『捻れた終着点』から、『あまねく奇跡の始発点』へ   作:文才の無い本の虫

8 / 57





――アビドスの一件から数日後…







Vol.1,5「ありふれた日々」
Episode1:ある一日の終わり


 

 

 

 

 

「・・・・・ふう」

 

 

俺はアビドスの一件の後処理に関する書類を片付け終わり、ペンを置いて息を吐く。

 

もう、夕方か。

 

 

『――確認。書類に不備はありません。お疲れ様です、マスター』

 

 

何時もならこの時間帯に話し相手になってくれるノアは居ない。

 

彼女曰く『シロコちゃん達とのお泊り会に行ってきます。マスター、お土産は期待してて下さいね♪』との事だ。

 

お泊り会にお土産とは?

 

――それにしても・・・・・暇だ

 

 

「今日はもう帰るか・・・・・」

 

 

すると、端末から通知音がした。

 

カンナから『本日の夜、何時もの場所で』とモモトークが届いていた。

 

 

「『了解した』と」

 

 

俺の声に反応して、アロナが首を傾げる。

 

 

『どうしたのですか、マスター』

 

 

「ああ、少しカンナと食事に行ってくる」

 

 

『――成程。これがノアの言う『でーと』というものなのですね』

 

 

「違うが??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『(――疑問。何故私は胸を押さえているのでしょうか)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

俺は途中でカンナと合流し、人気の無い路地にある屋台の暖簾を潜る。

 

 

「店主、久し振りだな」

 

 

「ごめんください」

 

 

屋台の店主が俺達に返した。

 

 

「いらっしゃい」

 

 

俺達は屋台の椅子に座る。

 

俺は何時もの様に、店主に言う。

 

 

「店主、焼き鳥のタレももを四本、茹でた枝豆を小皿で。あと烏龍茶を頼む」

 

 

「私も同じものを」

 

 

「あいよ」

 

 

暫くして、前に皿とコップが出される。

 

俺はコップを軽く持って言う。

 

 

「少し遅くなったが、乾杯と行こう」

 

 

「ええ、乾杯」

 

 

「ああ、乾杯」

 

 

カチリとコップを鳴らす。

 

それから、俺達は枝豆や焼き鳥を摘みながら話す。

 

 

「カンナ、最近はどうだ?」

 

 

「ぼちぼち、ですかね。後進もちゃんと育っていますし、キヴォトスは安泰でしょう。そちらは?」

 

 

「・・・・・良い、とは言い難いな。アイツ(連邦生徒会長)の後任は見つからんし、生徒の相談をロクに聞かん馬鹿も居る。まあ、馬鹿は辞めさせたが」

 

 

「再三言っていますが、貴方が就任しても良いと思いますよ?」

 

 

「勘弁してくれ。俺は会長の器じゃない。それに今の地位の方が動き易いからな」

 

 

「ははは、貴方らしい理由ですね」

 

 

「悪いか?」

 

 

「いいえ。そんな貴方だからこそ私は貴方について行っているんですよ」

 

 

「ふ・・・・・そうか」

 

 

――少し照れ臭いな

 

 

「それでアトラ」

 

 

「何だ?」

 

 

「ノアさんとはどうなんですか?」

 

 

「・・・・・どう、とは?」

 

 

「はぁ・・・・・では率直に言いましょう。まだ付き合って無いんですか?」

 

 

「?!」

 

 

「どうせ貴方のことですからなあなあで過ごしてるんでしょうが・・・・・あれで付き合ってないとかアホですか貴方は」

 

 

「・・・・・言い返す言葉が見当たらん」

 

 

どうやら彼女(親友)にはお見通しだったみたいだ。

 

やれやれと頭を振って彼女は言う。

 

 

「さっさとしないと限界になった美食研究会長が何をしでかすかわかりませんよ?それ(痴情のもつれ)に関しては(公安局)の管轄外ですので、気を付けて下さい」

 

 

「・・・・・」

 

 

一瞬、ハルナと目の笑っていないノアに挟まれるスチルが頭の中を横切った。

 

俺は直感する。

 

――大真面目に死ねる

 

 

「・・・・・少し努力しよう」

 

 

「はぁ・・・・・まあ、取り敢えず今はもう少しゆっくりしましょう。店主、枝豆を追加で」

 

 

「俺も同じものを」

 

 

「はいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――そうして、俺とカンナは夜が更けるまで屋台で過ごしたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――理解。これは嫉妬や独占欲というものなのですね。罪なマスターには、こうしてやります。えい、えい』

 

 

「・・・・・」

 

 

『・・・・・仕方無いので、布団は掛け直して上げましょう』

 

 

 

 

 

 

 

 

 









――屋台

人気の無い路地にある屋台。疲れた人々の憩いの場所。



――カンナ

アトラの親友。アトラは友人の中では一番信頼してるし信用してる。親友の恋路が前途多難で溜息。



――アトラ

唐変木でも鈍感でもないがヘタレ感。人生経験が特殊過ぎるのが原因。



――アロナ

妹の「お兄ちゃんが取られちゃう!!」的な心境。



――ノア

自分から行動を起こす予定。ヒント:この時空では明日がバレンタイン。




  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。