が戻って来ているとか。
ホシノが『わ〜夢みたい〜』と言っていたのが印象的だったな。
――俺も自身の事の様に喜んだものだ
それから、カンナと打ち上げに行ったり、ハルナのオススメの店に行ったり、アロナを労うためにキヴォトスの郊外に行ったり、ノアとキヴォトスを回ってみたり・・・・・。
――楽しかったな
「マスター、考え事ですか?」
「いや、前の事を思い出していてな」
『――困惑。マスター、いい加減この手を退けて下さい』
「撫でられるのは嫌いだったか?」
『・・・・・いえ』
そういえば、変化もあった。
アロナが『シッテムの箱』から出てくるようになったことだ。
彼女曰く『マスターへの万全なサポートをするために必要だと判断しました』とのことだ。
正確には出てきているのではなく、俺の中――詳しくは知らないが――に
尚、ノアは横で笑いを堪えていたが。
俺は、溜まっていた書類――とは言っても定期報告等だが――に目を通していく。
暫くして、
「(じーっ・・・・・)」
「どうした?」
「あ、気にしないでください。マスターの横顔を観察しているだけですので♪」
「・・・・・そうか」
楽しいのだろうかそれは?
『マスター、先程の書類に不備がありました』
「ああ、わかった」
アロナから書類を受け取り、訂正箇所を訂正する。
暫くの後、書類を片付け終わった俺の背中にノアが寄り掛かってきた。
「ノア」
「マスター、今日はもう仕事もありませんし、何処か出掛けませんか?」
そうやって彼女の温もりを感じながら言葉を交わす。
これが俺達の最近の日常だ。
「そうだな・・・・・シロコ達に会う序にアビドスに散歩にでも行くか」
「では、そうしましょうか」
俺は立ち上がり、ノアが隣に来る。
――そうして、俺達は並んで歩いて行った
――アトラ
以外と友人や知り合いが多い。詳しくは番外編にて。
備考:基本的にお人好し
――ノア
アトラの
備考:残り時間はあと僅か
――アロナ
アトラの中に住んでいる。詳しくは番外編にて。
備考:『シッテムの箱』の機能を吸収し、最早OSと呼ぶことは出来ない
――『ヘイロー』
【挿絵表示】
アトラのヘイロー。舵輪がモチーフ。